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作者:日-北川悦吏子 当前章节:15388 字 更新时间:2026-6-15 19:54

ひどい

あなた意地悪なんだか 優しいんだかよく分かんないね

恋の始まりはいっだって 赤ちゃんのまばたきみたいに

ささやかで 美しいんだ

それが その後

どれほど残酷で 苦しい恋に育っていくとしても

僕は その運命を逃れられない

はい 月丘さんね

すいません

あの…月丘さんのお嬢さんですよね?

あ…

うち伺ってますのに これは ちょっと…

はい どうぞ

知らないよな

え?

神崎弘人? はい

いませんよ 2年でしょ?

医学部ってうち人数少ないから みんな知ってるもん

いや~知らないなあ…

ああああ 魚をね 持ってきてくれた男のコ達

よく来んのよ 「魚買ってくれ」っ

山内埠頭の外れで漁船とか直してる

ちっちゃな工場のコでね

え~っと 何てったっけ 工場の名前

え~っと…

お客さん はい?

ヒロ君 にお客さん

あ…じゃ これちょっといいっすか? ああ

ウソつき…

ウソつき…

はあ…何?

これ返しに…

ウソだったんだね 『慶應』とか ああいうの全部…

私 大学まで… どうしてここ分かったの?

あなたが魚譲りに行ったっていう 料亭まで行って聞いた

あ じゃあ 全部バレたってわけだ

まあ俺は見ての通り ここで働いててこんなありさま。

で 一緒にいた亜裕太ってヤツは

横浜自動車整備専門学校ってとこ通ってて

で 甲はトラックの運転手。

残念だったね 『慶應』の学生さんじゃなくって。

もう一度 会ってお礼がいいたかったのよ。

お兄ちやんご飯のスイッチって どこ押すんだったっけ?

分かったから ちょっと あっち行ってうな?

弟さん?

別に関係ないっしよ。

クリーニング代払うよ。

いいよ。払うって。

いいよ 大した額じゃないし…。

いくら?

分かんない 忘れた。

じゃあ ちょっとここで待ってて。

こんにちは。

廉さっきの人は?

お姉さんなら帰っちゃったよ。

帰った?

あ~合わないんだけど~

今月も赤字 先月も赤字 来月もたぶん赤字

今どき町場の船の修理工場なんて 流行んないんだよね~

もっとこの材料費を削るとか 何とかしてさ~。

それだと 手抜き工事になるんで

それは 絶対にやりたくないです。

あんたのお母ちゃんに頼まれて ここの経理手伝い始めたけど

貧乏くじだったか ねえ…。

ウソ ?ホント。

ホントに?ホントに…。

そっか~…やるな~あいつら。

騙されたよね。

ちょっと怪しいなとは 思ったんだよね。

そうなの ?

でもなんか笑える おかしい。

おかしくないよ。

楽しみにしてたのに…『慶應』の学祭行くの。

よし 分かった

何が? 行こう

3限?まだ早くない?

3限じゃなくて 横浜自動車整備専門学校。

3限どうすんの?

バッくれる ねえ 菜緒分かってる?

クリスマスまでもう2か月だよ?厳密にいえば2か月切ったんだよ。

カウントダウンが始まってんだよ 忘れた?去年のクリスマス。

私達相手いなくて 2人でブラブラしてたら

菜緒のお父さんに「じゃあ うち 手伝いなさい」っていわれて

菜緒のお店のプチリングやらプチダイヤやら 何個も何個も包装して

ピンクやブルーのリボン…。

赤とグリーン クリスマスカラーもあったよね。

そうそうそうそうそう 店にはカップルがいっぱいで

あの時2人で誓ったじゃない?

来年こそはダーリンと 素敵なクリスマス過ごそうねって。

で お互いが

お互いの彼氏といながら

心の中で私は菜緒に菜緒は私に 「メリークリスマス」っていおうって。

ところがどうなの?

これじゃ また面と向かって 「メリークリスマス」っつって

2人でロウソクの火 消しそうじゃない?

ケーキ ホールごと やけ食いしそうじゃない

次の日 胸やけすんだよね。

そうそうそうそうそう それに何より菜緒 誕生日がイブでしよ?

あ はい…。

イブが誕生日 それ二重苦だよ。

イブお店忙しくて いつも手伝わされて三重苦。

ヘレン?ケラーだ…。

だからさ この時期とりあえずは 男のコつないどこうよ。

ラジヤー。よし。

あ…でも私あの男のコヤダよ 弘人ってコ…。

あの…。 今年のボーナスなんですけど…

ホントにすいません

ないの? いや…。

少しは…。

しょうがないんじゃない? 棚ちやん。

2万円や3万円じゃ どうにもならんよ。

俺は2万円や3万円でも欲しいけどな。

去年もなかったしな…。

年越せんのかな~

車検実習は 車の安全確認をするものだから…。

ああ…。

え… ?

え?え ?

熱っ 熱い熱い 熱い

ビックリしてさ…。

いや そのまま思わず バイト先連れて来ちやったよ。

バイト先? 『ハーバーカフェ』か?

そこか? そこなんだな? そこにいんだな ?

お前すごいな。

生き別れの親にやっと会えた 『家なき子』みたいだな。

いいか?絶対行くからな 俺がそこ行くまで

絶対に帰すんじゃねえぞ

あ 東名横浜インターで また電話すっから。

いいかそれまで帰すなよ じゃあな

鍵がない

やっばあいつバカだな 『慶應』絶対あり得ないな…。

鍵 鍵 鍵…

あった

あ…すいません。すいません…。

奢るから。え?

弘人にみんな聞いたんだよね?

ごめんなさい ウソついてて。

いやそんな…。

弘人謝った? 君に。

なんかちょっとケンカみたいに なっちゃったらしくて。

ケンカとか…そんな仲良くないよ。

え?

あ…そんなまだ 近しくないっていうか…。

「まだ」?

あ…。

そりやまあ怒るよね 『慶應』の医学部とかいってて

あんな小さな工場で汚い作業着とか着てたでしょ。

あ…そういうんじゃなくて…。

そういうことで 怒ったわけじゃないです。

あの…私からもいうと

菜緒はそういうことで ガッカリしたり

人を見たり そういうコじゃないの。

この人ね ホントに楽しみにしてたの。

慶応の大学祭 彼に「おいで」っていわれて。

「一緒に行こう」って私誘って

「その時着て行くんだ」って洋服まで…。 やめて

そんなことまでいわなくていいよ…。

ごめん…。

それにもう…いいから あの人のことは。

しつこいな…。

誰?

あ 甲だよこの前いたヤツ。

あ トラックの運転手。

あ…私

あ…じゃあ喜ぶよ。

おお 俺だよ俺 東名横浜インター 入る前にかけちったよ。

で?まだいんのか? まだいんのか?お嬢さま方

遅えよ。

もう帰ったよ。

え ?Oh my god マジかよ~?

もう俺 一刻も早くそこ行こうと思ってさ で 車飛ばしまくってたわけ。

そしたら…。

切符切られてんの。フフ…。

え?

え?ええ… ?君…誰?

お久しぶり 裕子です。

マジですか?

あいつの家…。

あの工場 実質 今 弘人がやってんだ。

ずっと前に親父さん死んでてさ。

弟は喘息で体弱くて 母ちゃんは何だか…。

まあ 大変な家なんだ。

でも 人でそこ守ってんだ。

ウソついたのも悪気はないんだ 弘人はホントは素直で優しいから。

でも それ隠そうとして

いつもとっさに思ってないこと いったり悪ぶるんだ。

友達のこと よく分かってるんだね。

まあね 俺達付き合い古いんだ。

悪ガキ仲間だったのに

あいつばっかり 急いで大人になってったんだ…。

仲良くなれるかな 私…。

あの人と…。

いや それは俺には分かんないけど なれるといいと思うな。

そうね… 悪い人じゃないのかもね。

ハロウィーンも来てくれたし

え?ハロウィーン? うん。

ほら私達約束したじゃない?

それ俺聞いてないよ

いやだから抜け駆けとか そういうんじゃないから。

な もう別にいいじゃんよ~。

だって向こうから誘ってきたってことは こっちにも脈ありってことだべ?

まあ お前にじゃないとは思うけどな。

なんでそんなひどいこというの?

お前オカマみたいになってるよ。

クソ~もうないや。は?

お前…だって俺 まだ1本飲み終わってないよ。

あ 上にあんじゃん?

つうかお前ら飲み過ぎだろ。

すいません…。

コンビニだ コンビニ。

コンビニ行くべ コンビニ コンビニ

ジヤンケンジヤンケンいくよ。いい?OK。

せ~の…

最初から。え~ ?

ゴー。いや…「グー」でしょ?

うわ~ 俺のバカ~

なあ?

ん?

これ。

菜緒ってコの住所と電話番号。ああ。

お前が「学園祭おいで」って いってくれたから

楽しみにしてたんだと。ああ。

洋服も買ったんだと。ああ

かわいいじゃない。うん。

うわ~ マジかよ?

はい そういうとこ かわいいね 弘人君。

何だよ…。

「西区みなとみらいMMシティータワーズ4517」

…って45階かよ。

ちょっと~ どうなってんのよ~?

さっき棚田に声かけられてさ

「今年もボーナス出ないっすね」なんて嫌みいわれたわよ。

ああ…。

ったく給料払ってるだけでも ありがたいってもんだよね

こっちだって金ないんだよ~ うるせえよ

廉のピークフロー やってねえや。

何だよ…どいつもこいつも。

私だってさ

私だって よその奥さんみたいに 楽したいよ~。

おお調子いい 調子いい。

よし~。

ねえ お兄ちやん。ん?

ウチにお金ないの僕のせい?

違えだろ 廉 別に関係ねえから。

母ちやんまた泣いてたね。

そうか?

怒ってるけど泣いてたよ。

廉は あんなの気にしなくて いいから な?よいしよっと

廉の胸ヒュ~ヒュ~ いってる?

ん?どれ

あ~ちょっとな。そう…。

うん でも大丈夫だよ すぐ治るから。

ホント?うん ホントだよ。

お兄ちゃんの 心臓の音が聞こえる。

そうか?

トクン…トクン…っていってる。

廉 これ好きなんだ。

そんな好きなら廉にこれやるよ。

どういうこと?

ん?どういうことかな…。

そうだな…。

じゃあ 例えば 廉が海賊船の船長さんだったら

お兄ちゃんは命を奪われても 惜しくないってことかな。

海賊船の船長?廉が?うん 廉が海賊船の船長。

こうやって戦うんだって カキンカキン…。

正直いうと僕は…

彼女のことを思い出さないようにしていた

でも あの時彼女にいわれた「ウソつき」って言葉は…

間違って冷たい水に入れられた角砂糖みたいに

かき回してもかき回しても溶けなかったんだ

どうしても心に残り沈む…

ここかよ…。

フ~…。

あの…すいません…。

はい どちらにご用ですか?

月丘さん…。

今 お呼びしますので。あ いやいや 大丈夫 あの

これちょっと あの 渡していただければいいんで…はい。

はい。

やっぱりそれがいいわね。

色めもいいしね?雅彦。

ん?ああ いいんじゃないか?

もう お父さん ちゃんと見てる?

それじゃそれ仕立てて。

お茶会の『口切りの茶事』に間に合わせてよ。

かしこまりました。

そうそう あなた また妙なものに出てたのね。

「雑誌で見た」って お友達がそういってたわ。

いやあれは ちょっと断れなくて…。

菜緒をマスコミに出すのはいかがなものかと思いますけど。

誘拐だって怖いわ。私は大丈夫よ おばあちゃま。

お母さんはいくらいっても 出てくださらないし。

当たり前ですよ。

うちのジユエリーは物がいいから 買っていただけるんです。

身内で雑誌に出たり 宣伝なんかすることないですよ。

はいはい 分かりました もうかなわないな お母さんには。

あっ おばあちゃま 私 お庭のバラ少し頂いてもいい?

ああ どうぞ プリンセス?ドウ?モナコがきれいよ。

分かった。

菜緒 元気そうね。ええ おかげさまで。

再発とか もう考えなくていいのね?

お母さん 大丈夫ですよ。

何だか受付の人に渡されたのよ

「菜緒に」って男のコが持って来たっていうんだけど。

1万円…。

何だか「クリーニング代です」って置いてったらしいわ。

「神崎弘人」って人ですって知ってる?

まあ…。

ストーカーとかじゃないんだろうな?

違うよ。怖いこといわないで

また お父さん会社行っていらっしゃらないんだから。

クリーニング代って何だよ?何でしょう?

今 お兄ちやんの頭の中は いろんな妄想でいっぱいよね。

お前な 兄貴からかうような…。でも 私はお兄ちゃんじゃないから

お兄ちゃんが考えるようなことはやってません。

え?達也は何考えたの?

え?いや 何ってことはないけど…。

だから…お母さんは心配じゃないの?

あら~ボーイフレンドの1人もいないほうがお母さんは心配よ。

この子だって いい年なんだし…。

そんな心配も微妙だな。

いらっしゃい。いらっしゃいませあ…。

これ返してほしいの。

これ あいつが持ってったの?

うん…でも会ってはないの。

受付にね 置いてった。

これだけ?え?

手紙もなく?

やっぱりなんか…よく分からないわ あの人。

分かった 俺から渡しとくよ

ねえ それよりさ 今日天神祭りじゃない。

俺 甲と待ち合わせしてて もうバイト終わるんだ。

一緒に行かない?え?

裕子ちゃんも一緒に行かない?

行く

いやでも…。やった

え~外人墓地で?ウソだよ~。

いや ホントだって信じてよ。ウソウソ 絶対あり得ない。

いや 絶対ホント だって俺 見たもん。

あやしい だって 俺見え…。

何てね 大丈夫?え?あ…うん。

ちゃんとついて来てる?

うん…。

あっ 悪い 俺ちょっとたばこ買って来るわ。

はい。

ねえ はい?

ヤダよ 仲間入れてよ は?

あなたはそりゃいいよ。

亜裕太君のこといいなと思ってて楽しいだろうけど

そうすると私は必然的に後から来る甲君と…。

甲君と…。大丈夫 泣かないで。

何が「大丈夫」よ 泣かないで 痛っ

甲君

こんばんは。こんばんは よろしく

こんばんは…。

いや~でもね ビックリした こう亜裕太から電話来て

「2人が来る」って聞いた時には。まあね

で あいつまだ来てないでしょ。

ああ まだ6時ちょい前だし そのうち来るだろ。

あいつケータイ持ってないからな~ 面倒くせえんだよね。

どこ行ったって呼ばれるだう そういうのイヤなんだってよ。

あの…。

「あいつ」って…。ああ 弘人。

毎年一緒に来てんだよね俺ら。ごめんなさい。

私やっぱり…。ちょ…ちょっと

今日亜裕太君のバイト先に ついて来てあげたのは…誰?

前期試験の芸術学のノート コピーさせてあげたのは…誰?

この前 フランス語の代返してあげて

それがバレて みっちり絞られたのは…誰?

裕子さんです…。

だったらここは 大人になろうよ。

ねえ?

もうちょっと待って

ね みんな楽しんでるわけだし。

それに

菜緒 ホントは会いたいでしょ? 弘人君に。

怖いな…ちょっと。

大丈夫だよ 私がついてるよ。

もしかしてグル…?どこが「グル」よ

今日ずっと一緒にいるじゃん ねえ?

もう弘人来たけど。

ああ…これ返すんだったら 自分で返して。

弘人~ よっ

1球目 1球目 はい

ちょっ 甲 うるさい

あ もう全然ダメじゃん 亜裕太さ~ん

惜し~い。全然ダメじゃん 2球目行く?

2球目行く?2球目 2球…

いや~ 全然当たんない あ こうスコーン…。

次で 1次で当てるから 頑張って

3球目 3球目 3球目

やった当たった すご~い

キヤ

どう?裕子ちゃんもやる?うん やる

おっちゃん もう1回。

ありがとう。

お前…顔赤いよ。

今 裕子ちゃんここ…キヤってキヤ ねえねえ見てて 行くよ

あ~当たんなかった。

やらないの?

やんねえよ ガキじゃあるまいし。

カッコつけて。

コントロール 悪いだけだったりして。

お前ね…こう見えても 俺 もともと野球の選手…。

「お前」とか…やめてよ。

そんな仲良くないじゃない。

これ返す。

だって こんなにかかってないもん。

なんか…ケン力売ってるのかと思ったよ。

お金たくさん入ってて メッセージとか何にもなくて。

それは違うから。

それは違うから。

いやなんか 分かんなかったんだよ

高級なクリーニング屋なのかなあとか思ってさ。

そう…。

ウソついてて悪かったね。

ごめん…。

なさい…。

ねえねえ 菜緒

菜緒の好きなのあるよ

100円ね はいはい。私も~

はい 300円。

あっ 中ピカピ力光るんだ かわいい。

あれ 甲やんないの? 俺は温かく見守って…。

どれがいいの?え?

色。あ…オレンジ

おじさん1回。お はいよ 300円。

弘人もやるんだ。はい どうぞ。

珍しいじゃん。

1人2回までね はいどうぞ。

どれやんの どれやんの

いやいや…それ無理だろ 無理だべよ。

重量に耐え切れないと思う。

ほ~ら いったじゃん。

ダメじゃ~ん。

はい もう1回。

はい。

2回目 2回目 2回目

わっ

アハハ ちょ…お前 何すんだよ

ごめん ごめん。

何だこれは…心が凍った

「お前」っていった…

獅子舞7時からだって。ああ ちょうどいいじゃん。

まあ 少し早いけど…。そうだな。

獅子舞?獅子舞。

なんかあの…そのワンピースかわいいっす。そう?ありがと。

そいであの… 裕子ちやんもかわいいっすね。

顔とか髪とか目とか。

え なんでそんなかわいいんすか?え…?

いや…でもあんまりそんなこといわれないし。

いやいや 全員が思ってます 世界中がみんな満場一致で 思ってますよ。

なあ 甲。はい?

直球過ぎるよ お前 裕子ちゃん ちょっと引いちやってんじゃん。

そうなの?痛い

ごめんなさい…。

ねえ オシッコしたく なっちやったらどうしょう?

そういうこというな。

菜緒ちゃんどうかした?

さっきから元気ないけど 人混みに酔った?

大丈夫?具合悪い?

私…。

私やっぱり あのオレンジの欲しい。

えっと オレンジのつて…まさかあの…。さっきの

あのオレンジの イガイガの欲しい。

あ ごめんね みんなごめん。

あの この人 思い込むと ちょっと こういうことあって…。

ねえ 菜緒あんた ビール1杯で酔ったんじゃないの?

いいよ。

じゃ俺 もう1回行って来るからさ ここら辺で ちょっと待ってて

ああ…。ん。

ああ~…。

う~ん…あ~。

絶対怒ると思ったよな? ああ…。

いつもの弘人なら 確実に怒ってたよね。

「付き合ってらんね~」とか。ああ。

やっぱ好きなのかな?菜緒ちゃんのこと。

ああ…ツボかもな。

はい 寄ってかないかい?すいません。

はい 寄ってかないかい?

あれ?あんた さっきのお兄ちやん。

はいよ

はい。

あれ みんなは?見に行った。

はい これ。

ありがとう。どういたしまして。

ありがとう。

フッ…つうか ガキかよ そんなもん欲しがってさ。

違うよ

あなたが取ってくれたのだから…欲しいんだよ。

いや俺も…

俺も…あんただから 取って来たんだけど。

あ…行こうか見に。

違うだろ。

フフ…はい

ねえ 何回目で釣れた?これ。

ん?秘密。

ケチ…。

あ そうだ この前家行ったじゃん。

ああ…。

あんたん家さ家から見えるよ。え?ウソ?ホント?

おお…。

あ…ねえ いいこと考えた。

59分10秒をお知らせします。

フツ…。

やっぱダメなのかな~。

もしもし?見えた?

見えたよ。わあ~やった~

ねえ そっちからも 何か照らしてみてよ。

そっちから見えるってことは こっちにも見えるってことだよね?

は…面倒くせえよ。

面倒くさくない。

あんた何やってんのよ 廉 寝る時間よ。

うるせえな…。

悪い 切るわ。

もう?うん じゃ。

ああ…。

フッ…振り過ぎだろ

「『スタージユエリー』月丘菜緒」

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連絡がない?

うん…。

うん…うん。

連絡してみれば?

自信ないよ。

女いるかもね…。

なんでそういうこというのよ 太るよ そんな食べると。

だって そう思うから。

確かに…。

ねえ それより 今日お兄さんいないの?

大学院行ってるお兄さん。 なんで?

フフ…。

カッコいいじゃん。 カッコいいか?あれが?

もうお兄ちゃんノックしたら 1拍置いてから…。

うるせえな。

これ…いらっしゃい こんにちは

裕子ついてる ここ ハハハ…

裕子ちゃん 相変わらずかわいいね~。

今度デートしようか? しません

出てって もう あっ…。

このブス

誰がブスよ バ~力

お兄ちゃん ん?

どうしたの? 別に何もねえぞ。

ほら廉早く 風邪ひくから行くぞ

応答なしか…。

はいもしもし。

あ…えっと…。

もしもし神崎ですが。

弘人さん いらっしゃいますか?

兄は今 出ておりますが。

あ…あ そうですか。

どちら様ですか? 伝えますが。

あ…だったら別にいいんです またかけます。

そんな用事じゃないんで。 あっ

え? もしかして

この前のお姉さん?

えっと…どうかな?

お兄さん「お姉さん」 いっばいいるかもしれないし…。

自分からないけど…。

裕子ちゃん。

いた…ちょっと待った え?ちょっと待った待った…。

え?え?

着信残ってないよな 今の。

月丘菜緒さんって人。

へえ~。

電話しないの?

うん。

この前のお姉さんでしょ? どうして電話しないの?

いいか?廉。

シンデレラは 王子様と結婚すんだよ。

間違っても 家来や農民とは結婚しない。

まあ お前はまだ小さいから 分かんないかもしれないけどさ。

そういうことなんだよ な?

お兄ちゃんホントは あのお姉さんが好きなんだね。

お前…。

連絡がない?

うん。

連絡してみれば?

したのよ…したんだけど

ないんだって。

はあ。

私 あの2人は てっきりいい感じなのかと…。

ああ…。

はいもしもし。

あ俺…甲です。

草野甲。

ああ どうした?

あ いや しかし… なんでいきなり「しかし」?

「しかし」ってことはねえな あの…

あ 洗車中でこう暇だったんで… みたいな。

あ そう。

ごめんね 今亜裕太君と大事な話なんでじゃ。

洗車中 待ってる間 暇だったんだって。

違うと思うな。

それ 5回は迷って迷って電話するのやめて

やっと決心した6回目だと思うな。

6回目?

なんで電話しないの?

してどうすんの?

どうするって…。

これ。 何?それ。

「社長のお宅拝見」?

「今や全国に36店舗持つ元町『スタージユエリー』」…。

え?菜緒ちゃんって 『スタージユエリー』の娘なの?

知ってんの? 有名だよ。

へえ~『横女』だし お嬢様だとは思ってたけど

半端じゃない 金持ちの娘だったんだな。

しかも元町に 10億円の家があんだって。

すげえな 博物館みたいな家だな。

へえ~。

俺達とは住む世界が違うよ。

うわ~ビックリした~。

あ~い。

何よ こんなとこで。 まだ帰ってきてないもんで。

は? ヒロ君。

どこ行ったの? 『佐伯船舶』

なんで? やだなあ 聞いてないんすか?

また うち お得意さん取られそうなんすよ。

やだわ 『佐伯船舶』って もうずっと

お父ちゃんいる頃から うちじゃないよ なんで急に?

代替わりしたんすよ。

若い息子が 会社任されてるらしくて

面白くて 仕方ないんじゃないですか?

何かしてみたいんですよ 自分の権限で。

うちみたいな小さいとこ いじめて

チヨウチヨウの羽もぐみたいで 楽しいんじゃないっすか?

あんなちっぼけな仕事 拝んでもらうような仕事かよ。

その仕事で食ってんでしょうが

旦那いなくなってから ダメっすね ここは

何だと 使用人のくせして

うるちゃい うるちゃい。

何やってるの?

お姉ちゃんもやる?

え…?

やってみる?

いいの?

うん きれいだよ。

へえ~ これで見ると色変わるんだね。

うん 水の中の 花火みたいでしょ?

ホントだ…。

車いすじゃなくていいの?

乗ったり乗らなかったり… 今日は少し調子がいいの。

あれ?僕の病気知ってるの?

亜裕太君に聞いた少し。 そう。

今日ね亜裕太君と

えっと…甲君とお姉ちゃんと もう1人のお姉さんで

あなたのお兄さんと一緒に飲もうって。

みんなもう来てる?

誰も来てないけど。

お兄ちゃんも 外の仕事から帰ってきてないし。

お姉ちゃん 電話。

メールだから。

「ごめ ~んナオ 今日そこには誰も行きません」。

ヒロトくんにはアユタくんとコウくんが飲みに来ることになってます」。

健闘を祈る

何て?

ん?あお姉ちゃん 日にち間違えちゃったみたい。

ごめんね帰るね。 待って

この前の電話 やっばりお姉ちゃんでしょ?

もうちょっといて お兄ちゃん帰ってくるから お願い

でも…。

廉 どこに行ったのかと…。

あら お客さん?

こんにちは。 ああ…。

ごめんお母ちゃん もう時間ないから

悪いけど これで晩ご飯食べといてね。

弘人も何やってんだろうねえ

悪いね じゃあね。

おう。 いってらっしやい。

おう。

それでご飯って…。

ん?近くにコンビニがあるからね そこでおにぎりとか買ってくる

だからさあ おたくもしつこいね。

いや でも そんな急にいわれたって…

これはね決まったことなの仕方ないの。

いや でも…。

社長そろそろ…。 おう。

あっそうだ あんたも来る? え?

いや うちの若い連中と飲もうってね。

なんちちゃって…俺もまだ若いんだけどね。

はい。

いただきます

どう?

うん おいしいよ。

そう よかった。

お姉ちゃん 料理とか 実はあんましなくて。

でもよかったのかな?勝手に…。

いいよ ウチは放任主義なんだ みんな自由っていうか。

難しい言葉知ってんだね 「放任主義」なんて。

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