これでも ちゃんと勉強できんだよ。
何年生? 4年生…養護学校だけどね。
ふ~ん…。
知ってる?養護学校。
うん 体が弱かったり どこか不自由だったり
そういう人が行く学校でしょ?
でも ちゃんとした学校だよ 普通の学校と変わらない。
知ってるよ よ~く。
なんで? お姉ちゃんも行ってたから。
お姉ちゃんも ちょっと病気だったの
そうなの? うん。
惜しい あとちょっと
あの 俺 やっぱり…失礼します。
おいおい…ちょっと待てよ
ホントにうちの仕事がなくなったら困るわけ?
ええ。
あんたさ 無駄にカッコいいじゃん。
こんなんっけちゃってさ 何?これ。
何だテメェ。
な~んかムカつくんだよね。
心の底で笑ってんな?「このブサイク野郎が」って。
まさか…。
だったら そうだねえ…。
土下座してもらおうかここで。
してよ…誠意見してよ。
そうしたら 考え直してもらえるんすか?
ああ戻すよ あんたんとこにエンジン整備のメンテナンス。
だってぶっちゃけあんな仕事 どこに卸しても一緒だもん。
俺 知ってるよ。
あんたの親父…
あの工場首が回んなくなった時…。
自殺して保険金で借金返したんだって?
すごくねえ?それ。
まあ 俺達にはできねえな。
お願いします
エンジン整備の仕事
今まで通り うちにやらせてください。
小さな工場だけど そんなふうにして
そこまでして 親父が守った工場なんです
だから俺が つぶすわけにいかねえんだ。
あんたも 会社引き継ぐんだったら
それぐらい 分かるんじゃないっすか?
廉 お前また溶接で遊んだろ。
あれ おもちゃじゃねえんだかんな。
あ…私…。
なんで?
あ…裕子に誘われて
みんなで飲むから 弘人君ん家に6時集合って…。
俺 たぶん聞いてねえ…。
ああ…亜裕太がいつてたかもな 「甲が来る」とか何とか…。
忘れちった。
担がれたみたい。
俺さ 今仕事でちょっと それどころじゃねえんだ 悪い
いいのあのこっちこそごめんね 勝手に上がり込んで。
じゃあ。 お姉ちゃん
はあ 疲れた…。
お兄ちゃん 今のひどいよ
お姉ちゃん 廉のこ飯とか作ってくれたんだよ
ご飯?
ねえ
廉の飯 ありがとう。
ううん。
なんか悪かったね。
仕事 大変そうだね。
まあ…。
じゃあ おやすみなさい。
ねえ
電話する。
うん…待ってる。
じゃあ。
ウソつき…。
ホントですか ?ホントに ?
いや~ありがとうございます
ヒロ君
あんた やったわよ はい?
今『佐伯船舶』から電話あって 契約更新だって
ホントですか ?
来月からもエンジン整備のメンテナンス卸してくれるって
おまけにねピストン抜きもうちに頼むって ハハハ…
すごいじゃない ヒロ君。
やった~ よかったな。
もしもし。
あ 俺…弘人。
ああ…。
今 大丈夫?
うん まあ 大丈夫だけど…。
この間 悪かったなあと思ってさ。
「この間」?…って何だっけ?
「何だっけ」ってほら せっかく家来てくれてたのにさ。
ああ…あれはなんか みんな飲むから行っただけで…。
え?なんか今 そっち取り込み中か何か?
えっ なんで?
いや なんかそんな感じが…。
そんなことないよ。 うん
何かいいことあった?
えっ なんで?
今日 明るい感じ弘人君。
ねえ「弘人」でいいよ。
なんか「君」とかっけられると 気持悪い…くね?
いや今日さ…今日仕事がうまくいってさ。
うんなんか1つ切られそうだった 仕事先があったんだけど
さっき電話あって 切られずに済むって。
しかもね なんか
もう1つ 仕事もらえることになってさ。
よかったね。
いや ホントよかったよ もう…ひと安心。
…ってこんな話 つまんないよねごめん。
ううん。
ねえ やっば 今日元気ないでしょ?
ううん全然。
じゃあ いいけど…。
ねえ 弘人君。
いや だから…。じゃあ 弘人…。
はい。
会いたい。
会いたいんだけど…。
え…それって どういう意味だろ?
付き合うとか付き合わないとかそんな感じ?
ごめんなんか… 俺 誤解させるようなことあったら
なんか悪かったね。 誤解…したよ。
そっちもこっちのこと 好きなのかと思ったよ。
相変わらずストレートだね
でももういい 分かったから さよなら。
えっちょ ちょっと待って ちょっと待ってねえねえ…。
「さよなら」って…。
なんかさこの間みたいにさ みんなでワイワイなんか友達みたいに
会ったりもできないのかな? 無理。
私もう 好きになっちゃったんだよね。
電話ず~っと待ってるうちにいつかかって来るんだろうって
ドキドキしながら不安になりながら待ってるうちに
どんどんどんどん 好きになっちゃったんだよね
弘人君のこと…。
泣いてんの?
泣いてません だから…。
はい…。
じゃ そういうことなんで。
「そういうことで」って何だよ…。
ちょっと勝手過ぎんだろ。
つうか俺も何だよ…。
「友達として会えないか」って…。
マジカッコ悪い。
えっもう? うん。
もうふられたの?早っ。
ひどくない?私をふるなんてひどくない?
うんひ どいひどい ひどいと思うよ。
復讐しょ…よし あいつより いい男を見つけるんだ
ヤダ それはヤダ。
弘人じゃなきゃヤダ いつの間に…なんでそこまで…。
だって最初っから 好きだったんだよ。
一緒に…プール落ちてくれた時から
ああ…あれは好きになるよな~。
えっ 裕子も好きだったの ?ライバル ?
違う ひどい~
泣くな ここで泣くな ちょっと…。
すいません…。
そう分かりました お願いします。
裕子ちゃん…菜緒泊まるって。
ふ~ん。
ほらちゃんと家に電話したから。
菜緒ベッドで寝なよよいしょ。
早く。
好きだったのにな…。
えっ 俺が そう。
え~いや…え~
うまく騙せっかな?俺もろ顔とか出ちゃうけど。
その代わり…。 「その代わり」?
その代わり うまくいったら デートしてもいいよ
私…甲君と。
マジで? マジで…。
いいの?
裕子ちゃん そんなふうに人身売買みたいに自分のデート売って。
いいの それくらいのことはするの。
ていうか デートするだけですよね。
そんな言い方… しかしうまくいくかな?それ。
いくよ 気合だよ 超気合
あ そういえばさ 今日なんで亜裕太来ないの?
あ…なんかちょっとね…。
ああ バイトか何か
なんかお前とかかか…
顔合わせつらいんだって。
なんで?
あら 来た?来てない。
違うか。
なんか亜裕太 菜緒ちゃんにちょっかい出してるみたいだよ。
え?
なんでもこの前1回デートして また会う約束したんだって。
へえ~。
あいつ手え早いからね。知ってる。
今度の金曜日…?うん金曜日。
金曜日の夜に『インターコンチ』で ご飯食うんだって。
『インターコンチ』…。
バイト終わってからだから 8時ぐらいに待ち合わせでしょ。
だから「この時間から飯だとホテルだし」
「お泊まりに持ち込みやすいな」って…。
ホテル…。
おい 逃げんだろ魚 こっちも 貸せ
は? ケータイ。
竿かと思ったケータイね。
はいよ 壊すなよ。
これ どうやって使うの? ウソ~ ?
違えよ ほら機種とかいろいろ あんじゃんかよ
お前早く亜裕太に電話しろ。亜裕太ね亜裕太ね…亜裕太
おっビックリ
ちょうど亜裕太から電話。
もしもし…うん。
「弘人に代わって」って
もしもし。
あっ 弘人?
俺 あのコと…菜緒ちゃんと付き合うから。
ちゃんといっとこうと思って。
あ 悪いちょっと電波が
は?
これ切れたぞ ウソ?
なんで切れんだよこういう時に ちょっとちょっと
メモリー消える メモリー消える メモリー…ああ…。
何だよお前。おおメモリーが消えるわ
怖いコやわ~。
はあ…「メモリー」って何だよ。
何やってんのヒロ君
今日は朝も旋盤ミスるし 危ないよ
こういう仕事 基本は危険なんだから。
いねえよ…。
いるし…。
え? よう。
なんで? ちょっと。
いいか?あいつはやめとけ 亜裕太はやめとけ な
別にあいつは悪いヤツじゃないんだけどさ こう何っうか軽やかなんだよ。
だって あんたそういうふうに付き合える タイプじゃないでしょ?ねえ。
それにな あいつはただ 俺と張り合いたいだけなんだよな。
小学校の時さ空き地で 俺達犬拾ったんだよ。
それ 家で飼うことになったんだけどさ 突然犬いなくなったんだよ。
どうしてだと思う? さあ
亜裕太…あいつ最初まったく 見向きもしなかったくせに
だんだんかわいくなって あいつ盗んだんだよ。
昔から こう亜裕太は俺のものが 何でも欲しいんだよ俺のものがさ。
そういうとこあんだよ あいつは。
あの…私 犬じゃないけど…。
いや 別にそういう意味じゃ ないんだけどさ。
ていうか ごめん。
さっきから何いってるか 話見えないんだけど…。
何って…だって…。
今日あんたが ここで亜裕太とさ…。
亜裕太君?
何だろ?私 裕子と
「中華食べよう」っていって 待ち合わせてたんだけど。
裕子…?
うん…。
チツ…。
どうした?弘人君。
騙された…。
騙された?
あっ
本宮裕子さんですね はい8時に予約が入っております。
これをお預かりしておりますが。
裕子1度ここ来たみたい。
予約が入っててメッセージと お食事券が置いてあった。
食事券?
もともと裕子が親戚にもらったとかで
その食事券でおごってもらうはずだったの。
貧乏くさいね 金持ちのくせに。
金持ちなのは親 私は無収入だから。
ああ。
で メッセージは?
何て?
「健闘を祈る」…。
は?
では どうぞ ごゆっくり。
いいか?
俺とお前は…。
同期の桜?
は?違うから。
つうか あんた いくつだよ。
俺達さ 1回とかじゃなくて 2回もはめられてんだからね。
今日と…あ この前 家行った時。
あとお祭りも。
ほら あれ入れてもう3回目だよ。
こういうの 何ていうか知ってる?
何ていうの?
「バカ」っていうの。
やっぱり。
もういいじゃない。
今日はガッツリ食べよ せっかくだし。
お腹すいてない?
紹興酒っておいしい。
つうか飲み過ぎじゃない?
大丈夫? うん大丈夫。
それに
せっかくだもん 楽しくしたいじゃない。
「せっかく」って?
だってこれで最後… 最初で最後
弘人君と ご飯食べたりするの。
この前ふられたし
こういうの 何ていうか知ってる?
さあ?
最後の晩餐。
それはちょっと違うと思うけど。
ねえ 弘人君ってさ
よく見ると変な顔だね。
みんなカッコいいとか女の人に モテるとかっていうけど
よく見ると変な顔だよね?
変な顔変な顔変な顔 ハハハ…。
自分だって変な顔じゃんか。
ひどい…。
ひどくない?なんで そんなひどいこというの?
え…ちょちょちょっと待ってよ。
だって今自分がさ 5回ぐらい俺に「変な顔」って。
俺1回しか言い返してない…。 許せない
今の本気で腹立ったからね。
ここのお酒のお金は 弘人君出してね。
それは全然いいけど…。
ねえ いつもつけてる そのペンダントかわいいね。
これ?
親父のなんだ。
へえ…。
じゃあここでいいから もう駅近いし。
うん。
今日はごちそうさまでした。
そっちでしょ?裕子ちゃんに 「ごちそうさま」っつっといて。
いっとく。
じゃあ。
待って
待てよ
何だか知んねえけど…。
そんなとっとと行くなって
何?
俺さ
あんたと亜裕太が付き合うって思ったら
たまらなかったんだ。
この間も
「さよなら」っていわれたのも 相当こたえたんだ。
今日とかも会ってるとさ
また会いたいんだ。
だから何かさ…。
シャレたこといえねえよ…。
バカ
俺 金ねえけど…。
うん 分かってる。
高卒だし。
分かってる。
「分かってる」とかいうなよ。
ごめん。
関係ない。
弘人君が…
弘人が弘人だったら それでいい。
今の何?
キス。
何か不満?
するんだったら ちゃんとキスして。
フツ…。
笑わないでよ。 命令多いよ。
ごめん。
だけどそれは
僕達の悲劇の始まりだったんだ…
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何それ?クジラ。
上手…。
僕 クジラが見たいんだ。
ねえ どうして水族館には クジラがいないの?
大きいからじゃ…?
あ ねえ でも知ってる?
クジラって クジラ同士の特殊な鳴き声で
すごい遠くまで届くんだって。
へえ~。
あっ 俺 それ知ってる あれだろ何だっけ?
200キロぐらい離れててもクジラ同士だったら交信できる。
え じゃあ 200キロ離れてても おしやべりできるんだね?
そうクジラにしか分からない鳴き声で。
秘密の話できるよ。
ねえ クジラって どこに行ったら見られるの?
えっとね どこだっけな。
日本だったら小笠原。
でハワイ…ハワイ ハワイのマウイとかいったっけな。
すごいお兄ちゃん どうしてそんなこと知ってんの?
こないだ 『不思議大発見』でやってた…。
ただいま~。
おかえり。
お邪魔してます。 あらまた~?
いや いいけどさ こんな狭いとこねえ。
あっ 洗濯物。
ねえ で どうする?ほら日曜日。
あ~うん やっぱり 映画がいいかなあって。
ね? うん。
ねえ でもいつかさ クジラの鳴き声聞きに行かない?
誰と?
あ…3人で。
あ えっと 4人でも5人でも…裕子とか亜裕太君とかも誘って。
お前そんなことばっかいってると ふられるよ。
よし
じゃあ 俺 下行ってっかんね。
お姉ちゃん。
ああいう時は 「2人で」っていわないと。
いえないです。
弘人。
ユキ…。
久しぶり。
元気そうだね。
どうしたの?
ちょっと話あって。
弘人
弘人 これ忘れ物。
あ お客さん?
帰るね。
ああ。また。
誰? あ?昔の同級生。
今 即答だったよね。
そう?あっ サンキユーありがとう。
ポルシェがですね 4万8300円。
で プジョーが2万3100円。
で ビートルが 1万4700円となってます
いかがなさいますか?
ビートルで。ビートル 承知しました。
んわ~ え?
プジヨーで。
プジョーね承知しました。
あ~… すいません。何よ。
ボルシェ…。ポルシェ ?
おい ちょっとお前金払えんのかよ
国産で…。
バカ。
御殿場から富士五湖…ん?
なあ甲。
だったら 富士宮で焼きそば食ったほうが良くねえか。
はい ありがとうございました。あ~い
「あ~い」って…何ですか?
ペンを…ペン貸して…ごめんなさい。
なんかこめんなデートコースのチェックまでさせちゃって。
いや チヤンスじゃないか 一回きりの
たった一回の千載一遇の最初で最後の…。
もういいです 嫌みは結構毛だらけ。
あ ちょっと待ったペンペン…。すいません。
お気をつけて。はい。
そろそろ これ着信拒否するぞ。
え?何?
ユキっていたろ?高校ん時の同級生。
あ~弘人と付き合ってた?
男 とっかえひっかえで 弘人もひでえ目遭ったよな…。
でも ちょっといい女だったよね。
何?今のあいつ?
そのユキがさあっちやこっちゃで同級生に金借りてんだ。
はあ~…男かね。
同級生に山下っていたろ。
あ~あのハンパじゃねえ 悪いヤツだろ?
あいつきっと今頃 ヤクザかチンピラだな。
一歩間違ったら俺も…。
あいつと付き合ってるらしい。
えっマジで ?
お前んとこにも 金借りに来るかもな。
弘人んとこにも来たらしいし 気をつけろ。
まあ 貸す金もねえし。うん 知ってる。
よし…。
何?
兄。
だから何?
どこまで行くの? 秘密。
アッコちゃんだ。
何それ?
ひみつのアッコちゃん
どこまで行くの?
横浜駅まででいいよ。いいよ。
ラツキ
あ お兄ちゃんに質問あったんだ。
何?
前にさ 教えてくれたじゃない?
クジラってクジラ同士だけで聞こえる声で話すって
それで遠くにいても話せるって。ああ…。
あれ なんでだっけ?
それについては諸説あるだろうと思う。
自然界のことって断定調でいえることって
実はとても少ないんだよ。
でも まあ よくいわれてるのは
クジラの声はとても低い いわゆる低周波。
これはね遠くまで届くわけだ。
あっ縄跳びの縄を考えてみて 大きく緩やかな波を作った場合
遠くまで届きやすいでも 細かく小刻みに波を作った場合
どうしても向こうには届…。あ~お兄ちゃんありがとう
もういいよよく分かった。
お前ひとをオタクだと 思ってるだろ生物オタク。
そんなこと思ってないよ 決して。
俺も1つ質問あるんだけど いいかな?
どうぞ。
お前2週間くらい前みなとみらいの交差点で
男と抱き合ってキスしてたってホント?
あ~危ねえ
誰がそんなこといったの?秘密…。
ひみつのアッコ… 痛っ
いらっしゃいませ
はい。
はい。
落ちねえな…
ああそう…。そう。
相当 動揺してたから その話ホントかもしれないよ。
そう 分かったわ お父さんに伝えとく。
そうか…。
でもね 達也が そんなに騒ぐことないんじゃないかって。
私も そう思うのよ。
そうか…。
お父さん…。
ホントマジこめん ホントこめん
この埋め合わせはさ 必ず何かしらの形で絶対するから。
「埋め合わせ」ってなんか…。
オヤジの接待みたい…。
オヤジの接待みたいだよな ホントこめん。
いや あの…急な仕事だったからさ。
なんかどうにもできなくて…。
帰ってきたら電話すっから ホントこめん。
うん分かったよ。
じゃ 廉菜緒頼むな。うん。
じゃ 行ってくるから。いってらっしやい。
はい いってきます。
こめんな 帰ってきたら 電話すっからじゃあね。
いってらっしやい。
さて お姫様 今日はどうしましょうか?
フフフ どうしましょうか?
やめてよ
ふざけんなよ なんで金できてねえんだよ。
待って ちょっとちゃんと…。うるさいよ
金つくってこい
『愛を止めないで』
愛を止めないで そこから…
こめん 違うの聞いていい?逃げないで…。
うん…何持ってきたの?
「レッチリ」とか 「マリリン?マンソン」とか。
あ~「レツチリ」…。
「レッド?ホット?チリ?ペッパーズ」
あれだね いい曲だね。
まだイントロじゃない。
イントロだけど このなんか あの…。
よいしょ…2時からの回だから 余裕で間に合うな。
よいしょ。
行こう
ねえ お姉ちゃん。ん?
僕ホントは 行ってみたい所があるんだ。
え…?
ちょっと何?
わざと嫌われようとしてる?
なんで?
裕子ちゃんさ ホントに俺のこと嫌いでも
自然にああいうことしない人っしょ。
人と一緒にいんのに その人シカトして
こう…必死にメール打ったりとか
しない人っしょ。
そんぐらいは分かってるよ。
今まで見てて分かる。
人がかわいいだけで 好きになったと思うなよ
もうさ俺のこと嫌いなら もうはっきり「嫌い」っていって。
嫌い
…ともいいきれない。
は?
あの…
あの花 いつ渡すつもり? あ…。
だんだん 枯れてきてるんだけど。
いや…何ちゅうか やっばダメだね俺。
なんか「花」ってキヤラじゃねえなっと思っちゃった。
そういうとこ…。
はい?
そういうとこ 嫌いになりきれないのよ。
ねえ 花ちょうだいもらうよ。
いいよ もう枯れてきちやってるし。
よし この話はおしまい。
ね 今日はドライブ楽しもう。
じゃあ富士五湖回って帰るよ。
うん。
な…え?何?
「何」って… 触ってもいいかなって…。
そういうのはやめ…やめよう。
運転が危なくなる…。
ごめんなさい。
別に謝ることは ねえんだけども…。
行こう 行こうか。
うん。 行こう
お姉ちゃん 僕ね。うん。
中学になったら 野球やりたいんだ。
へえ~。
ねえ 知ってる?
お兄ちゃん 野球の選手だったんだよ
ああ。
すごかったんだから。へえ~。
でも僕が野球やりたいのは 内緒だよ。
どうして?
心配するし どうせ無理だし。
そんなことないと思うな。
ねえ。ん?
うちに いっぱいボルトあるでしょ?
うん。
そん中にねいくつか形の変なのが あって使えないんだ。
そういうの「不良品」って いうんだよね。
うん…。
僕は神様の作った不良品なんだ。
そんなことないよ 廉くんは不良品なんかじゃないよ。
廉くんは…
う~ん 空の星が何かの間違いで一つだけ落っこちてきた感じ。
それも一番キレイなやっが。
空の星?
そう だって すっごいキレイな目してるし
かわいいし いい子だもん。
私がもし 本当のお姉さんだったら
宝石みたいに大事に大事にしまっときたくなっちゃう。
毎晩 抱いて寝るよ。
ホント?ホント。
僕 今までずっと厄介者だと思ってた。
お母ちゃん 僕のせいでお金ないっていうし
お兄ちゃんだって大学行かないですぐ働いたし。
違うよ 廉くんは みんなの生きがいだよ。
お母さんにとっても お兄ちゃんにとっても。
そうかな?
そうだよ
だから 廉くんは みんなの宝物なんだよ。
パチンコすったか。
開いてるよ
弘人…。
そういうんじゃねえから。
すごい部屋だな。
でも 来てくれたんだね。
だって お前それはさ
突然電話かかってきて「助けて」っていわれたら
誰だって気になんだろ。
だって…弘人しか 頼る人いないんだよ。
お前 山下と付き合ってんだって?
何?貢いだりしてんの?
そうじゃないよ あいつさ 山下バンドやってたろ。
プロのベーシストになるって今売り込んでんだ。
ふ~ん。
お前そういえば美容師になるんじゃなかったっけ?
なんかいつてたじゃん。
「高校出て専門学校行って 私美容師になるんだ」って。
そんなの夢だよ…。
あっ 今 お茶。 いい。
俺もう行くし
はい。
とりあえずそれでさ ここ出て
どうしょうもない仕事とか手っけんじゃねえぞ お前。
あと水商売も…たいがいにしとけな。
弘人 まだ私のこと 好きでいてくれんだね?
だったら…だったら 私とヨリ戻そうよ
お前 何いってんの今さら。
いいかげんちゃんとしろよ。
亜裕太に聞いたよとんでもねえ お嬢さんと付き合ってるって。
こないだのコ?そんなの遊ばれてるだけだよ。
ウチらみたいな底辺のヤツ 本気で相手にするわけねえじゃん。
意地悪でいってんじゃないよ。
私はそういうの 嫌ってほど見てきたんだから。
これは忠告だよ。
聞いとくよ。
ナイスボール ありがとう。
ねえ 君さあ ずっと 見てるでしょ?さっきから。
ちょっとやってみる?え?
いいよ 打たせてあげるよ。
あ ごめんね ありがとう でもちょっと この子…ね?
僕やってみたい。
え…?
僕やってみたい。
あ…でも…。
大丈夫だよ お医者さんにもいわれてるんだ。
調子のいい時は 走ったりしてもいいんだよって。
う~んでも…。 それに
このままだと僕
野球なんてずっとやれないんじゃないかって思うんだ。
分かった。
ストライク ツーストライクワンボール
廉くん 頑張って
センター
ほら1塁走って
廉くん
廉くん ?
廉くん大丈夫?
はい
廉くん しっかり 廉くん…。
母ちゃん あ~弘人。
廉は?今中救急処置してもらってる。
大丈夫なの?ああ…結構重度の発作だから
でも何とか…。
なんで こんなことになったの?
廉くんが野球やりたいって…。
中学に入ったら 野球やりたいって
草野球でいいっていうから見に行って…。
私 廉くんに 球打たせてあげたかったの。
そうじゃないと このまま 廉くんが野球やりたいの
このまま夢で終わっちやうんじゃないかと思って。
私廉くんに野球やらせてあげたかったの
何いってんのあんた。
勝手なことしてんじゃねえよ おい…。
何考えてんだよ あいつ死んだらどうすんだよ
は?「やらせてあげたかった」?
家族でもねえのに ふざけんじゃねえよおい。
お嬢様のいい人面したボランティア活動のつもりかよなあ。
金も持ってて体も健康で そんなあんたに何が分かんだよ
弘人やめな。
じゃあどうすんだよなあ あいつが死んだらどうすんだよ
廉は死なないよ
お母ちゃんが死なせない
これまでだって ず~っと大丈夫だったろ。
あんた もう帰りな
遅くなるし親御さん心配するし もう帰りな
分かったよもうこうしよう
必ず連絡するから。
電話するから ねっ。
レントゲン呼んで はい
神崎さん もう大丈夫ですよ どうぞ。
あ…ありがとうございました。
あ…。
あんた まだいたのかい?
今あんたに 電話しようと思って。
廉くん…。
ああ 大丈夫だったよ 心配ないってさ。
はあ…よかった。
本当に申し訳ありませんでした。
あんたさ最近何度か家に来るけど
元町の大きな宝石屋の娘なんだろ?
『スタージユエリー』って私でも知ってるよ。
もうあの子に…弘人に構わないでやって。
えっ?
だってあんた大学とか行ってんだろ?