饭饭TXT > 海外名作 > 《唯爱(日文版)》作者:[日]北川悦吏子【完结】 > 书香门第★《唯爱(日文版)》.txt

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作者:日-北川悦吏子 当前章节:15362 字 更新时间:2026-6-15 19:54

そんなお嬢さんがうちなんかに構ってないで。

迷惑でしょうか?迷惑ってあんた…。

育ちがいいんだね。

あんたが来る場所じゃないってことだよ。

それにあの子 彼女いるし。

え…。あ~知らなかった?

そりゃね あんたみたいに上品ってわけにいかないけど

まあ あの子に似合ったコがさ。

だから あの子には もうかかわんないでやって。

もう落ち着いてきたな。

もう大丈夫だ…よかったよかった。

ねえお 兄ちゃん。ん?よいしょ。

なんで お姉ちゃん 最近来ないの?

「なんで」って?来ないじゃない 最近。

うん…。

お姉ちゃんのこと怒ったの?

お母ちゃんが お姉ちゃんのこと怒ったの?

俺が怒った…。

なんで ?

よいしょ。

あいつにはさ…。

菜緒には廉の相手は無理なんだよ

菜緒はさ 体だって健康だし…。

違うよ お姉ちゃんは 世界で一番僕のこと分かるんだ。

ん? お姉ちゃん病気だったんだよ。

知らないの?

養護学校行ってたんだよ。

だから養護学校が小学生から高校生まで

みんなでお誕生会やることも知ってて…。

僕はお兄ちゃんやお母ちゃんに

いえないことだっていえたんだ。

そっか…。

じゃあ菜緒は廉の大事な友達なんだな。

菜緒はリンパ節の問題で血液のガンだったの。

12歳の時に発病して中学校の3年間は養護学校に行ってた。

高校2年の時にね17歳の時かな。

骨髄移植をしてお兄さんの骨髄をもらったの。

今からもう3年か…。

その後も移植の副作用かなんかで結構いろいろ大変で…。

骨髄移植…。そう。

お兄さんのほうも大変だったみたい。

提供するほうも まるっきり危険がないわけじゃないらしいのよ。

私は高校で神戸からこっちに出てきて横濱女学館の高等部に入学したでしょ。

そこで彼女と知り合って…。

あの頃

菜緒のそばにはいつも病気があった。

かわいそうだった。

移植してさ もう完全に治ったの?

再発は完全にないとはいいきれないけど…

まあ おおかた大丈夫みたいよ。

5年経って何もなければすっかり大丈夫。

これは私が勝手に調べたこと。

病気のことはあっちから言い出さない限りは聞かないの。

まあ 調子のことは 気にかけるけどね。

私思うんだけど…。

菜緒は廉くんに野球がさせてあげたかったのよ。

見てるだけじゃなくてバットを振らせてあげたかったんだよ。

球に触らせてあげたかったのよ。

菜緒いつもいってた。

具合が悪くてずっとベッドの上にいた頃…。

「誰かの話を聞いてるだけじゃなくて」

「その場所に行きたいんだ」って。

「どっかのビデオ見るだけじゃなくて」

「自分の足でそこに行って」

「見て匂い嗅いで触りたい」って。

「だって生きてるって そういうことでしょ」っていうの。

「このまんまでいくと 私の青春は頭ん中だけだよ」。

「神様ひどくない?」。

「私こんなにいいコで おまけにかわいいのに」

…なんつって いつものあの調子でいうから

結構…泣いたな私は。

あいつはずるいのよ。

泣き虫のくせに ああいう時だけ 強がったりするから

こっちが先に泣くのよ。

思わなかった?菜緒のこと。

「ちょっと子供っぽいくらいに 何でもかんでもはしやぐなあ」って。

初めて会ったパーティーん時も…

一緒に行った祭りん時も…。

あのコはどんな小さなイベントでも楽しいの。

それは頭ん中の出来事じゃないから。

実際の出来事だから。

だからあなたは…。

菜緒が 初めて好きになった男のコだよ。

なんで…。

なんでいわねえんだよ…俺に。

そっか…。

待って。

今立て込んでるみたいだから…。

はい もしもし。

菜緒?俺 弘人だけど。

はい…。

この間 ごめん。

なんか取り乱して変なふうに 怒っちゃったりしてさ。

ううん…。

ホントごめん…。

菜緒の体のこととかさホントに何も分かってなくて…。

廉くんに聞いた?

いや あいつの話だとさ ちょっと幼過ぎて

イマイチ何いってんのか 分かんなかったから

裕子ちゃんに聞いた。

ごめん…勝手に。

ううんだって私 廉くんに みんな話してたし…。

そっか。

でもホントに俺 菜緒のこと 何も分かってなくてさ…。

いいよ それはもう。

この前もさ すごいひどいこといって…。

「金持ちの道楽」とか何とか

ボランティア え?

道楽じゃなくてボランティア。

ごめん…。

俺さ会ってちゃんと謝りたいたいんだよね。

ごめんもう会わないから。

えっ ?

もう会わない。

彼女いるんだってね。

は? こないだのコ?

いや 違うから。っていうか…

彼女 私じゃないんだね…。

ちょっとビックリしたよ。 いやいやちょっと待てって。

あっ それとも 二またってやつなのかな。

私そういうの 付き合う気ないから。

もう切っていいかな。ちょっと待てってねえ待てよ。

え?そんなこと誰がいってたの?

あなたのお母さん。

「お似合いの彼女」っていってた。

その人と末永くお幸せにね。

じゃあね。いや…。

クツソ~…。

あいつに何いったんだよ。何だよ いきなり。

菜緒に何いったんだよ。何を。

俺に彼女いるとかいったろ。

ああ…だってこの前 ユキちゃん来てたろ?

ヨリ戻せばいいじゃないか。

何いってんの

あんたにはね ユキちゃんぐらいが ちょうどいいんだよ。

だってさあんた あのコ… 菜緒ってコどうするつもり?

何だよ「どうする」って…。

全国に店持ってるような 大きな宝石屋の娘なんだろ?

お母ちゃんでも知ってたよ。

身の程をわきまえな 惨めな思いするだけだよ。

ヒロ君

え~先程 調査会社から報告がまいりました。

いい 私は見ない。

かいつまんで 要点だけ教えてくれ。

あ…は…。

お嬢様のお相手は1986年生まれと…。

だから要点だけ。

は…。

え~地元の商業高校卒業後

大学へは行かず そのまま家を継いでおります。

まっ この高校から大学へ進学する者は2割に満たないようです。

家は山内埠頭の外れ。

船の修理工場を営んでおります。

まあ工場といいましても従業員が2人か3人の小さな…

こういっては何ですが傾きかけた工場です。

体の弱いぜんそく持ちの弟と母親の3人家族。

母親は少し前まで工場の経理をしておりましたが

それでは回らなくなり今は水商売に出ております。

男関係は派手なようです。

父親は6年前に亡くなっております。

病気か?

いえそれが…。

借金を苦に自殺をし

それでおりた保険金を工場の金に回したようです。

よりによってまた そんな…。

お嬢さんの相手のお顔 ご覧になりますか?

いやいい

いかにも 今どきの若者といった感じです。

社長 お言葉ですが

お嬢さんは騙されているんじゃないでしょうか?

この男が金目当てでお嬢さんに近ついたということはないのでしょうか?

どちらにしても そんな男とは別れさせる。

どんなに大切に育てたと思ってるんだ…。

あのすいません あの…月丘さん

月丘菜緒さん お願いします。は…はい。

いらっしゃいませんが。

いないんすか…。

『奇跡』

菜緒。ん?

あっ 私 最近この人好きスガシカオ。

あれとかもやってる人だよね ほら何だっけ…

「空耳」。「福耳」だよ。

フフっ。そっか…。

今の お母さん ちょっと面白かったわ。

相変わらずバカだな お前

ちょっと 何よその言い方 ひどくない?

痛っ なんで叩くんだよお前 なんで叩くんだよ

やめなさい あ~ちょっと待って…

雨降ってない雨降ってない あ~ ハハハっ

あ…。

お父さんに買ったお土産どこだっけ?肉まん。

お前またかよ 戻れよ今から『ヘイチンロウ』まで。

お兄ちゃん 持ってるでしょ

意地悪やらないの も~

ったくお父さんも 仕事ばっかしてないでさあ

たまには中華街とかで一緒にご飯食べればいいんだよ。

ホントよねえでも忙しいから。

弘人…。

あのさ

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あのさ…。

どなた?お知り合い?

誰だよ?

達也

はじめまして 神崎弘人です。

あっ ああ

で 誰?

菜緒のお友達よね? よかったら上がって。

あ…いえ…。

ねえ こんなとこでもなんだから。

今日は失礼します こんな格好ですし…。

すいませんでした 突然。

失礼します。

あ 待って

私 送る。

お前が送ってどうすんだよ。

あ… じゃあ ほらあの…あ

そこの喫茶店で お話しすれば?

そうだね そうする…行こ。

失礼します。

あら あらあら…。

お母さん お母さんは平気なの?

何が? 「何が」って

あんな男どう見たって 今どきの軽い兄ちゃんだろ。

あらそう? 寒そうな格好してたわね。

大丈夫かしら?あのコ。

もう…のんきだな

そんな怒ったって仕方ないでしょ。

でも とりあえずお父さん いなくてよかったわね。

だから そんなこと いってる場合じゃないだろ

はい…。

持ってきちゃった。

あ…よかったらこれ。

中華街で買ったの。

お父さんに買ったんだけど…。

いいよ。

なんか悪かったね 突然来て。

ううん いいけど ちょっとビックリした。

あの…誤解。

誤解とこうと思ってさ。

えっ 何だっけ?

「何だつけ」って…。

ほら 俺に他の彼女が いるとかいう話。

あれ違うから。

ウチの母ちゃんがさ 誤解して 勝手に話しただけだから。

この間会ったコいんじゃん。

船んとこでさほら 昔の同級生とかっていったコ。

あのコとさ 昔付き合ってて。

で なんか少し 金に困ってるみたいでさ。

昔の同級生とかにも電話とか すげえかけまくってて

で 金貸した。

それだけだから。

ホントに? ホント。

なんならさ 神様にも仏様にも誓ってもいい。

分かった。

ホッとした。

ごめん…。

それより俺さ

菜緒の体のこと ホント何も知んなくてさ。

ああ。

「ああ」って…。

血液のガンだったって。

骨髄移植したって…。

そんな大事なことさ…。

でも もう大丈夫だから。

じゃあさ…

これから 少しずつでもいいから

私のこと分かって。

そいで私も 少しずつかもしんないけど

弘人のこと 知っていきたい。

手。

そいで…。

それで?

末永くよろしく。

了解。

へえ~ すげえじゃねえか

なそれで借金返して 来週からはまた

レコード会社にデモテープ 売り込んだりしてさ。

プロになんだろ

お前あいつと

弘人とヨリ戻したわけじゃねえだろうな?

まさか 金借りただけだよ。

まあ いっけどさ。

なんでも すげえお嬢様の彼女と付き合ってるらしいよ。

金持ちのお嬢?

ああ 元町にさ『スタージユエリー』ってあるだろ?

その会社の娘だよ。

へえ~。

そんなことよりさ 売り込み頑張ってくれよな

ウソ?ウソ?

ホントだよね 人生だよ。

生きてりゃ いいこといろいろあるよ。

相田みつをかよ 相田みつを?誰?

すげえな そりゃお情けで

1回ぐらいはデートしてくれたの かなあとか思ってたけど

裕子ちゃん 魔が差したのかな。

そそそ 裕子ちゃん魔が…コラ お前友達だからっていい過ぎよ。

こうな いいたいことをそのまんまいうにも

オブラートにくるんで…苦いよ 苦いよ

でもよかったじゃん。まあね

そっかあ これで弘人は菜緒ちゃんと付き合ってるだろ

甲は裕子ちゃんと付き合うことになったわけだ。

なんで俺だけ1人なんだ?

まあまあ…そういうことはさ考えないでおこうや な。

どうしてだろう 俺が一番カッコいいのに。

あれじゃん?お前何だ…どんくさいとこあんじゃん。

そこじゃね?

え 俺どんくさい? どんくさい。

だって一緒に飯食いに 行ってもさ お前さ

ずっとメニユー 見てたりするじゃん。

ほらだってメニユー頼んだ後もさ ずっと見てるんだよ。

見てる 見てる

メニユー見るの 好きなんだ。

食べ物も ゆつくり選びたいしな。

だってさ 真つ先に 駐禁切られるのは亜裕太でしょ。

で 自販機で 冷たい飲み物買っても

温かいのが出てくるのが…。亜裕太。

で キヤンプ行って 真つ先にハエが止まるのも…。

亜裕太 シヤラップ

何?その顔。

何よ 百面相? ちょっと面白いから撮っていい?

私 今どんな顔してる?

キツネが くしゃみした後みたいな顔。

それってどんな顔よ?

ダメかな?甲君。

え?ううん

全然ダメじゃない いいよ すごくいいと思う。

でもさなんか…。でも?

裕子がさあ そこに行くとは 思わなかったから。

面食いだったしお金ないと ヤダとかいってたし。

卒業したのよ。

早っ

人は 見てくれや 持ち物じゃないわ。

心よ心。

相田みつを?

何それ?

ううん気にしないで。

でもねホントに いい人だな~って思って。

何ていうか一緒にいると

胸の真ん中辺 温かくなんの私。

居心地いいっていうか。

分かるよ そういう感じ あるよね甲君。

それにね よく見てみてみ? カッコいいよ~。

聞いとくよ。

ひつど~い ていうか 弘人君だってそんな格好いいかな?

あ~もうやめよやめよそういう なんかこうドロドロ言い争いは。

ね それよりさ 電話してみない?

電話?

アハハハ…。

甲君 じゃ次は 卵行ってみようか。

ないないない早く食えよ余っちゃう…。

ちょっとごめんごめん…。

マイスイートハニー 裕子ちゃんです。

ごめんごめんごめんね。

お兄ちゃん 電話。

菜緒ねえちゃんから。 おう。

くそ~なんだよどいつもこいつも 寂しいぜ チキショ~

俺は俺に電話しちゃうぞ

あ棚田さん…。

あ いやあの~ピストンリングの伝票切ったかな~と思って。

ああ お疲れつす。はい お疲れさまです。

落ちてる。

もういいよ 寒いから。うん 気をつけてね。

うん じゃあね。

ねえ?

ん?

よかったね

うん ありがと。

お互いさあ

ん?

お互い大事にしょうね

うん クリスマス 今度は彼といられるね

ホントだね

じゃまたね うん じゃあね。

おやすみ。 おやすみ~。

こんにちは。

お前が 付き合ってる人の父親は

自殺をしている。

借金苦に首を吊ったんだ。

お父さん 何よこれ…。

すまん こんなことは したくなかったんだが…。

調査会社を使って調べた。

いきなり「来てくれ」っていうから何かと思ったよ。

お母さんとか知ってるの?

いや お母さんにも お兄ちゃんにもいってない。

まず お前と話したかった。

大変な家の息子だ。

お前に 相手ができるとは思えん。

父親が自殺したこと知ってたのか?

知ってたわ 了承済みよ。

すべてを知って それでも 彼と付き合いたいって思ってるの。

本気なんだな…。

遊びで 人と付き合ったりしません。

お前のそんなところが…お父さんは かえって心配だ。

それでは…そんな真つすぐでは 壁にぶつかった時にもろいそ。

お父さんが自殺なんて…ホントなのかな。

なんで?なんで 僕は連れてってもらえないの?

今日はな お兄ちゃん デートなんだよデート。

だったら それ僕も連れてってよ。

あのね デートっていうのは 普通2人でするもんなんだよ。

な?ごめん。

あ 靴下…。ケチ

廉「ケチ」ってことじゃ…。

弘人君。

支度できた?

なんで お前いんの?

デート行こうよ。 行かねえよ。

来た来た…こっちこっち

なんで お前もいんだよ。いいから早く乗って。

乗って乗って。

弘人君乗って~。これで行くの?

いやだから たまには 5人でもいいんじゃんみたいな。

うん たくさんはたくさんで楽しいよ。

ねえ~ねえ~

ねえ菜緒ちゃん このマスタング初めて見るけど

一体何台持ってんの?ごめん。

今手がちょっと放せない。放すなよ絶対に。

あ ねえ ブレーキってどこだつけ?

ウソ~

ウッソ~。

海だ~

さっきから海海って…。

撃て

落ちろ。あ~。

せんべいせんべい…。

おいしい?

うん

これ何?「エスカー」だ。

こっちですよ

Excuseme.

Say cheese

いってきます

あった あれ江の島だ江の島。

大丈夫?あ~

裕子ちゃんスピード平気?平気

いいよ。はいチーク

すごいよあのサメ 真横に目があるもん あれ。

せ~の

お~すげえ食われてる 甲に100匹くらいついてんじゃん。

ついてない。

すげ~

亜裕太 ついてきてる?ついてきてるよ

た~まや~

お~懐かしい~

おお これ俺ら通ってた高校。

そうなの?

ねえ ちょっと止めてもいい?

菜緒ちゃん運転荒いね~。菜緒ちゃん荒い

急ブレーキ過ぎるよ。へえ~ ここなんだ。

何?どうしたの?

この高校 みんな この高校に通ってたんだって。

え ホント?うん いやまあホント…

別に普通の高校だよ。何もないよな。

あ ねえ見たいここ

うん見たい 見ようよ 中入ろう

マジで?

マジで。

開いてる?開いてる開いてる

じゃあ 俺ら 階段で行こうこっちこっち。

シ~

林間学校だべ。

ねえなんかさ…なんか 夜の学校ってドキドキしない?

するする 好き好き

お前らホント 変な物好きだよな。

中学ん時にね 学校にリコーダー忘れたの。

それで夜気づいて 取りに行ったら

すっごい怖かった

分かる すんごい怖いけど すんごいドキドキするよね~。

好き?好き

シ~ つうかお前ら肝試しかよ。

そうだよ 俺達の青春の神聖な場所をさ。

あ ここ ここ

お~ これ俺のロッカー。俺ここだった。

3年A組 あ~A組なんだ。

出席番号は?俺11番。

7番。 13番。

覚えてるもんだね ま2年だからね。

俺の席ここだった そういえば。

はい 皆さん席についてください。 はい。

出席番号11番神崎弘人君。はい。

じゃあ 教科書の32ページを訳して。

訳す?英語?

いや でもさ いいよね。

菜緒ちゃんみたいな先生だったら英語頑張つちゃうよね。

何よ それ。

まあまあ…。

そっか…俺も2年前までは学生だったんだもんなあ。

懐かしい…。

あ…あごめん まだみんな学生か。

あ 俺とお前が違うんだ。 そうだよ。

あ ねえ そういえば 大学ってさどんな感じなの?

こんなん?

「どんな」って…別に普通だよねえ?

うん別に…普通。

普通…。

まあでも…遠いな俺には。

俺も…遠いな。

いいもん見つけ

何?モンシロチョウ? そんなんねえよ。

弘人

ヘイ 俺パス俺パス フリーフリー 俺今超フリー

ヘイ はい

めっちゃ引っかかった はい菜緒ちゃん

菜緒ちゃん

シユート

あ やった

菜緒ちゃん行くよ

あ…ごめん ちょっとごめん。

はいはいはい ゲーム再スタート

ヘイ スタート

何やってるの?

思い出してんの。

何を?

あの頃…ここは 俺のグラウンドだったんだって。

知ってる。

野球部のエース だったんだってね。

県大会ペスト4 あともう少しで甲子園にも行けたんだよね。

廉君や亜裕太君にも聞いた。

まあでも 結局 大学諦めて。

もう野球とかやること ねえんだろうなあ。

大学…行きたかった?

ちょっとね。

ウチの親父死んでんじゃん。

6年前…

自殺なんだ。

借金苦に自殺して…

その保険金で借金返済に充てて。

そんな工場…

俺がちゃんと 受け継がなきゃな~と思ってさ。

お父さん…そうだったの…。

引いた?

ううん引かない 大変だったんだなあって思う。

あ この話さ 廉には内緒にしといて。

もう6年前だから…あいつまだ4歳とかだったのか。

病気で死んだと思ってるからさ。

うん 分かった。

でもここは…俺の夢の場所。

青春で夢の場所。

弘人の走った土だね。

県大会の準々決勝。

9回の裏ツーアウト満塁。

あの時の歓声が なんかまだ聞こえてくるみたい。

もっといって。

思い浮かべる。

私がいられなかった 弘人の高校時代。

そこにいた気持になる 今だけでも。

ダメだよ もしあんたがいたら

きっと姫だから 俺なんて選んでないと思う。

だって俺なんかよりもっと カッコいい奴とかたくさんいたし。

サッカー部とか。

違うよ ちゃんとあなたを見つけたよ。

どこで どう会っても。

通学途中 魚ぶつかけられても?

そうだよ すごいよ。

でも俺も… もっと早く菜緒に会ってたらって。

そうしたらもっと早く助けてあげられたのに。

病気のこと?

うん…。

でもこれから先は…。

これからは ず~っと側にいるから。

いい?

いいよ。

お…おいおい

見える?あれ おいおい。

はい 見ない 見ないよ。

おい テメェ

遠くにあいつらのはしゃぐ声 聞きながら

菜緒とキスなんかしながら…

俺はなんかすごい 満ち足りた気分だったんだ

必要以上に はしゃいだり 必要以上に悲しんだり

あの頃のいくつかの出来事は

今もこの胸の奥で光を放ち続ける

まるで『タイタニック』の海底の宝石みたいに…

おかえり。

遅いな 最近。

ごめんな…さい。

あの男のコか?

菜緒が本気なら 一度ちゃんと連れてきなさい。

はい…。

おやすみなさい。

ねえ お願い今度の金曜日裕子も一緒に行こうよ。

『一橋』だよ。

また 人数合わせで人を呼ぶ。

え~やめようよ 裕子呼ぶとみんな裕子に持ってかれるもん。

そんなことないじゃん。そんなことあるよ

まあ仕方ないかな この美貌。

感じ悪っ 絶対呼ばない~。

ねえ なんかあの人 こっち見てる。

怖っ…。

なんかちょっとキモい。

ねえ 手振ってる

知り合い?まさか…裕子知り合い?

ううん…知らない。

見ないようにして行こう。怖いよ。

なんであんな所に いたんだろう?

借金取りじゃない?ウソだ~。

ねえ 裕子待ってよ 待って~。

甲君?

裕子ならバイトがあるからって ひと足先に帰っちゃったけど。

甲君どうしたのよ。

なんでコーヒーなの?ここはビールだろ。

はあ ここはカフェです

お前もさ いくら 仕事が早く終わったからって

たまたま近くにいたからって その足で

トラックでその格好で 大学の前まで行くか?

だって…

会いたかったんだもんよ。

あ~ もうそんな捨てられた 子犬みたいな目で見ないで。

俺は今 仕事中だから。

あとは ね?

承りました。

お願いします。

裕子ちゃん かわいいよな~。

え?裕子?うん。

いや 菜緒ちゃんもかわいいけど。いや 私はいいから。

2人並んで歩いてる時さ 花が並んで咲いてるみたいに見えたんだ。

やっぱ花には 格好いい花瓶じゃなきゃ

俺じゃダメなんだよな…。

そうかな?

花だって 冷たいガラスの花瓶じゃなくて

温かくて居心地いい 土の上に咲きたいんじゃないかな。

きっと裕子は そう思ったと思うな。

いや じゃなんで?

ごめん遅くなった。

ごめん。

なんで お前いんの?

邪魔? いや邪魔だろう な。

そうですよね 俺なんか邪魔ですよね

あ~もう1軒 もう1軒

行かない行かない。 甲君大丈夫だから。

裕子には ちゃんといっとくから。

いい 何もいわなくていい。

そう?分かった じゃあいわない。

え?いわないの?

うん。どっちだよ もう。

いいよいいよ 今日こいつ酔っばらいだからさ

俺家まで送って行くよ。

悪いな頼むな。じゃあな。

菜緒ちゃん いわない…。え?

水いつばい飲まして…。分かった いっぱい飲ます。

じゃあね 気をつけて。ええ?

今日ごめんねデートなのにありがとね。

フフ…。お前何いってんだよ。

明日ちゃんと仕事行けよ な。

もちろん

じゃあな。じゃあな 気をつけてな。

中生1つ

じゃあ 行こうか?うん。

フフフ…。

あ じゃあここで もういいから。

あ…分かったじゃあ気をつけてね。

うん。

じゃあ。じゃあ。

あ…あのね。ん?

あ…お父さんが…。

お父さんが一回会いたいって いってるの。

ああ…。

今度 家来てくれるかな?

ああ…この間あんなだったし

ちゃんと一回行って挨拶するよ。

あ…。

なんだ もっと嫌がるかと思った。

実は ちょっと 頑張つちゃったりしてるけど。

そんなすごい行きたいなあってわけでもなかったり。

まあでも…

菜緒のことすごい心配してると思うしさ。

それに…俺もお前のこと真剣だから。

もうやるしかねえだろ 家も分かったんだし おお。

そのルートで行こうよ。ただいま~

うん…うん。

ちょっと ちょっと~開けてよ

じゃあ…そういうことで。ねえ

おかえり おっ今日鍋か何か?

あんたさ 今誰と話してたの?え?

女じゃないだろうね?まさか…。

ああ腹減った

ここ片付けような。

なんか最近 キョドってんだよな…。

挙動不審。

何いってんだよ ふざけんなよ。

どうしよっかな~てか俺 服持ってねえな。

うまくいくといいね。うん?

菜緒おねえちゃん家に 行くんでしょ?

うん まあな。

廉 応援してるよ。

おう。

あパンツ替えてみたらいいんじゃない?な。

廉 早くご飯

あんた何やってんの?

じゃあ プティロンを2つと…。はい。

あと…カサブランカ2つ。

奥様それでは今日は失礼します。

どうもありがと。

お父さん遅いわね。

行くそ。ああ。

あのすみません。

この辺りにガソリンスタンドって ありますかね?

あ…ああ えっと この角を曲がって…。

よかったら 案内してくんないかなあ。

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