あゆみがその二人組を分析した。「見たところ、こういう場所にはあまり慣れてないみたい。遊びに来たんだけど、女の子にうまく声がかけられない。それに二人ともたぶん妻帯者だね。いくぶん後ろめたそうな雰囲気もある」
青豆は相手の的確な観察眼に感心した。話をしながらいつの間にそれだけのことを読み取ったのだろう。警察官一家というだけのことはあるのかもしれない。
「青豆さん、あなたは髪が薄い方が好みなんでしょ? だったら私はがっしりした方をとる。それでかまわない?」
青豆はもう一度後ろを向いた。髪が薄い方の頭のかたちはまずまずというところだった。ショーン?コネリーからは何光年か距離があるけれど、とりあえず及第点は与えられる。なにしろクイーンとアバの音楽を続けざまに聴かされた夜だ。贅沢は言えない。
「いいよ、それで。でもどうやってあの人たちに私たちを誘わせるの?」
「悠長に夜明けまで待っているわけにはいかない。こっちから押しかけるのよ。にこやかに友好的に、かつ積極的に」とあゆみは言った。
「本気で?」
「もちろん。私が行って軽く話をつけてくるから、まかせておいて。青豆さんはここで待っててくれればいい」とあゆみは言った。トム?コリンズをひとくち勢いよく飲み、両手の手のひらをごしごしとこすった。それからグッチのショルダーバッグをいきおいよく肩にかけ、にっこりと微笑んだ。「さあ、警棒術のお時間」