饭饭TXT > 海外名作 > 《蛇淫の血(日文版)》作者:[日] 沙野风结子【完结】 > [沙野風結子/奈良千春]蛇淫の血.txt

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作者:日- 沙野风结子 当前章节:14741 字 更新时间:2026-6-16 06:22

角能がテーブルから腰を上げた。腕组みして、正面から凪斗の身体を眺める。骨の付き具合までチェックしているかのような注意深くて冷たい视线だ。

肌がざわざわして、性器が竦んだ。

角能が右肩に指を这わせてきたとき、露骨に身体が跳ねてしまった。

「肌理(きめ)の细かい肌だな」

その指がツ…と下りていく。锁骨の起伏を越えて、胸へとまっすぐ下りる。凪斗はつられるように颚を引いて、角能の指を目で追った。筋肉の足りない薄い胸を流れる指は、吸い寄せられるかのように、紧张のあまりポツンと凝っている乳首へと辿り着く。

小さな突起が、角能の中指の下へと消える。

自分の、男の胸なのに、なぜか妙に劣情を刺激される视覚だった。

角能の指が小刻みに动きだす。もっと凝らせようとするかのように、コリコリと粒を捏(こ)ねられる。粒が肌に押し込まれる痛み。

けれども、ほどなくして、痛み以外の感覚が浮き上がってくる。

「……ふ」

むず痒(がゆ)いような疼きがじくりと渗んで、息が乱れた。

――……あんまりされたら、ヤバいかも……

不安になってきていた凪斗はしかし、ふいに眉をきつく颦めた。

「ッ、たいっ」

右の乳首を周りの皮肤ごと抓(つね)られたのだ。

脳に直接响く痛み。

角能が歩きだすから、凪斗も歩かざるを得ない。乳首を千切り取られてしまいそうな怖さと痛みに、うまく呼吸ができない。

连れて行かれたのは浴室だった。

角能は片手でバスタブの盖をどけると、凪斗の右胸から手を离した。ホッとしたのも束の间、抱き上げられて、バスタブへと落とされた。飞沫(しぶき)が高く上がり、凪斗は头までびしょ濡れになる。

「そろそろ、风吕に入りたかっただろう?」

「风吕って、これ水…っ」

いくら夏とはいえ、クーラーの効いた部屋で过ごしたあとの水风吕だ。

「ちゃんと肩まで浸(つ)かってろ」

言いながら、角能は自身のネクタイを大きく缓めた。隣接する脱衣スペースへと向かう。ジャケットをばさりと脱ぐ。……角能が手早く衣类を脱いでいくのを、水风吕のなかで、凪斗は呆然と见ていた。さすがに下着を下ろすところで、パッと视线を外した。

逃げたほうがいいんじゃないかと我に返ったときにはすでに、角能が裸身をどこも隠すことなく浴室に入ってきていた。

「……」

角能の身体を目にしたとたん、无意识のうちに、凪斗は头のスケッチブックに线を引きはじめていた。头のなかに、霭(もや)がかかったような心地よさが访れる。芸术関系の快楽は脳内のドーパミン分泌によるものらしいが、自分はちょっとその分泌が过多なのかもしれな

いと、凪斗は以前から思っていた。

记忆が飞ぶわけではないが、絵を描いていると、时间と空间の感覚がおかしくなって、自分が自分でないみたいになってしまうのだ。

そしていまも、凪斗はシャワーを头から浴びる角能の完璧な肉体を、脳内の纸に描くことに梦中になってしまっていた。男の下腹のたっぷりした茂みや、重たそうな阴茎までも凝视して、写しを取っていく。

なんだか息が乱れてしまって、手の甲を口に押し当てた。

唇が热い。自分の皮肤を噛む。虐められた右胸の乳首がズキズキと疼く。

水风吕のなかにいることすら気にならないほど、身体が火照(ほて)って――。

突然、角能はシャワーのヘッドを壁のフックから外した。

ザーッと、热い汤が、凪斗を袭った。

「エロガキ」

「エロって……っ、シャワー、やめろよっ」

顔に浴びせられる飞沫から逃れようと、凪斗はざぶりとバスタブのなかで立ち上がった。

と、下腹に感じた违和感に、自分の身体を见下ろし……

そこに、ピンと直立したものがあった。

「そんなに俺の身体がイイか?」

角能が笑う。凪斗は混乱しながら腰を引き、水のなかにふたたび身体を隠そうとした。

けれども二の腕を强い手に掴まれて、バスタブから引きずり出されてしまう。タイル张りの壁に背中を押しつけられる。

「ちょっ……やだ」

覆い被さってくる角能の胸元に手をついて押し返そうとする。男という同じ仕组みの身体を持っているのに、掌に感じる胸部はまったく别物のように硬くて、逞しい。

「人の裸で勃(た)てといて、ヤダはないだろ」

「これは――违う!」

「どう违うんだ?」

角能は凪斗の両手首をひと缠(まと)めに掴むと、头上に上げさせた。壁に磔(はりつけ)にされる。そうして、凪斗の下腹にシャワーが寄せられた。无数の汤の针が性器を袭う。

「んっ」

「なんで勃ったのか、答えてみろ」

耳元で嗫かれる。

もどかしい水圧が、近づいては离れる。まるで先端を见えない纽に吊り上げられているかのような性器を、强弱をつけていたぶられた。宙で茎が蠢き、先端へと透明な蜜が押し上げられる。次から次へと溢れてくる蜜がシャワーの飞沫に流されていく。

「絵、を……」

眉间にせつない皱を刻み、凪斗はゆるく首を左右に振りながら、呟く。

「头のなかで――絵を、描いてた、から」

「絵を描くときは、いつもこんなにいやらしい顔をしてるのか?」

男に小声で寻ねられる。

……自分はいま、どんな顔をしているのだろう?

角能の目に、いまの自分はどんなふうに映っているのだろう?

「ぁ……あ、っ」

シャワーが远ざかって、性器に当たる水圧が微弱になる。

「欲しいのか?」

覗き込んでくる角能の瞳。

その黒さが脳の奥に沁み込んで、さらなる狂おしい热を身体の芯から引きずり出す。

このまま流されてしまいたい気持ちと、踏み止(とど)まろうとする気持ちが、激しく阋ぎ合う。そして、その阋ぎ合いがまた切羽诘まった快楽を呼び込む。

「腰、揺れてるぞ」

「え…?」

见下ろしてみれば、まったく自覚していないのに、角能のいうとおり、凪斗はゆらゆらと腰を揺らめかせていた。

欲しいと。

いやらしい刺激が欲しいと、真っ赤に充血した先端があられもなくヒクついている。

それを见たとたん、目に涙の膜が张った。

「もっ、やめ、ろよ」

泣くみたいに喉が引き挛れた。

「ガキ――ガキには、兴味……ないんだろ」

「ああ。でも、おまえには少し兴味が涌いてきた」

凪斗はぼやける视界で、角能を见た。彼の顔が近づいてきて――――近づきすぎた。

唇に重ったるくてやわらかな感触が押しつけられる。

なにをされているのか、本当に数秒のあいだ、わからなかった。

无反応を讶(いぶか)しむように、角能はいったん顔を离すと、今度は逆のほうに顔を倾けて、ふたたび唇を重ね合わせてきた。

――……う、そ……

キスされている。

そして、キスと同时に、ペニスに刺さる热い水流が増した。上と下の敏感な场所を同时に嬲(なぶ)られて、凪斗の身体を间断なく震えが走る。

射精するにはほんの少し足りないもどかしい疼きに、腰を突き出してしまう。

「く、ふ……っ」

角能が唇を开けたとき、つられて凪斗も口を缓めてしまった。

その缓んだ唇の轮を、热くて濡れたものがずぶりと突き抜けた。舌に舌を掬(すく)い上げられ、舐められる。

「うっ――うぅ」

やり方のわからないキスを强いられて、凪斗は呻いた。

络んでこようとする舌から必死に逃げる。心臓も性器も爆(は)ぜてしまいそうで……途中で角能も、凪斗がこういうキスをしたことがないと気づいたようだった。舌を抜くと、凪斗の朦胧(もうろう)としている目を覗き込んだ。

けれども酌量(しゃくりょう)はされなかった。

濡れそぼった睫を震わせることしかできない凪斗の唇に、角能は再度むしゃぶりついてきた。唇を裂くように割って、大きく舌を突っ込まれる。応えられずに固まるばかりの舌をぐちゃぐちゃに攻められ、口盖(こうがい)や歯列の里に舌先を这わされる。

「ふ……っ、んっ、んぅう」

头の奥が白む感覚が波のように访れる。どんどん思考を削り取られていく。

热いシャワーの水圧を、敏感な性器の先に感じる。苦しくヒクつく先端の孔から、汤が少しだけ茎の中枢へと入り込む。

まるでそれが呼び水になったかのように、性器の底からドクンと热の块が突き上げた。なかの管が壊れるのではないかと思うほど大量の浓い粘液が喷き出す。舌を小刻みに舐められながら、凪斗はガクガクと全身を震わせた。

角能が舌を抜いたとたん、唇からふたりの混ざった唾液が颚へと滴る。

シャワーは射精と同时にそらされたから、下腹もまた粘(ねば)つく白い蜜に涂(まみ)れている。角能の肌にもかなりかけてしまっていた。男の自然に浮いた腹筋を辿るように、自分のxxがゆっくりと流れ落ちていくさまは、あまりにも卑猥で。

両腕を上げさせられたままの姿势、角能に快楽を极めた顔と身体を凝视される。

ぴくんと性器が震えて、残滓(ざんし)を甘く垂らした……

「いつまで脐を曲げてるつもりだ」

広いダブルベッドの端っこ、角能の大きなシャツを寝巻き代わりに羽织(はお)った凪斗は、角能に背を向けつづけていた。

「……あんたのせいだろ」

まだ、頬が热くて仕方ない。

「おまえが変な目で俺を见るからだろう。昔、集団生活してたことがあったが、共同浴场でもあんなやらしい目で见られたことはないぞ」

――集団生活……

たぶん、刑务所にでも入っていたのだろう。

暴力団などにいるのだから、きっと数々の犯罪に手を染めてきたに违いない。さっきみたいなことや、もっといやらしいことを、无理やり女性にしたこともあるのかもしれない。

「だいたい、おまえだってけっこうノッてたじゃないか。腰くねらせて」

「ノッてなんかない」

「気持ちよかったんだろ?」

「よくなかった」

少し沈黙が落ちてから、角能は揶揄(やゆ)するような声のトーンをやめて讯いてきた。

「おまえ、キスしたことなかったのか?」

「……」

凪斗は身体を强张らせた。

キスをしたことは、なかった。もちろんそれ以上のこともない。

キスも他人に性器を爱抚(あいぶ)されたのも、さっきのが生まれて初めてだった。二十歳にもなって格好の悪い话だと、自分が一番よくわかっている。

「なんでだ? おまえぐらいのルックスなら、女は寄ってくるだろ」

告白をされたことは何度かあった。

中学二年のとき、いいなと思っていた女の子から付き合ってほしいと言われた。でも、断った。断った夜、ベッドのなかで少しだけ泣いた。

「恋人を作らないようにしてたのか?」

――……恋人だけじゃない。亲友もだ。

自分を中心点にして、コンパスでぐるりと円を描く。その円の内侧には、决して人を入れない。入れてはいけない。

「――いざという时、おまえの血のトラブルに、相手を巻き込まないためにか?」

まるで心を読んだかのような角能の言叶に、胸がズキリとした。

凪斗は瞳を冻らせると、むくりと起き上がった。角能のほうを向く。

ベッド横の背の高い鉄制のライトの光量は绞られている。

その薄い光を受け、ベッドヘッドに背を凭せかけた角能が、烟草を咥えたまま见返してくる。下はスエットのパンツを穿いているが、上半身は裸だ。まだ湿っている黒髪が额に流れかかっている。凪斗は男を、天敌を牵制(けんせい)する动物の眸で睨んだ。

「俺のなかに、入ってくるなよ」

亲しい人を作らないように気をつけながら、これまでやってきた。家族にすら、心配をかけないように心の距离を保ってきた。

それなのに、どうしてこんな男に、自分の弱い部分に踏み込まれなくてはならないのか。

角能は唇の端を少し歪めるようにした。

微笑したのか嘲笑したんか、わからない表情だった。

「仆はね、円城くんの才能には并々ならぬものがあると思っているんだ。だからこそ、日展への出品を推したし、现に入选を遂(と)げたわけだよね」

「先生にはすごく感谢してますし、申しわけないとも思ってます」

大学の教授室。

日本画の早河(はやかわ)教授を前にして、凪斗は力なく项垂(うなだ)れながら続ける。

「でも、本当に情けないんですけど、あれは奇迹でまぐれだったんです。出品した作品、自分のじゃないみたいな出来でしたし」

教授ははんなりした口调のまま、少し声のトーンを下げた。

「そういうふうに軽々しく自分の力を断定するものじゃありませんよ。仆は君の作品を见てきていますが、日展で入选してから作风が変わりましたね? とてもありがちな……君でなくても描ける絵ばかり描くようになってしまった。いったいどうしてしまったんですか?」

「……」

「小さく缠まって保身でもしているつもりですか? たかが一度の入选で満足してしまったんですか?」

温厚な教授が、苛立ちを渗ませている。

それは无理もないことだった。

日展の作品选考には、审査员たちの派阀だとか金だとか、いろんな要素が络み合っているという噂だ。よほど优れた作品でも、めったなことでは入选できない。

そんななかで凪斗の絵が选ばれたのは、早河教授が强く力添えをしてくれたお阴だ。

それなのに、もう一年半ほどもこれといった絵を描けていない。教授の面子を溃しているのも同然だった。

悄然(しょうぜん)しながら、教授室をあとにする。

……本当は、なにがきっかけで自分の絵が変わってしまったのか、凪斗はわかっている。

おととしの秋、日展に入选した凪斗は、それはもう梦を见ているような気持ちだった。呆然としてしまって、浮かれることもできなかったぐらいで。

祖母が、お祝いにとチラシ寿司を作ってくれた。ホールケーキも买ってくれて、ふたりではとても食べきれなかった。涙を拭きながら喜ぶ祖母の皱の増えた顔を见ていたら、ようやっと凪斗の心にも嬉しさが込み上げてきた。もっとすごい絵を描けるようになって、また赏を取り、祖母を喜ばせたいと思った。

絵で食べていくのは、とても难しいことだ。だから凪斗は、多くの美大出の人间がそうするように、卒业したら一般の仕事に就く心积もりをしていた。できれば少しでも美术に関系のある仕事だと嬉しいけれども…祖母とふたり暮らしの凪斗にとって、生活のための金を稼げるようになって、祖母を心身ともに安心させるのが优先事项だった。

美大に入った时点からそんなふうに自分の将来のことは现実的に决めていて、だからこそ、この四年间はがむしゃらにとことん好きな絵に打ち込もうと思った。

けれども大学一年のとき、早河教授に『树の林檎』を见せたところ、日展に出すようにと勧められ、そのまま入选してしまった。もしかすると、すごく顽张っていけば、絵で食べていける可能性もあるのではないか――などと甘い梦が胸を过るようになっていった。

そんなある日、一通の电报が届いた。

豪华な押し花が贴りつけられた电报だった。

『日展、入选おめでとう』

差し出し人は、『岐柳』となっていた。

後头部を钝器で殴られたかのような冲撃を受けた。

梦见心地の时间が粉々に砕け散る。

人目につくような迂阔(うかつ)なことをしてしまった自分を殴り飞ばしたい気持ちだった。

せっかくこれまで岐柳组との接触を避けて、ひっそりと暮らしてきたのに、その平穏を自分の手で危険に晒してしまったのだ。

関东一円に力を有する岐柳组。その组长の昏(くら)い血を継ぐ自分がなにかを为せば、それがいいことであれ悪いことであれ、彼らに存在を意识させてしまう。

もしも、この先、自分が絵の世界で多少なりとも评価されつづけるようなことになれば、岐柳组は必ずや利用しようと近づいてくるだろう。

そうなったら自分ばかりでなく、祖母の身も危なくなる。

亡き母亲が护り筑いてくれた穏やかな生活。それを破壊することなど、里会社の人间たちには朝饭前だろう。

电报は、祖母にも见せず、コンロの火で焼き舍てた。

もう二度とコンクールには出品しない。ただ大学にいるあいだだけ好きな絵を描ければいいじゃないかと自分に言い闻かせた。

けれども、絵を描こうと纸を前にした凪斗は愕然(がくぜん)とした。

どれだけでも自分の内侧から溢れてくるように思われていたイメージが、浮かんでこなくなっていたのだった。

「ナギトちゃーん!」

角能が待っている校门に向けてキャンパスを歩いていると、大声で名前を呼ばれた。走ってくる里原宿系のファッションの男は、雕刻科の岩泉(いわいずみ)だ。夏休みだが、学校で作品作りに勤(いそ)しんでいたらしい。手には雕刻用の小刀を握っていた。

「だから、下の名前で呼ぶなって言ってるのに」

凪斗は重い感情を胸の奥に封じ込めて、笑顔を作った。

「なんでだよ。かわいーじゃん。ナギトって」

「なんか语感が悪いだろ。ヤなんだよ」

「そうかぁ? ……ところでさぁ、前に言ってた秋のグループ展、考えてくれたか?」

専攻がバラバラの大学内の面子でグループ展をやろうと持ちかけられたのは、半月ほど前のことだった。岩泉とはほとんど喋ったこともなかったが、凪斗の日展入选作を见て兴味を持っていたのだそうだ。

「ああ……ちょっと、无理かな」

スランプ中なうえに、いまの状态では、とても创作などできない。

それに、自分などと亲しくしたら、岩泉や他のグループ展のメンバーにどんな火の粉が降りかかるか知れないのだ。

「うーん。やっぱ日展作家さんは忙しいかぁ」

嫌味な感じではなく岩泉が呻く。岩泉と向かい合って伫んでいたら、ふと、すかんとした真っ青な空が头上に広がっているのに気づいた。夏休みの空だ。なんでもできる学生の长い休みも、今年と来年だけ。就职活动をしながら描けるだけ絵を描いて过ごしたかったのに……

「でも、やっぱ、谛めきれねぇや!」

突然、岩泉がきっぱりそう言った。

「え?」

「な、もしさ。もし当日までに一点でも描けたら、参加してくれよ。飞び入りでいいから」

「……」

无理だと思うから颔かなかったのに、岩泉はバンバンと凪斗の肩を叩いてきた。

「おまえと一绪にナンかできるかもと思うと、ワクワクするからさ」

そう弾けるような笑顔で言うと、秋のグループ展の日程を告げて、岩泉は作品作りに戻っていった。その背中を见送りながら思う。あんな顔で笑い返せて、一绪に作品を并べることができたら、どんなにいいだろう……

ふたたび校门に向けて歩きだそうとすると、横から「あのぉ、円城さんですよね」と声をかけられた。见覚えのない女の子だ。日展入选以来、凪斗は学内ではすっかり有名人になっていたから、特に不信感もなく颔く。

「あの、ちょっとだけでいいから、あたしの絵、见てもらえませんか?」

言叶は疑问形だが、凪斗の手首はすでに彼女にがっしり掴まえられていた。断る间もなく、引っ张られるままに歩きだす。

校内で予定外の行动を取るときは电话を入れるようにと、角能から携帯を渡されていた。それを取り出そうと斜め挂けした鞄に手を突っ込んだときだった。

突然、银杏(いちょう)の大木の阴から、美大には不似合いなダークカラーのスーツ姿の男が飞び出してきた。咄嗟に女の子の手を振りほどいて逃げようとしたけれども、男は凪斗の鼻と口にガーゼ布を押し当てた。

大声を出そうとして、かえってガーゼに染み込まされた薬剤を思いきり吸い込んでしまう。头の芯がくらりとする。

揺らぐ视界で、凪斗は空を见た。

青い青い空が、ひしゃげて、消えた。

舌の奥へと、なにかが突っ込まれた。続けて口のなかに水をジャバジャバと流し込まれる。

「……ん、う」

凪斗口から水を溢れさせながら、咄嗟に喉の奥のものを咽下した。

目を开ける。视界がチカチカする。头の芯が重く痛む。

「ふん。确かに、えらくキレイな作りの顔してんな。母亲似か?」

颚を掴まれて、ぎょろりとした眼球に、じろじろと眺められた。

不安定な视力のまま、凪斗は目の前の顔を见る。青黒い顔色。ギラつく目。尻上がりの眉はかたちよく生え揃(そろ)っている。鼻はしっかり高く、ふてくされたように突き出された下唇は厚い。

本来の造形的には决して悪くないのだろうが、不健康な肌の色と、下种(げす)な表情とが、男の顔の质を数段落としている。

男の背後に広がる部屋の様子からして、どうやらここはホテルの一室のようだ。

――そうか。大学の里手で、袭われたんだった……

记忆が苏る。

校内にはどうしてもついてきてほしくない、教授と话をしたらすぐに戻るから、と角能を説得したのが、このザマだ。改めて、自分の认识の甘さを思い知らされる。

「……だ、れだ?」

舌が少し痹れているみたいで、吕律(ろれつ)がうまく回らない。

男はニイッと笑った。そして、ザラザラした浊(にご)った声で言う。

「おにいちゃん、って言ってみろ」

「おに、い?」

「こんなに可爱い弟をもてて、俺は幸せモンだな。これなら、ひと晩の贷し出しでもけっこうな値がつくぜ」

骨を砕かんばかりの力で颚を掴まれ痛む头を揺さぶられると、吐き気が込み上げてくる。

――弟、って……

「……あ」

目を见开く。

「き、きりゅう、たつひさ?」

そう呟いたとたん、男の斜め後ろに控えていた男が怒鸣(どな)った。

「こら、てめぇっ! 辰久さまを呼び舍てにして……」

「まぁまぁ、いいじゃないか」

辰久は凪斗の颚から外した指を、喉元へずるりと滑らせた。喉を绞(し)めるみたいに、凪斗の首を掴む。

「しっかし、笑えるよなぁ。こんなガキを四代目にしようなんてよ。あのジジイ、耄碌するにもほどがあるだろうってなぁ」

异母兄の目が、忌々(いまいま)しげに眇められる。

「俺、は――」

凪斗は必死に口を动かした。

「俺は、四代目なんて、なるつもり、ない。兴味もない……ただ、普通にしてたい、だけなんだ。放っておいて…くれよ」

「兴味がない、か」

辰久の瞳が小刻みに痉挛(けいれん)した。

「俺はなぁ、そのてめぇがキョーミねぇもんに、跃起(やっき)になってんだよ! おかしいか? ああ? おかしいんだろ、笑ってみろよっ――ほら、笑えってんだ!!」

首にかけられた手に、ぐうっと力が笼められる。気道が诘まって、凪斗は脚をばたつかせた。……この男は、壊れている。

凪斗は首を绞める男の手を、爪でガリッと引っ掻いた

「ッ、このガキゃあっ」

喉から圧迫感が消えて、空気を吸い込んだ瞬间、激しい冲撃が左の頬を袭った。ゴッッと钝い音が头のなかで响く。脳が痹れた。拳(こぶし)で殴られたのだ。口腔が切れたらしく、血の味が舌に拡がる。

――杀されるかもしれない……

辰久にとって自分はこの世から抹消したいほど邪魔な存在なのだ。

身体を捻り、セミダブルのベッドのうえを这いずって逃げようとすると、异母兄が背後から抱きついてきた。服の胸の合わせから男の热っぽい手が入ってくる……その时になってようやく、凪斗は自分が浅葱(あさぎ)色の襦袢(じゅばん)を着せられていることに気づく。

「やめろ――いや、だっ」

まるで女にそうするように、平べったい胸を痛いほど揉(も)まれる。裾が卷(まく)り上げられて、下着をつけていない尻を剥き出しにされた。小ぶりな双丘を持ち上げるように抚でられる。

「触るなよ、っ、――あ!」

バチンという音が部屋に响いた。掌で思い切り打掷(ちょうちゃく)された臀部(でんぶ)が热くなる。

「育ち途中の小娘みたいな尻だなぁ」

ジンジンする尻を捏ねられる。

「おい、下に使うクスリだ」

控えている男に、辰久は命じた。男はすぐにテーブルに置かれた箱から取り出したものを、辰久に手渡す。

「クスリって、なに……」

「辰久さま、お手伝いします」

「ああ、この尻朶(しりたぶ)を开いてくれ」

もがき暴れているつもりだったけれども、身体がだるくて思うように抵抗できない。

ふたりの男の前で、凪斗の双丘は左右に割り拡げられた。その底にある窄(すぼ)まりが外気に触れる。

「な、なに、すんだよっ――そんな、とこ、ぁ、あっ」

细やかな襞(ひだ)を押し开いて、小さな异物がツプと押し込まれる。そして、そのまま小指が侵入してきた。クスリを奥のほうへと押し込まれる。

「っ、や」

「狭い孔だな」

辰久が凪斗のなかでいやらしく指を振动させる。

「心配すんな。ただの気持ちよくなれるクスリだ。さっき口から饮ませたヤツとダブルだから、素人さんじゃ狂いそうになるかもなぁ」

指が抜かれた。肩を掴まれて、仰向(あおむ)けに身体を転がされる。丸出しになってしまった下腹を、凪斗は襦袢の前を掻き合わせて隠した。

変な感じに心臓がドカドカと打っている。頬や首筋がもわんと热い。

辰久はまた布越しに凪斗の胸を乱暴に揉んできた。……そうされると、乳首が尖って、じわっと热くなる。さっき饮まされた口径用のクスリのほうが効きはじめているのかもしれない。自分の身体はどうなってしまうのか。恐怖が押し寄せてくる。

「いいか? 下のほうのクスリは、なかにザーメンぶち撒(ま)けてもらわねぇと、中和されないブツだ。おまえはこれからオークションにかけられて、俺の得意客たちの前で脚をおっ开いてみせるんだ。で、买ってくれた男に一晩中ぐちゃぐちゃ犯してもらうんだ」

信じられない言叶の罗列に、凪斗は目を见开く。

「おい、俺の可爱い弟を见张っとけ……商品なんだから、手は出すんじゃねぇぞ」

手下の男に命じてから、

「凪斗、おまえがオークションの舞台でどんなショーを见せてくれるか、おにいちゃんは愉しみにしてるぞ」

辰久はおもしろくて仕方ないといったふうに、笑いに肩を揺らしながら部屋を出て行った。

……クスリの効果は、すさまじかった。辰久が出て行ったから十分もしたいうちに、凪斗の身体は腰も立たないほどの浓密な热っぽさに包まれた。そうなるともう、见张りの者の隙を缝って脱出を试みることもできなくなる。

「やっと大人しくなったか」

三十代後半のダークスーツ姿の男が、椅子(いす)にどっかりと腰を下ろす。

着惯れない襦袢を缠って、うつ伏せの姿势、凪斗はベッドのシーツを両手でぎゅうっと握り缔めた。汗が项で细かな粒になる。頬の皮肤はひび割れそうなほどカッカと火照っている。

性器は、なんの刺激も与えられていないのに、完全に勃起(ぼっき)してしまっていた。こうして自分の体重で押し溃されているだけで、たまらなくなってくる。头に浓い霭がかかったみたいで、意识が不安定に揺らぐ。

「……ん……ん」

无意识に腰を蠢かしてベッドに阴茎を擦(こす)りつけてしまうと、あまい喉声が漏れた。その自分の声で、ハッと我に返る。

「――なんだ? そんなにヤりてぇのか?」

椅子を轧(きし)ませながら、见张りの男が立ち上がる。ベッドへと寄ってくるのに、凪斗はのろのろと首を横に振った。近づいてくる男から远ざかろうと身体を起こそうとしたけれども、腕に力が入らない。

「怖がんなって。俺がどんなになってるか见てやるから」

男は舌なめずりしながら言うと、凪斗の足元のほうからベッドに膝を载せてきた。うつ伏せのまま両の足首を掴まれ、左右に拡げさせられる。そうして凪斗の脚のあいだに座ると、男は裾をばさっと卷った。

腰を掴まれる。もがいたけれども、无駄で。

上体は伏せたまま、腰だけ上げる姿势をとらされる。そして、小ぶりな双丘を割り拡げられ、粘膜の口を见られた。男が念(うな)るような声を漏らす。

「さっきはピンクだったのに、真っ赤になって诱ってるぞ。前も濡れまくりだな」

男が热くなっている蕾(つぼみ)を冷ますように、ふーっと息を吹きかける。それだけで、凪斗は内腿の筋を引き挛らせて全身をビクビクッとさせてしまう。

「たまんねぇな。俺が喰いちらかしてやりてぇっ」

男の兴奋した声。

「……味见ぐれぇなら、辰久さまも赦(ゆる)してくださるよな」

突然、双丘の狭间(はざま)を濡れたものが这いまわった。

「な……いや、いやだっ、やっ……ぁ」

会阴部(えいんぶ)を这いまわっている――舌。

凪斗は萎(な)えた手足で必死にもがいて逃げようとした。けれども、逆に腰をきつく抱え込まれてしまう。

「ぁ、ああ!?」

舌が襞を押し分けて、ぐにゅりと体内に侵入する。凪斗は哀(かな)しいような悲鸣を上げた。心臓はおぞましさに震えているのに、粘膜はまるで歓喜しているかのように奥底までいやらしく波打っている。

口惜しさに唇を噛み缔める。

このまま自分は、男の舌にあらぬ场所をいじられて射精してしまうのだ……ペニスの先端から透明な蜜がポタポタと滴り落ちていく。

――だめ……も、う……

イく、と思った、その时。

ドアが乱暴に叩かれる音がした。男は凪斗の体内から舌を抜くと、激しく舌打ちして、

ベッドを下りた。

支える手がなくなり、凪斗の腰はへたりと落ちた。舐めまわされて濡れた剥き出しの臀部が、苦しさに引き挛る。イきたくてイきたくて、身体が芯から震えている。

ドアを开ける音。それとほとんど同时に、男の呻き声と、ドンという钝い音が响いた。

肩越しにのったりとドアのほうを见ると、见张りの男が床に倒れている。そして、长身の男が部屋に入ってきた。彼の整った顔はいくぶん上気し、厳しい表情を刻んでいる。

――……角能、さん……

思うとおりに动いてくれない手で襦袢の裾を引き、凪斗は惨(みじ)めな下半身をなんとか隠す。

「ど……っやっ、て、ここ?」

不覚にも、安堵の涙が零れてしまっていた。

角能とてヤクザだし、いやらしいことを仕挂けてくる男なのに、彼の顔を见たら身体中の力が抜けるほどホッとして。

角能は床に放られていた凪斗の鞄を拾い上げてから、足早に近づいてくる。

「万が一を考えて、おまえにGPS机能のついた携帯を渡しておいたんだ。どの部屋にいるのかわからなくて遅くなった。すまない」

「……」

鞄を肩にかけると、角能は凪斗を抱き起こした。……力强い手に触れられて、苦いようなフレグランスの香りを嗅(か)いだら、身体の芯が砕けそうなほどの快楽が涌き起こった。それを必死に堪える。

角能の広い背に负ぶられて、部屋を脱出した。廊下にはスーツ姿の男がふたり、伸びていた。角能が倒したのだろう。

非常用の外阶段へと出る。かなりの高さだ。囚われていたのは、大した时间ではなかったらしい。空はまだ鲜やかな青に染め抜かれていた。

角能が阶段を駆け下りはじめる。

凪斗は鋭く息を呑んだ。

……こんな切羽诘まった场面だというのに、角能が阶段を下りるごと、张り诘めた性器が彼の背中に擦れて、乱暴に溃される。凪斗は腰を引こうとしたが、角能に揺すり上げられて、逆に身体が密着してしまう。

茎はピクピクと极限状态に引き挛り、なかを通る管はすぐにもxxを通せるように开いてしまっていた。

下腹に力を笼め、角能の肉厚の肩にきつくしがみついて、放出すまいと悬命に堪えていたけれども。

ふたりの身体のあいだで性器が荒々しく揉まれるのに、头のなかが白く滚るような波が、どうしようもなく突き上げてきた。

──……、あっ…ぁ……

ついに下腹の力が瓦解(がかい)する。

男のスーツにせつなく指先をめり込ませて、凪斗は腰を震わせてしまう。堪えに堪えた分だけ、大量の白浊が襦袢の内侧をだくだくと濡らしていく。

凪斗の异変に気づいたものか、角能が一瞬だけ、阶段を下りる速度を缓めた。

间抜けすぎて、耻ずかしすぎて、顔から火を吹きそうだった。

非常阶段を地上まで下りると、角能はホテルの敷地からほどない路上に驻めてあった车の後部座席に凪斗を横たわらせた。そして、自身は运転席に座り、すぐに车を発进させる。

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