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第七章 後ろ姿.2

作者:日-美嘉 当前章节:13932 字 更新时间:2026-6-15 17:36

張るとヒロはそっと手を耳に当てて唇にキ スをした。

…パシャ その瞬間に

撮られてしまう。

「あ…キスプリクラになっちゃったよっ!!」

「それも~ありだろ」 初めての

キスプリクラ。

プリクラが完成し、 フロントに置いてあるハサミでプリクラを 半分に分けた。

「プリクラ切ったから半分あげるぅ!!」 しかしヒロは

受け取ろうとしない。

「あれ?ヒロ??プリクラだよ~……」

「俺はいらねぇーや」 耳を疑う言葉。

「…なんで?!」

「今日は最後のデートだから」 ゲームセンターの雑音に掻き消されてしま

いそうな声でヒロはさらりと答えそのまま 歩き始めた。

分けたプリクラを持ち立ち尽くす美嘉。

「ほら、早く来い」

そう言って 手を差し出すヒロ。

美嘉はヒロのもとに駆け寄り考えていた。

最後のデートって? どういう意味??

怖くて 聞けないでいる…。

店を出て自転車に乗り 再び川原へと戻ることにした。

草の上に座り、 体育座りをしながら雑草をぶちぶちと引っ こ抜いていると、 ヒロが制服のポケットから何かを取り出し 美嘉に差し出した。

「これ…」 ヒロが差し出したのは、指輪だ。 ヒロがシンナーを吸っていた日、

部屋を出る時確かヒロに投げつけたっけ…。

「……指輪つけていいの??」 指輪を受け取りながら聞くとヒロは困惑と

悔しさを足して 2 で割ったような表情を見 せた。

「…ポケットに入れておけ」 美嘉はポケットに入れるフリをして、

手を後ろに回し左手の薬指にはめてみた。

ヒロとのペアリング。

「あ~腹減った。昼飯食うか」

弁当箱を開けるヒロ。

食欲がない…。 さっきヒロがさりげなく言った言葉。

【最後のデートだから】 喉に引っ掛かっている。 さりげなく

話を切り出した。

「ね、プリクラいらないのっ??」 ヒロは

箸を止めて答える。

「さっきも言ったろ?最後のデートだから プリクラあると辛いし」

言葉の意味を 聞かずにはいられなかった。

「最後?今日で最後なの??」 ヒロは頷く。

「付き合ってくれる気少しでもあるから来 てくれたんじゃないの…??」

答えを急いでつい 早口になってしまう。

それに反するかのようにヒロはゆっくりと 話し始めた。

「今日はもう別れるつもりで来た」 思考が

現実に追いつかない。

「…だって、付き合う気ないなら来ないでっ てメール送ったじゃん……」

「最後の思い出作りたかった…」

「じゃあなんで手繋いだの?なんでチュウ したの?なんで来たの…??」

黙ったままのヒロにもどかしくなり、 話し続ける。

「美嘉はまだ好きなの。最後だなんて辛い よ別れるなら来ないでよ…」

「ごめんな、美嘉のこと嫌いになったわけ じゃないから。最後に思い出作りたかった んだ」

目からとめどなく流れる涙が ヒロの制服のズボンを濡らす。

「俺もうお前の涙拭いてやることはできね ぇ」

気付いてしまった。 ヒロの

【別れる】

と 言う決意はもう変えることはできない と…。

昨日した根性焼きの跡がズキッと痛みだ す。

この痛みはヒロを傷つけてしまった罰。 ヒロが背負う

何かの代償…。

ヒロを大好きだった証。 川の音だけが

悲しく響いた。

「俺学校戻るわ」

弁当箱をかばんにしまいながら立ち上がる ヒロ。

「……行かないで…」 立ちひざをついて

ヒロの Y シャツのすそを引っ張った。

離したらもう 戻って来ないような気がして…。

「じゃあ美嘉から行け」 ヒロは美嘉の手を引き立ち上がらせ、

学校を指さす。

かばんを持ちとぼとぼと学校へ向かう道を 歩き始める美嘉。

振り返るとヒロが こっちを見ていて…

本当にこれで 終わりなの?? 離れたくないよ…。

足を止めヒロのもとへと駆け寄り、 ヒロがフラついてしまうくらい強く抱き付 いた。

「別れたくないよぉ…」 ヒロは美嘉の肩を掴み

体をゆっくり離す。

「俺から行くわ」

一旦背を向け歩き出そうとしたが、 振り返り美嘉の頭に手を乗せた。

「…元気でな。幸せになれよ。バイバイ」 ヒロは美嘉の頭を胸に引き寄せ抱きしめた

が、 すぐに離し背を向けたまま歩き始めた。

居心地が良かった香水の香りも、 今は胸が痛い。

「 ……ヒロ!!別れる本当の理由は?ヒロが 変わった理由は??」

大声で叫ぶ美嘉の質問に答えず ヒロは左手をあげて遠くなっていった。

広く大きかったヒロの背中が、 なぜか今とても小さく見える。

見慣れた後ろ姿も まるで他人のよう…。

後ろ姿はだんだん 遠くなってゆく。

………振り向いて。 ちっぽけな願いさえ

届かない。

ヒロは一度も 振り向かなかった。

追い掛けたい。 でも追い掛けたら、

もっと苦しくなるような気がするの。

これ以上

傷つくのが怖い。

…意気地なし。

ヒロの姿が 見えなくなった。

空を見上げる。 流れる雲… 今この空、

ヒロに続いている。

ヒロと繋がっている。

これからは別々の道歩いて行くんだ。 ヒロが一生懸命悩んで決めた結果

受け止めなければならないんだね。

突然の別れ 理由はわからないまま…

来るはずのない影を、 待ち続けた。

二人で過ごしたこの川原で終わりを告げ た。

今日ヒロが来なければ、こんなに辛くはな らなかったかな。

かばんからはみ出た ついさっきヒロと撮ったプリクラを見つめ る。

「幸せそうに笑ってるの美嘉だけだね…」 プリクラを丸めて

川へと投げ捨てた。

ヒロが突然変わった理由を知ったのは 何年も先の話…。

第ハ章 距離

本当はもうダメなの わかっていたんだ。

見ないフリしてた。 ヒロの薬指に指輪がなかったことを…。

ここにいても辛いだけ。仕方なく学校へ向 かう。

二人が出会った学校に行くのは辛いけど… 少しずつ前に進まなければいけないから。

玄関で学年主任の先生に遭遇した。

「コラ!遅刻か?」 靴を履き

下を向いたまま答える。

「すいません」 先生は美嘉の顔を覗き込み腫れた目を見つ

めた。

「桜井と何かあったか?」

「別に……」 今は何も

考えたくない。 だから嘘をつく。

「そうか…さっき玄関で桜井に会った時、あ いつも泣いてたみたいだったからな」

ヒロが泣いてた…? そんなはずないよ。

「まぁ人生いろいろあるからな」

力なく返事をし、 階段を駆け上り教室へと向かった。

教室の前にいるのはヒロ 隣のクラスのサリナと仲良さげに話をしてい

る。

ヒロはモテるから… だからって教室の前で話さなくてもいいの に。

ヒロはこっちをちらっと見たが、 すぐに目をそらしサリナと楽しそうに話を続 けた。

涙を堪え下を向いたまま走って教室に入 り、

机に座り顔を伏せた。

左手の薬指につけた指輪を乱暴にはずし、 制服のポケットへと投げ込む。

「どうした?」 背後から声を掛けてきたのはノゾムだ。

「ノゾム久しぶりぃ…」 ノゾムは美嘉の顔を

じっと見ている。

「泣いたのか?」

「ヒロと別れたぁ。…ってか振られちゃっ た。ありえないよね!!ノゾムはアヤとどうな の??」

ノゾムは一瞬何かを言いたげな顔をしたが

すぐに元の顔に戻した。

「…マジか。俺らはとっくに終わってっか ら。話したりはするけどな」

「そっか……」

「ヒロのこと嫌いにならないでやってな…」 意味ありげな言葉。

今は聞き返す余裕もない

「嫌いになんてならないよぉ。ってかなれ ないから…」

これからはヒロに彼女が出来たとしても、 それを受け止めるしかないんだ。

祝福してあげるのにはたくさん時間がかか るかもしれない。

だけど…

頑張るよ。 応援出来るように 頑張る。

でも今はもう少しだけ好きでいさせてね。 最後の

わがままだから…。

別れてから 次の日だった。

ヒロに 彼女が出来たのは…。

相手は 隣のクラスのサリナ。

だから昨日楽しそうに話をしていたんだ。 サリナはずっとヒロのことを狙っていて、

美嘉とヒロが別れたのを知って昨日告白し たらしい。

ヒロはそれに Ok の返事をして、 二人は付き合い始めたんだって。

ねぇ、 別れて次の日だよ??

早すぎるよ………。

いつかヒロに彼女が出来たら祝福しようと 思っていた。 だけどあまりに早すぎて心がついていかな い。

その日は授業に集中できるはずもなく、 先生に注意されながらもずっと顔を伏せて いた。

全ての授業が終わりアヤと校門を出たその時 黒い自転車がビュンと勢いよくすれ違っ た。

前にはヒロ。 そして後ろにはサリナ…。

サリナは美嘉の顔を見て、“羨ましいでしょ” と言わんばかりの顔で笑う。

【俺の自転車の後ろは美嘉の特等席な】 ヒロの言葉が

頭に浮かぶ。

思い出したらダメだね。

自転車が通り過ぎた時風と共に運ばれて来 た香りは、 スカルプチャーではない違う香水の香りだ った。

「忘れなよ!あんな女と付き合う男なんか ロクなやつじゃないよ」

「……だよね」

わかってる。 わかってるんだよ。 でもね

どうしてだろう。

思い出すのは幸せな日々ばかり。

ヒロの笑顔だけ…。 それから毎日学校へは行くものの、

教室に閉じこもる日々が続いた。

だってね、 廊下に出ればヒロとサリナがいるし……。

その二人を笑顔で見れるほど 吹っ切れてないの。

そこまで大人にはなれないんだ。

サリナは美嘉に 敵対心を持っている。

美嘉がヒロの 元カノだから…。

誰だって、 大好きな人の元カノを見ると腹が立つよ ね。

サリナはわざわざ美嘉の教室に来て、 聞こえるような大声で自慢話をする。

「今日弘樹と遊ぶんだ~♪」

「昨日弘樹とたくさんキスしたさぁ♪」

こんな感じで。 美嘉がまだヒロのことを好きだと

知っていながら…。

それを聞くたびに胸が痛む。 苦しい。

悲しい。

そんな美嘉を見かねて、ヤマトが相談に乗って くれた。

やっぱりヤマトは 最高の男友達。

時には優しく時には厳しく 男としての意見を的確に言ってくれる。

教室でアヤとヤマトに慰めてもらっていたその 時、

廊下からサリナの声が聞こえた。

「弘樹の元カノもう男出来たんだぁ~早 っ!」

サリナの横からヒロが顔を覗かせる。 ヤマトを睨みつけるヒロ。 意味がわからないよ。

もう期待させないで…。

その日の夜…

♪ピロリンピロリン♪

受信相手を見て

驚きもしなかった。

受信相手はヒロ。 なんとなく

来る予感はしていた。

《ゲンキカ?》 ヒロからのメール、

ずっと待ち望んでたはずなのになんだか苦 しい。

《ウン》 そっけなく返信する。

受信:ヒロ

《ミカオトコデキタ?》

送信:美嘉

《デキテナイ》

受信:ヒロ

《キョウハナシテタオトコハ?》

送信:美嘉

《トモダチ》

《オレアシタデート♪》

送信:美嘉

《ヨカッタネ》

受信:ヒロ

《オトコトダケドナ!》

《ダカラシンパイスンナヨ!》

返事をしなかった。 ヒロ自分勝手すぎるよ。振り回さないでよ。 だけど、

それでも少し喜んでいる自分に無性に腹が

立つ。

電話帳からヒロの番号を消すことが出来な い自分の弱さに無性にむしゃくしゃする。

ヒロに彼女が出来て、 諦める決心がついたのに

なのに…。 ある日の朝。

校門の近くで、 サリナがいかつい男と歩いてるのを見た。

サリナは美嘉の姿を見つけると一緒にいたい かつい男に手を振って別れ、 こっちへ歩いて来る。

受信:ヒロ

そして目の前に立ちはだかり、 口に手をあててクスクスと笑った。

「見ちゃった?あれ新しい彼氏。いい男で しょ」

人を馬鹿にしたように 鼻で笑うサリナ。

「へ~良かったね」 ヒロとは

どうなったのか。 気になるけど… 悔しくて聞けない。

サリナは美嘉の気持ちに気付いたのか ポケットから出したリップクリームを唇に 塗りながら言った。

「弘樹は返す~♪」

「……は??」

「まぁあんたはもう無理だろうけどね♪」 返す??

もう無理??

サリナの言葉一つ一つに 反応してしまう。

「弘樹ってクールだと思ってたのに違った みたいな~」

「……で??」

「だから振った~♪だって私クールな人の ほうが好きだからぁ~もう返してあげる♪」

頭の中で 何かが音をたてて切れた

「………ざけんな」

「え?」

「ふざけんなって言ってんだよ!!」 口から自然に出た言葉。 美嘉の強気な態度にサリナはア然としている。

「えっ…何そんなにキレてんのぉ」

サリナは半笑いを浮かべながらも明らかにお びえた顔をしている。

美嘉の怒りは おさまる気配もない。

「ヒロを傷つけんじゃねーよ。あんたにヒ ロの何がわかる??何も知らないくせ に……ふざけんな!!」

手に持っていたかばんを サリナの顔に向かって投げつけた。

「痛っ…何すん…」 顔をおさえるサリナ。

それでも怒りは おさまらない。

「ヒロに謝れよ!!ヒロ強そうに見えて傷つ きやすいんだからっ……」

その時、 背後に気配を感じた。

後ろに立っていたのは ノゾムだ。

ノゾムはサリナに顔を近づけ強く睨みつけた。

「お前みてぇなバカでキモい女、一生幸せ になれねーよ!消えろ」

サリナはまばたきをすることさえ忘れている。

「行くぞ!」 ノゾムは美嘉の手を引き

玄関まで歩き始めた。

「ノゾムごめん…」

「美嘉悪くねーよ。話聞こえたけどあの女 マジキモくね?」

「もう疲れたぁ…」 ノゾムは何かを思い出したように口を開い

た。

「そう言えばヒロが図書室来てだって!」

「……なんで??」

「わかんねぇなんかキレてる感じだったけ ど…」

サリナと別れたヒロ。

不謹慎ながらも淡い期待を抱いてしまう。 教室には向かわず

直接図書室へ向かった。

息を大きく吐き出し 図書室のドアを開ける。

ガラララ

まっさきに目に入ったのは机に座るヒロの 姿。

こんな状況の中 久しぶりに会うヒロに胸がときめく。

【キレてたっぽかった】 ノゾムの言葉さえも

忘れて…。

「座れ」 ヒロの声だ。

ヒロ会いたかった。 会いたかったよ。

イスに座らずに 冷たい床の上に座った。

ヒロはいらついたように貧乏ゆすりをして いる。

「サリナに嫌がらせしたんだってな?」

「はい??」 久しぶりの会話なのに、二人の間には重い

空気。

「サリナから聞いたけどお前サリナの陰口言って たんだってな?」

「それ逆だし…ってか」 最後まで言い終わらないうちに、

ヒロは言葉を遮った。

「そのせいで俺ら別れたんだけど」

「…どーゆーこと??」

「サリナがお前に嫌がらせされて辛いから別 れたいって言ってきたんだよ」

「違うよ。サリナはヒロがイメージと…」

話している途中に 気が付いた。

…やられた。 ハメられた。 あの女に。

「お前のせいで俺ら別れたんだよ」

「ヒロのバカ。もういいよ………」 図書室を出ようと

ドアに手をかけた時…

「どーしてくれんだよ」 腕をぐいっと掴まれ、

図書室にはヒロの声が響き渡った。

「………離して」 その手を強く

振り払う。

「……一生あの女に騙されてれば?!バカ っ」

強引にドアをあけ 図書室を出て教室まで全速力で走った。

サリナは男をコロコロ変えるタイプで ヒロと付き合い始めた時もう一人彼氏がい た。

二股していたのだ。 その相手が朝一緒に歩いてたいかつい男。 サリナはヒロが見た目のイメージとちょっと

違ったからって、

ヒロに別れを告げてもう一人の男を選ん だ。

しかし別れる理由が見つからなく 嫌いだった美嘉に嫌がらせされたという理 由でヒロに別れを告げた…。

二股をしていたうえ美嘉のせいにしてヒロ に別れを告げたサリナは最低な女。

でもサリナを信じて美嘉の話を聞こうともせ ず信じてくれなかったヒロの方が最低な男 だよ。

久しぶりに会えて嬉しかったのに。 もしかしたらまた前みたいに戻れるかもっ て思ったのに。

この日をきっかけに、 美嘉は変わり始めた。

ヒロとサリナはそれから 本当に別れてしまったみたいだ。

…当たり前か。

そんなことは もう関係ない。

PHS から最新の携帯電話に変えた。 新しいアドレス張に一度だけ登録したヒロ

の番号は、 考えるに考えて削除した

登録していると連絡してしまいそうになる から…

見返したい!! いつしかそう思うようになりダイエットを

始めて 5 ㎏減。

ギャルメイクを卒業し、アヤからお姉系のメ イクを教わり実践してみる。

セミロングでストレートだった髪も、 美容室へ行きエクステを付け巻いてもらっ た。

今までつけたことのなかったヘーゼル色の カラーコンタクトを付け、 ネイルにも力を入れる。

ヒロと別れて二ヶ月。

「かわいくなったね!」 周りの人からこう言われることが増えた。 ノゾムと別れてからずっとフリーのアヤと二人

で街に繰り出し

ナンパ待ちをする。

友達から誘われるクラブやパーティーにも 参加。

遊んでいれば何も考えなくてすむ…。

ヒロは対抗するかのように荒れ始めてい た。

明るい茶色だった髪も眩しい金色に染ま り、

学校での喧嘩はたびたび…。

二人にはいつしか

距離が出来ていた。

━夏休み

早いもので高校二年生になってからもう五 ヶ月。ヒロと別れてからもう三ヶ月も経っ た。

蒸し暑い部屋でうちわをあおぎながらベッ ドに横たわっていた時…

♪プルルルル♪

着信:アヤ

夏休みに入って毎日のように来るアヤからの 電話。

今日も遊びの誘いかな。

『はぁーい♪』

『美嘉ぁ♪今何してる~!?』

『暇っ子してる~!!』

『ラッキ♪じゃあ今日の夜とか暇だったり する?!』

『暇ぁ~♪♪』

『合コンしない!?』

合コン。 乗り気じゃないけど…。一人よりはマシか な。

『いいよっ♪メンバーは??』

『あたしの友達の友達なんだけど!超イケ メンらしいよ~あっちは三人来るみたい!』

『Ok~♪じゃあ何時にどこ??』

『6時に美嘉の家行く♪』

『はいよ~っ!!』 少しだけ昼寝をし、

目覚ましを4時にセットした。

♪ジリリリリ♪

「ふぁ…4時かぁ」

寝てると時間が過ぎるのは早いもんだ。 のそっと起き上がり用意を始める。

別に彼氏が欲しいわけではない。 しかしイケメンとなるとつい気合いがはい ってしまうものだ。

メイクと服装をキメて アヤを待った。

ピンポーン♪

6時 1 分に 気合い充分のアヤが到着。

長身でスラッとしていて綺麗な顔立ちのアヤ は、 白いワンピースがとても似合っている。

待ち合わせの時間が来るまで二人で今日の 合コンについて盛り上がった。

「イケメンとか自称だったりして!」 アヤの言葉に

不安がよぎる。

「ありえるよねぇ…でも楽しかったら別に いいかなっ!!」

「いやぁ~あたしはイケメンじゃないとダ メ~」

「アヤイケメン大好きだもんねっ♪♪」

「だって早く彼氏欲しいも~ん!美嘉は彼 氏作らないの?」

「…ん~、しばらくはいらないかな。美嘉の 恋愛のモットーは、“なるべく男は信じな い”だから!!」

「そっかー…まぁ、楽しもうね♪」 こんなことを話しているうちに約束の時間

が近づき、 美嘉とアヤは待ち合わせ場所のカラオケへと 向かった。

カラオケの前には 三人の男が立っている。

「美嘉!あの人達じゃない?行こう!」

「多分そうだね。三人だし!!」 三人の男に背後から話しかけるアヤ。

「こんにちわ~アヤですけどぉ~」 三人の男が一斉に振り向き

真ん中にいた男が口を開いた。

「おー、アヤちゃん?」

「アヤでぇす♪」 アヤはイケメン三人に目をキラキラと輝かせ

ている

「そっちの子は友達?」

「あー…美嘉です」

怪しい雰囲気の 三人の男。

軽く自己紹介をして、 カラオケに入った。

合コンに来た三人の男の名前はリュウ・カイト・ソ ウ。

に三人とも今時のイケメンでモテそうな感 じ。

ただ第一印象は… かなり軽そう。

見た感じ バリバリの遊び人だ。

でも見た目だけで判断しちゃダメだよね…。 三人とも黒い学ランがとても似合ってい

て、 いつもブレザーしか見ていない美嘉にとっ て新鮮だった。

リモコンで曲を入れて、みんなは歌い始め る。

三人ともノリが良く お酒を飲んでいないというのに大盛り上が り。

そんな時カイトの携帯が鳴りカイトは携帯を持っ たまま部屋を出て行った。

「わりぃ、用事出来たから抜けるわ!」 カイトは部屋に戻って来るなりそう言って帰

ってしまった。

「帰っちゃうの~?」

露骨にガッカリするアヤ。 確かに猿顔のカイトは三人の中でも1番アヤの

タイプに近い。

「女に呼び出された?」 リュウがポツリと呟く。

「カイト君女いたの!?」 アヤはとても残念そうな顔をした。

「四人で楽しもうぜ!」 ソウの一声で

カラオケは再開。

♪♪……♪♪

歌うだけ歌ってソファーでもたれかかる 疲れきった四人。

時計を見れば もう 11 時。

そろそろ解散の時間。 四人は携帯のアドレスを交換して、

外に出た。

「あ~楽しかった♪」 アヤが叫ぶ。

「また遊ぼ?」

「うんっ♪」

ソウの問いに 美嘉は軽い返事をした。

「てかぁリュウ君もソウ君もなんで夏休みなの に制服なの?」

アヤのするどい質問にリュウとソウは顔を見合わ せて苦笑いしている。

「俺達の学校夏休み始まるの遅いんだ!」

「マジマジ!」

この二人の焦りよう なんだか怪しい…。

きっとアヤもそう感じているだろう。

「「解散!!」」 家へと歩き始める。

「俺送るよ!」 後ろからついて来たのはソウだ。

少し先ではアヤとリュウが 並んで歩いている。

「いや…いい…」

「遠慮すんな!」 ソウは横に並んで

歩き出した。

…遠慮してないのに。 暗い帰り道

隣で歩くソウの手がそっと触れる。

ソウは触れた手を 握りしめた。

「やだっ……」 反射的に手を

振り払ってしまった。

ソウは何も言わない。

…重い沈黙…

「あそこで少し話そ?」 沈黙を破りソウが指さしたのは、

小学校のグラウンド。

さっき手を振り払ってしまった手前、 断りにくい。

「………うん」 フェンスにより掛かりながら話をした。

「ってか今日かなり気温高くねぇ?」

「そうだねぇぇ」 あ~帰りたい…

そう思いながらそっけなく答える。

「ってか~美嘉ってめっちゃ俺のタイプ」 自然な入り方に一瞬考え

そしてすぐに理解した。

「またまたぁ~っ」

「いや~マジだから!」

「はいはぁ~い!!」

ソウが言うと本気に聞こえない。 きっといろんな女に言ってるんでしょ。

突然ソウは 美嘉を強く抱きしめた。

皮肉にもソウの制服から微かに香るのはヒロ と同じスカルプチャーの香り。

「離して…」 体を離そうとしても、

強い力で押し戻される。

そして 強引にキスをされた。

「やめっ…ん~……」 唇が塞がれ

言葉が出ない。

ソウの体を強引に押し、 少し離れた瞬間に地面に座り込んだ。

「…やめてよっ!!」

震える声で叫ぶ美嘉。 冷静に答えるソウ。

「は?なんで?」

「なんでって…好きじゃないのにこんな…」

「今さら何言ってんの。いろんな男とやっ てんだろ?」

「……え??」

「今日いたアヤって女遊び人なんだろ?すぐ ヤレるって聞いた。そいつのツレなんだか らヤラセてくれんだろ?」

何それ。 美嘉もアヤも遊び人じゃないし…。

「早く立てよ!」 ソウは美嘉の手を強く引っ張ったが、

美嘉は座り込んだまま動こうとはしなかっ た。

「やらしてくんねぇのかよ。つまんねー女」 ソウは舌打ちをした後フェンスを強く蹴り、

帰って行った。

ソウが見えなくなったと同時に立ち上がり、 体育館の裏にある水道から水を出し何度も 何度も唇を洗う。

悔しいことに、 こんな時思い出すのはやっぱりヒロの顔。

突き放されても… 助けにくるはずのないスーパーマンを

心のどこかで待ってる。

まだ指が覚えている電話番号を何回も押し ては消して押しては消して…

ダメ。 ヒロはもう助けに来てはくれないんだよ。

自分に言い聞かせる。

忘れられないぬくもり… 友達と遊んでいても

心の隙間は埋まらなかった。

いつも誰かをヒロと比べてしまっていた自 分に

やっと気付く。 ねぇ、ヒロ。

ヒロと別れてからね、 いろんな人とたくさん遊んだ。

携帯の電話帳を開くと、この三ヶ月で電話 帳に登録されたのは 100 人以上もいるんだ よ。

でもね、 こんなに友達がいても全然ダメなの。

ヒロが… ヒロがいてくれなきゃ…

ダメなんだよ。

電話帳に入っていた昔からの友達以外の名 前を一件一件消した。

最後の一件を消した時にはなぜかおかしく なって笑ってしまった。

涙が出ないのは、 きっと心が泣いているからだね。

忘れられると思っていたヒロの存在は、 思っていたより、

ずっとずっと大きくて…

ちょうど一年前のこの季節にヒロと出会 い、

過ごして来た日々をゆっくりと思い返す。

まだ無邪気に笑って、 がむしゃらに何かを追い掛けていたあの頃 とは、

もう違う。

別に… 好きでいてもいいよね? 迷惑かけないから、 想うのは自由だよね??

男って体目的のためにうまい言葉を使って 思わせぶりな態度とって…ずるい。

男なんて信用出来ない。だけど… 今信じられるのは

たった一人だけ。

たくさん裏切られたけどなぜか今でもあな たのことだけは信じています。

帰り道 電話が鳴った。

♪プルルルル♪

着信:アヤ

アヤは大丈夫だったかな。

『………はい』

『もしもし!美嘉、大丈夫!?』

『え…どうにか無事です…アヤは??』

『あたしもどうにか…。ってかあいつらあた しを誰かと勘違いしてたみたい。ヤリ目的 で合コン開いたって!』

『やっぱりぃ…』

『あの制服も偽だって!学校行ってないら しい。あいつらヤリコン常習犯みたい!』

『あーなんか様子おかしかったもんね!!』

『美嘉ー変なの巻き込んでマジでごめん。』

『ん?あ、いやいや大丈夫。気にしなくて Ok だから!!』

男は、 好きじゃなくても一つになりたいって思う のかな

好きでも無い人と繋がれて嬉しいのかな。

今、 ヒロとの距離は すごく遠い。

ヒロはあれから 変わってしまって、

一ヶ月で 10 人と経験しただとか、 女連れで毎日遊んでいるだとかいろんな噂 を聞いたりもした。

美嘉の悪口も 言ってるらしいね…。

それでも 少しずつ近づいてみせるよ。

昔みたいに戻れないのはわかってる。 でも…

自分の気持ちに 嘘つきたくないから。

学校祭が近付く。

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