命の大切さも、 幸せな日々も…。
イズミやヤマトやシンタロウとも、友達になれないま ま
終わっていたのかもしれないね。
ヒロと出会ったからこそ今の美嘉がいるん だ。
「そうだね。その人に出会ってなかったら 優さん達にも出会えてなかったよね………」
「そうやな!美嘉ちゃんにも忘れられない 人がいるように美嘉ちゃんのこと忘れられ へん人も絶対おるから。忘れようとすれば するほど離れなくなるもんやで。今の自分 を育ててくれたこと感謝したらええよ!」
黙っていると 優は照れくさそうな顔で振り向いた。
「ちょっとクサかったやろか?」 美嘉は微笑みながら
首を横に振った。
ここから見える光の中でたくさんの人が生 活し、それぞれ悩みを抱えているんだ。
好きな人と 別れてしまった人
想いが届かない人 どうしようもなく
辛い人
立ち直ろうと 頑張ってる人
もう既に立ち直って 進んでいる人
みんなみんないろんな日々や想いを経て、 仲間に出会い、
乗り越えて行くんだね…
「優さんありがとっ。元気でた!!」
立ち上がり夜景に向かって大きく伸びをし た美嘉の表情は
期待に満ち溢れていた。
「まぁたくさん悩むことはええことや。で もあんまり悩みすぎたらあかんで!」
そして再び車に乗り山道を乗り越え 家の前まで送ってもらった。
夜景を見て… 優の言葉を聞いて
心にぽっかりあいていた穴が少しだけ埋ま ったような気がした。
今まで出会って助けてくれたたくさんの人 達に
改めて感謝…。
「今日はありがと!!」
「お~ほなまたなぁ!」 優はクラクションを二回鳴らし窓ごしに手
を振りながら帰って行った。
部屋で暖房にあたりながらテレビを見てい た時…
♪プルルルル♪
着信:アヤ 一瞬出るのをためらう。 だって、
なんとな~く嫌な予感がするから。
アヤは優のこと 好きみたいだし…。
高鳴る胸の鼓動を片手でおさえもう片方の 手で電話に出た。
『…はいぃ』
『今大丈夫!?』 嫌な予感とは裏腹に元気なアヤの声で怒って
いないことを確信。
『大丈夫!!』 興奮状態のまま
早口で話すアヤ。
『実はあたし~優さんのこと狙ってたんだ ぁ!』
『…知ってるっ』
アヤが何を言いたいのかがわからない。
『でもあたしケンちゃん狙いで行くことにし た♪優さん美嘉のこと気に入ってるみたい だし、今日ケンちゃんと二人で遊んだんだけ ど気が合っちゃって~♪』
思いはただ一つ。
……切り替え早っ!!
でも少し安心。 アヤ大人になったなぁ。
ちょっと前のアヤなら
「人の男奪った」だとか絶対文句言ってた のに。
たったの一年の間に 人は成長して大人になるんだと実感。
でも成長できたのは恋のおかげかもしれな いね。
人は辛い想いするほど成長していくんだ ね…。
『美嘉ぁ?お~い!』
『…あ、ごめん。そっか~わかったよ!!』
『来週から学校始まるからその時ゆっくり 話そうねぇ♪じゃあまたぁ!』
電話を切り、 優にお礼のメールを送信して眠りについ た。
こんなに温かい気持ちで眠りについたのは 久しぶりだなぁ…。
短い冬休みはあっという間に終わり 学校が始まる。
━三学期 雪が溶けては凍り、
地面はツルツルだ。
転ばないように必死で足に力を入れながら 学校へ向かう。
「おっはよ~ん!!」
「「美嘉おはよ~♪」」 教室のドアを開け元気に挨拶をすると、
みんなは振り向き声を揃えた。
イズミとアヤとシンタロウとヤマトが一つの机に集まっ ている
「何やってんのっ!?」 机の上に散らばっているのはたくさんの写
真。
「クリスマスの時の写真昨日現像してきた ぜ!」
自慢げなヤマト。 写真を手に取り
一枚一枚見た。
「イっケメ~ン♪」 アヤが写真の中の
優を指さす。
「優さんモテるからな。バイト先もそうだ し大学でも人気らしい」
シンタロウは納得したように 答えた。
優さんモテるんだ。
…って 何気にしてるんだろ。
全部の写真に一通り目を通して 気付いたことが一つ。
美嘉笑ってない。 写真の中の美嘉は どれも悲しそうな顔をしている。
楽しくて笑っていたはずなのに…。 心は大丈夫でも
顔に出るものなんだ。
「美嘉~優さんと二人で遊んだんでし ょ?!」
アヤの唐突な質問に イズミが身を乗り出す。
「本当?!」
冷やかす四人。 美嘉は机を叩いて
立ち上がった。
「…友達だしっ!!」
友達のはずだったんだ。この時は…。