饭饭TXT > 海外名作 > 《恋空(日文版)》作者:[日]美嘉【完结】 > koizora.JP.txt

第十七章 青春

作者:日-美嘉 当前章节:15388 字 更新时间:2026-6-15 17:36

大学生になってから二ヶ月が経った。

そろそろ通帳の残高が危うい…。

本当は三ヶ月くらいは生活できる予定だっ たが、入学当時はサークルの新観コンパな どが毎日のようにあり、 思ったより支出が多かったのだ。

バイトをしようとアルバイト情報誌を買っ たりもしたが、

結局読むだけで決めることができずにい た。

でもさすがにやばい…。 バイト探さなきゃ!!

せっぱつまった状況でコンビニにアルバイ ト情報誌を買いに行く。

今日は授業があるけど、今はそれどころじ ゃないからサボろ~っと。

実は理由をつけながら授業をサボれるの が、

ちょっと嬉しかったりもする。

…まぁそんなこと今はどうでもいいけど。

引越しから二ヶ月が経ち もう部屋の片付けは完璧に終わった。

ふわふわの白いソファーに横になりテーブ ルにあったポッキーを口にくわえながらア ルバイト情報誌を読む。

「やっぱ時給高いとこがいいよね~♪それ に~あまり大変なのは嫌だな…って贅沢言 ってる場合じゃないし!!」

一人で突っ込みを入れながらも、 真面目に探していた。

その時、 目に入った一つのアルバイト情報。

“歯科助手

18~25 歳 週三回~応相談 休日・日曜、祝日 時給 800~ 資格が無い人でも 大丈夫です。 電話連絡の上、 履歴書持参。

バイバイ歯科”

時給もいいし、

週三回でも大丈夫だし、資格なくても出来 るし、なんたって今住んでる家から近い!!

もう、 ここにするしかない!!

バイトをしなければならないと焦っていた こともあり、

すぐに電話をかけた。

♪プルルルルル♪

『はい、バイバイ歯科です。』

『あの私田原美嘉と申しますが、アルバイ ト情報誌を読んでご連絡いたしました。』

『アルバイトをご希望ですね?では、明日 の 5 時にこちらに来ていただけますか?』

『あっ、大丈夫です。』

『では、明日お待ちしておりますね。失礼 します。』

明日の5時。 さっそく面接だ。

頑張って受からなきゃ!! 生活のために、ね…。 次の日、

授業を終えてさっさと家に帰りスーツに着

替えた

バイトとはいえ、 一応正装しなきゃね…。

4時…

家から出ようとした時、かばんから着信音 が聞こえる。

バイブにしとくの忘れてた!! 電話かけてくれた人サンキュー♪

電話をかけてくれたお陰で携帯がバイブに なっていないことが判明。

面接中とかに着信音が鳴ったらそれこそお しまいだ…。

電話の相手に感謝しながら画面を見る。 着信:優

『はぁ~い♪』

り気味

『お、今日は元気やな♪今から部室来れへ ん?イズミちゃん来とるで』

イズミに会いたい…。 だけどバイトが、

生活がぁ…。

『ごめん、これからバイトの面接なのだ…』

『バイト?どこ?』

『駅近くにあるバイバイ歯科ってわかる? そこなんだけどぉ!!』

『聞いたことあるわ。でもあんまりいい噂 聞かへんで!』

噂なんてあてにならないよね。

…と一人納得する。

『大丈夫大丈夫♪イズミによろしく伝えとい て~!!』

『了解。ほな面接頑張ってな~!』 家を出て、

着いたのは 4 時 40 分。

不吉な時間だ。 まぁ、

4 時 44 分よりはいいけどね…。

ちょっと早く着きすぎたかな?? でも遅刻するよりはいいかぁ♪

面接の緊張からかなぜかテンションは上が

中に入ると、 癒される音楽。

それに反する子供の泣き声。

受付のちょっとぽっちゃりとしたお姉さん に話しかけた。

「あの、昨日連絡した田原です。」

「田原さん、お待ちしておりました。こち らへどうぞ。」

ニッコリ笑い、 個室へと案内してくれたお姉さん。

「もう少ししたら先生が来るのでお待ち下 さいね。」

そう言って受付へと 去って行った。

もし美嘉がここに合格したら、

これからさっきのお姉さんがしていたよう に受付に座って仕事するんだ。

なんだか緊張して胸がドキドキして来た…

その時、 ゆっくりと開くドア。

「田原さんですね?」 おそらくと言うか、

確実に歯科医師だ。

医師はマスクを取り、 美嘉の向かい側のイスに座る。

「田原美嘉です。よろしくお願いします。」

医師に履歴書を差し出す 今日の授業中に一生懸命書いた履歴書を…。

小柄で痩せ型の医師。 歯科医師なのになぜか歯並びが悪い。

歯科医師だから歯並びがいいわけじゃない んだ…

顔を見つめながらそんなことを思ってい た。

以外と余裕があるのかも

医師はしばらく履歴書を読み、 そして顔を上げて質問を投げ掛けてきた。

「18 歳…だね?」

「はい。」

「週何回働ける?」

「3 回でお願いします」

「田原さんは、一人暮らしかな?」

「…えっ?」

一人暮らしかなんて関係ないじゃん… と思いながらも沈黙に耐えられず答えた。

「一人暮らしですが」

「じゃあ明日から来て下さい。」

「はい!ありがとうございます!!」

「じゃあとりあえず今日は帰っていいよ。」

「よろしくお願いします!!」 帰りに、

受付のお姉さんに頭を下げ外に出た。

嬉しいから優に電話をかけちゃえ!!

♪プルルル♪

『はい~』

『優!!バイト受かったぁ♪明日から♪』

『もう決まったん?早いな!おめでとさん♪

俺と遊ぶ時間も作ってなぁ』

『もっちろぉーん♪じゃあ明日ね!!』

バイトするのが楽しみなわけじゃない。 ただ合格したのが嬉しかった。

次の日からさっそくバイトへ向かう。

「おはよ~ございま~す!!」 基本は元気に挨拶でしょっ。

「しぃ~。患者さんいるから静かにね!」 受付のお姉さんに叱られてしまった。

お姉さんの名前は、 林さん。

もう 2 年もこのバイバイ歯科で働いている らしい

今 22 歳で、 バイトではなく就職したんだって…

今日はバイト初日だったので、 林さんから仕事を教わった。

受付やカルテ整理、 会計…。

覚えることの多さに 頭は混乱。

「これで全部。今日はもう終わりだよ!」

白衣から私服に着替えようとロッカー室に 行くと

林さんは周りを確認しながら美嘉に近付き 耳打ちをした。

「先生に気を付けて。セクハラみたいなそ

ーゆーのでやめてく子たくさんいるから…」

「え、それって…」 詳しく聞き出そうとした時、

遠くから医師が林さんを呼ぶ声が聞こえ た。

「じゃあ、お疲れ様!」 林さんは医師のもとへと走ってゆく。

歯科を出て歩きながら考えた。 先生に気を付けろ?

セクハラ?? やめた子がたくさんいるって…??

林さんが言った中途半端な言葉のせいで、

妄想を巡らせていた

バイトは週三回行き、 仕事も覚えて来た。

大学の授業もきちんと受け、 普通の大学生活を送っていた。

夏の気配も近づく 6 月下旬。 もうそろそろ大好きな海開きの季節。

いつものように授業を受けていると、 携帯電話が震えた。

♪ブーブーブー♪ 受信:ウタ ウタだ。

《美嘉チン今日暇っ子だったりするぅ!?ぁー そぼぉ(υЗυ)/》

…ったくウタは授業サボりすぎだからぁ~!! でも今日はバイト休みだしー!!

ウタと遊ぶのも久しぶりだしいっかぁ♪

送信:ウタ

《いいよ~ん♪》

ウタからの返信は早い。

送って 1 分以内には必ず返事が来る。

受信:ウタ

《ヤッピ~♪美嘉ちんぁりがとぉ(-з-)チュ♪ぢ ゃあ5時に正門前に集合なりぃ~!!!!!》

メールだけでもなんとなくウタのテンション の高さが伝わって来るから不思議だ。

今日最後の授業が終わり

アヤに別れを告げ真っ直ぐ正門へと向かっ た。

「美嘉ぁ~!!!!!!お久だっちゃぁ~♪」 既に正門にいるウタ。

しかも、 キティーちゃんの着ぐるみを着ている。

「ウタ着ぐるみかわいぃ~♪超似合うしっ!!」 ウタは嬉しそうにを飛び跳ねる。

「わ~いわ~い♪かわいいって言われちっ たぁ~!!!!キャハ!!!」

そして美嘉に向かって大きな紙袋を差し出 した。

「何??」

「みたらわかる~!!!!」

紙袋を覗くと中にはくまのプーさんの着ぐ るみが…。

それを取り出し、 ウタの顔を見た。

ウタは八重歯を出してニッと笑っている。

「それね~美嘉が着るやつ~♪今日は二人 で着ぐるみデートしようぢゃん!!!」

ゲッ!! まじ?

着ぐるみなんて恥ずかしい…

…なーんてのは嘘で、

ノリノリで大学のトイレで着ぐるみに着替 えた。

実はこーゆーの大好きだったりもする♪

「あ~美嘉似合う似合う~!!!!本物のプーた ん見たい~♪♪♪」

着ぐるみに着替えた美嘉を見てウタが笑う。

「あ~それひどくない!?チビで体丸いっ てこと~!?」

「嘘~の反対の反対の反対の反対の反 対~!!!!!!!」

キャハハと笑うウタを、 軽く叩いた。

その格好のまま、 カラオケへと向かった。

周りの視線が痛いほどに感じる。

話しかけてきたり着ぐるみを触ってくる人 もいる

なんだか新しい世界を知ったみたいで楽し い!!

ウタがいなかったらきっと一生着ぐるみ着て 外歩いたり出来なかったかも…

途中でゲームセンターに入り、 プリクラを撮ることにした。

プリクラ機の中にいるといきなり後ろから 入って来た三人の男。

「ねーねー二人で何してんのぉ~?」

「実はさっきからあとつけてたんだよね♪」

「着ぐるみ似合うじゃん良かったら遊ばな い?」

ロン毛でスウェットのジャージ。 いかにも軽そうな三人組

でも、

結構イケメンだからもしかしたらウタは遊び たいって言うかも…。

どっかいなくなって!!って言いたいけど、 あんま強く言って逆切れされたら困るしな ぁ…。

男を睨みつけながら断る方法を考えている とウタが口を開いた。

「ちょっとぉ!!!!!今二人でデート中なんだ から邪魔すんなょ!!!!ぅちら男いっから♪あ んたらょりイケメンだしぃ~ね、美嘉ァ♪」

突然話を振られ とりあえず答える。

「そ…そうだよ!!うちら彼氏オンリーだし っ!!」

「チェッ~…」

「つまんねぇ」 男達はぶつぶつ文句を言いながら、

いなくなった。

「ぁ~良かった!!!!!!なにあぃつらぁ~!!!プン プンって感ぢ。ぅちらのデート邪魔しやがっ てぇ!!!」

美嘉はウタを尊敬の目で 見つめていた。

嫌なことは嫌ってハッキリ言えて、

しかもちゃんと彼氏いるからってキッパリ 言えて…

美嘉は後先のことを気にして言いたいこと が言えなかったりする時もあるから、

そんなウタがカッコよくてうらやましく感じ る。

ギャルって美嘉の勝手な想像では性格悪く て男好きで軽くて…

そんなイメージがあったんだ。

だけどそのイメージはウタに出会ったことに よって、

みごとに壊されてしまったのだ。

プリクラを撮り、 再びカラオケへ向かった

受付を済ませ、 部屋に入る。

「ドリンクどぉする~!?!?…ってかもぅ大学 生だしぃ~もちろん酒以外は禁止ってやつ ぅ ?」

大学生と言ってもまだ 18 歳だから駄目じ ゃん…

心で突っ込みながらも 気にせず頼む。

「美嘉はね~カルーアミルク~♪」

「ぢゃぁウタはぁ~ビールにしょうっと♪♪♪」

ウタはフロントに繋がる電話に手を掛けた。 ビールは大学生になってから、

サークルの飲み会で一度飲まされたことが ある。

苦くてまずくてすぐに吐き出したっけ…。

もともと炭酸が苦手なこともあったし、 あんなに苦いの飲めるはずないよ!!

いつか大人になってビールがおいしいって 言える日が来るかもしれない。

その日まで待つ!! 今はカクテルか酎ハイ系しか無理。

「っか~!!!!!やっぱビールはいいわぁ~♪♪

このために生きてるねぇ~!!!」

ドリンクと共に頼んだおつまみを食べなが ら、

まるで 18 歳の女とは思えない親父のよう な姿でおいしそうにビールを飲んでいるウタ を、

ちょっとだけ羨ましく思えたりもするの だ…。

「ほらぁ~美嘉も飲んで飲んでぇ!!!!!!」 ウタにせかされて、

カルーアミルクをゴクンと飲む。

お酒が弱い美嘉はすぐに酔ってしまい…

ぃ~!!!!!」

「イェェィイェイ~ !!ウタ~楽しんでる ぅ~??」

いつの間にか酔ってしまって、 立ち上がりながらマイクを離さなかった。

「バッチリチリ~!!!!!超楽しいからぁ~♪♪」 ウタも少し酔っているみたいだ。

まぁ、

ウタは酔っても酔わなくてもテンションは高 いんだけどね…。

散々暴れるに暴れて、 声も出しすぎて枯れ始めた頃…

酔いもだんだんと冷めて今度は頭痛に襲わ れイスにもたれかかっていた。

「美っ嘉ぁ~!!! ?大丈夫 ?ウタ心配だっち ゃぁ~…!!!」

ウタの声でさえ頭に響く。 ウタは確実に美嘉より飲んでるのに、

なぜ元気なんだろう…。

自分のお酒の弱さを改めて実感させられ る。

「う~ん…大丈夫。」 残っている力を振り絞り返事をした。

ウタは一度部屋から出て行き、

そしてすぐに戻って来て美嘉の頭にひんや りと濡れたハンカチを置いた。

「ハンカチ濡らして来たなりぃぃ~♪♪♪ト イレの水道水だけど、勘弁してくり

「サンキュウです♪」

冷たいハンカチが頭の熱を吸いとり、 頭痛を治してゆく。

ある意味、 ウタの優しさが治してくれたんだよね…。

ウタはおつまみを口に入れながら話し始め た。

「ってゆうかぁ~、実は美嘉っちに話があ るのだぁ~!!!!!!」

「話??」

「そーそー!!!!!!!!!今話しても大丈夫なりか ぁ!?!?」

「…大丈夫だけど??」

ウタはまだ少し残っていた美嘉のカルーアミ ルクを飲み干し、

「プハァ~」と息を吐いて話続けた。

「美嘉はぁ~アヤっちと親友なのです か!! !! 」

怪しげな質問。 少しだけ考えてしまう。

「う~ん。親友…かなっ!!」 いろいろあったけど、

親友だと思うんだ。

なんだかんだでもう 3 年以上の付き合いだ し…

「そっかぁぁぁ。それならやっぱり~話し あるのだ!!!!!」

ウタが勿体ぶるので、 なんだか早く先を聞きたくなってしまう。

人間じらされると、 どうしても知りたくなるものだ。

「何!?何!?」

寝てた体をいきなり起こすと頭に乗っかっ ていたハンカチが床に落ちた。

いきなり起き上がったために再び頭がズキ

ーンと痛み始める。

ウタは自分の頭についていたピンクの花の髪 飾りをいじりながら話し始めた

「アヤっちねぇ~、美嘉と優先輩を別れさせ たがってるっぽいのだぁ~!!!!!!」

理解するのに、 しばらく時間が必要だ。

「……ぇえ!?」

「ぶっちゃけねぇ~美嘉がバイトあってアヤ とウタが二人で部室行く時とかぁ~、アヤ優さ んに~ベタベタしたりしてるの!!!!!!!」

アヤが… 優にベタベタ??

浮かんだのはアヤが優の腕を組んでいる姿。 一回だけ、

見たことがある光景。

「でっ、でもアヤにはケンちゃんいるじゃ

ん!?」

頭痛などすっかり忘れ、落ちたハンカチを 拾いながら反論してみる。

「それがねぇ~アヤとケン先輩うまくいってな ぃらしいよぉ~!!!!!!!!!!」

その時、 ミドリさんからのメールを思い出した。

いや、 でもミドリさんはフラれたって言ってたし…。

ウタは美嘉に顔を近付け、再び話続けた。

「アヤが美嘉と優先輩を別れさせよぅとして る理由はよくわからなぃんだけどねぇ…!!!!! 美嘉はなんかそんな雰囲気感じたことなぃ のぉ!?!?!?」

そう言えば… 受験の前日、

アヤと優が一緒にお守り買いに行ったんだよ ね。

アヤが大学で優さんを待ってて、

なんかヤキモキ焼かせたら好きな気持ちが 深まるとか適当なことを優に言ったんだっ け…。

あの時から美嘉と優を別れさせるつもりだ ったの??

…でも、 なんのために?

「よくわからないな…」

なんとなく説明するのが面倒だったのもあ り、

返事を濁した。

「そっかぁぁぁ!!!でも美嘉と優さんが好き 合ってるなら問題無しって感ぢだぁよね!!!!

アヤっちが何考えてんのかわからないけど ぉ~ウタ、人の恋邪魔するやつはマジ勘弁だ し~!!!!!!」

確かに美嘉と優が別れなければそれで問題 ないけど…。

アヤだって、

美嘉と優を別れさせたいなんて冗談で言っ たのかもしれないよね。

一緒にお守り買いに行った時だって本当に 偶然会っただけかもしれないし

美嘉にヤキモキ焼かせようとしたのも本当 に好きって気持ちを深めようとしてくれた だけかもしれないし…。

まぁ、 考えてもしょうがない。

美嘉は話題を変えようとわざと明るい声で 話をふった。

「ま、いいや!!ウタちゃ~ん♪ウタちゃんは彼 氏とどうなの!?」

ウタは近くにあったマイクを手に取り、

マイクのスイッチを入れて嬉しそうに話し 始めた

「え~っ!!!!それ聞いちゃうぅ!?!?ウタとダー リンのこと聞いちゃう!?!?」

明らかに話したがっているのが見え見え だ。

「うん、教えてよっ♪」

わざとらしく耳に手をあてて言うと、 ウタは立ち上がりマイクに向かって叫んだ。

「ウタはダーリン大好きだっちゃ~!!!!絶対結 婚するんだぁ~♪♪♪大好きなのだ~!」

すごく幸せそうに話すウタの姿を、 微笑みながら見ていた。

そして改めて思う。

“恋してる女の子は輝いている” と…。

それからまた普通の大学生活が始まった。

相変わらず週 3 回バイトに行き、 アヤと普通に遊んだりもする。

暇が出来たら部室に行きみんなとわいわい 騒ぐ。

ウタは前と変わらず、 あまり学校にはこないけど…。

そして八月。 目が痛くなるほどの強い陽射し。

店頭に並ぶみずみずしいスイカ。

公園で遊ぶ楽しそうな子供達。 服装も半袖へと変わる。 今年も夏が来た!! 前期の授業が終わり、

待ちに待った夏休み。

大学の夏休みはなぜかとても長い。 二ヶ月間は…ある。

まぁ、 その分冬休みが短いんだけどね。

8 月 17 日に、

旅行サークルのメンバーで海へキャンプに 行く計画を立てていた。

今日は 8 月 10 日。 キャンプの一週間前だ。 今日は優とショッピングに来た。

キャンプに持っていく物を買いに来たの だ。

「ねぇねぇ、水着のコーナー行こう!?」

「おぉ~ええよ♪」

大好きな夏…

それに優とデートするのが久し振りだから 自然に笑みがこぼれる。

最近はバイトもあるし、会えるとしたら部 室くらい…。

だからこうして外に出てデートをするのは かなり久しぶりなのだ!!

「ねーねーこれなんかどう!?」

黒のきわどい水着を手に取りはしゃぐ美 嘉。

「これ水着なん?下着かと思ったわ。美嘉 キューピー体型やからこんなセクシーなの 着たらやばいんちゃうん?」

「も~最低~!!」

水着を戻しスタスタと歩き出す美嘉を通り 越し、通せん坊をする優。

「ちょっと~邪魔~!!優なんて知らないか らっ!!」

「嘘やって。他の男に美嘉の体見せたくな いねん!これ買ったるから許してや♪美嘉ど うせ泳げへんのやろ?!」

優はハイビスカスのついた浮輪を指さして いる。

泳げないこと秘密にしてたのに。 去年毎日のように海行ってた時も、

波打ちぎわか砂浜あたりで遊んだりしてご まかしてたのにぃ…

優にはなんでもバレバレなんだ。

「ビーチボールもおまけにつけてくれたら 許す~♪♪」

甘えながら抱き付いてお願いする美嘉に、 優はやれやれと言いたげな表情を見せた。

「…ったくしゃあないな~じゃあビーチボ

ールつけたるよ!」

水着を選び、

浮輪とビーチボールを買ってもらって満足 しながら家まで送ってもらった

「また近いうちな♪♪」 一度車のドアに手をかけたが、

なかなか開けることが出来なかった。

久し振りに会ったから… もっと一緒にいたいな。

ドアを開けてしまったら帰らなくてはなら なくなるし、 キャンプまで優に会えないかもしれない。

「部屋…来る??」

うつむきながら小声で大胆なことを呟いて みる。

「ん?なんやて?」

車に鳴り響く CD の音が、美嘉の声を消し てしまったようだ。

ただでさえ照れくさいのに二回も言うハメ になるなんて…。

あ~、もう!!

「…優ともっと一緒にいたいから、部屋行こ うっ!!」

意地をはってもどうにもならないし、 ここは素直になろうと決めた。 ある意味開き直り…。

でもちょっと素直になりすぎたかなぁ…。

ドキドキしながら優の返事を待っている、 乙女な自分。

車のエンジンが止まる。

「ええの?俺も美嘉と一緒にいたい」

欲しかったセリフに一安心し、 仲良く手を繋いで部屋に向かった。

階段を上がり、 部屋の前に行く。

その時、

ドアノブに白い紙袋がかけられているのに 気が付いた。

なんの不安もなく、 紙袋の中身を確認してみる。

紙袋の中に入っていたのは、 たくさんの入浴剤と石鹸

ラベンダーの香り ローズの香り ゆずの香りの入浴剤。

牛乳石鹸

ピンクでハート形の石鹸お花の香りの石 鹸。

「紙袋何入ってるん?」 優が覗き込んで

紙袋の中身を確認する。

「わかんない…ドアノブにかかってたぁ。」

「親が置いて行ってくれたんちゃうん?」

「えーそれにしては手紙とか入ってない し、なんかやだなぁ~…」

紙袋からハート形の石鹸を一つ取り出し、 マンションの廊下についている電気にかざ

した。

不安げな美嘉の態度に気付いたのか、

優は持っていた石鹸を奪い再び紙袋にしま い、

そしてその紙袋を遠くに蹴り飛ばした。

「気にせんでもええよ。きっと間違えやっ て!」

その紙袋を横目で気にしながら、 冷静を装い部屋の鍵を開けた。

部屋に入るとその紙袋のことなんかどうで も良くなって…

心は久し振りに優と会えた嬉しさでいっぱ いだ。

「ゆぅ~~!!」 床に座っている優に、

後ろからだっこちゃん人形のように抱き付 く。

「甘えん坊美嘉~かわええな♪」

優が体を横に揺らすと 美嘉の体も一緒に揺れた

「会いたかったぁ~!!優好きぃ~♪♪」

顔を見てたら恥ずかしくてなかなか言えな いけど

見なければ素直に言える

優の広い背中にくっつき優の体温を感じて いた。

「残念。俺のほうが好きやし!」

優はどんな顔でそのセリフを言ってるんだ ろう…

背中から優の鼓動が伝わってくる。 お互いの鼓動が

一つになって響く。

「美嘉のほうが好きだも~ん!!」

「い~や俺やって♪」

「絶対美嘉だし~!!」

「俺の気持ちには勝てへんわ!」

優といるとね、 ドキドキするんだけど落ち着くの。

優の口から過去を話してくれるの、 ずっと待ってるから。

8 月 17 日のキャンプ。 旅行とは言えないかもしれないけど、

優とどこか遠い場所に行って一泊するの初 めてだからすごく楽しみなんだよ…??

しかも二人が始まった海だしね!! あ~、

早く 8 月 17 日にならないかなぁ…。

━8 月 16 日 キャンプ前日。

バイト先にも旅行へ行くと連絡して、

今日と明日と明後日の三日間休みをとるこ とが出来た。

期待に胸を膨らませながらかばんに水着や 着替えを詰め、

明日が晴れるようにティッシュでてるてる 坊主を作っていたその時…

ガサガサッ 玄関の外で、

なんかビニール袋の音がする。

玄関まで走り、 覗き穴から外を見た。

しかし誰もいない…。

玄関の前で音がしたと思ったんだけどな ぁ…。

鍵を開けゆっくりドアを開けると、

ドアノブからどさっとビニール袋が落ち た。

座り込み、 ビニール袋の中身を確認してみる。

ビニール袋の中身は、

お弁当とゼリーとペットボトルに入った麦 茶だ。

こないだ優が遊びに来た時も、 入浴剤と石鹸がかけられてたっけ。 誰か間違えて置いて行ってるのかな…??

玄関の外に出て、 階段や一階のまわりを確認した。

しかし、 やはり誰もいない…

とりあえずそのビニール袋とその中身をゴ ミステーションに投げ捨てた。

部屋に戻り念のため鍵を二つ閉め、

充電していた携帯電話を手に取るとメール が届いている。

受信:ミドリさん

《明日のキャンプ楽しみだねぇ(^^)》

前にケンちゃんについてのメールをしてた 時、

返事をしなかったからちょっと気まずい な…。

送信:ミドリさん

《晴れたらいいですねっ(ёзё)》

それからしばらく返事は来なかった。

もうメールは終わったのだと思いお風呂に 入っていると、

部屋から着信音が鳴っているのが確かに聞 こえる

裸のまま部屋に携帯電話を取りに行き、

携帯電話に小さいタオルを巻いて濡れない ようにお風呂場へ持って行った

返事なんてお風呂上がってからでもいいの に…

でもなぜか自分なりにこだわりがあるの だ。

メールはすぐに返す!!

だって自分自身がメールの返事が遅かった ら少しイライラするし…。

まぁ、

たまに面倒で返さないこともあるんだけど ね…。

受信:ミドリさん

《私ね、やっぱりケンのこと好きなんだ。。。》

なるべくケンちゃんの話は避けたかった。 関わると、

もしアヤにバレた時いろいろ大変そうだか ら…。

でもミドリさんもきっと誰にも相談できなく て、

悩んでいるんだろう。

ここで返事しないなんて 美嘉はそこまで薄情な人間ではない。 送信:ミドリさん

《そうですか…恋は辛いですよねぇ(:∧;)》

この返事、 適当な気持ちで送ったわけじゃない。

ミドリさんの気持ちはよくわかる。 元彼を想う気持ちは…。

お風呂に入りながらメールを打っていたの で、

のぼせてきた。

ラッキーなことにミドリさんからの返事はま

だ来ないので、

急いであがりまだ濡れた髪のままパジャマ に着替えて返事を待った。

♪ピロリピロリ♪

受信:ミドリさん

《でもケンにはアヤちゃんっていうかわいい彼 女がいるし…私はもう無理だと思う。だけど 最後に好きだった気持ちだけは伝えたいん だ。伝えてもいいと思う?》

ミドリさんが美嘉に何て言って欲しいのか、 だいたいはわかる。

もし美嘉がミドリさんの立場なら、 何て言って欲しい??

ヒロに振られてヒロに新しい彼女が出来 て、

それでもまだ好きで…

気持ち伝えていいのかを悩んだ時何て言っ てほしいかな…??

送信:ミドリさん

《自分の気持ちに素直になったほうがいい と思います(>_<)伝えないで後悔するより は、伝えて後悔したほうがいいと思います

(>^_^<)》

きっと、 立ち向かう勇気が欲しかったんだよね。

受信:ミドリさん

《勇気でたぁ!美嘉ちゃんありがとうね☆

★》

ミドリさんとケンちゃんを応援してるわけじゃ ない。

だけど気持ちすごくわかるから。

美嘉は恐くて、

大好きな人に気持ちを伝えないまま逃げ た。

想いが伝わらなくても、伝えることに意味 があるんだよね。

それで気持ちが救われるなら、 楽になるのなら、 いいと思うんだけどなぁ

でもきっと自分のことじゃないから言える んであって、

もし優の元カノが優に気持ちを伝えると思 ったらちょっと嫌だもん。

優のこと信じてるけど、不安になるよ。

…あ~!!

美嘉がミドリさんに言ったことは間違ってた のかな?!

友達の彼氏に告白していいかって相談され たら、それはやめて下さいって言うべきだ った…??

美嘉はただミドリさんの立場だったらこう言 ってもらいたいだろうなって思って、 それを送ったの…。

てるてる坊主を作りながらいろいろ考えて いたら

布団にも入らずソファーの上で寝てしまっ ていた

━8 月 17 日 キャンプ当日。

「ふぁ~あ。よく寝…って、え゙ぇ~!?」 携帯電話の時計を見て、飛び起きた。

昨日目覚ましをセットしないまま寝てしま ったので寝坊…。

優が迎えに来るまで あと 15 分。

楽しみにしてたキャンプだから、 メイクとかバッチリしたかったのにぃ!!

しかも昨日ソファーでそのまま寝ちゃった から、少し風邪気味だし…。

とりあえず持ち物を昨日のうちにかばんに 詰めておいたのは正解だった。

焦りながらもカーテンはしっかり開ける。 照りつける太陽。

今日は快晴。 キャンプ日和。

やった~!! 晴れた~♪♪

机の上には まだ作りかけのてるてる坊主。

晴れたってことは、

きっと美嘉以外の誰かもてるてる坊主作っ たのかな。

勝手な妄想で一人納得をしながら用意を始 めた。

顔を洗い歯を磨いて、 白いキャミに茶色いミニスカートをはく。

プップー 外から

クラクションの音。

まだ約束より5分早いのに…。

荷物を抱え 家を飛び出た。

外にはキャミでも暑いくらいの、 ムンムンした温度。 うるさいセミの声。

優が車から降りて来た。

「おはよ~さん♪」

サングラスをした優は 荷物を奪い トランクに入れる。

「天気いいね~っ!!」 空を見上げ太陽を手でかざしてみた。 手は太陽に当たり、

ほのかに赤くなる。

「俺がてるてる坊主作ったから晴れたんや

で。感謝してやぁ!」

「てるてる坊主作ったの優だったの!?」

美嘉の言葉に、 優は不思議そうな顔をしている。

「なんの話やねん!」

美嘉もてるてる坊主を作ったけど作ってる 途中で寝ちゃって、

でも今日晴れたからきっと他に誰かが作っ た人がいたのかもしれないなぁって思って いて、

それが優だったから嬉しかった。

…なんて言えない。 きっとガキだな~って言われるだけだし。

「別になんもないよ~だ ♪ 早く出発し よ~!!」

深く突っ込まれないようさっさと車に乗り 込む。

クーラーがガンガン効いている車の中。

…少し寒いくらい。

小刻みに震えていると、

優は自分の着ていたシャツを美嘉にかけ た。

「いやいいよ !!外出たらまた暑くなる し!!」

シャツを優に返そうとしたが、 優は強引にシャツを着せた。

「大丈夫なのにぃ~ぷーーーだ」

あまりの強引さにほっぺに空気を入れ膨ら ましていじけていると、

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