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第十七章 青春.3

作者:日-美嘉 当前章节:4904 字 更新时间:2026-6-15 17:36

焦る気持ち。 溢れる不安。

「優…??」 不安げな表情の美嘉の手を強く握る優。 嫌な沈黙。

波の音だけが

響いている…。

優は低くかすれた声で 沈黙を破った。

「…出来へんねん」

出来ない? なんで??

頭の中で嫌な妄想がぐるぐると駆け巡る。

さっき一つの恋の終わりを見てしまったか ら

余計に…。

“なんで??” 口に出して聞くのが

怖い。

傷つくような 気がするから…。

…傷つきたくないために逃げる自分、 全然成長してないな。

長い沈黙に、 胸の鼓動が体中に 響き渡っている。

優は髪の毛をやさしく何度も撫で 耳たぶの近くに顔を寄せ小さく呟いた。

「俺もしたいけどな、用意とかしてへんか ら…ごめんな。」

優の吐息に めまいがする。

それでも優が言った言葉の意味を考えてみ た。

用意。 用意って何??

あ!! もしかして…。

優が言っている

“用意”

ようやく一つの 結論が出た。

当たってるかは わからないけど…。

「そっかぁ~…」

残念そうに答える美嘉に優は再び耳元で囁 く。

「朝日が昇るまでイチャイチャしてよう な!」

その時、 ふと思い出したあの光景

スウェットに着替えていた時 確かウタが…

「夏の海は何が起こるかわからないからね ぇ!!!!!!!!」

そう言って差し出した…

こっそりポケットの中を確認すると、 やっぱり入っている。

ウタナイス!! 大感謝♪♪

心を踊らせながらウタから貰った物を取り出 し

ぎゅっと握った。

…さてさて どうやって切り出せばいいのやら。

突然出したら やる気満々だと思われるかもしれないし。

でも優がそれくらいのことで美嘉のことを 嫌いになったりは

絶対…しないよ。

根拠はないけど 自信がある。

「優~コレ…!!」

そしてポケットから出して握っていた物を 優の目の前に差し出すと

優はガバッと起き上がりそれを指先掴ん だ。

「…なんで 持ってるん!?」

やっぱり優が言う

“用意してない”は

ウタがくれたアレ…

“ゴムがない” を意味してたんだ。

「えへへぇ~ちょっとねぇ~♪」 少し照れながら鼻の下を手でこすり、

優に抱きついた。

「エッチやな!」 いじわるな顔で笑い、

抱きついた美嘉の髪をくしゃくしゃ撫でる 優。

「もぉ~。ムードないし~!!」

口をプクッと膨らませながら怒る美嘉を、 優はやさしい目で

見ていた。

「ごめんな。怒らんといて!」

「フンだ!!優のバー…」

再び言葉を遮り優は美嘉の頭を引き寄せ強 引にキスをし、 すぐに離し美嘉のほっぺをつねった。

「で、…その続きはなんやねん?」

「いじわるっっ」

優は上着を脱ぎ

それを砂浜に敷いてその上に美嘉の体を倒 す。

「さっき砂の上に寝かせてごめんな」 一つ一つの気遣いに、

優が自分より大人であることを実感する。

満天の星空の下。 初めての場所。

二人が出会った場所。

重なった最高のシチュエーションが きっと二人を

大胆にしたんだ。

…優は意地悪だ。

いつも美嘉を いじめるから。

最後にはいっつも我慢出来なくなって求め てしまうのは

決まって美嘉のほう。

嫌じゃないんだ。 だけど……。

美嘉ばかり好きなのかなって不安になる時 も

たまにあるよ。

今まで優にたくさん素を見せてきた。

優はそんな美嘉の姿を見て笑いながらいつ も

「かわいいな」って言ってくれるから…

だから安心してさらけ出すことが出来る の。

それは嬉しいけど… もっと優の素が見たい。

美嘉のことを 求めて欲しい。

どんなにかっこ悪くてもいいから… ただがむしゃらに求めて欲しい。

大人だからとか 関係ないよ。

優は決して美嘉に無理強いしたり、 嫌なことを求めたりはしてこない。

溶けそうなくらい暖かい体温でやさしく抱 いてくれるんだ。

優…。 優の全てが見たい。

「俺もうやばいわ…ええか?」 優の突然の言葉。

目を見開く美嘉。

だってね、 今…まさに今、

優に言わせてみたいと思った言葉。

ずっと、 そうやって求めて欲しかったの。

「…えっ??」 驚きのあまり、

聞き返してしまった。

「もうええか…?ほんま我慢できへんね ん。」

そっと唇が重なる。 優の吐息混じりの声があまり色っぽくて、

体がゾクゾクと震える。

優が美嘉を求めてくれたのは、 初めてだった。

今ね、 すごくすごく嬉しいよ。

「うん、来て…」

「美嘉。俺は離れたりせんから…絶対傷つけ るようなことはせんから…」

心の奥に潜んでいた小さな不安がどんどん 取り除かれてゆく。

そして指を絡め合ったまま一つになった。 二人が始まった海で…

気付けば 朝日が昇っている。

海で朝日を見る機会なんてなかなかないか ら、

目に焼きつけておかなくちゃ。

朝日も夕日と同じくらい綺麗で、

ただ一つ違うのは一日の始まりだというこ と。

今日も頑張ったぞ!!と充実感に浸れる夕日 より

今日も頑張るぞ!!と前向きになれる朝日の ほうが美嘉には必要かも…。

二人は手を繋いでそれぞれのテントへと戻 った。

ガサゴソガサゴソ

枕元で鳴るうるさい音で目が覚め、 寝袋からむくっと起き上がる。

「美嘉ごめん!起こしちゃった?」

イズミだ。

「あ、イズミおはよう…今何時??」

「9 時だよ~!もう朝食の焼きそば作り始め てるよ♪美嘉も行こう♪」

イズミはいち早く、 テントから出て行ってしまった。

隣では口を開けて大きないびきをかきなが ら寝ているウタ。

しかも寝相悪いから美嘉の上に足のっかっ てるし!!

今日悪い夢を見たのはヤツのせいか…。 爆睡しているウタのほっぺを突き、

小声で「ありがとねっ」とお礼を呟きなが らテントを出た。

朝方に寝たせいで かなり寝不足。

寝不足な体に太陽の眩しい光はきつく、 外を出た瞬間に立ちくらみ…。

でもいいの。 優とラブラブできたから♪

…ってノロけてる場合じゃなくて、 アヤは大丈夫かな??

みんなは朝食の焼きそばを囲んでいる。

アヤが笑いながら野菜を焼いている姿を見つ けた。

優が美嘉に気付き手を振って来たので、 美嘉も少し照れながら手を振り返した。

「美嘉~おはよ!」

「ほら、焼きそば出来てるから食べろ食べ ろ♪」

みんなのもとへ駆け寄って輪に入り、

お皿と箸を受け取って焼きそばを食べ始め た。

みんな、

昨日の事件についてはあえて触れようとし ない…

ただ一つ。

隣同士に座りイチャイチャしているケンちゃ んとミドリさん。

デリカシーのなさにとてつもなく腹が立 つ。

こいつら…アヤの気持ち考えろよ!!

隣にいたヤマトがそんな美嘉の態度に気付き、 腕を引き寄せ耳元で言った。

「美嘉顔に出過ぎ!ってか睨みすぎ!」

いつの間にか苛立ちが顔に出ていたみた い。

美嘉はわざとらしい笑顔を作り、

再び焼きそばをつまみながらアヤの顔を見 た。

アヤは何事もなかったように笑っている…。

朝食を食べ終え、

寝ているウタを無理矢理起こしテントを畳 む。

テントをキャンプ場のロビーに返しに行こ うと歩き始めた時…

「美~嘉」 後ろから走って来て隣に並んだのはアヤだ。

「アヤ…」

「な~に心配そうな顔してんの!」 美嘉の背中を強く叩くアヤ

アヤに何か言葉をかけてあげたいけど、 いい言葉が思いつかない…。

アヤは美嘉が持っていたテントの片側を持ち ながら再び口を開いた。

「今日の朝ミドリさんと話したんだぁ。あ、 あたしが美嘉の携帯勝手に見ちゃったこと もちゃんと説明しておいたから!ミドリさん とケンちゃん付き合うんだって!」

「そっか…」

あの二人、 付き合うんだ。

朝食時の二人の姿を思い出すと、 再び怒りが込み上げる。

これからはケンちゃんじゃなくケンでいいや。 あんな男呼び捨てにしてやる!!

「あたしはもういいの。ケンちゃんのことは 諦める!両想いには勝てないし、新しい恋 するんだぁ♪だから気にしなくていいから ね!」

アヤが強がっているのはわかってるよ。

好きな人に彼女が出来ても そう簡単に諦められるわけないもん。

でも 強がらないとアヤ自信が崩れちゃうから…

よく頑張ったねって… 辛かったねって言ってあげたいけど、 アヤのプライドがあるから言わない。

アヤは強いよ。 美嘉なんかよりずっと強いよ。

「無理はしないでね」 一瞬気を緩めたのか悲しい顔をするアヤ。

でもすぐにいつもの笑顔に戻り、 大きく頷いた。

大好きな人に他に大切な人が出来たとして も、

もう戻れないことはわかっていても… どこかで繋がっていたいと思ってしまう。

それは本当に辛くて苦しくて…

だけど小さくてささいな関係でもいいから 繋がっていたいと思ってしまうもの。

それが恋愛なのかもしれないね…。 きっとアヤもそんな気持ちなのかな??

持って来た荷物をトランクに詰める。 あっという間に過ぎてしまった、

波瀾万丈な一日。

今日この日を楽しかったと言えるか苦しか ったと言えるかは、 あと何年も先になってからわかること…。

この旅行で一つの恋が終わり、 そして一つの恋が始まった。

人生って何が起こるのかわからないね。

人の気持ちってその人自身にしかわからな いよね

この旅行がみんなにとって“青春”だった と言える日が来ますように…。

しまったのだろう。

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