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第十九章 迷路.2

作者:日-美嘉 当前章节:2337 字 更新时间:2026-6-15 17:36

エリさんは特別驚い様子でもなく、

それはまるで美嘉が新しい恋をしているこ とを知っているかのようだった

「とりあえず顔だけでも見てやって?」

「…わかりました」

「じゃあ弘樹起こしてくんね!」

エリさんはそう言い残し 病室へと入っていった。

心なしか足が少し震えている。

すぐに病室のドアが開き

エリさんがドアの隙間から顔を覗かせ手招き した。

美嘉は勢いよく立ち上がり、 再び病室へ向かう。

病室へ入ると、

さっきまで寝ていたはずのヒロが体を起こ して、

目を見開きながらこっちを見た。

「美嘉…?」 優から貰った指輪が見えないよう

左手を後ろに回しているずるい自分。

「…来ちゃった!!」

懐かしい声。 懐かしい香り。

高校時代がよみがえる。楽しかった日々が よみがえる。

卒業式からまだ 9 か月しか経ってないのに、 なんだかずっと前から会っていないよう な…。

ヒロは痩せてしまって付き合ってた頃の面 影は少ししかない。

だけど…

あの頃好きだった気持ちが戻ってしまいそ うな気がして、

怖くなった。

「なんで俺がここの病院にいるってわかっ たんだ?」

「勘だよ。女の子って勘がいいんだよっ!!」

動揺を隠すため 明るい声で答える美嘉。

ヒロは微笑んだ。 そう、

あの頃と変わらない笑顔で…。

「あたし花瓶の水変えてくるから~」 エリさんは気をきかせたのか

理由をつけて病室から出て行ってしまっ た。

二人きりの空間。

「元気だったか?」

「うん。元気…!!」

「そっか。それなら良かったな!」

「ヒロ…なんで内緒にしてたの??」

唐突に質問すると ヒロの動きは一瞬止まり

そしてまた何事もなかったように話し続け た。

「なんにも内緒にしてねーよ!」

「だって病気のこと…」

「うるせー!もういいから。忘れろ」

ヒロ、 本当は全部知ってるんだ

美嘉を一人にさせないために別れたこと も…

心配かけたくなかったから、 だから病気のこと言えなかったんだよね。

美嘉を傷つけようとしてたのも、

自分を忘れさせるためにわざとひどいこと ばかりしたんでしょ??

美嘉が病室に来るの、 ずっとずっと待ってたんでしょ…??

全部聞いたんだよ。 涙が出ちゃいそうだよ…

でも、 今1番泣きたいのはきっとヒロだから。

だから泣かないの。

隠していた左手を もとの場所に戻した。 何で隠したんだろう。 最低だよ…

ヒロはすぐ指輪に気付いたみたいだ。

「元気そうだな。それに幸せそうでなによ りだ」

そう言って 寂しそうに笑った。

この笑顔 前にも見たことある。

一回目は 校門の前で美嘉と優が仲良くしてた時。

二回目は 卒業式の日にペアリングを返した時。

もし…

もし別れる前に病気のことを話してくれて たら、川原でヒロの背中を見送ったりはし なかった。

どんな手を使ったとしても、 絶対に追い掛けて引き止めていたよ。

寂しがりやの美嘉だからいつかいなくなる 自分じゃ幸せに出来ないって…

好きだから一緒に乗り越えていくんじゃな いの?

好きだからずっとそばにいて欲しいんじゃ ないの??

もう、 遅いんだよ…。

美嘉にはもうヒロ以外に大切な人がいる の…。

「ごめんまたね…」 走って病室を出た時

廊下でエリさんとぶつかった。

「帰っちゃうの?」

「エリさん、ヒロの病名は…何ですか??」 冷静に言うエリさんの口から出た答え。

「…悪性リンパ腫だよ」

答えを聞いて 美嘉は何も答えずに走り出した。

「美嘉ちゃんまた来て。またあいつに会い に来てね!」

後ろから聞こえるエリさんの叫び声に返答し ないまま、

階段を駆け降りた。

ヒロの変わり果てた姿は衝撃的だった。 でも、

笑顔も優しさもそのまま

あの頃のまま…。

でも、 もうあの頃とは違うんだよ…。

とぼとぼと歩きながら、優が待つ車へと向 かう。

「美嘉、おかえり!」 優は車の外で待っていてくれたみたいだ。

落ち着かなかったのか、地面にはタバコの 吸い殻が大量に落ちている。

「優…ただいま。」

優は美嘉の頭の後ろに手を回し自分の体へ 抱き寄せた。

「ゆっくりでええから考えてな。どっちを 選んでも俺は絶対にせめたりせんから…」

優がくれた指輪に彫られた文字。

“PLEDGE” 誓い。 誓約。

クリスマスの日に言ってくれたよね。

【俺は何があっても美嘉のことが好きって 言う誓いや】

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