『ヒロ、ここがどこだかわかる??』 カメラで公園を映す。
『あ…公園か?』
『当たり!!美嘉は今からお参りするから、 ヒロも画面見て公園に来てるつもりになっ てね!!』
カメラを向けたまま花壇に近づき、
そこにヒロの家から持って来たお菓子とピ ンクの手袋を…
そしてみかんキャラメルを買った時に一緒 に買った小さい花を供えた。
それにカメラを向ける。
『ヒロ、お供えしたの見える??』
『…おぅ』
『じゃあ一緒にお参りしよう??』 一旦携帯を雪の上に置き手を合わせた。 携帯の向こうでもヒ
ロが手を叩いている音が聞こえる。
離れていても 一緒に公園に来てるみたいだ。
ヒロへのプレゼントのつもりが、 自分へのプレゼントになっている…。
『ヒロ、終わった??』 また受話器を耳にあてているのか、
それともわざとなのかはわからないが画面 は真っ暗だ。
『終わった。マジ最高のプレゼントだわ。 ありがとな』
ヒロの声は微かに震えているように聞こえ た。
電話を切り、 一人で満足げな笑みを浮かべた。
この公園には、 いろんな想いがあるよ。
でも今は過去より 未来を見るんだ。
外灯に当たりキラキラと煌めく結晶に目を 奪われながら、
家路に着いた。
ヒロがまとめ買いした手袋とブーツ
60 歳になるまでずっと一緒にお供えしよう ね。
今の二人には 怖いものなんてない。
「好きだよ」とか
「愛してる」なんて言葉を交わさなくても わかるの。
いるんだ。
あとは目の前に立つ
“癌”と言う名の大きな壁。 頑張って乗り越えていこうね。
ヒロは元々持っていた携帯を解約し、
美嘉がプレゼントした黒い携帯を自分の名 義に変更して使っている。
テレビ電話にハマってしまったみたいで、 時々かかって来たりもするんだ。
そして年は明けて…
2005 年。
「今年も平凡な一年でありますように。そ してヒロが早く退院できますように。それ から~…」
おさい銭をたった 10 円しか入れてないの によくばりなお願いをたくさんした後、 お守りを三つ買った。
ヒロのぶんと家族のぶんと美嘉のぶん。
ヒロが美嘉を必要としてくれてる。
美嘉もヒロを必要としてることも伝わって