ピアノはきちんと片付けられている。一晩中、兄はここで弾いていたのだ。
「エツ兄、かっこ良かったよ」
今しも出て行こうとしていた兄は、振り返った。
「さんきゅ」
照れた表情で応えた後、ドアを押し開けて出て行った。
夏希は閉まりかけたそれに手を伸ばした。ドアはもう一度、押し開かれた。冷気が入ってきたが、気にしない。
夏希は薄暗い冬の朝へ消えて行く、兄の姿を見送った――耳の奥に残る音を反芻しながら。
(6)
〝二十時四十五分発成田行き NH(全日空)210便をご利用のお客様にお知らせ致します。現在、フランクフルト上空、悪天候の為、出発が遅れております。今しばらく、ゲート付近ロビーにてお待ちくださいませ。回復次第、搭乗を開始いたします?
案内のアナウンスが終わると、それを聞くために静かになったロビーに、ざわざわと声が戻った。その場にいるのはほとんどが日本人で、ヨーロッパ旅行のツアー客が占めていた。天候不良で待機の間も、搭乗者エリア内のショップを回ったり、展望スペースから滑走路を眺めたりと、暢気に時間を潰している。しかし一握りの人間はイスに座って、恨めしげに何度も時計を確認していた。出張中のビジネスマンと、帰国後すぐに出勤しなくてはならない一部のツアー客などである。さく也もそのグループの中に属していた。
ウィーンから日本への直行便は午後一本しかなく、さく也は夕方遅くに出るフランクフルト経由の便に乗ったのである。フランクフルトの天候が悪く、すでにニ時間近く待たされていた。これ以上の遅れは、欠航になることも考えられる。急ぐ必要のない彼だが、欠航にはなって欲しくない。
会いたいと言う気持ちだけで、さく也は何もかも放り出してウィーンを出てしまった。フランクフルト空港から楽団事務所に連絡すると、「明日からの国立劇場はどうする気だ」と怒鳴られた。Wフィルはもともと国立歌劇場楽団のメンバーからなるオーケストラで、毎日上演されるオペラと月に一度の定期演奏会、それから各音楽祭への参加、アンサンブルでの活動などを、楽団員が分散して行うシステムになっていた。さく也は今、歌劇場での、言わばメインのシフトになっている。マネジャーが怒るのは無理も無い。「クビかも知れない」とぼんやり思った。
持って来たのはヴァイオリンとパスポートとカードだけで、ほとんど身一つの状態だ。フランクフルトに着いて、携帯電話を忘れたことに気がついた。ウィーンではほとんど使わないので、『必要最低限リスト』の中には入っていない。携帯電話がないと加納悦嗣の電話番号も住所もわからないのだが、取りに戻るには、近くないところまで来てしまった。
それに、そんなことは問題にならない程、さく也の心は逸っていた。耳には加納悦嗣の電話の声が残っている。
〝声が聞きたかっただけだから?
その一言が、さく也を日本に、彼の元に向わせているのだ。
脇に立てかけたヴァイオリン?ケースを見やる。勢いで持ってきた分身。これが無ければ、まだ自分は悦嗣に会えないと思った。悦嗣にとって自分はヴァイオリニストに過ぎない。彼を惹きつけているのは、さく也本人ではなく、さく也が作るヴァイオリンの音色なのだから――ヴァイオリンを持たない自分を、彼はどう思っているのだろう?
「待たされますねぇ?」
俯き加減のさく也に、隣に座っている男性が声をかけてきた。年の頃は三十を越したくらいで、カジュアルな恰好をしているからツアー客の一人だろう。足元には一人分ではない機内持ち込みようの手荷物がある。どうやら家族連れで、荷物番をしているようだった。
「本当に」
とさく也が答えると、少々疲れた顔に笑顔が浮ぶ。
「僕は帰ったらすぐに仕事なんで、欠航になったら困るんです」
話を続けて、彼はさく也の荷物に目を留めた。
「ヴァイオリンですか?」
「はい」
「留学生?」
「いえ、仕事してます」
「ヴァイオリニスト? そりゃすごいな」
彼は興味津々な表情で、さく也を見た。
「僕も習ってたんですよ、ヴァイオリン。と言っても小学生の頃だけどね」
親に無理やり習わされていたが、同時期に入った少年サッカーのクラブ活動の方が面白くて、高学年になってレギュラー入りしたのを機に、止めてしまったのだと彼は話した。人見知りしない性格らしく、口数の少ない相手だろうとお構いなしで話を続ける。誰かに似ているな…さく也は悦嗣の妹の夏希を思い出した。
「でも大人になったら、もう少しやっとけば良かったかなって。大学のコンパなんかで女の子に習っていたって言ったらウケが良くってね。ほとんど弾けないから、せっかくのデートも…あ、すみません。仕事にしている人に」
「いえ」
「今は子供が習ってますよ。ほら、あそこで走り回ってる」
滑走路が見える窓の辺りではしゃいでいる子供を指差した。それから「エミ、カズト、おいで」と声を上げた。
呼ばれた二人の子供が駆け寄ってくる。小学生の姉弟と言った感じだ。父親に促されて、女の子が先にペコリと小さな頭を下げ、それに倣って男の子が頷きに似た挨拶をした。さく也が「こんにちは」と返すと、「夜なのに変なの」と、下の子が屈託なく笑う。
「このお兄さんはヴァイオリニストなんだって」
ヴァイオリン?ケースを指差して彼が説明する。
「この中にヴァイオリンが入ってるの?」
箱型のケースは珍しいのか、好奇心旺盛の目で男の子が尋ねる。さく也が頷くと、「弾いて」と二人揃って声を上げた。二時間にもなる待機時間にそろそろ飽きがきているのだろう。それは父親の方も同じで、子供を嗜める口調が甘かった。
何時の間にか、さく也の急いた気持ちは落ち着いていた。少し前まで鬱屈していた心も、軽くなった気がする。立ち上がって、ヴァイオリン?ケースをイスの上に乗せ、ファスナーを開けた。傍らで子供達が覗き込んでいた。ヴァイオリンと弓を取り出しペグを調節する。弦の張り具合を弓で確認した後、子供達を見た。ぱああと、二人の顔に笑みが広がる。この期待感は、さく也に寄せられているのだ。
ヴァイオリンだけでもいい。自分のヴァイオリンが悦嗣を惹きつけるのなら、少なくとも忘れられることはない。音は即ち、さく也なのだから。
すうっと息を吸い込む。弓が弦を滑った。
Slow Luv op.4 -4-
(7)
カフェ&バーのローズテールは、夜のバー?タイムの生演奏が売りで、曜日によって趣向が違う。ジャズであったり、クラシックであったりと色々で、それが幅広い客を呼んでいた。悦嗣は学生時代からマスターと懇意にしていて、週に一、二度のアルバイトの他に、トラブルで穴が空いたり、ヴォーカルの伴奏が必要になった時などに、助っ人で入ったりしている。今夜は後者の方で、フュージョン歌手の伴奏に駆り出された。
ヴォーカリストのステージは二回。その合間は悦嗣も休憩となっている。カウンター席の端に腰掛けて、ウーロン茶を頼んだ。仕事中にアルコールは取らない。それに口を付けて、マンションを出る際にかかった曽和英介からの国際電話を思い出していた。
〝もしさく也がそっちに行ったら、すぐウィーンに戻るように言ってくれ?
昨日の夕方に楽団事務所に電話をかけてきて、明日から休むと言ったきり、姿を消したらしいのだ。リハーサルの最中にかけているとかで、英介は用件だけを言うと、さっさと切ってしまったので詳しいことはわからない。
その電話を切った後、今度は伯母の園子から電話がかかる。昨日の話の続きだった。しつこく次回の会う日取りを決めたがって、昨日の夜から三回目の電話なのである。仕事を理由にさっさと切ったが、その後でふと…――あいつに電話したのって、昨日じゃなかったか?
電話の内容を思い出すと、頬の辺りが熱くなる。手元のウーロン茶をあおった。
「加納? おまえ今日、ここのバイトだったのか?」
その時、店に数人が固まって入って来た。その中に、大学の恩師?立浪教授がいた。悦嗣の姿を見止めると、近づいて来る。
「臨時。先生は? 若いヤツらと一緒なんですか?」
悦嗣は席についた立浪の連れらしい面子を窺った。彼らはゼミの学生で、新年会の二次会だと立浪は答えた。「それより」と、彼はぐるりと店を見回し、
「中原君は? 一緒じゃないのか?」
と尋ねた。
「え? 中原?」
行方が知れないさく也の名前が出て、悦嗣は逆に聞き返した。
「おまえの所に行くって言ってたけど。会ってないのか?」
立浪はさく也が夕方に、自分を訪ねて月島芸術大学へ来たと話した。
「携帯電話を忘れて来たと言ってた。月島芸術大学くらいしかわからなくて、光栄にも私のことを思い出してくれたらしいよ。おまえの携帯と自宅に電話を入れたんだが、出なかったな」
連絡がつくまでここにいれば良いと言う立浪を断って、さく也は大学を去ったらしい。ちょうど今日は学生オーケストラの練習日だったから、時間潰しに聴いて行ってくれないかと言う思惑は外れたと立浪は笑ったが、悦嗣の耳には入らなかった。
「それ、何時だった?」
「そうだな、六時前だったかな」
更に彼の話は続いていたが、悦嗣は無視してピアノを弾く間は外している腕時計を、ズボンのポケットから取り出した。午後九時半を回ったところだ。ステージは十時からの一回が残っている。これはどうしても抜けられない。どう見積もっても、自分のマンションに帰りつくのは十一時を超えてしまうだろう。留守だとわかったら、とりあえずはホテルに戻るかも知れない。
悦嗣は手の中の腕時計を握り締めた。
(8)
通路の手すりに胸を凭せて、さく也は夜の街を見下ろしていた。過ぎる風はコートの襟を立てても、首周りに冷たさを残す。それも慣れてしまった。
そう言えば、以前にもこうして外気に晒されながら、彼を待ったことがあったな…と、さく也は思い出していた。
あの時は食事の約束がキャンセルされて、来るはずがないとわかっていた。それなのに初めて誘われたことが嬉しくて、待ち合わせの場所に行ったのだ。春とは名ばかりの寒い夜だった。暇潰しのスコアを持つ手が冷たかった。何時間か経って、用事が早く終わったからと連絡があり――やって来た加納悦嗣は、キスをくれた。冷えた身体が、一瞬にして温まったことを覚えている。
あのキスの意味は、今もわからない。兄弟にするようなmouth to mouthだから、挨拶程度だったとも取れる。それでもさく也は、その感触を忘れられなかった。
今日は何の連絡もせずに来てしまった。もしかしたら旅行に出かけていて、帰って来ないかも知れない。しかしどこかにホテルを取って出直すと言う考えは、さく也には浮かばなかった。
――会いたい
ただ会いたいだけだ。会って、やさしい声を聞きたいだけだ。凍えたさく也に、「やれやれ」と言って微笑みかけて欲しいだけだ。
ただ…ただ会いたいだけだ。
いつもならバックで停める駐車スペースに頭から突っ込んで、悦嗣は車を降りた。ドアを乱暴に閉めた音が駐車場内に響き渡るのを背に、悦嗣はマンションにエントランスに向かって駆け出した。
エレベーターに飛び込むと、六階と『閉』のボタンを押す。ゆっくりとした浮遊感で昇るエレベーターがもどかしく、ドアが開くや否や、自分の部屋に向かって走った。
冷気が痛い。日中、雪がチラついたくらいに今日は寒かった。夜になって更に気温が下がったように思う。この寒さの中、彼は待っているだろうか? ローズテールで帰り着く時間を計算した時には、きっとホテルにでも戻っていると自分に言い聞かせた悦嗣だが、もしさく也がここまで来たのだとしたら、待っているだろうという考えは捨てきれなかった。
そしてさく也は――やはり待っていた。
「中原!」
さく也は自分を呼ぶ声に振り返った。加納悦嗣が走ってくるのが見えた。見る見る距離は縮まって、目の前に彼が立つ。
「どうしたんだ、いったい。エースケから電話が来たぞ」
白い息が悦嗣の口から漏れる。さく也はしばらくその息に見とれていた。
「中原?」
「電話、もらって」
「昨日、俺がしたやつか?」
「声を聞いたら、会いたくなったから」
さく也の息も白い。寒さのせいで言葉は震えているが、相変わらずの表情の乏しい声と表情で、何の照れもなく答えた。
去年の春、キャンセルされたはずの待ち合わせ場所で、一人ベンチに座っていた彼を思い出す。その姿を何時間後かに見つけてしまった悦嗣は、電話せずにはいられなかった。離れた所で、自分からの電話を嬉しそうに受けるさく也の様子を見ていた。可愛く思って、だからキスをした。抱きしめたい衝動を抑えたあの時―――すでに自分は惹かれていたのだ
悦嗣はさく也を見つめた。それから、抱きしめる。頬にあたる髪までも冷たかった。それを感じて、尚更に強く抱きしめた。
腕の中のさく也は動けなかった。
温かい。タバコの匂いのする胸は、間違いなく悦嗣の物で温かかった。
自分を抱きしめてくれている。
彼の肩先に頬を擦り付けるようにして、さく也は目を閉じた。
さく也が自分に身体を預けたことを、悦嗣は感じた。背中に回された彼の手が、躊躇いがちにコートを掴む。
口元にはさく也の耳。悦嗣はそれに囁いた。
「好きだよ」
さく也が顔を上げる。心持ち見開いた目に、複雑な表情が浮かんだ。
「…なに?」
と問い返すために動く唇に、答える代わりに口づける。
凍えた唇を温める。長く、長く。目元に、頬に、こめかみに、そしてまた唇に戻って、悦嗣は愛おしむようにキスをした。
彼の唇の熱は、さく也の体を温めてくれた。目元から、頬から、こめかみから、温かさが広がって行く。そして唇に戻った深くやさしいキスは、眩暈を感じるほどに甘い。
カクリ…と、さく也の膝の力が抜けた。悦嗣は腰に回した腕で支える。唇を離してさく也を見ると、耳まで赤くなっていた。
「中に入ろう」
一度、きつく抱きしめて悦嗣が言うと、さく也は目を伏せて「うん」と答えた。
その後―――
加納悦嗣は母のピアノ教室を継いだ。
「エツ兄がぁ?」
「後継ぎ目当てで、見合い話を持って来られても困るからな」
何度か持ち込まれる見合いの相手が、揃いも揃って音大?芸大卒だったから、律子の意思が少なからず働いていることを感じ取ってのことだった。
子供の頃から多少なりとも期待をかけてくれて、月島芸大まで出してもらったにも関わらず、結局、母の期待に添うことが出来なかった悦嗣の、せめてもの親孝行と言ったところだ。孫の顔も見せられないことだし。
とは言え、調律の仕事が主であることには変わりなかった。いつの間にか『和解』したユアン?グリフィスが悦嗣を専任で使い、その噂を聞いた他のピアニストからも声がかかるようになって、請われれば苦手な飛行機を乗り継ぎ、海外の仕事先にも出向くようになっていった。
その他に、発足されたばかりの市民オーケストラに鍵盤奏者で参加、その音楽センスを買われて練習指揮者の一人となり、気がついて見れば悦嗣は、音楽の中で生活するようになっていた。
中原さく也はWフィルをクビになることなく、それから四年、在籍した。その間にあらゆる国際コンクールの栄冠を総なめにして、ソリスト?デビューを果たしたのである。それは悦嗣との遠距離恋愛に我慢が出来なくなり、自由の利く身になりたかったからなのだが、ソリストになったらなったで、一年の半分は演奏旅行の為に日本を離れなければならず、本人の思うほどに状況は変わらなかった。日本にいる間は、悦嗣が所属する市民オーケストラの一員として練習に参加したり――これは団員をひどく驚かせ、当然、コンサート?マスターを…と言う話になったが断った――、かのう音楽教室の特別レッスンを引き受けたりしたが、悦嗣絡みの仕事以外はオフを理由に受けなかった。
曽和英介はさく也より一足先にWフィルを退団、日本に戻ってN響に入団した。知らない間に元妻の小夜子と復縁していて、悦嗣を驚かせた。
さく也との事を知った時、この親友は別段驚いた様子を見せなかった。
「言っただろう? ゲイはすでに一般的だって。芸術系には珍しくないし。周りに結構多いから、もう慣れっこだよ。それに俺の事を過去形で言った時から、こうなるってわかってた」
と、あの最強の笑顔で言った。英介への想いを、過去形で語ったことがあったろうかと、記憶を総動員する悦嗣に、「仙台の帰りさ」と彼はまた笑った。夢だと思っていた仙台音楽祭の帰りの新幹線での『告白』は、やはり現実のことだったのだと、悦嗣は赤面するしかなかった。
傷心のユアン?グリフィスはさく也の恋が成就したことを知ると、おとなしく身を引いた。以後は友人として、悦嗣とも親しく出来るように努力する。調律の腕は初めから買っていて、日本のみならずアメリカのリサイタルにまで呼びつけるようになった。悦嗣の取り成しでチャリティ形式のみと言う条件つきながら、さく也とのデュオも実現する。やがてさく也の弟(二卵性の双子)に一目惚れし、またも追いまわすことになるのだが、それはまた別の話。
『とっとと位置につきやがれ』
あのアンサンブル?コンサートから七年後の十月、加納家の末っ子?夏季が結婚した。
秋晴れの空に向かって花嫁が投げるブーケは、差し出される女友達の手を通り越す。ゆるやかな弧を描いて落ちた先は、悦嗣と英介の間に立つさく也の腕の中。周りが沸いて、英介が笑う。さく也が自分の手元の場違いなブーケを不思議そうに見つめ、その様子を見て悦嗣もまた笑った。
花嫁が両手をブンブン振って、
「ごめーん、投げてー」
と能天気に叫ぶので、さく也は華やかな一群に渡るように投げ返した。受け取るに相応しい人間の手に、今度こそブーケは落ち着いて、人々の関心もそちらに移って行った。
「もらっておけば良かったのに」
英介が冗談めかして言うと、さく也は「いらない」と簡潔に答えた。
「情緒の無いヤツだな」
彼らしい物言いに、悦嗣が苦笑した。
厳かな儀式から解放された新郎新婦を人々が囲んでいる。それを見ていたさく也は、悦嗣の言葉に振り返った。
それから、
「もう神様に誓った人がいるから」
と、ふんわり微笑んだ。
The end
■ あとがき
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Op.4がendを迎え、『Slow Luv』の本編は完結です。ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございました。あとSideを2本ばかしUpしますので、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。
この話の登場人物にモデルはおりません。
ただ色恋沙汰以外の音楽的エピソードは、私の体験や実際の時事が参考になっています。
少しはかじったクラシックの世界でしたが、いざまとめるとなると、こんなお遊びな話でもいろいろ調べることがあって、知ったつもりでいたことも多く、ポケット楽典やらを取り出しては、頭をひねることもありました。調べたことは自分の中での裏付けする=自己満足がほとんどで、話に反映されているかどうかは怪しいところです。
あと『音』を文字にするのが難しい。ここに出てくる曲を知らない人に、良さを感じてもらうのはどうしたらいいのか。そりゃ世に言う『ボーイズ?ラブ』(登場人物達が年食ってるので、あてはまるのか、この言葉?)なんだから、当然メインは恋愛方面、そんなに曲について書くこともないとは思ったのですが、基本的に自分の好きな曲を使っているので、ついつい書きたくなってしまうわけです。必要の有無も考えず。だからしつこいと思われた方もいらっしゃるでしょうね。
ともあれ、好き勝手に楽しく書いて完成したのは、本当に久しぶり。産みの苦しみを友人にうだうだと愚痴ったこともありましたが、なんとか終わって良かったです。
『Slow Luv』終了後の恋愛物は、主人公が中原りく也(さく也の弟)とピアニストのユアン?グリフィスです。
続編ではないので、エツやさく也はほとんど出てきませんが、始まりましたらまた読んでやってくださいませ。更に登場人物の年令が上がりますけど(笑)
連載期間中、コメントを頂いた方、とても励みになりました。ありがとうございました。
紙森けい
■ 『Slow Luv』のWフィルについて
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『Slow Luv』で中原さく也と曽和英介が所属しているWフィルとは、オーストリアのウィーン?フィルハーモニー管弦楽団を参考にしています。
ウィーン?フィルは1842年にその活動を開始した、歴史あるオーケストラです。その母体はウィーン国立歌劇場付属のオケで、フィルのメンバーはすべてここの楽団員であり公務員。国立歌劇場の仕事をこなしつつ、フィルとしての活動もすると言う形態になっています。
音楽監督や常任指揮者を置かず、指揮者はすべて楽団員の秘密投票で決められ招かれます。また自分たちの音にこだわるあまり、「ウィーン音楽院の出身者で現フィルメンバーに指導を受けた演奏者」、「女性演奏家の不採用」、「オーストリア製楽器の使用」などと言った厳格な決まりを守って来ました。しかしそれも時代に応じて変容し、今では女性や外国人も採用され、ウィーン?フィルの伝統的な音の継承者の一人として、オケを構成しています。
三年の試用期間を経て、正式楽団員となります。
『Wフィル』ではあまりにまんまだったな…と、反省する今日この頃。
小说下载尽在http://bbs.txtnovel.com---书香门第【duansh1204】整理
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