饭饭TXT > 海外名作 > 《桔梗庵の花盗人と貴族/桔梗庵的贵族之恋(日文版)》作者:[日]远野春日【完结】 > 【书香门第】《桔梗庵の花盗人と貴族(日文版)》.txt

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作者:日-远野春日 当前章节:5944 字 更新时间:2026-6-23 02:22

宗 篤:千葉様は案外不器用な方なんだなぁと思っただけです。

芦 名:ふっ!

宗 篤:それから、どうか、私をそんなに怖がらないでください。怯えたお顔をされると、本当に胸が痛むのです。

芦 名:怖がりなどするものか?!

  (ノックの音)誰だ?

馬 渡:馬渡でございます。先ほど千葉様からのお使いがまいりました。

芦 名:千葉からの?馬渡、千葉の使いは何と?

馬 渡:はい、千葉様は『黄昏亭』の二階で若様をお待ち遊ばしているようです。

芦 名:「黄昏亭」…

芦 名:(『黄昏亭』に足を踏み入れるのはあの日以来だ。一階のバーは相変わらず、無骨の男たちの話し声や甲高い笑い声。グラスを触れ合わせる音などで満ちていた。)

  手前の部屋は空いているようだ。ということは、奥の二部屋のどちらかと言うことか。おかしいな、どちらも空き部屋の空き札がかかっている。あ!何の音だ?この部屋、扉が開いている。

優  :あああ、重貴…っ、もうだめだ……きついっ

芦 名:えっ?重貴!?まさか…

重 貴:優、もう音を上げるつもりが?

優  :だって……!ああっ、あっ、あ

重 貴:優。もう少しだ、がまんしろ。

芦 名:そんな……

優  :ああ…はあ……ん……本当によかったの、重貴?

重 貴:何が?

優  :さっきこの部屋を覗いていたのは最近きみがご執心だった、例の華族の若様なんだろう?

重 貴:やっている最中に気がついていたのか。驚くな。

優  :そうじゃないけど、あんな勢いで走って行く足音を聞けば、何が起きたのかくらい想像はつくよ。きみもたいがい人が悪いな。

重 貴:見世物にして悪かった。お詫びに、下で一杯やろう。

優  :それより、きみは若様が追いかけた方がいいんじゃないかなあ。

重 貴:今追いかけたら、向こうはますます混乱する。

優  :このままでは誤解されたままだよう。

重 貴:俺はわざと見せ付けたんだぜ。相手はおまえひとりじゃないんだと教えておくためにな。

優  :でも……、じゃあ、きみは彼をどうしたいの?彼とどんな付き合いを望んでいるわけ?

重 貴:おまえは考え違いをしている。俺はあいつと恋愛ごっこしているわけじゃない、俺はあいつを脅して抱いているだけだ。

優  :……分からないな。僕にはあの若様は多少なりときみに本気だった気がする。でなければ、あんなに慌てて逃げはしないと思う。

重 貴:分からなくていい。

優  :酷だよ。無理やり始めたのに、若様が本気になりかけていたとすれば、それはたぶん、きみの愛情を微かにでも感じ取っていたからじゃないのかな、重貴。

重 貴:この話はもうそれくらいでやめろ。黙って一杯付き合う気がないなら、俺は帰る。

優  :待って。付き合うよ。このままきみと気まずくなって別れるのは、僕は嫌だからね。

重 貴:ああ。それは俺も同じだ。

トラック5

芦 名:「黄昏亭」の一件から丸一日が経った。じっとしていると、昨日のことを思い出してしまう。

(思い出)

優  :あああ、重貴…っ、もうだめだ……きついっ

芦 名:重貴には、一体何人の相手がいるんだか?

(ノックの音)

芦 名:誰だ?

馬 渡:馬渡でございます。ただいま千葉様がお見えでございますよ。

芦 名:重貴が?分かった、お通ししろ。

(ドアが開ける)   

芦 名:わざわざ何の用?

重 貴:昨日はなぜ部屋に入ってこなかった?

芦 名:……お相手がいるのなら、私は必要ない。邪魔しては申し訳なく思い、失礼した。

重 貴:それで、勝手に帰ったわけか。せっかく三人で愉しもうと思ったのにな。

芦 名:なんて破廉恥な…

重 貴:三人がなぜ悪い。そもそも、おまえには俺を拒絶できない理由があったはずだぞ。

芦 名:卑怯者!

重 貴:罰だ、胤人。来いよ!そして、しゃぶれよ。分かるだろう?

芦 名:(重貴はすでに硬く張り詰めていた。いつから、欲情していたのか?気まぐれ。意地悪。遊び。脅し。そんな単語が頭の中で渦を巻く、胸が痛かった。)

重 貴:もう、いい、おまえ、どうしたい?

芦 名:人払いは、してやる。

  (帰れと言ってやりたかった。だけど、体の奥で火種がくすぶ燻っている。重貴の愛撫に慣らされた体はいつのまにかすっかり作り替えられていた。)

トラック6

重 貴:碩徳、珍しいな、おまえがここに来るとは。

碩 徳:三田の千葉邸を尋ねたら、こっちだと教えてもらったものでな。ところで、最近芦名と疎遠なんだって?

重 貴:あ、それがどうかしたのか?

碩 徳:繋がらないな。芦名のことをわざわざ聞いておきながらそんなふうに言うのは、どういう見解からだ?

碩 徳:俺に最後まで喋らせるのは野暮ってもんだろ。

重 貴:いつ気がついた?

碩 徳:先週末だ。サロンのビリアド場できみたち二人を見て、ピンと来たのさ。

重 貴:つまり、そのことで俺を糾弾に来たわけか?

碩 徳:というより、どういうわけで芦名と付き合っているのか、よかったら聞かせてもらいたいと頼みに来ただけだ。

重 貴:俺は冷たい人間なんだ、碩徳。芦名に手を出したのも、興味本位からだった。

碩 徳:さぁ、俺にはそんなふうに見えなかったが。どんな経緯で芦名を手に入れたのか知らないが、芦名本人も結果的にきみに惚れたのなら、素直に最初の行為を…

重 貴:待ってくれ。なぜそう誰も彼も芦名が俺に惚れているなどと言いきるんだ?

碩 徳:はっ…まさか本気で分からないと言うんじゃなかろうな?

重 貴:わからんねえ。散々酷いことをした自覚が俺にもある。あいつは俺を恨みこそしても、好きになるわけがない。

碩 徳:っは、こいつが参ったな。千葉重貴は、実は恋愛に疎いぼく朴ねん念じん仁だったとは…

重 貴:何だって?!俺が不器用だというのか?

碩 徳:俺の知った中では、芦名の次くらいに不器用かな。

重 貴:……ふん、あいつの次とは心外だな。

碩 徳:そう、その顔だよ!惚れてるんだなぁと俺が思うのは、芦名の話題になったときにきみが見せる、その柔らかな表情のせいだ。

重 貴:俺が?

碩 徳:いっぺん鏡を見てみろよ。俺はこの辺で失礼するよ。今度、芦名を活動写真でも誘ってやるよ。たまには芦名が笑っているところ、見たいだろ?

重 貴:そんなことをして何になる?

碩 徳:俺はね、重貴。きみの事も気になるが、実はそれ以上に芦名のことが気がかりなんだ。

重 貴:え?

碩 徳:芦名はここのところは会う度に覇気がなくなっている気がしてな。体のせいばっかりじゃなくて心のせいだろうと思うんだ。

重 貴:俺のせいか。そう言いたいんだな?

碩 徳:きみにしか治してやれないだろうと言いたいだけだ。

トラック7

芦 名:どんどん苦しくなる。これ以上はもう無理だった。楽になりたい、重貴に、「もう止めたい」と言って、解放してもらえば……よりにもよって最も好きになってはいけない男を、私は…

馬 渡:胤人様、ただ今、千葉様の使いが参っておりますが…

芦 名:すぐに行く。今日で最後にしよう。これ以上、傷付く前に…

芦 名:んは……あ……いや…あは……あんは……

重 貴:へ……あっ……胤人!

芦 名:あん……あ――あは……

重 貴:あは……

芦 名:はう…はう…

重 貴:はう…はう…

重 貴:どうした?今日はえらく素直だな?

(芦名の泣き声)

重 貴:おい、おまえ、今日は少しおかしいぞ。具合でも悪いのか?

芦 名:違う。

重 貴:胤人、どうした。おまえはこんな涙もろい男だと知らなかったぞ。

芦 名:重貴、私は、もうだめだ。

重 貴:なんだと?

芦 名:これ以上は、もう付き合えない。

重 貴:本気なのか?

芦 名:ああ。今日限りにして欲しい。今までの間、私なりにきみに応えたつもりだ。だから、私が自分でいられなくなる前に……

重 貴:勝手にしろ!

芦 名:……重貴

トラック8

(ノックの音)

宗 篤:兄上、食事をお持ちしました。今日こそは何が何でも召し上がっていただきます。

芦 名:悪いが、私は本当に食欲がない。

宗 篤:なぜですか?もう四日も食事を摂っていませんよ。

芦 名:おまえには関係ない。

宗 篤:ご自分の気持ちを偽りになられて、取り返しのつかない失態を招いたから、ですか?

芦 名:む、宗篤!

宗 篤:立ち入りすぎとお叱りは覚悟をして言わせて頂きますが、兄上がお食事に手をつけられなくなったのは、千葉様にお呼びを受けた次の日からと、存じ受けいたします。兄上は、千葉様のことを愛しておいでなのですね。

芦 名:愛してなんて……

宗 篤:千葉様を愛しているのですか?

芦 名:ああ、恐らく。

宗 篤:それでは、決別しようと言い出したのは千葉様なのですか?それとも兄上から?

芦 名:……私だ。

宗 篤:仕方のない方だ。

芦 名:どうせ私は馬鹿だ。

宗 篤:兄上が、意外と要領が悪くていらっしゃることは確かですね。

芦 名:もういい。食べる、それを食べればいいんだろう!

宗 篤:はい。お食事がお済みになりましたら、千葉様の元へ行かれてはいかがですか?

芦 名:しかし、どんな顔して会えばいいんだ?

宗 篤:素直に兄上のお気持ちをお伝えすればよろしいのでは?

芦 名:素直に、気持ちを。すまなかった、宗篤。ずっとおまえに冷たく当ってしまって。

宗 篤:いいえ。それより、お食事をしっかり召し上がってくださいね。

重 貴:胤人、突然どうしたんだ?

芦 名:……重貴

重 貴:おまえ、濡れてるじゃないか?

芦 名:ああ、……うん。少し。きみを探しにクラブ倶楽部へ出かけたときは晴れていたものだから、傘を持って出なかった。

重 貴:馬鹿やろう。来いよ。風でも引いたらどうするんだ!

芦 名:あっ…!

(二人は部屋に入った)

重 貴:俺の着流しだから、少し大きいかもしれないが、服が乾くまでがまんしてくれ。

芦 名:ああ。

重 貴:それで、何故ここに来た?

芦 名:諏訪が、きみがもうずっと倶楽部に顔を出していない、たぶん桔梗庵に引きこもって、失恋の痛手に泣いているんだろうと言った。

重 貴:碩徳のやつ、今度会ったら、甘いものでも奢らせてやる。

芦 名:諏訪は甘い物が苦手だと聞いた気がする。

重 貴:だからいいんじゃないか?ふんふん……ははは……

芦 名:ふんふん……はは……ふん…

重 貴:胤人、俺がおまえにさっき聞いた「なぜ」は、そういう意味ではなかったんだが。

芦 名:あん……

重 貴:(さっきこの顔を見た瞬間、黙って抱き締めればいいのは分かっていた。胤人にしても、俺の気持ちに察しがついたに間違いない。お互い、意地を張っていただけなのだ。)

何時からあんなふうに泣いていた?

(――何時から俺のことを好きになっていた?)

芦 名:……わからない……わからない……わからないんだ。重貴のことをいつのまにか本気で好きになっていて……

重 貴:じゃあ、おまえはわからなくてもいい。おまえがわからなくても、俺はわかっている。これからは、おまえのことは全部俺がわかっているようにするから。いいだろう、胤人、それならば?

芦 名:……はい

重 貴:俺たちは最初からやり直した。

(キス)

芦 名:あ……ん、ん……っ

重 貴:もう間違いない。今まで、脅して苦しめて、酷いことばっかりして、悪かった。

芦 名:……はっ、……あ

重 貴:愛してる!

芦 名:本当……?

重 貴:ああ。いつからなのか、俺にもやっぱり、はっきり分からないが。胤人。デェトしないか?

芦 名:どこで?

重 貴:どこでもいいさ。おまえが行きたいところに連れていってやろう。

芦 名:……じゃあ銀座。活動写真が観たい。

重 貴:ちくしょう碩徳め……

芦 名:なに?

重 貴:愛してるって言ったのさ。

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