饭饭TXT > 海外名作 > 《きまぐれロボット/淘气的机器人(日文版)》作者:[日]星新一【完结】 > 【书香门第】《きまぐれロボット淘气的机器人(日语原版)》作者:[日]未知.txt

文章简介

作者:日-星新一 当前章节:15352 字 更新时间:2026-6-16 00:33

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角川e文庫

 きまぐれロボット

[#地から2字上げ]星 新一

目 次

 新発明のマクラ

 試作品

 薬のききめ

 悪 魔

 災 難

 九官鳥作戦

 きまぐれロボット

 博士とロボット

 便利な草花

 夜の事件

 地球のみなさん

 ラッパの音

 おみやげ

 夢のお告げ

 失 敗

 目 薬

 リオン

 ボウシ

 金色の海草

 盗んだ書類

 薬と夢

 なぞのロボット

 へんな薬

 サーカスの秘密

 鳥の歌

 火の用心

 スピード時代

 キツツキ計画

 ユキコちゃんのしかえし

 ふしぎな放送

 ネ コ

 花とひみつ

 とりひき

 へんな怪獣

 鏡のなかの犬

 あーん。あーん

  新発明のマクラ

「やれやれ、なんとか大発明が完成した」

 小さな研究室のなかで、エフ博士は声をあげた。それを耳にして、おとなりの家

の主人がやってきて聞いた。

「なにを発明なさったのですか。見たところ、マクラのようですが」

 そばの机の上に大事そうに置いてある品は、大きさといい形といい、マクラによ

く似ている。

「たしかに、眠る時に頭をのせるためのものだ。しかし、ただのマクラではない」

 と、博士はなかをあけて、指さした。電気部品が、ぎっしりとつまっている。お

となりの主人は、目を丸くして質問した。

「すごいものですね。これを使うと、すばらしい夢でも見られるのでしょうか」

「いや、もっと役に立つものだ。眠っていて勉強ができるしかけ。つまり、マクラ

のなかにたくわえてある知識が、電磁波の作用によって、眠っているあいだに、頭

のなかに送りこまれるというわけだ」

「なんだか便利そうなお話ですが、それで、どんな勉強ができるのですか」

「これはまだ試作品だから、英語だけだ。眠っているうちに、英語が話せるように

なる。しかし、改良を加えれば、ほかの勉強にも、同じように使えることになるだ

ろう」

「驚くべき発明ではありませんか。どんななまけ者でも、夜、これをマクラにして

寝ていさえすれば、なんでも身についてしまうのですね」

 おとなりの主人は、ますます感心する。博士は、とくいげにうなずいて答えた。

「その通りだ。近ごろは、努力をしたがらない人が多い。そんな人たちが、買いた

がるだろう。おかげで、わたしも大もうけができる」

「ききめが本当にあるのなら、だれもが欲しがるにきまっていますよ」

「もちろん、ききめはあるはずだ」

 おとなりの主人は、それを聞きとがめた。

「というと、まだたしかめてないのですか」

「ああ、わたしはこの研究に熱中し、そして完成した。しかし考えてみると、わた

しはすでに英語ができる。だから、自分でたしかめてみることが、できないのだ」

 と、博士は少し困ったような顔になった。おとなりの主人は、恥ずかしそうに身

を乗り出して言った。

「それなら、わたしに使わせて下さい。勉強はめんどくさいが、英語がうまくなり

たいと思っていたところです。ぜひ、お願いします」

「いいとも。やれやれ、こうすぐに希望者があらわれるとは、思わなかった」

「どれくらい、かかるのでしょうか」

「一ヵ月ぐらいで、かなり上達するはずだ」

「ありがとうございます」

 と、おとなりの主人は、新発明のマクラを持って、うれしそうに帰っていった。

しかし、二ヵ月ほどたつと、つまらなそうな顔で、エフ博士にマクラを返しにきた

「あれから、ずっと使ってみましたが、いっこうに英語が話せるようになりません

。もう、やめます」

 博士はなかを調べ、つぶやいた。

「おかしいな。故障はしていない。どこかが、まちがっていたのだろうか」

 だが、ききめがなければ、使い物にならない。せっかくの発明も、だめだったよ

うだ。

 それからしばらくして、エフ博士は道でおとなりの女の子に会った。声をかける

「そのご、おとうさんはお元気かね」

「ええ。だけど、ちょっとへんなことがあるわ。このごろ、ねごとを英語で言うの

よ。いままで、こんなことなかったのに。どうしたのかしら」

 眠っているあいだの勉強が役に立つのは、やはり、眠っている時だけなのだった

  試作品

 エム博士の研究所は、静かな林のなかにあった。博士はそこにひとりで住んでい

る。町から遠くはなれているので、だれもめったにたずねてこない。

 しかし、ある日、あまり人相のよくない男がやってきた。

「どなたでしょうか」

 と博士が聞くと、男はポケットから拳銃を出し、それをつきつけながら言った。

「強盗だ。おとなしく金を出せ」

「とんでもない。わたしは貧乏な、ただの学者だ。もっとも、長いあいだの研究が

やっと完成したから、まもなく景気がよくなるだろう。しかし、いまのところは、

金などない」

 こうエム博士は答えたが、そんなことで、強盗は引きさがりはしない。

「では、その研究の試作品をよこせ。どこかの会社に持ちこんだら、高い金で買い

とってくれるだろう」

「だめだ。渡さない。ひとの研究を横取りしようというのは、よくない精神だぞ」

「それなら、ひとりで探し出してみせる」

 強盗は、逃げ出さないようにと、博士の手を引っぱって、研究所のなかを調べま

わった。しかし、試作品らしいものは、どこにも見あたらない。

 最後に小さな地下室をのぞいた。なかはがらんとしていて、机とイスが置いてあ

るだけだった。強盗は博士に言った。

「どうしても渡さない気なら、ただではすまないぞ」

「拳銃の引金をひくつもりなのか」

「いや、殺してしまっては、品物が手に入らない。いやでも渡す気になる方法を、

考えついたのだ。さあ、この地下室に入れ」

「いったい、わたしをどうしようというのだ」

「あなたを、このなかにとじこめる。おれは、入口でがんばることにする。そのう

ち、空腹のため悲鳴をあげるだろう。品物を渡す気になったら、すぐに出してやる

「ひどいことを思いついたな。だが、そんな目にあわされても、決して渡さないぞ

 博士はあくまでことわり、ついに地下室に押しこまれてしまった。

 かくして、一日がたった。強盗は入口の戸のそとから、声をかけた。

「さぞ、おなかがすいたことだろう。いいかげんで、あきらめたらどうだ。こっち

は食料があるから、当分は大丈夫だ」

「いや、わたしは絶対に負けないぞ」

「やせがまんをするなよ」

 しかし、その次の日も、そのまた次の日も同じことだった。声をかけると、なか

で博士が元気に答える。時には、のんきに歌う声も聞こえてくる。

 一週間たち、十日が過ぎた。

 まだ博士は降参しない。そのころになると、強盗のほうが弱ってきた。手持ちの

食料もなくなりかけてきたし、戸のそとでがんばっているのにも、あきた。それに

、なにも食べないでいるはずなのに、あいかわらず元気な博士が、うすきみ悪く思

えてきたのだ。

「もうあきらめた。いつまでいても、きりがなさそうだ。引きあげることにするよ

 強盗は、すごすごと帰っていった。エム博士は地下室から出てきて、ほっとため

息をついた。それから、こうつぶやいた。

「やれやれ、やっと助かった。試作品が地下室にあったとは、強盗も気がつかなか

ったようだ。わたしの完成した研究とは、食べることのできる机やイスを作ること

だったのだ。おかげで、その作用を自分でたしかめることになってしまった。栄養

の点はいいが、もう少し味をよくする必要もあるな。きっと将来は、宇宙船内や惑

星基地での机やイスには、すべてこれが使われるようになるだろう。そして、万一

の場合には、大いに役に立つにちがいない」

  薬のききめ

 お金持ちのアール氏のところへ、ひとりの男がたずねてきた。

「どなたです。そして、ご用件はなんですか」

 とアール氏が聞くと、男は答えた。

「わたしは発明家です。じつは研究を重ねたあげく、すばらしい薬を、やっと完成

しました。あなたに応援していただいて、どんどん作って売れば、おたがいに大も

うけができると思います。いかがなものでしょう」

「ああ、有利な事業なら、資金を出してもいい。しかし、いったい、どんな薬なの

だ」

 男は錠剤の入ったビンを取り出し、そばの机の上に置きながら言った。

「忘れてしまったことを、思い出す薬です」

「なるほど、おもしろい作用だな。それで、使い方はどうなのだ」

「簡単です。飲めばいいのです。この一錠を飲めば、きのうのことを、すっかり思

い出します。また、二錠ならおとといのこと、三錠なら三日前のこと、といったぐ

あいです」

 アール氏はビンをながめ、質問した。

「いろいろな大きさの錠剤があるようだが、それはなぜだ」

「成分は同じですが、量が多くなっています。中型のは一錠でひと月前のことを、

大型のは、一錠を飲めば一年前のことを思い出すのです。だから、うまく組合わせ

て飲めば、過ぎさったどの日のことでも、思い出せるわけです」

「しかし、どんな役に立つのだろう」

「あらゆる方面で、役に立ちます。忘れっぽくなった老人でも、これがあれば若い

人に負けずに働けます。また、メモや日記をつけるひまもないほどいそがしい人も

、安心して仕事に熱中できることでしょう」

「世の中のためにもなりそうだな。だけど、これに害はないだろうな」

「もちろん、その点は大丈夫です。わたしも使ってみましたし、動物を使っての実

験も、何度もやってたしかめました」

 男は書類を出してくわしく説明しようとしたが、アール氏は手を振った。

「たしかに無害なら、それでいい。となると、問題は、はたして効果があるかどう

かだ。いま、自分で飲んで、ためしてみることにする。それで確実とわかれば、資

金を出すことにしよう」

「何錠ぐらい、お飲みになりますか」

「たくさんくれ。十歳ぐらいだったころのことを、思い出してみたいのだ。そんな

昔のことでも、効果はあるのだろうな」

「まだ、わたしはやってみませんが、あるはずです。それよりも以前の、うまれた

てのころとか、うまれる前となるとむりですが」

「では、やってみることにしよう」

 アール氏は錠剤の数をかぞえ、コップの水で、つぎつぎに飲みこんだ。そして、

目をとじてイスにかけていたが、やがて目を開いた。待ちかまえていた男は、身を

乗り出して聞いた。

「いかがでしたか」

「うむ。すばらしいききめだ。子供のころのことを、ありありと思い出せた。とて

もなつかしい気分を、味わえた」

「それは、けっこうでした。では、資金を出していただけるわけですね」

「いや。そのつもりだったが、気が変った」

 アール氏は首を振り、男はふしぎそうに文句を言った。

「それでは、お約束とちがうではありませんか。なぜです」

「知りたければ、いまと同じ量の薬を飲んでみたらいい。すっかり忘れていたが、

子供のころ、近所にいじわるな子が住んでいて、わたしはよくいじめられた。こん

なやつとは、二度とつきあうまいと決心したものだった。そいつとは……」

 こう言いながら、アール氏は前にいる男の顔を指さしたのだ。

  悪 魔

 その湖は、北の国にあった。広さはそれほどでもないが、たいへん深かった。し

かし、いまは冬で、厚く氷がはっていた。

 エス氏は休日を楽しむため、ここへやってきた。そして、湖の氷に小さな丸い穴

をあけた。そこから糸をたらして、魚を釣ろうというのだった。だが、なかなか魚

がかからない。

「おもしろくないな。なんでもいいから、ひっかかってくれ」

 こうつぶやいて、どんどん釣糸をおろしていると、なにか手ごたえがあった。

「しかし、魚ではないようだ。なんだろう」

 ひっぱりあげてみると、古いツボのようなものが、針にひっかかっていた。

「こんなものでは、しようがないな。捨てるのもしゃくだが、古道具屋へ持ってい

っても、そう高くは買ってくれないだろう。ひとつ、なかを調べてみるとするか」

 なにげなくフタを取ると、黒っぽい煙が立ちのぼった。あわてて目を閉じ、やが

て少しずつ目をあけると、ツボのそばに、みなれぬ相手が立っている。色の黒い小

さな男で、耳がとがっていて、しっぽがあった。

「いったい、なにものだ」

 エス氏がふしぎそうに聞くと、相手はにやにや笑ったような顔で答えた。

「わたしは悪魔」

「なるほど。本の絵にある悪魔も、そんなかっこうをしていたようだ。しかし、本

当にいるとは思わなかったな」

「信じたくない人は、信じないでいればいい。だが、わたしはちゃんと、ここにい

る」

 エス氏は何度も目をこすり、気持ちをおちつけ、おそるおそる質問した。

「なんで、こんなところに、あらわれたのです」

「そのツボにはいり、湖の底で眠っていたのだ。そこを引っぱりあげられ、おまえ

に起こされたというわけだ。さて、久しぶりに、なにかするとしようか」

「どんなことが、できるのです」

「なんでもできる。なにをやってみせようか」

 エス氏はしばらく考え、こう申し出た。

「いかがでしょう。わたしにお金を、お与え下さいませんか」

「なんだ。そんなことか。わけはない。ほら」

 悪魔は氷の穴に、ちょっと手をつっこんだかと思うと、一枚の金貨をさし出した

 あっけないほど簡単だった。エス氏が手にとってみると、本物の金貨にまちがい

ない。

「ありがとうございます。すばらしいお力です。もっといただけませんでしょうか

「いいとも」

 こんどは、ひとにぎりの金貨だった。

「ついでですから、もう少し」

「よくばりなやつだ」

「なんと言われても、こんな機会をのがせるものではありません。お願いです」

 エス氏は何回もねばり、悪魔はそのたびに金貨を出してくれた。そのうち、つみ

あげられた金貨の光で、あたりはまぶしいほどになった。

「まあ、これぐらいでやめたらどうだ」

 と悪魔は言ったが、エス氏は熱心にたのんだ。こんなうまい話には、二度とお目

にかかれないだろうと考えたからだ。

「そうおっしゃらずに、もう少し。こんど一回でけっこうです。ですから、あと一

回だけ」

 悪魔はうなずき、また金貨をつかみ出し、そばに置いた。

 その時、ぶきみな音が響きはじめた。金貨の重みで、氷にひびがはいりはじめた

のだ。そうと気づいて、エス氏は大急ぎで岸へとかけだした。

 やっとたどりつき、ほっとしてふりかえってみると、氷は大きな音をたてて割れ

、金貨もツボも、かん高い笑い声をあげている悪魔も、みな湖の底へと消えていっ

た。

  災 難

 その男は、何匹かのネズミを飼っていた。かず多くのなかから選んだ、敏感な性

質のネズミばかりだった。

 男は毎日、おいしいエサを作ってやったり、からだを洗ってやったり、熱心にせ

わをした。ネズミが病気になると、自分のこと以上に心配する。ネズミのほうも、

男によくなついていた。晴れた日には庭でなかよく遊び、雨の日には家のなかでか

くれんぼなどをする。また、旅行する時もいっしょだった。

 しかし、男がネズミとくらしているのは、かわいがるだけが目的ではなかった。

男はいつも、背中をなでてやりながら、こんなことをつぶやく。

「考えてみると、おまえたちがいなかったら、わたしは何回も災難にあっていただ

ろうな」

 ネズミには、近づいてくる危険を、あらかじめ感じとる力があるのではないだろ

うか。男はこのことに気づき、その利用を思いたったのだ。そして研究は成功し、

役に立った。

 かつて、ある日、ネズミたちが、とつぜん家から逃げ出したことがあった。わけ

がわからないながらも、男はそれを追いかけ、連れもどそうとした。

 その時、激しい地震がおこった。さいわい外にいたから助かったが、もし家に残

っていたら、倒れた建物の下敷きになっていたはずだ。死なないまでも、大けがを

したにちがいない。

 また、こんなこともあった。船に乗ろうとした時、連れてきたネズミたちが、カ

バンのなかでさわぎはじめた。乗るのをやめると、ネズミたちは静かになり、出航

した船は、嵐にあって沈んでしまった。

 こんなふうに、ネズミのおかげで助かったことは、ほかに何回もあった。それら

を思い出しながら、

「なにしろ、事故や災害の多い世の中だ。これからも、おたがいに助けあっていこ

う」

 と男がエサをやっていると、ネズミたちがそわそわしはじめた。いままでに危険

が迫った時、いつも示した動作だった。

「ははあ、なにかがおこるのだな。こんどは、なんだろう。火事だろうか、大水だ

ろうか。いずれにせよ、さっそく引っ越すことにしよう」

 急ぐとなると、その家を高く売ることはできなかった。また、安い家をゆっくり

さがしているひまもなかった。しかし、それぐらいの損はしかたがない。ぐずぐず

していて、災難にあったらことだ。

 新しい家に移ると、ネズミたちのようすは、もとにもどった。気分が落ちつくと

、男はあわなくてすんだ災難がなんだったかを、知りたくなった。そこで、電話を

かけて聞いてみることにした。

「もしもし、わたしは前に、その家に住んでいた者です。ちょっと、お聞きしたい

ことが……」

「なんでしょうか。なにか忘れ物ですか」

「そうではありません。わたしが越したあと、そちらでなにか、変ったことがあっ

たかどうかを知りたいのです」

「さあ、べつにないようですね」

「そんなはずは、ありませんよ。よく考えてみて下さい」

「そういえば、あれからまもなく、となりの家に住んでいた人もかわりましたよ。

そんなことぐらいです」

「そうですか。こんどの人は、どんなかたですか。きっと、ぶっそうな人でしょう

ね」

 と男は熱心に聞いた。災難は、となりにやってきた人に関連したことだろう。あ

のまま住んでいたら、いまごろは、やっかいな事件に巻きこまれたにちがいない。

だが、相手の答えは、意外だった。

「いいえ、おとなしい人ですよ」

「本当にそうですか」

「たしかです。ネコが大好きで、たくさん飼っているような人ですから」

 たくさんのネコ。人間にはべつになんでもない。しかし、ネズミたちにとっては

、ただごとではなかったのだ。

  九官鳥作戦

 だれもやってこない、山奥の森。そこに小屋をたてて、ひとりの男が住んでいた

。郵便も新聞も配達されないし、電気がないから、テレビやラジオを楽しむことも

できない。しかし、その男は「さびしい」とも「たいくつだ」とも言わず、ずっと

鳥たちを相手にくらしていた。

 しかし、静かな生活を、のんびりと味わっているのではない。じつは、悪いこと

をたくらんでいたのだ。

 男が飼っていたのは、たくさんの九官鳥だった。研究して特別に作ったエサをや

って育てたため、普通のにくらべて頭もよく、飛ぶ力も強かった。その鳥たちに毎

日、男は熱心に訓練をほどこした。それは、こんなぐあいだった。

「いいか。教えた通り、一羽ずつ順番にやってみせろ」

 と男は命令し、小屋のなかで待つ。すると、まもなくドアにコツコツと音がする

。鳥がやってきて、くちばしの先でたたいたためだ。ドアをあけると、鳥はなかへ

入ってきて、こう言う。

「さあ、おとなしくダイヤモンドを渡せ。そして、おれの左足につけてある袋に入

れろ。手むかいしたり、つかまえようと考えたりするな。そんなことをしたら、右

足につけてある小型爆弾を投げるぞ。そうなれば、おまえたちは、こっぱみじんだ

 なんども練習をくりかえすうちに、九官鳥たちはしだいに上達してきた。男は、

満足そうにうなずいた。

「うまくなったぞ。町の家々に飛んでいって、その通りにやればいいのだ。さあ、

行け。そして、またここへ戻ってこい」

 この命令で、何羽もの九官鳥は、町のほうへと飛びたっていった。それを見送り

ながら、男はつぶやいた。

「町の連中は、さぞ驚くことだろう。なにしろ、まっ黒な鳥の強盗が、とつぜんあ

らわれるのだから。この作戦を防ぐ方法は、ないにきまっている。パトカーは道の

あるところしか走れないから、追いつけっこない。ヘリコプターの音を聞いたら木

の枝にかくれるよう、鳥たちに教えてある。レーダーでは、ほかの鳥との見わけが

つかないはずだ」

 胸をおどらせて待っていると、九官鳥たちはつぎつぎに帰ってきた。足につけた

袋を調べると、どれにも光り輝く大粒のダイヤが入っている。みごとに成功したの

だ。

 すべては順調だった。しばらくつづけると、大きなカバンはダイヤでいっぱいに

なった。男は大喜びだった。

「ああ、こんな山奥で、長いあいだ苦心したかいがあったというものだ。これで、

おれも大金持ちになれる。これからは、どんなぜいたくな生活もできるのだ。さて

、町へ出かけてダイヤを売るとしよう」

 男は九官鳥たちを逃がしてやり、笑いながら山をおりた。そして、昔の仲間をた

ずねて相談した。

「ダイヤを処分したいのだが、手伝ってくれないか」

「ダイヤですって。まさか、ふざけているんじゃないでしょうね」

「もちろんだとも。ほら、こんなにある。うまく売りさばいてくれたら、わけ前を

やるよ」

 と男はカバンをあけ、とくいがった。だが、その仲間はなぜか首を振った。

「しかし、どうもね……」

「どうしたんだ。そんな気のりのしない顔をして」

「あなたは、どこにいってたんです。ニュースを知らないんですか。しばらく前に

、ダイヤは人工で大量生産できるようになりました。それで作りすぎて、ねだんも

安くなり、いまではこどものオモチャぐらいにしか、売れ口はないのですよ」

 山奥でくらしていた男は、そのことを少しも知らなかったのだ。

  きまぐれロボット

「これがわたしの作った、最も優秀なロボットです。なんでもできます。人間にと

って、これ以上のロボットはないといえるでしょう」

 と博士は、とくいげに説明した。それを聞いて、お金持ちのエヌ氏は言った。

「ぜひ、わたしに売ってくれ。じつは離れ島にある別荘で、しばらくのあいだ、ひ

とりで静かにすごすつもりだ。そこで使いたい」

「お売りしましょう。役に立ちますよ」

 と、うなずく博士に大金を払い、エヌ氏はロボットを手に入れることができた。

 そして、島の別荘へと出かけた。迎えの船は、一ヵ月後でないとやってこない。

「これで、ゆっくり休みが楽しめる。手紙や書類は見なくてすむし、電話もかかっ

てこない。まず、ビールでも飲むとするか」

 こうつぶやくと、ロボットはすぐにビールを持ってきて、グラスについでくれた

「なるほど、よくできている。ところで、おなかもすいてきたぞ」

「はい。かしこまりました」

 と答え、ロボットはたちまちのうちに食事を作って、運んできた。それを口を入

れたエヌ氏は、満足した声で言った。

「これはうまい。さすがは、優秀なロボットというだけのことはある」

 料理ばかりか、あとかたづけも、へやのそうじも、ピアノの調律さえやってくれ

た。また、面白い話を、つぎつぎにしゃべってくれる。まったく、申しぶんのない

召使いだった。かくして、エヌ氏にとって、すばらしい毎日がはじまりかけた。

 しかし二日ほどすると、ようすが少しおかしくなってきた。ふいに、ロボットが

動かなくなったのだ。大声で命令しても、頭をたたいてもだめだった。わけを聞い

ても答えない。

「やれやれ、故障したらしいぞ」

 エヌ氏はやむをえず、自分で食事を作らなければならなかった。だが、しばらく

たつと、ロボットは、またもとのように、おとなしく働きはじめた。

「時には休ませないと、いけないのかな」

 そうでもなさそうだった。つぎの日、ロボットはガラスふきの仕事の途中で、逃

げだしたのだ。エヌ氏はあわてて追いかけたが、なかなかつかまえられない。いろ

いろと考えたあげく、苦心して落し穴を掘り、それでやっと連れもどすことができ

た。命令してみると、このさわぎを忘れたように、よく働きだす。

「わけがわからん」

 エヌ氏は首をかしげたが、ここは離れ島、博士に問いあわせることもできない。

ロボットは毎日、なにかしら事件をおこす。突然あばれだしたこともあった。腕を

振りまわして、追いかけてくる。こんどは、エヌ氏が逃げなければならない。汗を

かきながら走りつづけ、木にのぼってかくれることで、なんとか助かった。そのう

ちに、ロボットはおさまるのだ。

「鬼ごっこのつもりなのだろうか。いや、どこかが狂っているにちがいない。とん

でもないロボットを、買わされてしまった」

 こんなぐあいで、一ヵ月がたった。迎えにきた船に乗って都会に帰ったエヌ氏は

、まっさきに博士をたずね、文句を言った。

「ひどい目にあったぞ。あのロボットは毎日のように、故障したり狂ったりした」

 しかし、博士は落ちついて答えた。

「それでいいのです」

「なにがいいものか。さあ、払った代金を返してくれ」

「まあ、説明をお聞き下さい。もちろん、故障もおこさず狂いもしないロボットも

作れます。だけど、それといっしょに一ヵ月も暮すと、運動不足でふとりすぎたり

、頭がすっかりぼけたりします。それでは困るでしょう。ですから、人間にとって

は、このほうがはるかにいいのです」

「そういうものかな」

 とエヌ氏は、わかったような、また不満そうな顔でつぶやいた。

  博士とロボット

 エフ博士は宇宙船に乗って、星から星へと旅をつづけていた。ただ見物してまわ

っているのではなかった。文明のおくれている住民のすむ星を見つけると、そこに

着陸し、さまざまな分野の指導をするのが目的なのだ。

 ちょっと考えると大変な仕事だが、どこの星でも、いちおうの成果をあげてきた

。それは、博士が自分で完成したよく働くロボットをひとり、いっしょに連れてい

たからだ。大型で、見たところは、あまりスマートとはいえない。しかし、力は強

く、なんでもできた。また、たいていのことは知っていたし、言葉もしゃべれる。

「さて、こんどはあの星におりよう。望遠鏡でながめると、ここの住民は、わたし

たちの手伝いを必要としていそうだぞ」

 と、博士は窓のそとを指さした。操縦席のロボットは、いつものように忠実に答

えた。

「はい。ご命令どおりにいたします」

 宇宙船は、その星へと着陸した。住民たちの生活は、ずいぶん原始的だった。毛

皮をまとい、ほら穴に住み、ちょうど大昔の地球のようだったのだ。

 ここでもまた、住民たちと仲よくなるまでが、ひと苦労だった。最初のうちは、

石をぶつけられたりした。しかし、ロボットは平気だったし、そのうしろにかくれ

れば、博士も安全だった。やがて、こちらに敵意のないことが相手に通じ、住民た

ちの言葉がいくらかわかりはじめると、仕事は急速にはかどっていった。

 博士はロボットに命令し、地面をたがやして種をまき、畑の見本を作らせた。ま

た、川のふちに水車を作らせ、その利用法を示した。どれもロボットにとっては簡

単な作業だったが、住民たちは目を丸くして驚き、大よろこびだった。

 さらに、動物をつかまえるワナの作り方、家の建て方、食糧の貯蔵法、病気の防

ぎ方などを教えさせた。ロボットの頭のなかには各種の知識がつめこまれてあるの

で、なんでも教えることができるのだ。

 エフ博士の役目は、つぎにはどんな命令を出したらいいのか考えることだった。

あとは時どきロボットに油をさし、エネルギーを補給し、外側をみがいてやるぐら

いでいい。

 こうして、しばらくの時がたった。ロボットが休みなく働いてくれたおかげで、

住民たちの生活はずっとよくなった。住民たちは争うこともしなくなり、勉強する

ことを知り、学んだ知識をべつな者に伝えるようになった。このようすを見て、博

士は言った。

「さて、文明も順調に発展しはじめたようだ。これからは、自分たちで力をあわせ

てやるだろう。そろそろここを出発し、べつな星をめざすとしようか」

「はい。そういたしましょう」

 ロボットは答え、その準備にとりかかった。

 その出発の日。聞き伝えて集った住民たちは、口ぐちにお礼の言葉をのべた。

「おかげさまで、わたしたちは以前にくらべ、見ちがえるように向上しました。ご

恩は忘れません。この感謝の気持をいつまでも忘れないようにと、記念の像を作り

ました。お帰りになる前に、ぜひごらんになって下さい」

 博士はうれしそうだった。

「そんなにまで感謝していただけるとは。ここの仕事も、やりがいがあったといえ

ます。よろこんで拝見いたしましょう」

 住民たちに案内され、博士とロボットはついていった。そして、丘の上にたてら

れている大きな石の像を見た。心をこめて作られたもので、花で美しく飾られてい

る。しかし、それはエフ博士の像ではなく、ロボットの像だった。住民たちが尊敬

したのは、ロボットのほうだったのだ。

  便利な草花

 植物学にくわしいエス博士の家は、郊外にあった。ある冬の日のこと、友だちの

アール氏がたずねてきた。

「こんにちは。お元気ですか」

 とアール氏があいさつすると、博士はへやのなかに迎え入れながら言った。

「ええ、久しぶりですね。昨年の夏においでになって以来ではありませんか。きょ

う、わざわざいらっしゃったのは、なにかご用があってですか」

「じつは、教えてもらいたいことがあってね。このへんは郊外だから、夏にはハエ

やカが多いはずでしょう」

「もちろんですよ。しかし、それがどうかしましたか」

「それなのに、夏にうかがった時は、それらの虫に少しも悩まされなかった。あと

で考えてみると、ふしぎでならない。そのわけを知りたくて、とうとう、がまんが

できなくなったのです」

「ああ、そのことですか。あれのおかげですよ」

 と博士はあっさり答え、笑いながら、へやのすみを指さした。台の上に、ウエキ

バチに植えた大きな草花がおいてある。濃い緑の葉で黄色っぽい花が咲いていた。

アール氏はそれをながめて、うなずいた。

「なるほど。虫をつかまえる草花だったのか。話には聞いていたが、見るのははじ

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