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作者:日-星新一 当前章节:7261 字 更新时间:2026-6-16 00:33

 いろいろな食べものや飲みものが大量に集められ、怪獣の前に並べられた。なに

を食べるかなと見つめていると、怪獣はそれらをけとばしてしまった。

「お気に召さないらしい。しかし、失礼なやつだな」

 そのうち、失礼どころではない大さわぎになってきた。怪獣があばれはじめたの

だ。近くのビルを押し倒した。また、自分の乗ってきた宇宙船をも、なぐったり、

引きさいたりしてバラバラにこわしてしまった。おそるべき力だった。

「これはいかん。このままだと、人類がやられてしまう」

「そうだ。自分の宇宙船までこわしてしまうのだから、あれは頭がおかしいにちが

いない」

 狂ったようにあばれる怪獣にむけ、攻撃がはじまった。なにしろ強い敵であり、

勝てるかどうかわからない。しかし、どんなことがあっても、怪獣はたいじしなけ

ればならないのだ。自信はないが、まず数発の砲弾が発射され、命中した。すると

、怪獣は簡単に倒れ、身動きをしなくなった。

「いやに、あっけないな」

 おそるおそる近づいて調べると、思いがけないことがわかった。怪獣は生物でな

く、ロボットだったのだ。

「なんで、こんなものがやってきたのだろう。どこかの星の、オモチャなのだろう

か」

「いや、こんなぶっそうなオモチャは、考えられない。オモチャなら、説明書ぐら

いついていていいはずだ」

「それなら、地球を征服するために送りこまれた兵器だろうか」

「兵器にしては、たわいなさすぎた」

 どんなに話しあっても、結論はでなかった。こうして事件は終わったが、みな変

な気持ちだった。

 それからしばらくたったある日。またも一台の宇宙船があらわれ、着陸した。ド

アが開いたが、こんどはなにも出てこない。そのかわり、声が響いてきた。

「どうぞ、おはいりください。これは無人貨物船で、なかには、みなさんへのおく

りものがはいっております……」

 そういわれても、人びとは不安だった。まえにやってきた怪獣はやっつけたもの

の、ゆだんはできない。すると、それに答えるかのように声がつづいた。

「……ご安心ください。危険なことはありません。あなたがたにおくりものをさし

あげたものかどうか、このあいだ試験をさせていただきました。ロボット怪獣の目

にしかけたテレビ·カメラで、あなたがたの動きや言葉を調べました。みなさんは

、まず話しあいをなさろうとし、それがだめでも親切に食べ物をくださった。しか

し、むちゃなあばれかたをはじめると、平和をまもるために勇敢に戦おうとなさっ

た。すべて合格です。そのような星のかたを選んで、おくり物をさしあげているの

です」

 人びとは、宇宙船のなかをのぞいた。声の告げた通りだった。そこには、美しい

花や珍しいくだもののタネと、その育て方を書いた本、きれいな宝石、貴重な薬、

いろいろな便利な装置などがいっぱい……。

  鏡のなかの犬

 五郎くんが、草花を植えかえようとして、庭のすみをシャベルでほっていた。

 すると、シャベルがなにかに当たって、カチリと音がした。なんだろうと思って

、注意しながらほり出してみると、それは古い鏡だった。じょうろの水をかけて洗

うと、鏡はきれいになって、あたりのけしきがうつるようになった。

 五郎くんが、鏡をのぞきこんでいると、一匹のかわいい犬が、鏡にうつった。ま

っ白な、小さな犬だった。

「おや、見なれない犬がいるぞ」

 五郎くんは、ふり返って、いま、犬のうつっていたあたりを見まわしたが、犬は

どこにもいなかった。

 そこで、また、鏡をのぞくと、そこには、ちゃんと犬がいた。

 五郎くんは、ためしに、鏡にむかって、

「来い、来い」

 と呼んでみた。すると、その犬は、あっというまに、鏡からとび出して来た。そ

して、五郎くんの足にじゃれついた。

「おまえは、鏡のなかに住んでいるのかい」

 ときいてみると、犬は、「そうですよ」と答えるように、ワンワンとほえた。五

郎くんが、ポケットにあったビスケットをやると、犬は、うれしそうにしっぽをふ

って、それを食べた。

「公園へ遊びに行こう」

 五郎くんが、鏡を持って走りだすと、その犬も五郎くんについて走りだした。

 公園は、五郎くんの家のすぐ近くだ。公園に来ると、五郎くんは、きのうのこと

を思い出して、

「きのう、このへんで野球をして、新しいボールをなくしてしまったんだよ」

 と言った。

 すると、犬は、しばらく首をかしげていたが、ワンワンとほえて、いきおいよく

かけだした。五郎くんは、あとを追いかけて、犬の立ち止まった草むらへ行ってみ

た。そこには、きのうなくしたボールが、ちゃんところがっていた。

「すごいな。よく見つけてくれたね。おまえは、りこうな犬なんだなあ。なくした

ものは、なんでも見つけることができるのかい」

 犬は、ワンワンとほえて、うなずいた。

「それなら、ぼくがいつかなくした、メダルを見つけてくれるかい」

 犬は、また、元気よくかけだした。五郎くんが、あとからついて行くと、犬は、

おふろ屋のうらのあき地へ行った。そして、土管のつんである所でとまった。見る

と、犬の足もとには、ちゃんとメダルが落ちていた。

「なんだ。こんな所にあったんだな。ぼくは、公園でなくしたんだとばかり思って

いたよ。ほんとうに、りこうな犬だ」

 五郎くんが、頭をなでてやると、犬はよろこんでしっぽをふった。

 そのうち、犬は、立ち上がったかと思うと、鏡のなかにとびこんで行った。

 五郎くんは、しばらく鏡のなかを見ながら考えていた。

「あっ、まだ、ビスケットがのこっているぞ」

 五郎くんは、ポケットからビスケットを取り出して、それを見せながら、犬を呼

んだ。すると、犬は、また、鏡のなかからとび出して来た。

 ビスケットを食べている犬に、五郎くんは命令した。

「ぼくは、前から、双眼鏡がほしかったのだ。だれかがなくした双眼鏡のある所へ

、連れて行ってくれ」

 だが、こんどは、犬は動こうとしなかった。そこで、五郎くんは言った。

「連れていってくれないのなら、鏡をこわして、おまえを帰れなくしてしまうぞ。

それでもいいのかい」

 しかし、犬は、ちっとも動かなかった。

 五郎くんは、おこって、石ころを拾うと、鏡に投げつけた。しかし、その石が、

鏡にぶつかる少し前に、いままで動かなかった犬が、ぱっと鏡のなかにとびこんだ

。そして、石は、犬のとびこんだ鏡を、こなごなにこわしてしまった。

「しまった」

 五郎くんはこうさけんだが、もうおそかった。

 あわてて、われた鏡のかけらを拾って、一つずつのぞきこんでみた。しかし、ど

のかけらにも、あのりこうな、白い犬のすがたは見えなかった。

  あーん。あーん

 ある朝のことです。とつぜん、小さな男の子が泣きはじめました。

「あーん。あーん」

 おなかがすいたのでは、なさそうです。おかあさんは首をかしげ、

「ぼうや、どうしたの」

 と、言いました。しかし、ぼうやは、まだ言葉がわかりません。だから、泣きだ

したわけを、聞きだすことができません。おかあさんは、しばらく考えていました

が、

「もしかしたら、オモチャがほしいのかもしれないわ」

 と、近所のオモチャ屋に電話をかけ、青い色のタイコをとりよせました。すると

、ぼうやは泣きやみ、たのしそうにタイコをたたきはじめました。おかあさんは、

そのようすを見て、

「病気かと思って心配したけれど、オモチャがほしかったのね。よかったわ」

 と、ほっとしました。しかし、これで安心ではなかったのです。しばらくすると

、ぼうやはタイコを投げすて、また泣きはじめました。

「あーん。あーん」

 さっきより、いくらか大きな泣き声です。

 おかあさんは、

「タイコにあきてしまったのね」

 と、こんどはライオンのオモチャをとりよせました。しかし、いったん泣きやん

だぼうやは、まもなく、そのライオンもほうり出してしまいました。

「あーん。あーん」

 こんどは、もっと大きな泣き声です。となりの家から、文句を言いにきました。

「静かにしてください。うるさくて困ります」

 おかあさんはあやまり、泣き声が外にもれないように、家じゅうの窓を、ぜんぶ

しめました。しかし、ぼうやの泣き声は大きくなるいっぽうです。そのうち、窓ガ

ラスにヒビがはいりはじめ、なかには、われてしまうのもでてきました。これはた

いへん。

 おかあさんは、あわててオモチャ屋に電話をしました。

「なんでもいいから、オモチャを早く、とどけてちょうだい」

 オモチャ屋さんは、水デッポウを持ってやってきました。ぼうやは、いちおう泣

きやみました。へやのなかが水だらけになりましたが、いまは、それどころではあ

りません。

 そのあいだに、おとうさんはガラス屋さんを呼び、窓のガラスを、大いそぎで厚

いのにとりかえました。ガラス屋さんは、

「これは、じょうぶなガラスです。われることは、ないでしょう」

 と、じまんしました。しかし、水デッポウにもあきたぼうやが、もっともっと大

きな声で泣きはじめると、われないはずのガラスも、ばりばりとくだけてしまいま

した。

 そればかりでなく、近くの家々の窓ガラスにまで、ヒビがはいりはじめたのです

。おとうさん、おかあさんは困ってしまいました。どうしたらいいのか、考えつか

ないのです。

「あーん。あーん」

 とうとう、警察に電話をかけて、相談をしました。すぐに、パトカーと救急車が

かけつけてきました。しかし、そのサイレンの音も、いまのぼうやの泣き声にくら

べたら、はるかにかすかな音でした。

 ぼうやは救急車にのせられ、大きな病院に運ばれました。お医者さんたちが集ま

って、いろいろと診察をしましたが、どんな手当てをしたらいいのか、だれにもわ

かりません。

 新しいオモチャを渡すと、しばらく泣きやみます。しかし、まもなくそれを投げ

すてて、もっともっともっと大きな声で泣き出してしまうのです。

「あーん。あーん」

 トラックを使い、べつなオモチャをつぎつぎに運び、時間をかせぐほかに、方法

がありませんでした。といって、それをいつまでもつづけることはできません、オ

モチャの種類には、かぎりがあるからです。

 ぼうやは、オモチャがとぎれると、もっともっともっともっと大きな声をはりあ

げ、泣きはじめます。

「あーん。あーん」

 病院の建物はコンクリートでできていましたが、その壁にもヒビがはいりはじめ

ました。

 病院の近くの人たちは、ひっこしの用意にかかりました。泣き声がうるさくて、

しようがないからです。耳にセンをつめれば防げますが、それでは、おたがいどう

しの話ができません。

 このままでは、どうなることか見当がつきません。世界じゅうに助けをもとめる

ことにしました。いろいろな国から、いろいろな珍しいオモチャが、飛行機で送ら

れてきました。それによって、大さわぎになるのを、すこしだけ、さきにのばすこ

とができました。

 そのあいだに、みなは相談しあいました。

「どうしたものだろう。いまのように世界じゅうからオモチャをとりよせても、い

ずれは、たねぎれになってしまう」

「手のつけようがないな。オモチャのとぎれた時の泣き声は、大きくなるいっぽう

だ」

「いまに、泣き声のために、この病院ばかりでなく、町じゅうの建物がこわれてし

まうことになる」

 しかし、いい方法は、いっこうに考えつきません。

 おとうさん、おかあさんは、みんなにめいわくをかけているので、とても困りま

した。しかし、やはりいい方法は考えつきません。

 やがて、さいごの時がきました。世界じゅうから集めたオモチャの、おしまいの

一つをぼうやが投げすてたのです。みなは首をすくめました。

「あーん。あーん」

 いままでの泣き声よりも、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと大きな声で

す。病院の建物は、いまにもくずれそうに、ぶるぶるとゆれはじめました。

 おとうさん、おかあさんは、むがむちゅうで、思わず歌をうたいました。ほかに

、どうすることもできなかったからです。

 そのとたんに、ぼうやは泣くのをやめてしまいました。みなは、しばらくは信じ

られないといった顔つきでした。しかし、本当に泣きやんだとわかって、だれもか

れも、ほっとため息をつき、それから笑い、話しあいました。

「なんだ。そうだったのか。ぼうやは歌が聞きたかったのだな」

「それに気がつかず、オモチャばかり渡していたから、こんなに大さわぎとなって

しまったのだ」

 やっと、町は静かになりました。ぼうやは家に帰り、ひっこした人たちも、もと

の家にもどりました。泣き声でこわれた建物も修理がすんで、なにもかも、もとど

おりになったのです。

 うちへ帰って、なん日かたつと、ぼうやはまた、泣きはじめました。もう、大き

な声ではありません。

「あーん。あーん」

 おかあさんは、こんどは、それほどあわてません。さっそく、病院でうたった歌

を、また、うたいました。しかし、ぼうやは、なぜか泣きやみません。

 おかあさんは首をかしげ、ためしに、べつの歌をうたってみました。すると、ぼ

うやはすぐに泣きやみました。

 おかあさんは、ほっとしました。しかし、いつまでも、ほっとしてはいられませ

んでした。

 なぜなら、しばらくすると、ぼうやはまた、泣き声をあげたのです。

「あーん。あーん」

 さっきよりも、もっと大きな泣き声です。そして、べつな歌、新しい歌を聞きた

いとせがんでいるらしいのです。

きまぐれロボット

|星《ほし》|新《しん》|一《いち》

平成14年4月12日 発行

発行者

角川歴彦

発行所

株式会社

角川書店

〒102-8177 東京都千代田区富士見2-13-3

shoseki@kadokawa.co.jp

(C)Shin-ichi HOSHI 2002

本電子書籍は下記にもとづいて制作しました

角川文庫『きまぐれロボット』昭和47年1月5日初版発行

            平成9年4月30日96版発行

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本书由书香门第论坛整理制作

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本作品来自互联网,版权归作者所有!

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