饭饭TXT > 海外名作 > 《美しい别れ/美丽的离别(中日版)》作者:[日]渡辺淳一/渡边淳一【完结】 > 美丽的离别(中日对照版).txt

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作者:日-渡辺淳一/渡边淳一 当前章节:15378 字 更新时间:2026-6-23 02:41

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《美しい别れ》翻译——《美丽的离别》

別れに、美しい別れというものがあるものだろうか。

かつて僕自身別れを経験し、また人々の別れを見たり聞いたりするうちに、美しい別れというものが分からなくなった。

はたして美しい別れというのは、本当に別れであろうか。

別れというのは、そんなに美しく、きれいごとなのだろうか。

自分自身に問いかけたとき、かつて一人の女性との別れが頭に甦ってくる。

その女性のなを、k子とする。

对于离别来说,被称作美丽的离别是那样一种东西吧。

即使我曾经经历过离别,也或听或见的感受过人们离别的故事,然而对于所谓的美丽的离别仍不甚明白。

难道真的是无论什么离别都能称作美丽的离别吗?

离别这种东西,真的是那么美好而又美丽的事情吗?

在自己问自己这个问题的时候,过去和一位女性的离别,浮现在我脑海中。

那位女性的名字,就叫K子吧。

まだ、医者になりたてのころだったが、私はk子を好きだった。

職場も近かったし、付き合って一年後から体の関係もあった。彼女のアパートに泊ったこともある。

このころになると、好きというより、愛しているという言葉が当たっている。

いや、愛している、という言葉でも足りないかもしれない。

男と女の行き着く、一つの業のようなところまで逹していた、とでもいうべきかもしれない。

このk子と、僕は別れた。

还是在刚当上医生那阵子的时候,我喜欢着k子。

两个人的工作单位也很近,开始交往一年后,便有了身体上的关系。也曾在她的公寓留宿过。

这阵子的情况,与其说是喜欢,不如说是我爱着她。不,即使是用“爱”这样的言语也不足以表达。

但是,我们俩已经走到头了,或者这样说,我和她之间似乎已经达到了男女之间某种罪恶的尽头似地。

我和这位K子分手了。

別れるに至った理由は、ここでは触れない。それは互いの事情とわがままも重なっている。彼女は僕に未練が会ったが、それ以上に、私は彼女に未練があった。別れの瞬間の事情から言えば、彼女のほうがむしろさばさばしていた。

だが、それは別れが一つの既定事実になってからのことで、それまでは互いに恨み、苦しんだ。

青春のもつ突拍子もない大胆さと、アンニュイが別れを一層複雑にした。

とにかく、ここで別れるに至った事情を説明しても仕方がない。

それは当事者にとっては深刻でも、第三者には他愛無いことであったり、過去として見ると、つまらないことであったりする。

分手的理由,在这里就不提了。无非是各有各的理由再加上彼此对对方任性造成的。她对我尚有留恋,而我对她,也仍存有留恋。就分手那一刻而言,反而是她显得更干脆些。

但是,从离别已成为既定事实那一刻起,我们就开始互相怨恨着,痛苦着。

背负着青春时特有的大胆和厌倦感,更使得离别蒙上了一层复杂的氛围。

事已至此,似乎已不得不说明导致分手的原因了。

即便这对于当事者而言是深刻的,但在旁人的眼光中也许是件毫无意义的事,作为往事,也很无聊。

相爱,只对当事者而言是有意义的,对于他人无论如何说明都是徒劳的。

愛のもつれは、当事者だけのものであり、それ以外の人に説明すべきことでもない。

それに、別れの理由を述べるのが、本稿の目的でもない。

問題は「別れ」そのものである。

とにかく、そんなわけで、僕達は別れることになった。それが互いのために最良で、好ましい形だと考えたからである。

相爱,只对当事者而言是有意义的,对于他人无论如何说明都是徒劳的。

然而,阐述分手的理由,并不是本篇的目的。

问题在于“离别”本身。

总之,因为那样的原因,我们分手了。那是对于双方最好的,也是最有利的考量。

だが、心では決めたが、実際はそうきっぱりはいかなかった。

「別れよう」というのは一つの決意で、私のすべてが納得したことではなかった。

少し大袈裟に言えば、頭では納得していたが、体まで納得したわけではない。

いっとき、私は自分のなかに、二人の自分がいるような気がした。

K子と別れようとしている自分と、別れたくないという自分、二人がせめぎあい葛藤していた。相対するものが、自分のなかを駆け巡っていた。

互いに別れると決めてからも、僕達は何度か会った。

但是,要下定决心,实际上并不是那么干脆就能做到的。

就一个“分手吧”这样的决定,我不能完全接受。

稍微夸张点儿说,虽然我思想上可以接受,但行为上仍接受不了。

一时间,我觉得我身体里,有两个自己一样。

和k子离别的自己,以及不想和k子离别的自己,各执一辞,纠结在了一起。在自己体内,不断地纷扰徘徊。

虽然已经决定分手了,但我们还是见了好几次面。

初めは十月の末で、北国の秋はすでに終わりかけていた。

僕は紺のコートを着て、彼女は白いフードつきのレインコートを着ていた。

その夜、僕達は行きつけの喫茶店で会い、それから街のレストランへ行った。

「スコット」といって、札幌では比較的高級なレストランだった。

そこで食事をしながら、僕達はこれっきりで別れるつもりだった。

事実、その前に、別れることに話がついて、最後の食事をしようと約束していた。

当時、僕は無給で、二人で飲んだり食べたりするお金は割り勘だった。

だが、その夜だけは僕がおごることにした。

二人の最後の夜くらい、自分でおごりたかったし、三年余りにおよぶ彼女の好意への、お礼の気持ちもあった。

最初是在十月底,北国的秋天业已过去。

我穿着一件藏青色外套,她则是白色卫衣外套一件雨衣。

那夜,我们去了常去的咖啡厅见面,之后沿街去了一家叫“SCOT”的餐厅,在札幌算是比较高级的西餐厅了。

在那儿吃了饭,我们本想就这样告别了。

事实上,在这之前,我们就约定好了,最后吃一餐饭就算分手了。

当时,我还没有收入,两人一起时吃饭喝酒之类的事都是各付各的。

但是,只有那夜是我请的。

至少两个人最后的晚上,自己来请一顿吧,也是作为三年来对她的好意的回礼和感激。

当時の僕としては、身分不相応な洋食のAコースというのを頼み、よくわからぬままワインも注文した。

ワイングラスにボーイが注いで去ったあと、僕達はグラスを持って乾杯した。

「さよなら」というのは照れくさく、「じゃあ」とだけ、いったような気がする。

そのまま食事をして、仕事のことや、寒くなってきたことを話した。

我点了一份和我当时身份不相称的A套餐,不懂红酒的我还特意单点了一瓶红酒。

侍应将红酒倒入高脚杯中离去之后,我们举杯干杯。

说“再见”有点尴尬,记忆中好像只说了“拜拜”的感觉。

就这样边吃着东西,边聊着工作的情况、天气变冷了之类的话题。

その数日前に、西の手稲山には、すでに初雪が振っていた。

そうした話をしている分には、二人は普段と変わらず落ち着いていた。はたから見ると、仲睦まじい恋人同士が食事をしているように見えたかもしれない。

僕はふと、このまま二人は淡々と別れるかもしれないと思った。

この二人の状態が少しずつおかしくなってきたのは、食事が終わりかけ、ワインのボトルを一本飲み干したころからだった。

お酒に弱い彼女は目のあたりを軽く染め、僕も少し気が大きくなっていた。

洋食のコッスが終わったところで、私たちは立ち上がった。

初めの予定では、レストランを出て、そのまま別れるつもりだった。そうすることは、彼女も納得していた。

だが、外へ出ると風が冷たかった、一瞬、私はこのまま別れるのは、少し酷なような気がした。

それは彼女のためだけでなく、僕自身にも淋しすぎる。

几天之前,西边的手稲山下了第一场雪。

就在这样对话着,和两个人平时没两样地放松着自己。就这么看,就像是一对很要好的情侣在吃饭一样。

我突然想到,也许这样继续下去,可能两个人也会淡淡地分开也说不定。

在两个人快要吃完的时候,我们俩的气氛稍起了些变化,我们把剩下的酒一饮而尽。

酒量尚浅的她已眼神迷离,脸颊微红。

吃完了全套西餐,我们站起来准备离去。

最初的约定是走出餐厅,就这样分别的。这样做,她也能接受吧。

但是,走到外面风吹着挺冷的,有那么一瞬,我觉得就这样分开,是不是有点太残酷了。

这也不仅是对于她,对于我来说也太寂寞了。

「ちょっと、もう一軒だけ飲みに行こうか」

僕が言うと、彼女は素直にうなずいてくれた。

枯葉の舞いだした舗道を歩きながら、僕は「もう一軒行くのは、風が冷たいからで、別れたくない彼ではない」と自分にいいきかせた。

別れるはずの女性と、いつまでも一緒にいる理由を、風や寒さのせいにするのは卑怯かもしれないが、実際、そのときはそうだと思いこんでいた。

だが、そう言い訳することが、すでにおかしかったのかもしれなかった。

もう一軒のバーに行き、飲んでいるうちに僕は次第に気持ちが和らんできた。

今日で最後だという、悲愴な気持ちが薄れ、まだまだこれからも一緒にいるような錯覚にとらわれてきた。

今何故、別れなければならないのか、その根拠さえ疑わしくなった。

それは彼女も同じらしかった。

酔って、いつの間にか、僕の肩に頭を寄せている。

“稍微再去喝一杯吧?”

我这么说着,她直率地点了点头。

走在枯叶纷飞的辅道上,我暗自思忖着“再去喝一杯,是因为风太冷了,并不是不想分开”。

本应分开的女性,总是以寒风之类的为由,找借口在一起,这样子可能很卑鄙,但是其实那个时候就是那么想的。

但是,找这样一个借口本身可能已经很奇怪了。

去了再喝一杯的酒吧,喝着喝着,我的心情也逐渐缓和了下来。

一想到今天是最后一次见面,总觉得有些悲伤,竟然产生了以后还能在一起的错觉。

如今为何非要离别不可,已经开始怀疑离别的缘由了。

这一点她也一样。

她醉了,不知何时将头枕到了我的肩上。

やがて、二軒目の店を出ると十時だった。

風は相変わらず冷たい。その北風に触れて、僕は改めて、今日彼女と別れるために会ったことを思い出した。

僕達は、一通りの少なくなった裏小路を並んで歩き、表通りに出たところでタクシーを拾った。

「送っていこう」

K子はしばらく僕の顔を見てからうなずいた。

不久,从第二场的店内走出来的时候,已是十点钟了。

风还是一样的冷。吹着这样的北风,我再一次想起来,今天是为了和她分手而来。

我们在一条人迹稀少的小路上并排着走着,通到了大路上,拦了一辆的士,“我送你。”

K子稍稍看了我一下,点点头。

繁華街から彼女のアパートまでは、車で十五、六分の距離だった。

広い通りを左へ曲がり、薬屋の角を右へ曲がったところが彼女の家である。そこへ着いたら、僕はもう永遠に別れなければならない。

車が停まったら、男らしくきっぱりと分かれよう。

そう思いながら、タクシーが彼女のアパートの前に着いたとき、僕はまるで別のことを言った。「ちょっと、寄っていい?」

「降りるの?」

僕はうなずくと、すぐお金を払って、あとを追った。

そのまま、K子の部屋へ行く。

从闹市区到她所住的公寓,要十五、六分钟的车程。

走过宽敞的大马路,左拐进曲折的小巷中,再在药店处右转后就是她家住的地方。到了那里的话,我就不得不要和她永远的离别了。

等车停下来了,就像个男人样的爽快的分开算了。

正这么想着,等的士停在她公寓前时,我说了完全不同的话,“可以稍微呆一会吗?”

“要下来吗?”

我点着头,很快付了钱,然后追上了她。

就这样,向着K子的房子走去。

ドアを開けてはいると、部屋の中は暗くてひんやりとしていた。窓際にある机の上の置物が、闇の中にぼんやりと浮き出ていた。

僕は、こんなところにK子を一人で帰すのは可哀想だと思った。やっぱり家までついてきてよかった。

「コーヒーがいい、それともお茶?」

「お茶をもらう」

僕達はまた、今までと同じように、小さな座卓に向かい合って坐った。

八畳とダイニングキッチンの部屋には、ガスストーブがつき、暖かさが部屋に満ちてきた。

僕は、ガスストーブの火で赤く揺れる彼女の顔を見ながら、「今夜だけ」といった。

結局、その夜も、僕は彼女のアパートに泊まり、翌日、あたふたと病院へかけつけた。

门一打开,房子里又暗又冷,窗边放着的茶几上的东西,隐约在黑暗中透出模糊地轮廓。

我把K子一个人送回这样的地方,不尽觉得她很可怜。果然一直跟到了家真是太好了。

“咖啡可以吗,还是茶?”

“要茶吧”

我们还是和以往一样,小小的茶几面对面地坐着。

八叠大的客厅连厨房的房子里,开着煤气炉,整个房间都充满了温暖。

我,看着煤气炉火红的火焰摇曳着,映衬着她微红的脸庞,“只有今晚”如此说道。

结果,那夜,我也在她的公寓留宿了,第二天匆匆忙忙地赶去医院。

僕たちの別れは、いつもこんなふうに、にえきれなかった。

今日こそは別れようと、大決心をして会いながら、気がつくとまた互いに体を寄せ合っていた。

男らしくな、女々しいといわれたら、弁解の余地はない。

自分で自分にあきれた。

それは彼女も同じようだった。

我们的离别,总是这样,犹豫不定。

为了今天的离别,我下了很大的决心,可等察觉到的时候,两人又再一次的彼此靠近彼此。

要是被说是不像是男人,或者婆婆妈妈,也没有辩解的余地。

自己也对自己这样感到很厌恶。

然而她也是一样。

「今日で終わりにしましょう」といいながら、いつか僕を受け入れていた。

もちろん、最終的には、僕が求めるから、そうなるので、彼女から積極的に求めることはなかった。

現実に求めていくのは、常に僕のほうである。

だが、といって彼女のほうに責任がないとも言い切れない。

雰囲気に流されるとはいえ、彼女のほうにも、ある程度、僕を受け入れる態度はあった。

今日一日ぐらい、今一度だけ、という思いが、二人の気持ちを一層かきたてる。

これで、この人と二度と会えないかもしれない、そう思うと、さらに燃える。

それは残り火が燃え尽きる瞬間、鮮やかな焔の色を見せるのに似ている。

“今天就结束吧”只要这样说,我是什么时候都能接受的。

当然,最终是我在渴求着她,虽然是那样,但她并没有那样积极地渴求着我。

现实中经常提出需要满足的,是我这边。

但是,要这么说来也不能说完全断定她那方没有责任。

虽然说那天我是被气氛所动,她也是一样,但某程度上,我也默认了她的这一态度。

只有今天一天,只是这么一次,虽然这么想,但两人的气氛愈发被煽动起来。

像这样,或许不会和这个人再见面了,这么想着,我的这种心情就更加地燃烧起来。

在余下的火炎燃尽之际,仿佛能看见那火焰鲜艳的颜色一样。

もう会えない、これで最後、そう思いながら、僕たちは逢瀬を重ねた。

それはあたかも、より激しい恋をするために、別れを利用しているとも言える。

だがいつまでも、そんな状態が続くわけもない。

彼女が僕から去っていく日は、刻々と近づいていたし、僕も周囲から注意を受けていた。

結ばれる可能性もない女性と、いつまでも会っているのは罪悪だとも言われた。彼女の幸せを思うなら、きっぱりと離してやるべきだとも言われた。

それもこれも、みんなわかった。

充分すぎるほどわかりながら、そのようにできない。

それは、人間の一つの業のようなものかもしれない。

不会再见面了,这是最后一次了,这么想着,我们不断地幽会着。

这就犹如,恰似为了更加激烈地恋爱而利用了离别一样。

她从我这里离开之后,也时时刻刻地在靠近我的周围,我也收到了周遭的注意。

总是被说和无法结合的女性经常约会是一种罪恶。为了她的幸福着想的话,应该干脆的分开才对。

这样那样的道理,大家能明白。

不能理解这其中的过分之处,就无法做到那样。

那大概是人类的一种罪孽了。

やがて十二月になった。彼女の去っていくっ日は目前に迫っていた。

僕はふと、二人で会うのを、夜にするからだめなのだと思った。夜の、心が萎えるときに会うから別れられないのだ。

真昼間、明るいガラス張りの喫茶店ででも会えば、きっぱりと別れられるのではないか。

昼間、なに気ない会話のあと、「じゃあね」といって店を出て行く。それなら、未練なく、ドライに別れることができるのではないか。

不久到了十二月。离她告别的日子已经迫在眉睫了。

我突然间,觉得两个人的相会,只是为了度过漫漫长夜。因为是在晚上,心情萎靡的的时候相会,所以才无法分开吧。

要是在大白天,在装有明亮宽敞的落地玻璃的咖啡厅里,大概就能干干脆脆的分别了吧。

白天的时候,在闲聊完了之后,说着“拜拜”就这么直接走出店门。要是那样的话,不就没有什么留恋,就可以淡淡地分手了吗?

日曜日の午後、僕達はガラスごしに舗道の見える喫茶店で会った。

平凡な会話のあと、「じゃあ」と、伝票を持って立ち上がった。

だが外へ出て、明るい光の中で歩き出すと、二人は自然に同じ方向に歩き出した。

どこに行くとも、行こうか、とも言わない。

ただ足が一緒に並んでいく。

それは、僕の意思というより、体が勝手に動いたといったほうが正しい。僕でない、もう一人の自分が歩いていた。

別れたくないのに、無理に別れるのは、罪悪ではないか、そんな理屈も考えた。

こんなことをくり返して十二月の半ばになった。

星期天的午后,我们在能隔着玻璃看到马路的咖啡厅里见面了。

在平凡的对话之后,说了声“拜拜”,我便拿着账单站了起来。

但是出到外面,步行在明媚的阳光中,俩个人又自然地往同一方向走去。

打算去哪里,往哪儿去,两个人都不说。

只是在一起并排地走着。

这之后,与其说是我自己的意识不如说是身体擅自动了起来更正确。不仅只是我,另一个我也在一起走着。

明明是不想分手而勉强分手,不是罪恶吗,想着这样的理由。

就这样不断重复着类似的事情已经到了十二月中旬了。

もう本当に日が迫っていた。

暮の二十八日には、K子は故郷へ帰り、そのまま札幌へは戻ってこない予定になっていた。

そのぎりぎりの前日、僕達はまた会ってしまった。

そしてそこで、僕達はついに激しい喧嘩をした。

ついに、というのは、前からその兆しがあったからである。

会いながら、ふとした沈黙の瞬間、僕達は互いに憎んでいるのがわかった。

言葉にははっきり表さないが、心の中に言葉を押し込んでいた。

それは、なお愛し合いながら別れざるを得ない、そのことへの怒りと苛立ちが原因であることもわかっていた。

だが、そのことは、いまさらぶり返したところで仕方がなかった。二人が十分考えたあとで出した結論であった。

已经到了真正要分离的那一天了。

年末的二十八号,K子要回到故乡了,她打算再也不回札幌了。

就这前两天,我们又见面了。

然而在那时,我们终于激烈地争吵起架来。

虽然说是“终于”,但其实之前便有先兆了。

因为不会再见面了,就在沉默的瞬间,我突然明白到我们其实是互相讨厌着对方的。

不能用语言确切地表达那塞进心里的话。

没有理由是因为相爱而离别,然而现在这样的事实,却是导致愤怒和急躁的原因。

事到如今,这种死灰复燃的情况也是没有办法的。这是两人充分考虑后得出的结论。

一見、それで納得していた。

しかし、心のそこではなお納得しきれない、もやもやが押し隠されていた。

考えてみると、二人は実際以上に、きれいに振舞おうとしていたのかもしれない。

愛し合っているのに、一緒にいられない。その不満をもっているのに、表面は美しく別れることばかり考えていた。

「どうせ別れるなら、きれいに分かれましょう」そうな言葉に酔っていた。

そこに無理があった。

咋一看,这样一个结论是可以接受。

但是,心理却没办法一下子接受,疙疙瘩瘩地一直隐藏着。

仔细想想,两人实际上是漂亮地演了一场戏也说不定。

明明相爱着,却不能在一起。明明抱着这样的不满,但表面上却只是想着美丽地离别之类的事情。

沉醉于“反正都要分手了,就分得漂亮点吧”这样的话语当中。

于是开始勉强自己。

暮も迫ってぎりぎりになって、その無理が一気にあふれ出た。

そのときの言い争いは、いまここでは思い出せない。情景はあざやかに思い出せるが、今それを書きたくない。

多分、僕は彼女の我慢の足りなさをなじり、彼女は僕の身勝手さを責めたはずである。

言い合っているうち、僕は、「そんなに結婚したいなら、誰とでもしろ」と叫び、彼女は「あなたは卑怯よ」と言い返した。

今考えると、互いに一理あり、互いに我がままでもあった。

だが、そのときは二人とも冷静さを失っていた。

とことん相手を責め、非難した。

最後に、僕は、「もう、これで君と別れてせいせいする」と叫び、彼女の「私もよ」という声をきいて、外へ飛び出した。

年关也渐渐逼近,那样勉强的心情一下子就涌了出来。

那时候吵了什么,现在也想不起来了。情景却能鲜明地想起来,但是现在不想写这些。

总得来说,我责备她将就任性的态度,而她则追究我和她发生关系的责任。

争吵到此时,我吼道,“那么想结婚的话,和谁结都可以吧”,而她则回了一句“你真卑鄙”。

现在想来,互相各执一词,彼此都在任性。

但是,当时两个人已经失去了冷静。

最后互相责备,互相发难。

最后,我喊道“够了,这样就终于能和你分手了”,她大声喊道“我也是”,声音似乎在外面都能听到了。

すでに十二月の末で、街は深い雪に覆われていた。

その雪道を、僕は酔いと淋しさでふらつきながら、「馬鹿野郎、馬鹿野郎」と叫んだ。

「あんな奴、苦労して、不幸になればいい」ともつぶやいた。

だが、それは、まさしく僕が彼女を愛している証拠でもあった。

罵り、叫び、けなしながら、僕はぽろぽろ涙を流していた。

何の涙なのか。

彼女に言い争いで負けた口惜しさか、きれいに別れようとして、できなかった無念さか、最後まで彼女をとらえきれなかった、自分の不甲斐なさへか。

そのすべてのようであり、そのどれでもないようでもある。

とにかく僕はその夜、街へ出て、酔いつぶれるまで飲んだ。

已经是十二月末的时候了,街上被厚厚的雪所覆盖。

在雪道上,喝醉了的寂寞的我在那儿摇晃着,“混蛋,混蛋”地喊着。

“那样的家伙,辛苦地变得不幸就好了”嘴里嘟囔着这样的牢骚。

但,这也正是我爱着她的证明。

骂着,叫着,诽谤着,我伤心地留下了眼泪。

这眼泪是为什么呢?

和她吵架输了感到委屈悔恨也好,本想好好地分手但做不到的遗憾也好,到最后也没能好好珍惜她也好,对自己失望了也好。

似乎全是因为这些,又好像哪个也不是原因。

总之我在那天晚上跑到街上喝了个烂醉。

目を開けていられぬほど泥酔し、吐き、床に入り、やがて目が覚めると、窓際に昼近い陽が射していた。

僕は慌てて、彼女のアパートに電話をしてみたが、彼女は朝早く故郷へ向けて発ったあとだった。

すでに十二月の三十日で、目にしみる銀世界の中で、僕は彼女の名前を呼んだ。

就像不想再睁开眼睛一样,拼命地喝,拼命地吐,最后回到了床上,再次醒来时,阳光已经照到了床边。

我慌张地,试着给她的公寓打了电话;她早上已经出发回故乡了。

已经是十二月三十日了,在刺眼的银色世界里,我叫着她的名字。

僕は美しい別れがないとは思わない。別れは美しく、甘美なものである。

だが、それはある年月を経て、思い出したときの感傷で、別れそのものの実態とは少し違うような気がする。

年月というものは、すべてのものを美しくする。それは魔術師のように巧妙で、鮮やかである。

年老いた人はみな、自分の青春時代を、古きよき時代という。

我并不认为这不是美里的离别。离别是美好而甜美的。

但是,在经历过些年月,回忆涌出时的伤感,都使得与离别本身的真实情况,多少有些不一样的感觉。

所谓岁月,就是能使一切变得美丽的东西。那是像魔术师一样巧妙,而鲜活的存在。

上了年纪的人大家都把自己的青春时态称作美好的过去。

八十年代の人は大正を、六十代の人は昭和初期を、そして四十台の人は、あの大戦と、それに続く暗い年代をさえ、よき時代という。

それはみな過去というベールを透かしてみたときの感傷で、その時点からの見方ではない。

それは過ぎた青春へのノスタルジイで、その意味で、一方的でナルシスティックなものである。

だからこそ、ある人が、自分たちの青春が素晴らしかったことをいかに熱心に説明したところで、ほかの世代の人には、何の共感もよばない。

冷ややかないい方をすれば、自己陶酔としかうつらない。

恋の別れも、それに近い。

80年代的人说的是大正时期,六十代的人说的是昭和初期,然后四十代的人,指的是那场大战,如此这般的持续追忆着甚至更晦暗的年代,也被称为美好的过去。

那是大家透过面纱去看所谓的过去时所产生的伤感,从那一时刻起分歧消失了。

那是对已过的青春如乡愁般的思念,也就是,单方面的自我陶醉一类的东西。

正因如此,某人在热心说明自认为很棒的青春时代时,其它时代的人却一点共同感都没有。

要是想做一个酷酷的好人,也只显得是自我陶醉罢了。

恋爱的离别,于此相近。

いま僕は、k子との別れを、甘く美しいものとして回想できる。

二人は愛し合っていたが、互いの立場を理解して別れたのだと思い込むことができる。

それはまさしく、思い込むという言葉があたっている。年月の風化が、美しいものに過去をすり変えた。

だが、別れの実態はそんな美しいものではなかった。互いに傷つけ合い、罵り合い、弱点をあばき合った。

とことん、相手がぐうの音も出ないほど、いじめつけて、そして自分も傷ついた。

愛した人との別れは、美しいどころか、凄惨でさえあった。

しかし、それはいいかえると、そうしなければ別れられなかった、ということでもある。

そこまで追いつめなければ別れられないほど、二人は愛し、憎みあっていた。

现在我和K子分手了这件事,也可以作为美好而甜美的事来回忆了。

可以确信的是两个人相爱着,并互相理解着各自的立场,所以才选择了离别。

这简直就像,坚信着什么一样的话语。经历了岁月的洗礼,过去被美好的东西所替换了。

但是,离别本身并不是那么美丽的东西。互相伤害,互相谩骂,互相揭露着对方的弱点。

最后欺负到对方无言以对,然而也伤害了自己。

和相爱的人离别,与其说是美丽,不如说是凄惨。

但是,换个角度考虑或许不错,如果不是那样就没有办法离别。

两个人是如此的爱着、憎恨着对方,以至于不到这样逼迫的程度就无法分开。

僕は今でも、「君を愛しているから別れる」という台詞を信じられない。

そういう論理は、女性にはあるかもしれないが、男にはまずない。

たとえば、恋人にある縁談があったとき、「君の幸せのために、僕は身を退く」ということを言う男がいる

また、「僕は君には価しない駄目な男だ。君がほかにいい人がいるなら、その人のところに言っても仕方がない」という人もいる。

こういう台詞を、僕は愛している男の言葉としては信じない。

もし男が、相手の女性をとことん愛していれば、男はその女性に最後まで執着する。

我至今,仍无法相信“因为爱着你,所以离开你”这类台词。

如此这般的理论,对于女性来说也许成立,对于男性来说则完全不是。

比如说,恋人们谈婚论嫁的时候,有男的会说“为了你的幸福,我决定退出”之类的话;或者,“我对于你是毫无价值的男人。你要是有其它更好的人在的话,去那个人的身边也是没有办法的事”这么说的人也有。

这类台词,我无法相信是正在爱着的男人说出来的。

要是作为男方,彻底地爱着那个女的话,男性这方会对那位女性执着到最后。

もちろん、人によって表現に多少の違いはあろうが、そんな簡単にあきらめたりはしない。

その女性を離すまいとする、かなりの犠牲を払っても、その女性を引きとめようとする。

恋とは、そんなんさっぽりと、ものわかりのいいものではない。

いいどころか、むしろ独善的である。

相手も、まわりの人も、誰も傷つけない愛などというものはない。それは、傷つけていないと思うだけで、どこかの部分で、他人を傷つけている。

愛というのは所詮、利己的なものである。

だから傷つけていい、という理屈はもちろん成立たない。他人を傷つけるのは、できる限り少なくしなければならない。

当然,人们的表现各有不同,但绝对不是这么简单就能放弃的。

不想离开那个女性的话,即使要付出相当大的代价,也要想尽办法挽留住她。

所谓恋爱,并不是那么干脆,容易理解的东西。

反而正好是有些自以为是的东西。

对方也好,周遭的人也好,不伤害任何人的这类爱情是没有的。

反而是,想着不想伤害谁,却不知道在某个地方,伤害了其他人。

所谓爱,归根到底,就是一种利己的东西。

即使伤害也好,这样的理由当然不能成立。伤害他人这种事,尽可能还是少做为好。

「君の幸せのために、僕は身を退く」という言葉は、一見耳ざわりがいい。

冷静に、大きい視野から、物事を見ているように思う。

しかし、愛に冷静とか、大きな視野などというものが必要であろうか。少なくとも、燃え滾る愛の火中にある人が、そんなことを考える余地があるだろうか。

冷静とか、客観的という言葉は、なぜか「愛」にそぐわない。借り物のような感じがする。

“为了你的幸福,我决定退出”之类的话语,咋一听去很刺耳。

冷静下来,放开眼界,去看去考虑更多的事物。

但是,在相爱中冷静下来,去开阔视野之类的有这样做的必要吗?

至少,在置身于滚滚燃烧的爱火当中的人们,还有那样去考虑的余地吗?

冷静、客观之类的言辞,为什么都和“爱”不相称呢。就像外来的东西一样。

「僕は君にそぐわない。君の幸せのために身を退く」

こんな言葉を言いかけたとき、男は相手の女性と別れることを考えている。そろそろ退けどきだと思っている。

その証拠に、女性が、「私はあなたで満足だから、いつまでも従いて行くわ」といったところで、男は態度を変えはしない。

やはり、「僕は君に価しない」と繰り返して引き下がっていく。

男は大胆なようで、根本的なところで気の弱さがある。それは一種の優しさでもあるが、曖昧さでもある。

“我和你不相称。为了你的幸福我决定退出”说着这样的话时,男性其实是在想着和对方的女性分手的事。

这样说的证据就是,女方即使是说“我能满足你,因此如论何时我都愿意跟随你”,男方的态度也并没有改变。

依旧重复着,“我对于你没有价值”之类话然后作罢。

男性看起来很大胆,在本质之处还是有脆弱的地方。那样做也是一种温柔的表现、或者说是一种暧昧的表现。

男が女性と別れたいと思うとき、面と向かって、「君が嫌いになった」とは言わない。そういう台詞は、言うべきことでないと、幼い時から教えられている。

女性から去っていくとき、男は少しずつ疎遠になる。もし女性がそれを許さず、面と向かって問い詰めたとき、男は次のような台詞を吐く。

「君の幸せのために身を退く」

考えてみると、この言葉は便利であるとともに罪深い。

こういう耳障りのいい言葉で、男は逃げようとするが、同時に、この言葉には、もしかして、別れは美しいのではないかという錯覚を抱かせる。

愛し合ってなお別れる、そのときにも、この言葉は使われる。

男性和女性离别的时候,是不会面对面地说“讨厌你”之类话。这样的台词,是说不出口的,这也是儿时的教育所致。

要是女方这边主动提出离开,那么男方会渐渐变得疏远起来。要是女方当面问个究竟,男方下一步的台词就会说:“为了你的幸福我决定退出”。

仔细想想,这句话还真是便利同时也是罪恶深刻的一句话。

说这么一句刺耳却好用的话,男方就能脱逃了,同时,有这么一句话,或许还会使人抱有离别是美丽的这样的错觉。

相爱着但尚未离别,此时,就能用这句话了。

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