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文章简介

作者:日-芽衣/译者:王欣 当前章节:15376 字 更新时间:2026-6-23 05:27

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附:【本作品来自互联网,本人不做任何负责】内容版权归作者所有!

~赤い糸~

赤い糸 プロローグ

神様によってアタシと貴方の小指に結ばれた

1本の赤い糸。

この運命の絆は目には見えない。

そして貴方への地図だってない。

だからアタシは、貴方に出会うために恋をする。

時には迷い、時には間違いながら……。

貴方もきっと同じように、アタシを探しているんだろうね。

アタシたちはもう出会っているのかな?

それとも見知らぬ土地で生きているの?

赤い糸 早くめぐり会いたい。

貴方と愛し合いたいよ。

たとえそれが、偽りや歪んだ愛だとしても。

恋が終わりを告げたって、

貴方とならまためぐり会えるよね。

赤い糸の先をたどって、

いつかアタシは貴方を探し出すから──―

それまで待っていてね。

赤い糸 過去の記憶

──悠哉。

アタシが愛してる人。

でも、悠哉の瞳はアタシを見ていない。

アタシの姿を見ても、声を聞いても。

貴方はアタシの中にある姉の面影を探しているよね?

アタシの2つ上の姉、春菜の姿を。

そう……。

悠哉は姉の春菜を愛してる。

悠哉とアタシ──芽衣が出会ったのは、物心もついてない程に幼い頃。

ふたりとも忘れてしまったくらいの遠い過去だった──

4歳の春菜と2歳のアタシを連れ、両親は購入したマンションに引っ越しをしたんだ。

そして、そのマンションの隣室に悠哉とその家族が住んでいた。

悠哉はそのとき、3歳。両親と悠哉の両親は子供の年齢も近いからか、すぐに意気投合した。

アタシと春菜、そして悠哉は同じ幼稚園に通った。小学校、中学校も同じ。

いつも3人は一緒だった──

赤い糸 小学校に入ったばかりの頃、アタシは初めての恋を覚えた。相手はもちろん悠哉。

悠哉に対する気持ち、これが好きってことなんだ……。

そのことに気づいたアタシは、すぐに姉の春菜に相談をした。

今思えば、子供ながらに何かを感じて、アタシは春菜に言うことで「悠哉はアタシの!」とアピールしたかったのかもしれない。

その日の夜、春菜は「同じクラスの男の子が好き」と顔を赤く染めながら言った。

その瞬間、ホッとした気持ちがしたのを覚えてる。

でもそのとき、気づけば良かったんだ。

悠哉の気持ちが春菜に向いてるって、うすうす感づいていたから不安だったんだってことに……。

このとき、引き返していたら、こんなにつらい想いをしなくても良かったのに──

赤い糸 3人の関係は、表面的には変わりなく続いていった。

アタシが中学2年の春までは……。

あのときのショックは、きっと一生忘れられない。

桜が舞い散る中学の校舎の裏庭。アタシは悠哉に呼び出され、芝生に座って悠哉を待っていた。

風に吹かれて舞ってくる桜の花びら。あたたかくなった、春の風。

春菜が高校に進学し、いつもの3人の登校が悠哉とアタシのふたりきりになった。

そして、自然と春菜と悠哉の距離が離れた。アタシにとって、今までとは違う幸せな春の訪れだったの。

だけどアタシは悠哉に恋した日からずっと、漠然とした不安を消せずにいた。

──悠哉は春菜を好きなんじゃないかな?

間違ってると思いたいけど、長年一緒にいるアタシの消せない勘。

赤い糸 しばらく待ち続けると、遠くに悠哉の姿が見えてきた。

茶色い髪がサラサラ風に揺れて、少しウザそうに髪を払っている。

悠哉は3年になってすぐ、髪を茶色に染めた。

その髪色が似合っていて、アタシは余計に悠哉を好きになった。

アタシを見つけ、悠哉は走って来た。そして、隣に座る。

「待たせてごめん!」

「どしたの?」

「いきなりだけど、カレシとか好きな男とかいる?」

悠哉はいきなり意外な言葉を口にした。高まる鼓動。次のひと言に対する期待……。

しかし、アタシが口を開く前に悠哉が言葉を続けた。

「オレさ、春菜が好きなんだよ」

「……」

──やっぱり、思い違いじゃなかった。

目の前の綺麗な桜も、青々とした芝生も、澄んだ空も、すべてモノクロになったようだった。

悠哉の少し照れた笑顔が、頭でグルグル回る。頭の中が、真っ白になっていく……。

そして追い討ちをかけるような悠哉の声。

「芽衣、協力してくんない!?」

上の空になりながらも、動揺を隠した。

首を縦に振り、自分の気持ちを殺して精一杯の作り笑顔をした。

赤い糸 想いを殺して

この日から、アタシは悠哉への気持ちを胸の奥へとしまい込んだ。

好きなことがバレて、今の悠哉との関係を壊すのだけは嫌だった。

悠哉は裏庭の話以来、いつも以上に話しかけてくる。

春菜への気持ちや相談も多かったが、それでも悠哉の側に幼馴染みとしていられるだけで幸せだった。

恋の相談はつらいけど、それより悠哉と離れることのほうがつらい。

そばにいれば、いつかアタシを好きになってくれるかもしれない。そう考えて……。

家に帰ると、妹から見ても綺麗に成長した春菜の姿がある。

化粧をして髪を茶色に染め、美人なのに気取らず優しい春菜。

今のアタシにはかなわない。自分でよくわかる。

どうしたら悠哉の気持ちを引きつけられるの? 諦めたくないよ……。

赤い糸 悠哉が前に言っていた。

「春菜、高校に入って急に化粧したり髪染めて大人っぽくなったじゃん。俺、おいていかれたみたいで嫌なんだよな。それに高校じゃあ俺より3つ上のヤツまでいんだよ? だから、俺、髪染めたんだぁ。芽衣はガキくせーし可愛い妹みたいだけど、春菜は大人っぽくなったな。なんで姉妹なのにこんな違うんだろーな! まぁ、芽衣は芽衣で可愛いけどなっ。俺のクラスでお前のファン多いよー」

悠哉はアタシの頭をクシャクシャッとなでた。

悠哉の手はあたたかくて……。こんなときなのに、泣いてしまいそうになった。

──アタシ、ファンなんていらない。

悠哉の気持ちだけ、欲しいよ。

なんで春菜なの?

……春菜になれたらいいのに。

同じ血が通ってて、

同じ親から産まれて、

同じ物食べて、

同じ生活してたんだよ。

なんで悠哉の好きな人は、アタシじゃなくて春菜なんだろう──

赤い糸 ある日、春菜がマンションの前で知らない男の人と話していた。

家では決して見せない女の子らしい笑顔で、同じ制服の男と手を繋いでいる。

誰だろ? 手、繋いでる。

春菜はアタシに気づくと、恥ずかしそうに手を振った。

そして、その男と並んで歩いて来る。

「妹の芽衣。可愛いでしょー☆」

「噂の芽衣ちゃんだぁ。春菜から聞いてるよ。春菜とクラスメイトの関谷です。よろしくね!」

ただのクラスメイトじゃないよね? ……それくらい、アタシにもわかる。

──春菜には彼氏ができたんだ。

心の中で葛藤するふたつの気持ち。

悠哉の失恋は嬉しい。

そして、悲しい。

赤い糸 ふたりと別れ、家に帰るとタイミング良く悠哉からメールが来た。

〈今からデニーズこれる? パフェおごってやるょ! !〉

どうしよ……。あのふたりを見た直後に悠哉に会うのは戸惑いがある。

だけど、久々の悠哉からの意外なお誘い。

しばらく悩むと、会いたい気持ちのほうが勝った。

〈嬉しいぃー☆ゴチになりますっ!〉

返信をし、軽く髪をとかした。

制服からお気に入りのワンピに着替える。

悠哉が前に可愛いと言ってくれた水色のワンピだ。

自転車をとめてデニーズに入ると、少し離れた席に見慣れた茶髪の後ろ姿を見つけた。

「悠哉ー。どしたの?」

「まぁ、座れよ」

悠哉の向かいに座り、メニューを開く。久々の悠哉とのお茶。

……ってより、他人から見たらデートなのかなぁ~?

自然と笑みが溢れる。

「何、ニヤけてんの?」

「別にぃー。どれにしようかなぁ?」

そのとき、悠哉が入り口のほうを向いた。

「あ、コータ! こっち来いよー」

……? コータ? 誰?

赤い糸 コータと呼ばれた男は、ニコニコ笑いながらアタシたちの席に向かって歩いて来る。

悠哉より明るい茶髪で日焼けしまくり。服装もいかにもチャラい感じ。

学校で見たことある。悠哉と同じ3年だ。

いつもギャルやギャル男たちと一緒にいて、学校で一番派手で目立っている集団の人。

コータは馴れ馴れしくアタシの横に座り、「遅れてわりぃな」と悠哉に謝った。

どういうこと? ふたりきりなんじゃないの?

「芽衣、こいつコータ。見たことない?」

悠哉はニコニコしながら話しかけてくる。

状況がよくわからないまま、知らない振りをしてうなずいた。

なんか、この状況すごく嫌だ……。

「……てゆぅか、どうゆうこと? アタシ、おじゃまじゃない? 帰ろうかな」

「じゃまじゃないよ」

「でも……」

アタシと悠哉のやりとりを聞き、コータが口を開いた。

「てゆぅかね、俺が頼んだの。俺、芽衣ちゃんと仲良くしたいんだよね~」

「は!?」

何、言っちゃってるの? 意味がわからない。

赤い糸 アタシはギャルじゃない。ギャルっぽくなりたくて目をつけられない程度に化粧をしてるけど……。

でも、ほんとその程度。目立つような存在ではない。

「アタシ、ギャルじゃないしコータさんとは人種違うってゆうか……なんでアタシなんですか?」

嫌な気持ちも一瞬忘れ、素直に疑問をぶつけた。

するとコータは笑いながら言った。

「わかんない」

え? アタシも余計わかんない……。

でも、コータが好意を持ってるのはわかる。

あと、悠哉がコータを紹介するのは、悠哉に何も思われてない証拠ってことにも気づいた。

「携帯教えてよ☆」

「……いいですよ。アタシもコータさんと友達になりたい」

嘘をついた。

本当は、コータなんてどうでもいい。

悠哉が少しでもコータを紹介したことを後悔してくれないかな?

ヤキモチやいてくれないかな?

1%の可能性……。

ゆっくり悠哉のほうを向くと、明らかに悠哉の顔がひきつっていた。

芽衣なんで? って顔してる気がする。

その顔はどーいう意味なの?

アタシが期待した通りの気持ちなの?

赤い糸 「やった! じゃあ、教えてよ~?」

相変わらず軽い感じのコータに、わざと満面の笑顔で答える。

コータと番号とアドレスを交換した。

その間、悠哉はずっと黙っていた。

「じゃあ、俺は予定あるから行くわ! 悠哉ありがとな! 芽衣ちゃん、またね☆」

そう言い、足早にコータはデニーズを出て行った。

「またふたりきりになったねー」

「あぁ」

微妙な沈黙……。

先に口を開いたのは悠哉だった。

「何喜んで番号教えてんの? コータがどんなヤツか見た目でわかるだろ?」

「……えっ?」

「なんで番号交換なんかすんだよ」

──悠哉が紹介したんでしょ。なんで怒るの?──

明らかに不機嫌な悠哉の声に、アタシの心がかき乱される。

赤い糸 「なんでって……悠哉が紹介したんじゃん? 怒る意味わかんないょ」

「普通さぁ、番号とか教えないだろ? コータに芽衣と会わせてって頼まれて断れなかった俺も悪いけど、芽衣は簡単に男に番号教える女だって思わなかった」

悠哉はイラついたように水を飲み干した。

──思いきって、言ってみようかな。

「悠哉、ヤキモチ?」

「え?」

悠哉の戸惑ったような顔。

その表情に、少し期待してしまう。

「……まぁ、それもあるかな」

──えっ……。

ゆ、悠哉?

ヤキモチ?

「俺の可愛い妹分を取られた気分! それに兄貴分として心配だから、コータみたいな遊んでるヤツとあんまり友達になって欲しくないんだよなぁー」

悠哉の笑いながら話す声に期待はいっきに崩れていった。

あぁ、やっぱりそうだよね。

悠哉は春菜しか見てないし、アタシの気持ちなんて通じないんだよね。

わかっていたけど、期待しちゃったよ……。

アタシは中庭で春菜の話を聞いたときと同じように、作り笑いをした。

そうしないと、涙も気持ちも溢れ出してしまいそうだった……。

赤い糸 ずるい告げ口

アタシは上の空のまま、約束のパフェを食べた。

その間、悠哉は春菜や学校の話を楽しそうに話し続ける。

パフェって……こんなにマズかった?

アタシの頭には何も入ってこなかった。

もくもくと生クリームを口に運ぶ。

パフェを食べ終えたとき、気持ちに限界がきた。

──もう嫌だ。

春菜の話なんて聞きたくない!

「あのさ、お姉ちゃん彼氏いるみたいなんだよね。今日、彼氏とマンションの前で手繋いでて……」

「え……」

思わず言ってしまった言葉に、悠哉の顔から笑みが消えていく。

赤い糸 完全に笑顔が消えて、呆然とする悠哉。

その姿を見ていると、胸が痛んでくる。

言わなければ良かったという後悔が押しよせる。

──思わず言っちゃった……。

でも、失恋した悠哉を喜んでいる自分がいないと言えば嘘になる。

──傷ついた悠哉の気持ちに入り込んでいこう──

そう思い、計算する自分もいる。

……アタシはズルい。

「悠哉ならお姉ちゃんじゃなくても彼女できるよ! お姉ちゃんを忘れて新しい恋しなよ!」

「……」

──アタシがいるじゃん!──

そう言ってしまいたかった。

赤い糸 たたみかけるようにアタシの言葉は続く。自分の言葉を止めることができなかった。

溢れ出す気持ち……。

「悠哉! 叶わないなら忘れたほうが楽だよ!」

──自分が叶わない恋を忘れられないくせに──

「ほかにもいい女はいるってば!」

──叶わない恋でも、悠哉以上の男はいないって思っているくせに──

「ねぇ、悠哉。聞いてる?」

「……ぇ」

「え? 何?」

「芽衣……うるせぇよ」

絞り出すような、低くて怖い悠哉の声だった……。

ビクッ

アタシの体は一瞬震えて固まった。

赤い糸 顔をあげた悠哉の顔……。

悠哉じゃないようだった。見たことがないような、悲しい眼……。

でも、アタシは止めることができなかった。

「だって……な、なんでお姉ちゃんなの!?」

本音が出てしまう。

「俺の気持ち、芽衣にはわかんねぇよ。春菜は、俺の初恋。告白もできなくてダセェけど、ずっと好きだった。だから、簡単には忘れられないし、忘れる気もない」

「悠哉……」

「……うるせぇって言ってわりぃ。教えてくれてありがとな」

悠哉は悲しい笑顔をした。

──悠哉の今の気持ち、アタシと一緒だよ。

アタシもつらいんだよ。

でも、悠哉の気持ちは同じ立場だから、誰よりもわかるよ──

「ごめんね。先に帰る……ごちそうさまです」

その場にいるのがつらくなり、逃げるようにデニーズを後にした。

赤い糸 忘れるために

家に向かって自転車をこぎながら、頭の中で同じ言葉を繰り返した。

──悠哉を……悠哉を忘れよう。

悠哉の可愛い妹分になってあげよう──

少しでも気を抜くと、涙が溢れてきそうだった。

唇をギュッと噛み、必死に自転車をこいだ。

風に、アタシの恋心も吹き飛ばして欲しい。

額に浮かんできた汗のように、悠哉への気持ちもアタシの体から流れていって欲しい。

もう、悠哉に恋しているのが疲れた。

悠哉への恋は、一生叶わないままだよ……。

本当に忘れたい。

悠哉の春菜への気持ちを聞いてから2ヶ月と少し。

何十回も忘れようと考えたが、悠哉に会うとくじけてしまった。

今回こそは、本当に忘れなくてはいけない。

──神様、アタシの心から悠哉への気持ちを抜き取ってもらえませんか?

ねぇ……。

自分じゃ忘れられないから──

赤い糸 ピピピピピ

翌朝、アタシの部屋の目覚ましはいつもより10分早く鳴っていた。

低血圧だから、たとえ10分でも早起きするのはきつい。だけど、仕方なかった。

眠い目をこすりながら、すべての動作をいつもより10分早く終わらせていく。

「あれ? 芽衣、早くない?」

リビングに行くと、パンを食べていた春菜が話しかけてきた。

「うん、ちょっとね」

軽く話をはぐらかす。

そんなアタシを春菜は不思議そうに見ていた。

急いで用意をし、いつも家を出る時間の10分前に玄関に立っていた。

10分後、いつもの時間にきっと悠哉はアタシを迎えに来るはず。

7年と2ヶ月、悠哉が休みか遅刻の日以外は毎日続いてきたこと。

でも、しばらくは悠哉が迎えに来る10分前に家を出ようと決めた。

──悠哉への気持ちが消えるまで、距離を置こう──

それがアタシの考えだった。

そうでもしないと忘れられない。気持ちが揺らぐ。

これ以上、悠哉を好きにならないように。

どんどん忘れていけるように……。

アタシは悠哉に見つからないように玄関のドアを静かに開き、エレベーターに向かった。

赤い糸 マンションを出ると、蒸し暑い空気に包まれた。

「はぁ、暑いょ~」

あと半月もすれば夏休み。

そうなれば、悠哉に学校でバッタリ会うこともない。

悠哉を避ければ、ほとんど会わなくても済む。

小学校からの友達でクラスメイトの優梨と、海やプールの予定もたくさん立てていた。

夏の海やプールって、いっぱい出会いがありそうな感じがする。

悠哉を忘れさせてくれる出会いもあるかも……。

──早く夏休みにならないかなぁ──

夏休みへの期待が膨らんでいた。

赤い糸 中学の校門が見えてきた。知り合いの姿も何人か見える。

「芽衣! おはよ! !」

「ヒャッ! !」

いきなり後ろから誰かに抱きつかれた。

「驚いた?」

心臓をバクバク鳴らせながら振り返ると、そこには朝からハイテンションな優梨がいた。

「朝からやめてぇ~ビビったょぉ~」

パニクるアタシを見て、優梨は爆笑している。

優梨は、アタシの悠哉への気持ちを知っていた。

昨日も優梨に電話をし、2時間も話を聞いてもらっていたんだ。

「今日もあちぃ~ねぇ。早く夏休みにならないかなっ?遊びまくろぉねぇ!」

「後でお菓子あげる☆」

「今日は4時間目サボって、購買行ってヤキソバ買って、屋上行っちゃおっか?」

いつも以上に話しかけてくれる優梨。

バカみたいな話で、アタシを盛り上げてくれる。そんな優しい優梨が、アタシは大好きだ。

赤い糸 「おはよぉ~」

「おはぁ~」

教室に入り、席に座った。そして、周りの席のクラスメイトと挨拶をする。

アタシと優梨は同じクラス。

しかも席も前後で、アタシたちの周りは仲が良い友達が集まっていた。

偶然に……っていうと嘘になる。

席替えのクジ引きを細工して、みんなで仲良く近い席になっていた。

アタシの隣はナツくん。

中学に入ってからの友達で、勉強の才能がすべてスポーツにいっちゃった感じのスポーツバカ。もちろん彼女も好きな子もいないサッカー命くん。

前の席は優梨。

優梨はこげ茶のロングヘア。この前、隣のクラスの男をフっていた。美人でモテるのに、彼氏はナシ。

ここだけの話、優梨はナツくんに片想い中だ?

赤い糸 そして、優梨の隣がアッくん。

アッくんは、中2にして体験人数50人。100人ギリまであと半分っていう恋愛の達人だ。

少し童顔で茶髪の短髪をいつもツンツンにセット。ほかの中学にふたり彼女がいるという、遊び人。

あと、ひとりだけ隣のクラスになっちゃった。

美亜はアタシや優梨と違って、かなりのギャル。たぶん学年一派手だ。

美亜と一緒にいると、よく上級生にニラまれて嫌な思いをするのが困るところ。

だけど美亜はそんなことを気にしないで、いつも明るく堂々としてる。

そんな美亜は優梨と同じくらい大好きな親友だ。

「芽衣~、英語の宿題忘れた! てゆうか、“マイネームイズナツ”くらいしか、わかんねぇ」

隣のナツくんが相変わらずのバカっぷりを見せてきた。

「“マイネームイズナツ”って、中1じゃね? 優梨が英語得意だから聞きなよ~」

優梨がパッとこっちを見て、アタシだけにしか見えないように恥ずかしそうに笑った。

でもその直後、優梨は教室の入り口を見て真顔になった。

優梨の視線の先には、悠哉がいた。

赤い糸 アタシと目が合った悠哉は、怒った顔で手招きする。

どうしよう……。

悠哉に気づいたクラスメイトも、3年が2年のクラスに来るなんて何事? って感じでアタシを見ていた。

「芽衣、悠哉くん来てるね……朝のことじゃない?」

「……うん、きっと」

それ以外、思い当たることはない。

何も知らないナツくんとアッくんも、不思議そうにアタシを見ていた。

みんなの好奇の視線に耐えきれなくなり、言い訳を考えながら入り口に向かった。

「どしたんだよ、今日。なんで先に学校行ったんだよ」

「あ……あの……」

アタシはあまり嘘が得意ではない。

言葉に詰まってしまう……。

悠哉と距離あけたかったなんて死んでも言えないし、良い言い訳も見つからない……。

赤い糸 そのとき、後ろから声がした。

「芽衣はオレと予習するために早く来たんです」

……えっ?

振り返ると、声の主はアッくんだった。

なんで? ……だけど、ナイス、アッくん!

「……そぉそぉ、急だったから。しばらく予習するから、ひとりで学校行くね」

「ふぅん、そぉなんだ。連絡くらいしろよ」

悠哉は納得してはなさそうだったが、そう言い残して廊下を歩いて行った。

──アタシだって一緒に学校に行きたい。

だけど、もう好きになりたくないから行けないの──

きっと、悠哉との間には亀裂が入ってしまった。

でも……これでいいんだよね?

アタシは、悠哉の背中を見つめながら思った。

赤い糸 寂しさをうめて

悠哉の背中を見ながら立ち尽くす。

悠哉は廊下の角を曲がり、アタシの視界から消えた。

……これでいいんだよね?

自分に言い聞かす。だけど胸はギューッと痛くなった。

廊下も、廊下にいる学生たちも、全部ぼやけて、目から大きな涙が溢れ出した。

涙はどんどん流れ続け、頬をボロボロとつたっていく。

「オレ、まずいこと言っちゃった? だいじょぶか?」

うろたえながら、あせるアッくん。

アタシは首を横に振った。

胸の痛みは止まることなく増していき、涙はこぼれ続けた。

赤い糸 そして、アタシは自然と走り出していた。

「待って!」

「芽衣!?」

後ろから声が聞こえた。

だけど、振り向かないで走った。

行く当てもないまま階段をのぼって行った。

「ハァ……ハァ、ハァ……」

気がつけば階段は行き止まりになっていた。

目の前には、重そうな扉。

2階から屋上の前まで来ちゃったんだ。

アタシ、何やってんだろ……。

息を切らしながら、アタシは扉の前に座り込んだ。

?~?~?~

スカートのポケットに入っている携帯が鳴っている。

こんなときなのに、明るく元気な女性ボーカルの歌声。

携帯を取り出し、ディスプレイを見ると優梨の名前。

~?~?……

切れちゃった。

?~?~?~

今度はディスプレイにナツくんの名前。

~?~?……

次はきっと──

?~?~?~

アッくんの名前が表示されている。

「みんな……」

みんな、心配してくれてる。

こんなとき、一番友達の大切さがわかるね……。

泣き顔に、少しずつ笑顔が戻っていった。

赤い糸 今度はさっきとは違う涙が溢れてきた。

きっと、嬉し涙。

アタシは声を殺して泣いた。

少し落ち着いてから、みんなにメールを送った。

〈心配かけてごめん。今から教室帰るね!〉

?~?~?~

すぐに返信がきた。

〈え?アタシたち、みんな今マックかも(笑)〉

何してんのぉ~~!?

アタシは階段を駆け降り、正面玄関を飛び出した。

バッグや財布は教室に置いて来ちゃったけど。

中学から5分程歩くと、駅前に着く。

そしてマックやファミレスが駅の隣に並んでいる。

マックに着くと、窓際の席にみんなの姿が見えた。

ほかのクラスになっちゃった美亜もいる。

──あれ? コータさん?──

優梨たちとは少し離れた席に、3年の集団がいた。

学ラン着てるのにタバコを吸って、かなりガラが悪い。ギャルな女の先輩もいる。

そして優梨たちの席を指さして、何かコソコソ言っているようだ。

美亜は3年に目をつけられてるし……嫌な予感。

赤い糸 案の定、その予感が的中した。

コータの隣の席に座っていた巻き髪のギャルが席を立ち上がった。

それに合わせてほかの3年の女たちも立ち上がる。

顔をしかめて、立ち上がった巻き髪の女の腕をつかむコータ。

でも、その女はコータの腕を振り払い、美亜を見て歩き出した。

「ヤバッ……」

急いでマックのドアを開け、みんなのもとに急いだ。

……だけど、少し遅かったようだ。

「てめぇ、人の男に手ぇ出したりしてんじゃねーよ! !」

「はぁ? なんか用? 捨てられた女が悪くないですかぁ?」

美亜は立ち上がり、巻き髪の女と口論を始めた。

「美亜! やめなっ!」

アタシは叫んだ。

美亜がアタシに気づいて振り向く。

3年の女たちから美亜が目を離したそのとき──

バシャッ

テーブルにあったコップを手にした女が、美亜の頭に飲みかけのオレンジジュースをかけた。

そして美亜の長い髪を引っ張った。

赤い糸 「キャッ! ……ッ! ! やめてぇっ! !」

美亜の悲鳴が店内に響いた。

「何やってんだよ!?」

アッくんやナツくんが押さえようとしても、美亜の髪から手を離さない女。

それを見て笑う3年の女たち。

何これ……。どぉなっちゃってんの……?

呆然として、入り口付近で立ち尽くす。

店員が小走りで美亜たちに向かって行った。

それに気づいた女は、パッと手を離した。

その手のひらには、美亜の自慢の長い髪が何十本もついていた。

「お前、許さないから」

床に座り込んで泣いている美亜に、巻き髪の女が捨て台詞を吐いた。

優梨は真っ青な顔で、美亜の肩を抱く。

そしてキレてるアッくんをむりやり押さえるナツくん。

女たちは自分の席からバッグを取り、マックを出て行った。

「美亜っ! !」

我に返ったアタシは叫び、近くにあった紙ナプキンを大量に持って、席に向かう。

何が起きたのかよくわからない。だけどひどすぎる。

赤い糸 美亜がゆっくり立ち上がる。

「頭、いたい~っ。早くジュース飲みきってれば良かったよぉ」

そう言って、美亜は顔を引きつらせながらも笑った。

全然笑えない……。

落ち着いてきたアタシの中にフツフツと怒りが沸いてきた。

パニックになって何もできなかった自分にも悔しい。

そしてその怒りは、コータに向けられた。

「め……芽衣!?」

残っている3年の席に向かうアタシを見て、優梨が目を丸くした。

「コータさん!」

コータが振り返った。

「芽衣ちゃんだぁ? どしたの? ポテト食う?」

「どしたの? じゃないですよ! ! さっきの女の先輩たち、なんなんですか!?」

「え…? もしかして、ユリがやっちゃった子と友達?」

アタシは気まずそうにしているコータをニラんだ。

赤い糸 普段なら怖くて絶対ニラんだりできないような人だけど、ムカつきすぎて気にならなかった。

「友達ってゆぅか、親友なんですけど」

「マジ!? そいえばあの席のもうひとりの女の子、芽衣ちゃんとよく一緒だよね? 俺、もう手ぇ出すなってユリに言っとくから! ごめんねっ! !」

コータが顔の前で手を合わせた。

ほかの3年たちは、アタシとコータの姿に驚いていた。

「コータは止めたんだよぉっ。俺からも謝るから、許してやって☆」

「コータが頭下げるなんてめずらしいから、機嫌直してよ~」

ほかの男たちに言われ、少しずつ怒りの熱が冷めてきた。

「もう、絶対、美亜に手を出させないでください」

そう言い、アタシは席に戻った。

美亜は嬉しそうに笑い、「ありがとね」と言った。

ほかの3人はキレていたアタシを見て驚きが隠せない様子。

それより、あんなことをやっちゃったっていうことに、アタシ自身が一番驚いていた。

赤い糸 みんなでマックを出ると学校へ向かった。

美亜だけは「家でお風呂入ってから学校戻る」と言い、駅前で別れた。

「なんか大変だったんですけど~」

「オレ、何もわかんねぇのに、2回も3年とトラブル?」

ナツくんとアッくんが笑い合う。

「確かにアッくんは2度目だよね。遅くなったけど、心配かけてすいませんっ! 教室に来た幼馴染みの3年の人ね、アタシの好きな人だったの。だけど、ほかの人が好きで、叶わないから……えっと、いろいろあって、諦めることにして……」

頭の中がグチャグチャになって、さっきの涙がまた出てきちゃいそうになる。

「だ……だからね──」

「その人と距離あけたくて、毎朝一緒だった登校をバックれたら、教室に来ちゃったってことです☆ で、明日からひとりで行くって言ったはいいけど、悲しくなっちゃったってことでしょ?」

泣きそうなアタシに気づいたのか、優梨が代わりに言ってくれた。

「そーゆうことなのですっ」

アタシが言うと、ナツくんとアッくんは黙ってウンウンと頷いた。

赤い糸 「でも、それでいいのか?」

ナツくんは悲しい顔でアタシを見た。

その言葉に、少し考えてからウンと答えた。

「芽衣ならいい恋できるよ!」

「恋愛達人のアッくんに言われたら、できる気してきたぁ!」

「じゃあ優梨もアッくんに言われたい~! いい恋したぁ~~い!」

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