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作者:日-芽衣/译者:王欣 当前章节:15373 字 更新时间:2026-6-23 05:27

ジューッ

お肉がいい音をたてて焼けていく。

「美味しそう?」

「うんっ!」

グゥと鳴りそうになるお腹の音を抑え、ひたすら焼けるのを待った。

みんなの視線も鉄板の肉と野菜に釘づけだ。

「焼けたぞー!」

章サンの声をキッカケに、みんなは鉄板の肉や野菜に箸をのばす。

少しかたい人参も、焦げかけた肉も、みんなで食べると美味しかった。

そして、アタシの切った野菜を美味しそうに食べるたかチャンの顔に、幸せを感じた──

赤い糸 陽が暮れてきた頃……。

花火をしようという話が出た。

「アタシ、散歩好きだから買ってこよーか?」

「ほんと? ありがと!」

アタシは隣にいる美亜を誘った。

「美亜、行かない?」

──すると美亜は、急にお腹を押えて「イテテ」と苦しそうに言い始めた。

「え!? どうしたの?」

「アタシ、お腹痛いかも……たかチャン! 代わりに行ってくれない?」

「俺!?」

「優梨も靴ズレで足痛いみたいだし……もぅ暗いから、女の子だけは危ないじゃん?」

優梨も何か悟ったのか、急に足が痛そうな素振りをする。

アタシは真っ赤になる顔を隠すように下を向いた。

たかチャンとふたりきりになるチャンスを作ってくれてるんだ……。

「わかった! じゃあ、行くか?」

「──うん」

たかチャンの快い返事に、顔がどんどん火照っていった。

美亜は小さくピースをしている。

アタシとたかチャンは立ち上がり、コンビニを目指して砂浜を歩き始めた。

「いってらっしゃーい☆ ゆっくりでいいよ?」

後ろから聞こえる美亜の意味深な声。

赤い糸 たかチャンとふたりきりになるのは久しぶりだった。

ドキドキドキ

心臓が大きな音で鳴っている。

緊張して、顔もこわばってきた。

「美亜、大丈夫かな? 優梨チャンも元気そーだったけど、足痛かったんだなぁ……美亜はだいぶ肉食ってたから、食い過ぎだろーな」

「あっ……う、うん。そうだね……」

緊張しすぎて、恥ずかしくて……、会話にならないよ。

自然と会話がなくなっていくふたり──

しばらく歩いたとき、たかチャンが言った。

「俺とじゃ嫌だった?」

「──え?」

「さっきから態度おかしいから……」

寂しそうなたかチャンの横顔──

うまい言い訳が思い浮かばなくて、黙り込むアタシ。

「修学旅行のことのせい? ごめんな……」

「え?──」

「もぅ芽衣にコクって迷惑かけたりしないから、普通にしてくれよ……」

「そうじゃなくて……あ、あの……」

頭の中がグチャグチャになっていく。

迷惑なんかじゃない! って言えたら……、嬉しかったんだ! って言えたら、どんなに楽なんだろう。

──でも、そんな勇気はないよ。

赤い糸 少し歩くと、コンビニの光が見えてきた。

「やっと着いたね」

「おぅ……」

ふたりの関係はギクシャクしてしまった。

気まずい空気の中、コンビニに入って花火を買った。

「じゃあ、戻るか」

「……!」

アタシの目にアイスのケースがうつる。

アイス買いたいな……。

たかチャンのアイスも買って、謝ろう!

「先に歩いてていいよ! すぐ追いかけるから……」

少しだけひとりになって、謝る言葉を考えたい。

「……わかった」

「追いつけないかもしれないから、ゆっくり歩いててね!」

たかチャンは大量の花火を抱え、コンビニを出て行った。

アタシはさっそくアイスを選ぶ。

アタシのはバニラと苺の味で、たかチャンはチョコ。

レジが混んでいて、思ったより時間がかかってしまった。

急いでコンビニを出て、小走りに歩道を走った。

でも歩道にたかチャンの姿は見えない。

けっこー先に行っちゃったのかな……。

プッ、プー

「どこ行くのー?」

振り向いて足を止めると、黒い車がアタシの横に止まった。

20歳くらいの男が窓を開けて話しかけてきた。

ナンパだ。ウザい……。

アタシは無視してまた歩き始めた。

赤い糸 「どこ行くのー?」

「遊ぼうよー」

歩調に合わせたスピードで、車はしつこくついてくる。

だんだんイラついてきた。

「しつこい! キモいんだけどっ! !」

アタシは男に向かって怒鳴る。

「はぁ? ガキのくせに調子乗ってんじゃねーよ」

ガチャ

後部座席のドアが開き、イカつい男ふたりが降りてきた。

ヤバい……。そう思ったとき、

「キャッ! !」

男に思い切り腕を捕まれ、車に引きずり込まれそうになった──

「やめてっ! ! キャー! !」

叫んでも周りに人はいない。

頭の中に、去年の夏のレイプのことがフラッシュバックした──

男たちのニヤニヤした笑いも、同じだ。

「い、嫌ぁっ! ! たかチャン! ! たかチャン! !」

「叫んでも助けはこねーよ」

もうダメ……。

抵抗もむなしく、アタシの体は車に半分くらい押し込まれてしまった。

──そのとき。

バコッ! !

鈍い音が聞こえ、アタシを押し込もうとする手が緩んだ。

赤い糸 「俺の女に手ぇ出してんじゃねーよ! !」

……たかチャンの声!

「てめぇ、誰だよ!」

殴られてないほうの男が、たかチャンに襲いかかる──

恐くて見れないっ!

目をそむけて半分体が車に入ったまま両手で顔を覆った。

バコッ!

バキッ! !

「ウッ……」

たかチャンがヤラれちゃった!?

「なんだよあのガキ……」

運転手が呟いた──

「芽衣! 降りろ! !」

「……へ?」

ノロノロと車から降りると、足元にはふたりの男がのびていた。

「逃げるぞっ!」

「は、はぃっ! !」

たかチャンはアタシの手を引いて走り出した。

緊急事態なのに、手を繋いだことにドキドキしてしまう。

走り続けること5分。

やっと浜辺が見えてきた。

もう走れない!

限界ー! !

「ハァ、ハァ……こ、ここまで来たら……平気だろ」

「……ハァ、ハァ……」

立ち止まり、座り込むたかチャン。

アタシもベタッと地面に座り込んだ。

赤い糸 甘い花火

「もぅ…動けない。ハァ、ハァ……」

「てゆぅかさ……あんな奴らに、何つかまってんだよ……バカ!」

「バカって……ヒドイ」

「バカだろ? 俺がいなかったら、どーなったか……わかんねーぞ……ハァ、ハァ。……息があがって、うまくしゃべれねー」

バカって言わなくたっていいじゃん……。

むりやりだったんだよ。

怖かったんだから……。

「浜辺の手前に……公園あっただろ? とりあえず……そこ行こ。確か自販あったから、ジュース買いたい」

「……」

「ふてくされんなよ……行くぞ!」

アタシは黙って下を向く。

たかチャンはそんなアタシに片手を差し出した。

「ほら……行くぞ? ジュースおごってやるからさ」

「……」

ふてくされながらも、伸ばされたたかチャンの手を握り締めた。

ダメだね、アタシ。

かまってほしいから、こんな態度を取っちゃうんだ──

たかチャンの手は、大きくてあたたかい。

優しい性格が手にも現れているよ……。

「ふてくされたと思ったら、今度はニヤけてない?」

「──そ、そんなコトないよっ!」

「そんなにジュース飲みたいのかぁー」

……鈍感っ!

赤い糸 公園に近づくと、皆の笑い声が聞こえてきた。

浜辺でキャーキャー言いながら、走り回っているようだ。

「あ、自販あった!」

「アタシはコーラね」

「俺もー!」

コーラを2本買い、ふたりはベンチに腰かけた。

ベンチは子供用なのか少し小さくて、座ると体がたかチャンに当たってしまう。

触れ合う部分が熱くなり、高鳴る鼓動が伝わってしまいそうだ。

アタシはもらったコーラのプルタブを開け、コクンとひと口飲んだ。

炭酸の刺激が乾いた喉に痛かった──

しばらく経つと呼吸が普通に戻ってきた。

隣のたかチャンにも慣れ、少しは鼓動も落ち着いてくる。

「あの……さっきはありがと」

恥ずかしくてたかチャンの方は見れなかったけど、アタシは素直な気持ちを伝えた。

だけど、たかチャンからの返事はない。

ふと横を向くと──

街灯に照らされ、真っ赤な顔をしたたかチャンの姿。

パチッと目が合う。

「……見んなよ!」

「赤く……なってる?」

「マジうるせぇ……」

見るなって言われたけど、目が離せない──

赤い糸 静かな公園に、遠くから聞こえるみんなの声とふたりの呼吸だけが響く。

落ち着いたはずの心臓がまた忙しく動き出す──

「なんで……?」

「芽衣、ほんと天然だしニブいな……」

「ニブいのはそっちでしょ!? ──あっ……」

思わず言った言葉に、自分で驚いた。

追求されなきゃいいけど……。

──だけど、こんなときばかり、たかチャンは鋭い。

「ニブいって何が!?」

「え? あ、あの……動きが……ニブい?」

「俺、ずっと体育5だけどっ!」

「え? じゃあ、誤解でしたっ」

自分でも訳のわからない言い訳を言い、余計に動揺していくアタシ……。

「そろそろ、みんなの所に行こっか? ……あ! ! 花火は!?アタシのアイスもないっ!」

「今頃!? とっくにないよ。アイスかなんかわかんないけど、芽衣の持ってたコンビニ袋はあいつらの車の中!花火は道路に投げてきたぁー」

「マジ!? どーしよー……」

「芽衣が無事で何よりだろっ!」

たかチャンがアタシの肩をポンポンと叩いた。

たかチャンの言葉も仕草も、全部……全部嬉しくて、胸がキューッと締めつけられていく──

赤い糸 ベンチから立ち上がるたかチャン。

アタシもゆっくりと立ち上がった。

「じゃあ……行くか? 皆には花火はなかったって俺が言うからさ」

「……ごめんね」

たかチャンは先に歩き出す。

アタシは半歩後ろを歩いた。

たかチャンと並ぶと、たかチャンの姿が見えないでしょ?

たかチャンを見ていたいんだ……。

たかチャン……。

あなたの気持ちが知りたいよ。

助けてくれたときの「俺の女に何してんだよ!」って言葉。

さっきの赤く染まった顔。

それは、何を意味しているの?

まだ、アタシを想ってくれているんですか?

アタシは今日一日で、前よりも好きになりました。

あなたが……。

たかチャンのことが……、大好きです。

浜辺に戻ると、みんな待ちくたびれたように浜辺に座っていた。

「花火はー?」

「手ぶらじゃん!」

たかチャンは手を合わせ、「ゴメン! なかった!」って謝ってくれた。

アタシも合わせて謝った。

みんなは残念がっていたが、疑いもせず諦めてくれたようだ。

ただひとりをのぞいて……。

赤い糸 「芽衣チャァーン? ちょっとアッチ行かない?」

美亜に誘われ、みんなの輪を抜けてふたりは波打ち際に歩き出す。

「どしたの?」

「どしたの? じゃないでしょー☆ 海辺のコンビニに花火がない訳ないよね? 白状しなさいっ!」

相変わらず鋭いんだから……。

パタパタパタ

「あたしも行くー!」

後ろから優梨も走って来た。

「芽衣チャン、ウチラは親友だよね!?」

「はい……白状しますっ!」

優梨も追いついたところで、アタシはふたりにさっきの出来事を話し始めた。

「キャァ☆ ヤラしぃ!」

「ラブラブだねぇ? あたしとナツには負けるけどねっ」

さっきまでの話を聞き、ふたりがアタシをからかう。

「ラブラブかなぁ? たかチャン、もぅアタシのこと冷めてないかなぁ?」

「ナイ、ナイー!」

自信ありげなふたりの反応を見て、少しだけ安心した。

「もぉ9時! 帰るよー! !」

遠くから悟ニィの声が聞こえた。

「9時かぁ……今日、楽しかったね!」

「たかチャンとの時間が……でしょ?」

「気をきかせてふたりにしたんだからねっ」

いじわるなふたりの返事を聞き流し、アタシはみんなのところに走り出した。

赤い糸 行きと同じメンバーで車に乗り込み、地元に戻る。

悟ニィと章サンは、みんなを家に送り届けて帰って行った。

「ただいまぁ!」

アタシは家に着いたあとも、たかチャンのことで頭がいっぱいだった。

今日は怖い思いもした。

……だけど、それよりたかチャンが助けてくれたことが嬉しかった。

──襲われて良かったと思えてしまう程に、たかチャンが大好き。

久々に会って、再確認したよ。

翌朝──

目が覚めて携帯を見ると、1件メールが届いていた。

寝ぼけながらメールを開く──

〈今日、花火行こ!〉

宛先は……たかチャン!?

夢心地の頭が、パッと現実に戻る。

アタシは急いで返信をした。

〈行きたう!〉

送ったあとに気づいたが、「行きたい!」の間違いだ。

焦って、あ行を押しすぎてしまった……。

今日は地元の最後の花火大会。

まさか一緒に行けるとは思わなかったから、嬉しくて眠気は一気に覚めていった──

赤い糸 昨日は皆で花火ができなかったから、今日は大きな花火を見て盛り上がりたいな☆

美亜と優梨は浴衣で来るのかな?

合わせた服装で行きたいし……。

〈今日、何着てく?〉

ふたりにメールを送る。

しばらく待つと、意外な返信が返ってきた。

〈今日は浴衣でナツとラブラブ☆〉

〈え?今日約束したっけ??〉

──え?

なんで?

みんなは行かないの?

もしかして……。

ふたりきり!?

うっそぉ……。

マジで!?

顔に血がのぼり、真っ赤になっていくのがわかる。

念のためにたかチャンにメールを打つ。

〈今日だれくるの?〉

すぐに返事がきた。

〈ふたりはヤダ?〉

やっぱりそうなんだぁ……。

たかチャンとふたりきりで遊ぶのは、USJ以来だ。

恥ずかしさと嬉しさで、アタシは枕を抱き締めて大騒ぎしてしまった。

赤い糸 ──夕方。

アタシは浴衣に着替え、たかチャンからの連絡を待っていた。

ふたりきりで会うんだから、浴衣を着た可愛い姿を見てほしい……。

帯で締めつけられて少し苦しいけど、そんな苦しさは苦にもならなかった。

?~?~?~

「! !」

携帯の画面に表示された、たかチャンの名前。

「はぁい?」

「用意終わった?」

「うんっ?」

自然と可愛くなってしまう声──

「じゃあ、迎えに行くよ! !」

「はぁーい? じゃあ後でねっ!」

ピッ

電話を切り、用意を始めた。

ピンポーン

自宅にインターホンが鳴り響いた。

……え?

たかチャン?

早くない!?

ガチャ

「はいっ!」

元気よくインターホンに出る。

「迎えに来たよ!」

やっぱりたかチャンだ!

「早いねっ」

「実は芽衣の家の前で電話した?」

「すぐ行くっ! !」

鏡で最終チェックをし、家を飛び出す。

エレベーターを待つのすらもどかしく、浴衣の裾を持ち上げてマンションの下まで階段を駆け下りた。

早く会いたい──

昨日会ったのに……、もうたかチャンに会いたいよ! !

赤い糸 1階まで降りると、エントランスにたかチャンの姿があった。

「たかチャン! !」

「──芽衣!?」

声をかけると、たかチャンは露骨に驚いた顔をした。

何か変だった?

ダサい!?

不安になり、体中をチェックするアタシ。

……だけど、別におかしいところは見当たらない。

「あ、あの……ヘンかな?」

今だに呆然としているたかチャンに聞いてみる。

「……っーか。マジ、可愛いんですけどっ……ヤベッ。言っちゃった……」

「──!?」

たかチャンは、思わず言ってしまった言葉に真っ赤になっていた。

ちょー嬉しいっ!

……だけど、恥ずかしくて言葉にはできない──

アタシは顔を赤くして、下を向いていた。

「……行くか!?」

たかチャンは、顔を反むけながら言う。

赤い顔を隠してるみたいだけど、耳が赤いからわかっちゃったよ……。

ねぇ……。

この反応は、期待していいのかな?

まだ両想いなのかな?

アタシは甘い期待を抱え、花火大会の会場に向かって歩き始めた。

赤い糸 歩いていると、陽も暮れて暗くなってきた。

「寒くない?」

「平気だよ☆」

「疲れただろ?」

「平気だって?」

所々で気をつかって声をかけてくれるたかチャン。

そんな気づかいが、大事にされてるようで嬉しかった。

花火大会の会場に着くと、会場の河原は混んでいた。

目を離すとたかチャンとはぐれてしまいそう……。

人混みが苦手なアタシは、たかチャンの姿を追いかけるだけで精一杯だ。

「待ってぇ~」

「大丈夫か?」

何度となく繰り返される会話。

人に流され、気がつくとバラバラの方向に行ってしまったりもした。

「あと少し! あっちが空いてるから、行こ!」

「う……うん……キャッ!」

「大丈夫か?」

すれちがう人の肩が当たり、痛くて肩を押さえた。

キレイだった浴衣も、すでに着崩れ始めている。

人混みヤダよ……。

むしろ、帰りたい!

──そのときだった。

ギュッ

あたたかい大きな手が、アタシの片手をつかんだ。

「こーすれば、はぐれないだろ? 俺が道つくるから、手ぇ離すなよ!」

「は、はい!」

たかチャンの背中にピタッとくっついて、手を引かれて歩く。

赤い糸 これならはぐれないね。

安心して歩ける……。

しばらく歩くと、だいぶ空いてる場所についた。

「もぉ大丈夫だろ?」

「うん、ありがと……」

パッと離される手。

繋いでいた手は、すこし汗ばんで……。

手のひらにリアルな感触が残った。

「この辺に座るか?」

「ビニールシート持ってきたんだぁ!」

お母さんに持たされた大きめのシートを開き、ふたりで座る。

──打ち上げまで、あと少しだ……。

「俺……。チョット嘘つきかもしんない」

「え?」

いきなり発された、意味不明な言葉。

たかチャン、真剣な顔をしてる……。

「芽衣に嘘ついたんだ。……つーか、結果的に嘘になったって感じなんだけどさ……」

「え……何?」

「ゴメンな」

……何?

何が嘘なの?

胸がザワザワする。

「俺、やっぱりー」

「高橋ー! ! 芽衣チャン! !」

えっ!? 誰!?

──たかチャンの声を遮る聞いたことのある声。

「おぃ! ! こっちー!」

キョロキョロして、声の主を探すふたり。

赤い糸 混んでてわかんない!

……誰!?

「──おぃっ! コッチだよ!」

人混みを抜け出し、手を振りながら来た人……。

その人は──

卒業してしまってから疎遠になっていたコータだった。

コータはピンクの浴衣の女の子を連れ、アタシたちの前に来た。

「久々だなぁ!」

「そうっスね!」

「ぅん、久々……」

嬉しそうに声をかけてくるコータ。

たかチャンも笑顔で話し始める。

──気まずいよ。

タイミングが悪い……。

アタシはコータと関係を持っていた。

何度か寝てしまった……。それに、レイプの話も……。

たかチャンにバレてしまったら、どうしよう──

余計なこと言われたくないし、早くどっかに行ってほしいよ……。

「コータン☆ アタシ、足疲れたぁ! 歩けないょぅ。ココ、お邪魔できないのぉ??」

甘ったるい声でピンクの浴衣が言う。

「そうだな! このシート、俺らも座っていい!?」

はぁ!?

確かに4人で座っても充分なスペースはあるけど……、

ピンクの浴衣!

ずうずうしくない!?

コータも空気を読んでほしいんですけど……。

赤い糸 アタシは焦りとイライラで、タバコに火をつける。

──結局、

断れないまま、コータと女と4人で花火を見ることになってしまった。

あぁ……最悪──

ある意味ドキドキして、花火なんて見てられないよ。

コータは何も知らないから、アタシとたかチャンはただの友達同士だと思ってるし……。

お願いだから、余計なことは言わないでくださいっ! !

ピュー……

ドォーーン! !

「始まったな!」

そんなことを考えているうちに、花火が始まった。

真っ暗な夜空にうち上がる花火はとてもキレイで……。

「……うわぁ~。スゴいねぇ……」

気がつけば、アタシも花火に魅了されていた。

大きな花火、

小さな連発の花火、

ハート型の花火……。

次々と打ち上がる花火が、夜空に色とりどりの絵を描いていく──

キレイ……。

横を見ると、3人も無言で夜空を見つめていた。

──あっというまに3000発の花火は終わってしまった。

「キレイだったねっ☆ コータン 」

ピンクの浴衣は、コータにキュッと抱きつき甘えている。

赤い糸 もう終わっちゃった……。

アタシもあんな風にたかチャンに甘えて花火を見たかったな……。

ピンクの浴衣がうらやましかった。

「これからどうする?」

コータがたかチャンに声をかけた。

「俺らは……どうする?」

たかチャンはアタシの方を見た。

「アタシ……」

「じゃあ~、みんなでどっか行こうよぉ?」

……えっ!?

「アタシねえ、芽衣チャンと話してみたいと思ってたんだぁ☆ コータンと仲良かったんでしょ? 高橋クンからも、中学時代のコータンの話を聞きたいなぁ~ 」

たかチャンと目が合った。

ヤバい……。

嫌な予感──

「まぁ……、いろんな面で仲良かったよなっ☆」

──え?

チョット待って! !

言わないでっ! !

「何? 何?」

「……まぁ、ミキがヤキモチやくから言えないっ」

「えぇ~!? もしかして、つき合ってたのぉー?」

「つき合ったよぅなもんかなぁー☆ なぁ芽衣チャン?」

……もうヤダ……。

言っちゃったじゃん……。

コータのバカ! !

「……そうなんスすか?」

ずっと黙っていたたかチャンが口を開いた。

赤い糸 「俺らさぁ──」

……限界っ!

「ア……アタシ、帰るっ!」

アタシはバッグを持ち、下駄を履いた。

「あれ?」

「チョットぉ~」

不思議そうにアタシを見るコータとピンクの浴衣。

「時間が……遅いし。帰るねっ。じゃあ、またっ!」

「──送ってくよ!」

「平気だからっ……」

アタシは逃げるように、河原を立ち去った。

──最悪だよ……。

コータと関係あったの、バレバレじゃん。

コータにはいろいろ感謝してるけど、ホントに口が軽すぎじゃない?

きっと、たかチャンに嫌われちゃった。

楽しみにしてたのに……。

「……グスッ」

涙が出てきた。

化粧も崩れて、慣れない下駄で足は靴ズレ……。

ボロボロだよ──

「……い! 芽衣! !」

後ろから呼ぶ声がする。

この声、たかチャンだ……。

こんな顔じゃ、振り向けないよ。

タッ…タッ…タッ…

「待てってば! !」

「──ッ!」

走る足音が真裏にきて、グッとつかまれる腕──

「芽衣……どうしたんだよ!?」

「……なんでもナイ」

「泣いてんじゃん!」

「……」

こんな姿、見られたくない……。

赤い糸 「……グスッ」

「なんで泣くんだよ──もしかして? 芽衣、コータ君が……!?」

「……?」

「だったら大丈夫! あのピンクの浴衣の子、彼女じゃないぞっ」

「?」

あ、あの──

誤解……されてる?

たかチャンは真剣にコータについて語っていた。

そして、ついに──

「待ってろ! 今コータ君呼んでくるからっ! !」

走りだそうとするたかチャン。

「ち……ちょっと待って! ! あの……誤解してない? アタシ、コータを好きじゃないよ?」

「無理すんなよ!」

「だから、無理してなくて……アハハッ?」

「え?」

思わず、笑ってしまった。

たかチャンは、訳がわからないようで、「えっ?」って顔のまま、固まっている。

涙は止まったが、代わりに笑いが止まらないアタシ。

「……違う……の?」

「──うんっ」

たかチャンはペタッと地面にしゃがみこんだ。

「あ……マジ良かった……」

そしてポツリとつぶやいた。

……アレ?

今、なんていった?

「俺……まだ芽衣が好きだから、ビビった──」

嘘──!?

赤い糸 ──好きだから。

そう言ったよね……?

「……言わないって約束したのに、また今言っちゃったな。ゴメン、聞き流して──」

「え……」

無理──

聞き流せる訳がない。

だって、好きなんだもん。

「……さっき河原で言いかけた嘘ついてるって話は?」

「好きにならないよーにするって言ったのに……まだ好きだから……」

ペタン

腰が抜けたように、アタシも地面に座り込む。

「め……芽衣?」

「──ホントなの?」

「あ……ウン」

気まずそうに頷くたかチャン。

嬉しすぎて、信じられない……。

アタシたち、両想いなんだね──

「アタシも……」

「──え?」

気持ち、伝えよう。

たかチャンの目を見て……。

精一杯の愛の言葉──

「アナタが好き──」

たかチャンの動きが止まった。

恥ずかしくて……、目をそらしてしまいたくなる。

だけど、両想いを知って喜ぶアナタの顔を見てみたいから……。

視線はそらさないね。

赤い糸 鳩が豆鉄砲をくらったような顔って例えがあるけど、

そんな顔があるなら、今のたかチャンはまさにソレ。

恥ずかしい思いをしながら告白してるんだよ。

もっと嬉しそうにしてよ。

「嘘? ……だろ?」

「……ホント」

「──! !」

ボトッ

「マジでぇっ!?」

我に返ったのか、やっとたかチャンに反応があった。

持っていたバッグを落として、嬉しそうに叫ぶ。

「驚いてバッグ落とすなんて、ベタな俳優みた──」

「芽衣っ……」

アタシの言葉は遮られてしまった。

たかチャンは愛おしそうにアタシを見つめる。

瞳がキレイで、吸い込まれそう──

たかチャンの手が背中に回っていく。

そして、アタシの小さな体は引き寄せられて、壊れ物を扱うように優しくたかチャンはアタシを抱き締めてくれた。

「これでもまだ、信じらんねぇ……ホントに俺のこと?」

「好きです……」

迷いなく伝えられるよ。

だけど恥ずかしくて、すぐにたかチャンの胸に顔を埋めた。

たかチャンの甘い香水の匂いがする……。

アタシ……幸せだよ──

赤い糸 たかチャンの胸の鼓動が聞こえる。

バクバクと鳴り続けて、あまりの早さに壊れちゃうかもって、心配になってしまった程。

「俺……マジでダセェ……震えてきた……」

背中に回された手が、厚い胸が──

──震えてる……。

「好きすぎて──緊張する……」

そんなこと──

言われたことなかった。

胸の中が、あたたかいモノで満たされていく。

アタシの心に、頭に、

甘酸っぱく響く、たかチャンの声。

そして、アタシにドンドンたかチャンの気持ちが伝わってきた。

抱き合うなんて、何回も経験があった。

さっきまでは自然とできた抱き合うという行為。

だけど……。

今は未経験の少女のように、緊張してしまう。

──今日たかチャンは、アタシの中に……、大きな大きな甘い花火を打ち上げてくれた……。

赤い糸 絆

翌日の朝──

アタシはたかチャンの彼女になった。

彼女って響き……、かなりくすぐったい。

アッくんとつき合ったときとは違う。

初めてのちゃんとした彼氏っていう感覚がする。

後ろめたさもない。

大好きで片想いをして実った恋。

皆に秘密にする必要もない。

アッくんとの恋を否定する訳ではないけど……。

好きな人が彼氏に昇格して、普通の恋人ができたという感覚──

こんなに幸せだと思わなかったよ。

昨日は時間も遅かったから、たかチャンがすぐに家に送ってくれた。

マンションの前で、また優しく抱き締めてもらって、甘い余韻を残して、眠りについた。

──そして、今日。

もともと、皆で集まる約束をしていた。

「集まる前にふたりきりで会う時間を作って」って言われて……。

可愛くて不器用な告白をうけたんだ。

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