饭饭TXT > 海外名作 > 《红线》作者:[日]芽衣/译者:王欣【3部完结】 > 赤い糸.txt

第 31 页

作者:日-芽衣/译者:王欣 当前章节:15366 字 更新时间:2026-6-23 05:27

「……すぐに受信拒否にしろよ」

アッくんはそう言って携帯を返すと、アタシの手を引いて歩き出した。

アタシたちは会話もないまま、手だけを強く握り合った。

赤い糸destiny 儚いモノ

絶対、この手が離れないように……。

汗ばむほど、強く強く握り合った。

──気分を変えたくて街に出てきたけれど、気分は晴れないまま時だけが過ぎていく。

まだショップが開くまでには時間があるため、近くのカフェで簡単な食事を取った。

「今日は混んでるね」

「日曜だからな」

「そっか……」

会話も弾まず、黙々とサンドイッチを食べ続けた。

いつもは美味しく感じる食事……それが今日は、とても味気なかった。

?~?~?~

携帯の着信音が聞こえ、アタシはサンドイッチを皿に置いた。

「もしもし」

「おはよ! 今、アツシと一緒?」

電話の相手は海斗だった。

「海斗から……」

アッくんに伝え、海斗と話し始めた。

すると、すぐに……。

「俺、美亜に振られた! やっぱりミツが好きなんだってさぁ。──でも諦めねぇよ。好きな間は頑張ってくつもりだからな」

海斗はそう言って、アハハッと明るく笑った。

その笑い声が不自然で、無理しているように思えた。

赤い糸destiny 「……大丈夫?」

麻美のことでショックを受けているからなのか、ありきたりな返事しかできない。

頭がいっぱいで、気のきく言葉が浮かばなかった。

「大丈夫だよ。諦めないで頑張っても、無理なら自然と諦めだってつくだろ?」

「まぁ……そうだね。そういえば、あれから美亜とは?」

「あぁ、美亜はすぐに親から電話が来て帰ったよ。美亜んちって厳しいんだろ?」

「──えっ?」

意外な海斗の答えに、アタシは眉をひそめる。

……厳しい?

美亜の親が?

美亜はいつも言っていた。

うちの親は放任だって──

「ねぇ……。それ、本当?」

「嘘なわけないだろ。昨日あんなに泣いてた美亜が嘘つくなんて……。気持ちはわかるけど信じてやれよ!」

海斗の言葉が胸に鋭く刺さった。

信じよう。

アタシはそう決めたはずじゃ──

「……そうだよね。ごめん」

「美亜のこと、俺らが信じてやんなきゃな。じゃあまた明日学校で話そうぜ! アツシと仲良くな!」

電話を切ると、深い溜め息がこぼれた。

赤い糸destiny 美亜の親だって……知らないうちに、躾に厳しくなったのかもしれない。

──そう考える前に親友を疑ってしまった。

そんな自分が嫌だった。

「……どうした?」

「うん……。美亜があれからすぐに、親が厳しいって理由で帰ったんだって。それが引っ掛かって……」

「え? 美亜の親って干渉してこないって話だよな。もしかして──」

アタシたちは目を合わせると、どちらからともなく会話をやめた。

きっと……同じことを思ったんだろう。

海斗に嘘をついてまで、すぐに帰ったとしたら……その理由は?

──言葉に出さなくたって頭には最悪な情景が浮かんでいた。

「……大丈夫だよね?」

消せない不安と疑う自分に言い聞かせるよう、アッくんに問いかけた。

──そうだな。

誰かにそう言われたかった。

この嫌な予感を否定してほしい。

「そうだな」

アッくんは願い通り、アタシが欲しいひと言をくれた。

──疑ってばかりじゃ仕方ないよね?

親友を信じたい。

アタシはもう一度強く想った。

赤い糸destiny 「……もう出ようぜ。まずは買い物だろ?」

「あ、うん……」

アッくんは急に笑顔になった。

アタシの心を読んだようなアッくんの優しさ。

気持ちが落ち着いて、顔には笑みが浮かんでいった。

その後──

数件のショップをまわり、アッくんが似合うと言ってくれたスカートを買った。

あとは、来年用の手帳も。

そして、予定のコース通りにケーキ屋に入って……。

「男の客、オレだけじゃん!」

そう言って焦るアッくんと一緒にケーキを食べた。

買ったばかりの手帳を開いてペンを掴む。

そして……一年記念日にハートの印をつけた。

「アハハッ! まだ気が早いだろっ」

「早くないのーっ。あとは、誕生日もハートつけて……」

真っ白な手帳が、アタシの癖がある文字で埋まっていく。

「ここにいっぱいふたりの予定を書き込んでいこうっと。あっ! 後でプリクラ撮ったら最初のページに貼らなきゃ」

ウキウキしながら語るアタシを見て、アッくんは目尻を垂らして嬉しそうに笑った。

赤い糸destiny 甘いケーキよりミルクたっぷりのカフェオレより……アッくんの笑顔は何よりも、胸を甘い気持ちで満たしてくれる。

パシャ──

「キャハハッ! 変な顔っ! カメラはこっち!!」

「えっ? ──わかりづれぇ!」

ケーキを食べ終わり、次はプリクラを撮った。

アタシに言われるままジッとカメラを見つめるアッくん。

「ねぇ、右手をレンズの方にかざして!」

「……こう?」

パシャ──

「やった! ペアリングが写ったぁ!」

「あ……。そうだな」

「次は肩抱いてっ! ラブラブな感じなのを撮りたいの!」

アッくんに寄り添い、カメラに向かってニコッと笑う。

パシャ──

次第にアッくんも慣れてきたようで、おちゃらけたりアタシの頭に手を乗せたりしていた。

「──あっ! あと1枚しか撮れないよぉ……」

画面には残り1ショットで撮影終了と表示されている。

「はぁ……やっと終わるっ!」

「もうっ。どんなポーズにする?」

ギュッ

「えっ?」

急に抱き寄せられて……アタシは驚きながら、アッくんの顔を見上げた。

赤い糸destiny そのとき──

チュッ パシャ──

「──へっ!?」

キスと同時に最後の撮影が終了。

「ラブラブがいいんだろ?」

アッくんは意地悪そうに笑った。

アタシの頬が真っ赤に染まっていった。

「恥ずかしいっ……」

小声で叫び、冷えた指先を頬に当てた。

本当は……アタシだってチューしてるプリクラを撮りたかったの。

だけど、恥ずかしくて言えなかった。

悪戯のようなキス。

突然でビックリしたけど、ずっとしたかった初チュープリを撮っちゃったよ。

「次は落書きだっけ? そういうの苦手だから芽衣が書いて! ……オレ、ちょっとその辺見てくるよ」

「……うん。わかった」

アタシは落書き用のタッチペンを持つと、ありったけの想いを込めて落書きをした。

ハートのスタンプを押し、沢山の文字を書いていく。

──しばらく経つと、アッくんが戻ってきた。

切っておいたプリクラを半分渡し、チュープリをアッくんの携帯に貼りつけた。

「浮気防止!!」

「そんなことしないし!」

ふたりで笑い合いながら手を繋いだ。

赤い糸destiny ──外に出ると、すでに西の空はオレンジ色に染まりかけている。

「もう冬だな。すぐ暗くなる……。次はどこ行く?」

「今までリクエスト聞いてもらってたから、次はアッくんに任せるよ」

……アタシはもう充分。

本当に楽しかったもん。

すごく楽しい時間を過ごせているよ──

「うーん……芽衣は少しゆっくりしたい?」

「うん、そうだね」

「カラオケや映画は好きだよな?」

「好き好きっ」

「じゃあ……。ついてきて!」

アッくんはよくわからない質問を終えると、アタシの手を引いて歩き出した。

連れられるままについていく。

5分ほど歩くと──

「……」

目の前には、数十件のラブホテルが並んでいた。

「なんか……一緒にいたらまたしたくなっちゃった」

「ええっ……」

アッくんはそう言い、ニコッと可愛く笑う。

「アタシ……ラブホなんて入ったことないし……」

そう言った瞬間──

忘れようとしていた記憶が脳裏に蘇った。

赤い糸destiny ……アタシ、ラブホ入ったことあるじゃん。

中学2年の夏に──

「ナツから聞いたんだけど、この先がキレイらしくてさぁ……」

「あ、うん……」

アッくんが先に見える白いラブホを指さして何か言っている。

だけど……その会話はアタシの耳に全然届かなかった。

──無理やり脱がされた服。

臭かったデブの口臭。

そして……血と涙の混ざった味。

「い……嫌っ……。やっぱラブホは嫌……」

「芽衣? どうしたんだよ……」

「あ、あの……恥ずかしくて……」

その場に立ち止まり、アッくんの腕にしがみついた。

「大丈夫だって」

「ううん、嫌っ……」

……今が夕暮れで本当に良かった。

太陽のオレンジ色がなかったら、アタシの顔が青ざめていることに気づかれただろう。

アッくんは……レイプされたことを知らない。

知られたら……絶対に汚いと思われてしまう。

「本当にごめん……」

「……そっか。いきなりごめんな」

「ううん……。アタシだって……エッチ……し……したいけどっ……。アッくんちに行かない?」

赤い糸destiny もうあれから3年以上も経った。

犯人だって逮捕されている。

忘れようと頑張って……今は暗い夜道もひとりで歩けるようになっていたんだよ。

やっと忘れたと思っていたのに──

「無理しなくていいぞ? 明日は学校だし……」

「ううん、無理はしてないよ」

アタシだって……アッくんのそばにいたい。

服なんていう隔たりを取って、産まれたままの姿で抱き合いたいよ。

「ここにつっ立ってるのも恥ずかしいし、とりあえずなかに戻るか?」

「うん……」

申し訳なく思いながらうなずく。

帰り際にチラッとあの白いラブホを見ると……。

「──え!!」

そのホテルの脇からは……アタシたちのように、仲良く手を繋ぐカップルが出てきた。

カップルの男は愁。

女は……。

「えっ!? あれ、美亜だよな!?」

「……。見間違いじゃ……ないよね……」

「あぁ……」

頭の中が真っ白になっていった。

足が地面に張りついたように重くなって……呆然としながら美亜たちの姿を見つめる。

赤い糸destiny 時折フラッとよろける美亜を愁が支え、見つめ合うたびにふたりはキスを交していた。

その光景は……見たくない偽りの愛の形。

「またやってるだろ……。ジャンキーならセックスのときは絶対にタマ食うよ」

実際に体験したことのあるアッくんの言葉が、胸にズシンと響いていく。

海斗からの電話で感じた疑問……それが当たってしまった。

友だちに謝り、舌の根も乾かないうちにまた裏切った美亜。

そして……海斗の優しさを踏みにじった美亜。

悔しくて……悲しくて……。

胸の奥から涙が込み上げてくる。

「美亜っ!!」

アタシは、見て見ぬフリなんてできなかった。

グッと顔を歪ませ、涙をこらえて走り出す。

「芽衣っ……」

美亜はひと言呟くと、走って逃げ始めた。

だけど……クスリに蝕まれている美亜の体力は落ちている。

「何やってんの!?」

アタシはすぐに追いつき、美亜の肩を強く掴んだ。

美亜がハァハァと息を切らして振り返る。

パシンッ!!

気づけば美亜の頬を平手で叩いていた。

赤い糸destiny 「な……なんでっ!? なんでなのっ!?」

悔しくて、涙がボロボロと流れる。

「……。痛いよ……」

美亜は気まずそうに視線をそらし、叩かれた頬に手を当てた。

「ウウッ……もうやめようよ! こんな美亜は美亜じゃない!!」

「……」

「ねぇ……グスッ……ど……どうしてっ!? なんでやめられないの……」

なんでなのか……本当にわからなかった。

クスリなんかしても、良いことがないって美亜は知ってる。

それに、体に害があることだって──

「ね……ねぇ! 何か言ったら!? グスッ……美亜だって、こんなこと良くないってわかってるんでしょ!!」

美亜の目を覚ましたくて……。

アタシは必死に美亜に訴えかけた。

熱い涙は流れ続け、手のひらはビリビリと痛む。

でも……それよりも胸がいちばん痛かった。

「ねぇ……。美亜ぁ……ハァッ……か……帰ろう……」

アタシはそっと美亜の手を取った。

「嫌……。アタシは帰らない」

アタシの手は冷たい言葉とともに振り払われる。

美亜は目に涙を浮かべ、思ってもみなかった言葉を発した。

赤い糸destiny 「えっ?」

聞き違い……だよね?

思わず耳を疑ってしまう。

「あ、あの……」

「ごめん。もうあたしのことは放っておいてほしい」

「は!?」

美亜はそう言うと踵を返し、愁に向かって歩き出した。

「ち……ちょっと待って!!」

「……あたしはやめない。まだやめられないの!」

「な、何言って……」

追い討ちをかけるように、美亜はクスリをやめないと言い続ける。

そして、頬にはひと筋の涙を伝わせた。

「ねえ! その涙は何!?」

「……あたしは……やめたくても……グスッ……やめたいのにっ──」

美亜はギュッと愁の手を取ると、通りかかったタクシーを止めた。

「ねぇ!! 美亜っ!!!」

「……ウウッ」

「ダメだよっ!! 一緒に──」

泣き叫ぶアタシを残し、愁と美亜を乗せたタクシーはドアを閉めた。

バンバンッ!

「ねぇ!! ウウウッ……み、美亜ぁ!!」

窓を叩くと、運転手は嫌そうにアタシをニラみ、勢いよく車を走らせた。

タクシーはどんどん小さくなり、角を曲がって消えていった。

赤い糸destiny 体中の力が抜けてアタシはその場に座り込んだ。

「なんで……なの? グスッ……」

お尻に感じる汚くて冷たいアスファルトの感触も他人の視線も、全部どうでもいい。

心にポッカリと穴があいてしまったようだった。

その穴には、ヒューヒューと冷たい風が吹き込んでいく……。

「……芽衣。大丈夫か?」

肩にあたたかい手が乗せられ、頭上からは優しい声が降ってきた。

「ここまできたら、美亜が自分の意志でやめたくなるまでは無理だよ……」

優しい声に似合わない残酷な言葉──

……自分の意志。

それしかないの?

「さっきの美亜の涙と言葉は? やめたいのにって言ってたじゃん……。やめる意志はあるよ……」

呆然としたまま、上を向いて呟いた。

「やめたくてもやめれない……。依存してるんだ……。始めるのは簡単。それなのに、やめるのは難しい……」

?…?…?…

「──メールだ! 美亜からかも!?」

アタシは正気に戻ると急いで携帯を開いた。

だけど……それは今のアタシに追い討ちをかけるように届いた、嫌がらせのショートメールだった。

赤い糸destiny 「……また麻美チャン」

「……」

メールを消去すると、疲れた顔を両手で覆った。

「なんかもう……いろいろありすぎ……」

「……大丈夫か? 美亜がやめれるまで、オレらがそばについていてやろうな……」

「うん……」

そう答えながらも……昨日のアタシの決意はどこかへ消えかけている。

……何をすればいい?

こんな状況でそばにいられるの?

伸ばしたアタシの手を振り払い、愁の手を選んだ美亜。

そんな美亜は、アタシたちの元へ帰ってきてくれるのかな?

その後、アタシはアッくんに送られて家に帰った。

気持ちの整理がつかなくて……まだ一緒にいたい気持ちより、ひとりになりたい気持ちが強かった。

数えきれないほど美亜に電話をかけても、呼び出し音が鳴るだけで繋がらない。

麻美の姿……。

美亜と愁を乗せて消えたタクシー……。

「はぁ……」

もう、何も考えたくなかった。

机の中に閉まっておいた睡眠導入剤を取り出す。

アタシは決められた使用量よりも少し多めに飲み込んだ。

赤い糸destiny もう使うことはないと思っていたのに……。

──久しぶりに使った導入剤はすぐに効き始める。

そしてアタシは、携帯を握り締めたまま眠りについていた。

翌日……そしてまた翌日──

美亜は今週一度も学校に姿を現さなかった。

その間、アタシは自分にできることを考え続けていた。

だけど……連絡も取れない美亜にできることといえば、ルーズリーフに授業内容や黒板の文字を書き写して届けることくらいしかなかった。

1枚の手紙を添え、毎日美亜の家へ届け続ける。

いつも美亜は留守だから、ポストに投函するか美亜のお母さんに渡して帰ることばかりだけど……。

そして──

1カ月記念日から8日後の月曜日の朝。

遅刻して登校したアタシを待っていたのは、驚く知らせだった。

「美亜がっ──美亜が学校辞めたっ! 何か聞いてるか!?」

教室に入った瞬間、海斗が駆け寄ってきて叫んだ。

ボトッ。

「……は? 嘘でしょ!?」

突然の出来事に、持っていた鞄を床に落としてしまった。

赤い糸destiny 美亜が……学校を辞めた?

なんでいきなり……。

「親が学校に退学届を持ってきたらしいぞ。美亜は一緒じゃなかったけど、筆跡は美亜のモノだって──」

「信じられない!! ……嘘でしょ?」

教室のドアを見つめるが、そこに美亜の姿はない。

いつもは休み時間になるとあそこから顔を出して……「芽衣!」って、明るく声をかけてくるのに。

「何も連絡なかった?」

「……ないよ」

アタシたちの距離は……このままどんどん離れていっちゃうの?

こんなに大事な話もしてくれないなんて。

美亜とアタシは親友じゃなかった?

そう思うのはアタシだけになっちゃったの?

ねぇ、美亜。教えてよ──

放課後、いつものように美亜の家を訪ねた。

昨日までと違うのは、鞄に入れていたルーズリーフがないことだけ。

ピーンポーン……

「はい?」

「あ、あの……」

「今日も来たの? あの子はいないし学校も辞めたから」

インターホンからは、いつものようにサバサバした美亜のお母さんの声が聞こえてくる。

その言い方は、まるで他人事のようだった。

赤い糸destiny 美亜を探して

美亜が学校を辞めたのに……。

今日もいつものような口調で、話もそれだけなの?

「あの……。美亜チャンと話したいんですが、どこにいるかわかりますか?」

「さぁ? あの子は適当な子だから、どこにいて何をしてるのかなんてわかんないわ。帰ってきたら連絡するように伝えるわね。今から出かけなきゃいけないからまた今度」

一方的に切られるインターホン。

アタシはその場で固まってしまった。

「どうしたらいいんだろう……」

それに、美亜のお母さんはなんであんなふうに美亜の話をするの?

あの子は適当な子だからって……。

それで済む話なの?

心配じゃないの?

あと、美亜は適当な子なんかじゃない──

……うちのお母さんは、家に帰らなかったら心配する。

悪いことをしたら、必死に怒ってくれるよ。

「うっ……」

寒さで体が震えた。

このまま待っていても、美亜が帰ってくるとは限らない。

ほかに美亜の居場所がわかりそうな人は……。

アタシは鞄から携帯を取り出し、ミヤビに電話をかけた。

赤い糸destiny 本当は、ミヤビの声なんて聞きたくない。

ミヤビも愁と同じように嫌いだよ。

だけど……もうミヤビしか、美亜の居場所を知ってそうな人はいなかった。

「……芽衣チャン?」

「ミヤビ!?」

出ないだろうなという思いに反して、ミヤビはすぐに電話に出た。

「あのさ、美亜に連絡つけたいの。ミヤビは一緒にクスリしてるんだからわかるよね?」

思わず嫌味になる口調。

ミヤビは感じが悪い問いに対して静かに答えた。

「……あたしやめたんだ。クスリやめたの。具合が悪くなって、ヤバい幻覚とか見て。だから、美亜の居場所はわかんない。何があったの?」

……ミヤビがクスリをやめた?

昨日今日の出来事を話すと、ミヤビは静かに聞いてから話し出した。

「愁は頭がいかれてる。タマだけじゃなくて、シャブ打ったり……。美亜もこのままじゃおかしくなっちゃう……。あたしには責任あるし、美亜を探す手伝いをしたいよ。──ダメかな……」

そんなことを言われるなんて思ってもみなかった。

美亜を心配するミヤビの頼みに、即答できない。

赤い糸destiny 前にミヤビはアタシを裏切った。

そのせいで、クスリを飲まされそうになって……。

──黙りこむアタシにミヤビは続けた。

「あたし、クスリしたことを本当に後悔しているの。友だちもなくして、体だってきっとボロボロ。あたしは美亜と一緒に何回もクスリしてたの。美亜が行くクラブにもクスリにもコネがあるから。美亜を助けたいんだ」

その言葉には嘘がないように思えた。

ミヤビはクスリをやってしまったことを後悔しているからこそ、まわりの友だちにもクスリをやめさせたいと思っている様子で……。

悩んだ末、ミヤビを信じることに決めた。

「うん。その代わり、もう絶対にクスリはしないで」

「ありがとう……」

そして──アタシたちは、1時間後に私服で街に集まる約束を交した。

夜を待ち、ミヤビに連れられるままに街を歩き回った。

今まで知らなかった繁華街の裏の部分……。

プッシャー(売人)に会い、名前だけは聞いたことのあるクラブを訪ねる。

ミヤビの情報網は怖いくらいに広く、慣れた様子で知り合いと言葉を交していた。

赤い糸destiny ミヤビはこんな世界で生きていたんだと思うと、抜けれなかった気持ちも少しはわかる気がする……。

深夜のクラブはクスリをやっている人が多くて、シラフで緊張するアタシは明らかに浮いていた。

クスリをやめようなんて言う人はいなそうで、感覚や価値観が狂ってしまいそうになる──

「……大丈夫?」

「うん。でも怖いね」

「あたしはこの辺が地元だから……」

初めてのクラブにおどおどするアタシを見かねたのか、ミヤビは優しく声をかけてくれた。

……美亜はこんな場所で毎日過ごしているんだね。

今まで、アタシが知らない美亜の世界はなかった。

親友になってから、いつも一緒だったのに……。

暗いフロアでは、明らかに様子がおかしい人たちが激しく踊っている。

無意識に、その中のひとりと美亜を重ねて見てしまった。

同じだと思うと、悲しい気持ちになる。

そのとき──

「芽衣チャン! ちょっと聞いて!!」

派手な女の子と話していたミヤビが、肩を叩いた。

「……えっ? 何?」

「今、愁の話聞いてたのっ! ここだとうるさいから外に出よう!!」

赤い糸destiny 派手な女の子にミヤビは頭を下げ、アタシの手を引いてクラブの外へ出た。

──人を避けるよう、細い路地裏に入った。

よく見ると、ミヤビの顔は見たことがないくらいに困惑した表情だった。

「愁って……何がわかったの?」

「実は──」

?~?~?~

会話を遮るように携帯が鳴った。

……こんなときに誰!?

画面をみると、アッくんの名前が表示されていた。

「ちょっとごめんね……。もしもし?」

ミヤビにひと言断り、電話に出た。

アッくんはみんなで遊んでいるのか、後ろからガヤガヤと人の笑い声などが聞こえた。

「今、何してんの?」

「あー……急用じゃないならかけ直していい?」

「わかった! じゃあ、電話待ってるからなっ」

すぐに電話を切り、携帯をポケットにしまった。

「大丈夫なの?」

「平気! それより何がわかったの?」

「それがね……愁が最近、クスリ欲しくて先輩のお金を盗んだんだって。それで女の子と逃げたって……」

赤い糸destiny まさか……その女の子って?

ミヤビはアタシの気持ちがわかったのか、コクンとうなずいた。

「たぶん美亜だと思う。最近、ずっと愁といたから。そのお金盗んだ相手っていうのが、ちょーヤバい先輩なの。もし見つかったら、美亜もヤバいかもしれない……」

「──えっ!! どうしよう。美亜に何かあったら……」

「あたしからも先輩に連絡してみるけど……。すごくキレてるみたいで、愁に何するかわかんないんだよね。もし盗みに美亜が関わってたらあたしも守れないかもしれない──」

足がガクガクと震えた。

どうしよう……どうしたらいい?

でも……アタシにはコネもないし、助ける術もない。

美亜に連絡がつかないと、アタシには何もできないってよくわかる──

「とにかく、今から愁の行きそうな場所を地元の友だちに聞いてみる! また後で連絡するね!」

「……う……うん」

ミヤビはそう言い、街の中へ消えていった。

家に帰っても、頭は美亜のことでいっぱいだった。

美亜、無事でいて……。

そう思うたびに、不安で胸がザワザワとする。

赤い糸destiny まさか……その女の子って?

ミヤビはアタシの気持ちがわかったのか、コクンとうなずいた。

「たぶん美亜だと思う。最近、ずっと愁といたから。そのお金盗んだ相手っていうのが、ちょーヤバい先輩なの。もし見つかったら、美亜もヤバいかもしれない……」

「──えっ!! どうしよう。美亜に何かあったら……」

「あたしからも先輩に連絡してみるけど……。すごくキレてるみたいで、愁に何するかわかんないんだよね。もし盗みに美亜が関わってたらあたしも守れないかもしれない──」

足がガクガクと震えた。

どうしよう……どうしたらいい?

でも……アタシにはコネもないし、助ける術もない。

美亜に連絡がつかないと、アタシには何もできないってよくわかる──

「とにかく、今から愁の行きそうな場所を地元の友だちに聞いてみる! また後で連絡するね!」

「……う……うん」

ミヤビはそう言い、街の中へ消えていった。

家に帰っても、頭は美亜のことでいっぱいだった。

美亜、無事でいて……。

そう思うたびに、不安で胸がザワザワとする。

赤い糸destiny 何もせず、ただミヤビからの連絡を待つなんてできない。

アタシは、美亜と共通の友人に片っ端から電話をかけた。

「最近美亜を見た?」

何十回もその言葉を繰り返した。

だけど、誰一人として、美亜の居場所を知っている人はいない。

メモリに入っていて、まだかけていない人は残り3人。

本音を言うと、この人たちには電話をかけたくなかった。

たかチャンとミツとコータ。

たかチャンには、アッくんとつき合ったことも言っていないし疎遠なまま。

ミツは美亜を苦しませている原因のひとり。

コータはアタシのいろいろな過去を知っているから、気まずくて連絡を取りづらい。

「うーん……」

携帯の画面に表示される電話帳を見つめる。

親指を通話ボタンの上に置いても押すことができなくて……。

悩みながら親指を離した。

ずっとその繰り返し。

翌朝──

重い気分で教室に行くと、久しぶりにミヤビの姿があった。

ミヤビも美亜同様、今までずっと学校を休んでいたんだ。

「久しぶりの学校だね。あれからどうだった?」

赤い糸destiny 落ち着かなそうに座っているミヤビに駆け寄り、声をかけた。

「芽衣チャンおはよ! 昨日は連絡できなくてごめんね。誰も居場所を知らなくてさぁ……」

「そっか。アタシもダメだったよ」

ふたりは揃って朝から溜め息を漏らした。

「もっと探してみる。後、学校もしっかり来るね」

「アハハッ、そうだね。今日が2学期初登校でしょ?」

「うんっ。留年決定かも?」

ミヤビは少しだけ笑った。

……クスリをやめてから、ミヤビの笑顔は変わった気がする。

美亜も一瞬だけはそうだった。

自然で、クスリを常用していたころとは違う笑顔。

嫌いだったミヤビに対して、どんどんアタシの心は開けていった──

放課後になると、アッくんから1通のメールが届いた。

内容は放課後に会おうという誘い。

……だけど、今日もアタシは美亜の家を訪ねようと決めていた。

〈ごめん。今日は無理だよ〉

すぐにメールを打ち返す。

?…?…?…

〈そっか。最近、朝しか会ってないな。昨日も電話を折り返すって言ったのに、かかってこなかったし。近いうちに時間作って〉

赤い糸destiny そのメールには……。

いろいろな気持ちがこもっているように思えた。

──つき合ってからの1カ月間、アタシは週の半分近くアッくんと遊んでいた。

でも、こんな状況になって……もう1週間以上朝しか会ってない。

今、アタシは美亜のことを優先したかった。

それはアッくんだってわかってくれている。

だけど……アタシはその優しさに甘えて、アッくんを放ったらかしにしてるのかも?

〈折り返すのを忘れてごめんね。アタシも会いたいから明日は会おう!〉

……ごめん。

心からそう思い、ミヤビと一緒に教室を出た。

翌日の放課後──

早く声が聞きたい。

会いたい。

アタシは久しぶりのデートに胸を高鳴らせ、足早に校舎を出た。

しかし……すぐにミヤビから美亜のことで呼び出された。

──えっ。

アッくんとのデートがあるのに……。

そう思いながらも、美亜の話なら行かないわけにはいかなかった。

アタシはガックリと肩を落とし、アッくんに断りのメールを打った。

赤い糸destiny 〈ごめん。美亜のことでミヤビと会わなきゃ……〉

?…?…?…

〈そっか……。美亜はオレにとっても大事な友だちだし気にするなよ。また今度な〉

……気にしないなんて、できないよ。

約束を破ってばかりでごめんね。

──メールの文字を見つめていると、アッくんの笑顔が思い浮かんだ。

「アッくん……」

好き……。

目录
设置
设置
阅读主题
字体风格
雅黑 宋体 楷书 卡通
字体大小
适中 偏大 超大
保存设置
恢复默认
手机
手机阅读
扫码获取链接,使用浏览器打开
书架同步,随时随地,手机阅读
首 页 < 上一章 章节列表 下一章 > 尾 页