饭饭TXT > 海外名作 > 《红线》作者:[日]芽衣/译者:王欣【3部完结】 > 赤い糸.txt

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作者:日-芽衣/译者:王欣 当前章节:15381 字 更新时间:2026-6-23 05:27

「……ちょっとね」

「何かあったの? 昨日は帰りが遅かったから心配したのよ。お父さんには内緒にしておいたけど……無事に帰ってきて良かった」

お母さんはハァと溜め息をついた。

「ごめんね」

心配かけてごめんね。

昨日は、アッくんだけじゃなくて、優梨やお母さんにも心配かけた。

みんな、ごめんね。

赤い糸 「昨日、何回も西野くんって人から電話があったわよ。あとは、優梨ちゃんからも2回。ふたりとも心配してて。みんなに心配や迷惑かけるんだから、これからは早く帰ってきなさいね。夜中は危ないし……何かあって後悔しても遅いのよ」

西野くんって、アッくんのことだ。家に何回も連絡くれていたんだ……。

心配してくれるアッくんの顔が浮かんだ。

コータとアタシを見て「別れよう……」と言ったアッくんの姿も……。

ズキンと胸が痛む。

「寝てないんでしょ? 少し寝なさい」

そう言うと、お母さんは部屋を出て行った。

アタシはタオルケットを頭からかぶり、またベッドに横になった。

涙が、次から次へと溢れてきた。

涙は枯れることはないんだね……。

──そしてアタシは、泣き疲れ、意識を失った。

赤い糸 ?~?~?~

部屋に鳴り響く、携帯の着信音。

「……ン……ウゥン……」

──! !

寝ちゃってた! !

「ヤバッ! アッくん!?」

寝ぼけた頭がパッと覚め、ゴソゴソと携帯を探す。

「あ、あれ? どこ……? ──アッ! あった! !」

携帯を見ると、予想通りアッくんからの電話だ。

「──は、はいっ! !」

「どしたの? やけに気合い入った声だけど」

携帯から聞こえるアッくんの笑い声。

昨日会ったのに、懐かしく感じる。

「今日空いてる?」

「えっ……?」

「会おっ!」

──嘘ぉ……やったぁ! !

待っていたアッくんの言葉だった。嬉しくて声が出ない。

胸がキュンって痛くなって……まるで、初めてのデートの約束のようだった。

「……う、うん!」

「じゃあ、6時に芽衣の家の前に行くから」

アッくんと電話を切った後も、ずっと胸のときめきは消えなかった。

眠気も覚めて、頭の中はファッションショー。

何、着ようかな? 髪は巻き髪?

アタシの胸はときめいた。

赤い糸 時計を見ると、待ち合わせの6時まで2時間弱しかない。

「用意しなきゃ!」

ベッドから飛び降り、アイスノンを取りに台所へ走る。

目の腫れを取るのに意外と時間がかかり、腫れがひいた頃には5時を回ってしまっていた。

「あーっ! もぉっ。丁寧に化粧したかったのにっ!」

急いで化粧をし、髪を巻く。お気に入りのキャミにスカートを合わせて……。

「ギリギリ間に合ったぁ!」

待ち合わせの5分後、なんとか用意を終わらせることができた。

携帯を握り締め、アッくんからの電話を待った。

でも、アッくんからの電話は、いつまで経ってもかかってこなかった。

6時半……7時……。

時間だけが過ぎていく。

アッくんの携帯や自宅に電話をかけても、いっこうに繋がらない。

何があったの? 事故とか?

悪い想像ばかりが頭をめぐっていった。

「もう10時だよ……」

じっと待っているのは限界だった。

アタシは家を飛び出した。

赤い糸 **********

その頃──

アッくんは母の店の寮にいた。

母のクラブには、ホステス用のワンルームの寮がある。今日はこの部屋に、昼からホステスが引っ越してくる予定だった。

──1週間前。

「アツシ、バイトしない?」

仕事帰りの母が言った。

「バイト? 何すんの?」

「カレンってわかるでしょ? あの子が寮に入るのよ。女の子ひとりだと引っ越し大変だから、手伝ってあげてくれない? バイト代は1万払うから?」

オイシイと思った。

もうすぐ芽衣との1ヶ月記念。小遣いじゃなくて、自分で稼いだ金で何かしてやるのもいいよな。

「わかった、やるよ!」

引っ越しの日は1ヶ月記念の当日だけど、昼間に終わらせて夜会おう。

そして昨日──芽衣は思っていた以上に、オレにキレた。

素直にバイトだと言ってしまおうかな……。

そう思ったけど、内緒のプレゼントにしたいオレは嘘をつき通した。

すると、芽衣は家を飛び出して行った。

携帯はシカト。しばらくしたら電源切るし。

完全に行方不明。

芽衣! 何やってんだよ!

赤い糸 芽衣は家にも帰っていなかった。

どっかにひとりでいんのかな?

あいつ、泣き虫だから、泣いてる気がする。見つけてやらなきゃ。

オレが悪い。話して、謝る! !

そしてオレは、近所中を走り回った。

だけど、芽衣はどこにもいない。

芽衣! ! どこにいんだよ!?

Tシャツが汗でベタつく。

息も切れてきた。

芽衣のマンションまで来たけど、芽衣の姿はなかった。

疲れ果てたオレは近くの花壇の脇に座り込んでしまった。

頭を抱えて考える。芽衣の行きそうなところって、どこだよ!?

そのときだった。

「キャハハハハッ ? ちょーすごぉい! !?」

「だろ? 芽衣ちゃん、これからもまたアソボウなっ☆」

「うん!」

……芽衣?

楽しそうな芽衣らしき声と、男の笑い声が耳に届いた。

顔をあげて声のほうを向くと、やはり芽衣が男と歩いている。

……一緒の男、3年のコータ先輩だ。

しかも、手ぇ繋いでんじゃん。なんだよ、アイツら。

赤い糸 携帯を手に取り、芽衣に電話をした。

──圏外だ。

楽しそうな芽衣の声が聞こえ続ける。

……。

そーゆーことかよ。

コータ先輩が芽衣に手を振り、ひとりで来た道を戻って来た。

そしてオレの横を通りすぎて──

「コータ先輩!」

「えっ? ……あれ? 2年の……?」

気づけばオレは、コータ先輩を呼び止めていた。

「芽衣と何してたんですか?」

コータ先輩はムッとしたような顔をして、オレに言う。

「お前、芽衣ちゃんの彼氏? この時間に一緒なんだから、何やってたかわかんだろ?」

は? まさか……。

芽衣がコータ先輩と? ──マジかよ。

「オレ、もぉ行くから」

オレは呆然とし、去って行くコータ先輩を無言で見つめた。

手に握り締めたままの携帯に目を落とす。

トゥルルルル

芽衣の携帯にかけると、今になって繋がった。

そして、芽衣は携帯に出た。

「お前、サイテェだな」

オレは言った。

芽衣が周りを見回してオレに気づき、走って来た。

もういい。

オレは無視して、芽衣に背を向けた。

赤い糸 ふと振り返ると、芽衣は転んで怪我をしていた。

芽衣っ! !

思わずオレは芽衣に駆け寄った。

抱き起こすと、芽衣はすがりついてきて気持ちが揺らぐ。

やっぱり芽衣が好きだ。

だけどオレは、芽衣を許せなかった。

別れを告げる。

泣きながら、「嫌だ」と言う芽衣。

本音は……芽衣と別れたくない。でも、無理だ。

オレも涙が出そうだった。裏切られるなんて思わなかった。

芽衣はオレの過去をすべて受け止めて、すべて忘れさせてくれていた。

その芽衣がオレを裏切ったなんて。

芽衣は誤解だと言い、オレに言い訳をした。

でも、オレはそれを信じる程のバカになれなかった。

バカになれれば、どんなに幸せだったんだろう。

芽衣を素直に信じられたら……。

「信じさせて……」

オレは芽衣に言った。そして距離をあけると伝えた。

芽衣を家に送り届けた後、ひとりになったオレは悩み続けた。

……もうダメだ。

オレはカレンの携帯を鳴らした。

赤い糸 「はぁい☆」

呑気なカレンの声。

「……アツシだけど」

「あ、アツシ~? 久々だねぇ!」

カレンは18歳。

芽衣とつき合うまで、定期的に会っていた女。

いわゆるセフレだ。

あと、芽衣は知らないだろうけど……。

オレはカレンにクスリをもらっていた。

芽衣がそばにいたとき、自然とやめられていたクスリ。

通称、タマ──

エクスタシーというクスリ。

「タマ、あるよな?」

「うん! 久々だねぇ? うちに来たら? どうせ明日は引っ越しで来てくれるんでしょ?」

オレは約2ヶ月ぶりに、カレンの家に向かった。

罪悪感もあったが、今のままひとりで家に帰りたくない。

タマ食って、楽になりたい。

何も考えたくなかった。

──そして、オレはカレンの家に着いてすぐにタマを食った。

一緒にタマをくったカレンは、オレにベタベタと甘えてくる。

こいつが芽衣なら良かったのに……。

カレンの甘えは、ウザかった。

赤い糸 でも、オレはカレンのことを……。

欲望だけで胸を揉んだ。

キスをせがむカレンをうまくかわして、ゴムも着けずにツバをつけ、カレンの中に入れた。

後は、自分の快楽のためだけに、必死に腰を振った。

「はぁ、はぁ……」

「今日、すごかったぁ……こんなむりやりな感じ、初めてだったけど……たまにはいぃかも?」

「あっ、そ」

オレはカレンの声を左から右に流して聞いていた。

甘えるカレンに背中を向けると、カーテンの隙間から太陽の光が見えた。

もう、朝か。

「引っ越しの用意しねぇ?」

ウザったいカレンと離れるきっかけにもなる。

「えーっ。まだやだぁ」

ダダをこねるカレンに、むりやりオレは服を着せた。

部屋はある程度片づけられていたが、ゴチャゴチャと物があり、片づけに昼過ぎまでかかった。

タマも抜けて、疲労もピーク。

正直、ダルい。

帰りてぇよ。

赤い糸 芽衣、何やってんだろ?

今日は1ヶ月記念日。

今頃になって、芽衣の笑顔や泣き顔が頭に浮かぶ。

そしてカレンとの行為に罪悪感が襲う。

引っ越しが終わる頃、外は涼しくなっていた。

芽衣に会いたい。

やっぱり芽衣がいないと無理だ……。

引っ越ししながら考え出したオレの結論。

オレはカレンの寮を出て、芽衣の携帯を鳴らす。

そして、芽衣と6時に待ち合わせをした。

……オレは信じる。

コータ先輩より、芽衣の涙が真実だよな。

芽衣……。ごめんな。

だいたいの荷物を運び終わった頃、カレンとふたりでジュースを飲んだ。

芽衣の待ち合わせまで、あと1時間以上ある。

ソファーに腰かけると、疲れがドッと出てきた。

「マジ疲れた」

「カレンも~」

5時半くらいにここを出て、お袋にバイト代もらって……。そう考えていた。

でも、意識がどんどん遠のいて、疲れていたオレは、そのままソファーで眠ってしまったんだ。

赤い糸 サヨナラ

アタシは、あてもなくアッくんを探した。

街灯の光も薄暗い小さな脇道。

真っ暗な公園。

どこにもアッくんの姿はない。

どこにいるの?

何度もリダイアルでアッくんの携帯を鳴らした。

でも、呼び出し音が虚しく響くだけ。

探し回っていると、アッくんの家の近くまで来ていた。

電話に出ないからいないのはわかるけど、一応、マンションの中に入って家に向かう。

アッくんの家の前に着いたとき、いきなり玄関の扉が開いた。

……アッくん!?

しかし、中から出てきたのは女性だった。

30代前半くらいの綺麗な人。

どことなく、アッくんに似てる。

「あ、あのっ……」

思いきって声をかけた。

女性は少し警戒した顔をして、口を開いた。

「どちらさま?」

「あ、あの……アツシくんのクラスメイトです」

女性はアタシの言葉を聞くと、優しく笑った。

笑うと目がなくなるのは、アッくんと同じだ。

きっとこの人、アッくんのお母さん。

赤い糸 「アツシは家にいないわよ」

「約束してたんですけど……」

「ちょっと待ってね」

女性はバッグから携帯を取り出した。

前にリビングで見たことのあるエルメスのバッグだ。

「──あ、カレン? アツシいる?」

──カレン? 誰?──

「──うん、あ、そうなの? わかったわ──じゃあね」

パチン

女性は携帯をたたむと、申し訳なさそうに言った。

「アツシ、寝ちゃってるみたい。ごめんね」

えっ?

心臓がドクドク音を立て始めていく。

「アッくん、どこにいるんですか?」

「ん……私の知り合いの子の家かな?」

……そうなんだ。

カレンって子の家にいるってことだよね。

「わかりました。すいません」

悲しみや怒りがまざって震えそうになる声を押さえた。

そして女性に挨拶をし、マンションを後にした。

「家に帰ろ……」

歩いて来た道を戻りながらも、カレンという女が気になって仕方ない。

アタシは携帯を取り出し、リダイアルを押した。

「はぃ」

「──え!?」

赤い糸 繋がった携帯からは、可愛い女の声が聞こえてきた。

これ、アッくんの携帯だよね?

かけ間違った?

画面を見ても、アッくんと表示されている。

まさか……。

「あなた、カレンさんですか?」

「そうだけど、あなた誰?」

やっぱりそうだ。

震えていく体を落ち着かせて話す。

「アッくんの彼女ですけど……」

「クスッー」

カレンの鼻で笑う声が聞こえた。

馬鹿にされているような笑い方。

「アツシ、寝てるわよ」

「……起こしてください」

「可哀想だから、嫌」

「──ッ! 起こしてよ! !」

涙が出そうだった。

くやしくて今は泣けないけど、胸が痛くて苦しかった。

「昨日ねぇ~、アツシとヤッちゃった? アツシとはもう半年以上の仲なの。アンタが出てきたせいで最近冷たくて──」

ブチッ

「──えっ!?」

プー…プー…プー…

一方的に切られた電話。

アタシはもう繋がっていない携帯を耳に当てたまま、呆然と立ち尽くす。

赤い糸 ──カレンって人の言葉は本当なの?

嘘……だよね?──

「ゥッ……ウッッ……」

たえていた涙が、溢れ出した。

頭ではわかってる。

信じたくないけど、きっと彼女の話は事実。

なんで……なんで裏切るの?

悠哉を忘れさせて、幸せにしてくれるんじゃなかったの?

もう、何もかも嫌だよ。

誰も信じられない。

?~?~?~

どれくらい経ったんだろう。

泣き疲れて路傍にしゃがんでいたとき、携帯が鳴り始めた。

「あ……」

通話ボタンを押すと、美亜の明るい声が聞こえてきた。

「芽衣~★何してんの?」

「み……美亜ぁ……グスッ……」

美亜の声を聞いて、またポロポロと涙が流れた。

悲しくて、苦しくて、アタシは声をあげて泣いた。

「ど、どしたの!? どこにいるの?」

あせる美亜に居場所を伝えた。しばらくすると美亜の姿が見えた。

「芽衣ー! !」

美亜は走って来て、優しくアタシの頭をなでてくれる。

赤い糸 「フェッ……美亜ぁ……」

「だいじょ~ぶ?」

優しい美亜の声。

余計に涙が止まらないよ。

「とりあえず、美亜の家に行かない? 友達が近くで待ってるから、送ってもらお!」

美亜に手をとられ、アタシは歩き出した。

少し歩くと、1台の車がライトをチカチカと点滅させて止まっていた。

「アレだよ」

美亜が言うのと同時くらいに、その車からひとりの男が降りてきた。

18~19歳くらいの、キレイな顔立ちの人。

ギャル男好きな美亜が好きそうなタイプの人だ。

「美亜、どぉすんの?」

「帰るから、送って!」

お邪魔しちゃった感じだよね……。

「悪くない?」

美亜にだけ聞こえるように、小声で言う。

「大丈夫! ! もう帰るつもりだったから」

美亜が後部ドアを開けてくれた。

「お邪魔します……」

「どぉーぞ」

男の人が笑顔で答える。

男の人の車なんて乗ったことがないから、緊張。

「じゃ、行くよ!」

アタシの緊張をよそに、車は走り出した。

美亜はアタシの手をずっと優しく握ってくれていた。

赤い糸 5分ほど走ると美亜の家に着いた。

仲が良いとはいえ、美亜の家に来るのは初めてだ。

「美亜! また連絡する!」

「はぁい!」

「ありがとうございました」

ふたりは車を降りた。

美亜の家は電気が消え、近所の家もほとんど光はついていない。

携帯を開き、時間を確認する。

「もぅ12時過ぎてるよぉ……。大丈夫?」

「うち、放任だから? 芽衣も今日は泊まっていきなよ」

「いいの?」

今日はアッくんとの記念日だから、親に外泊すると伝えてあった。

春菜と悠哉と3人で外泊すると嘘をついて……。

前に春菜に頼まれた嘘を、今日使っていたのだ。

ふたりは今頃、楽しく過ごしているはず……。

「じゃあ、美亜の部屋でくつろごっ」

「うん!」

美亜の優しさに甘え、静かに家に入った。

美亜の部屋に入ると、カラフルな小物や服が目に入ってきた。

いかにも美亜っぽいインテリアで、初めて来た感覚がしない。

ふたりはベッドに腰かけて話をした。

相変わらず、アッくんから電話はこない。

アタシは鳴らない携帯をバッグの奥にしまった。

赤い糸 午前2時──

美亜が「お酒、飲もう!」と言い始め、ふたりはコンビニに向かって歩いていた。

外は少し涼しくて、風が気持ちいい。

「女ふたりで飲むのも、わびしいねぇ」

「そぉかな?」

美亜はアタシより、いろんな意味で大人だった。

……というより、マセている?

「さっきの車の男でも呼ぶ?」

「いーよ、大丈夫」

「男の傷は、男で治すと早いよ」

美亜が言うと、深い言葉な気が……。

「あー! すぐアッくん思い出す! ムカつくよぉ」

「だねぇ。ヤリチン?」

「──ほんとヤリチン! !」

美亜にグチったことで、だいぶ気持ちが楽になった。

悪口だって、言えるようになったよ。

「ガラ悪いのがコンビニ前にいるよ……」

「え?」

美亜が嫌そうに顔をしかめ、少し先のコンビニを指さす。

確かにガラ悪いっていうか、若い人たちがたむろっていて……。

……あれ? 菜穂さん?

この前の飲み会のメンバーがいる!

「菜穂さーん! ! 綾さーーん! !」

「えっ? 芽衣?」

赤い糸 急に叫んだからなのか、美亜は驚いている。

美亜の手を引いて、コンビニまで走った。

「芽衣ちゃん!」

「久々~? 昨日ぶりだねっ!」

「はいっ! ビックリしましたぁ!」

コータはいないが、ほかにも飲み会にいた男がいた。

確か、名前はタクとハルとユウだったかな……?

「コータさんは?」

「もうすぐ来るよ!」

タクが言う。

美亜が驚いた顔でアタシの耳元で話した。

「コータって……ユリの仲間でしょ? またジュースかけられたら嫌なんだけどっ!」

……そうだった。

美亜の中では3年っていうと、マックのジュース事件なんだよね。

「友達の美亜です!」

アタシの後ろに隠れる美亜をみんなに紹介した。

「美亜ちゃん、よろしくねー」

「可愛いっ! !」

先輩たちの歓喜の声。

美亜は少し困った顔でアタシを見た。

しかし5人に悪意がないことがわかると、赤くなりながらペコッと頭を下げた。

「いい人でしょ?」

小声で美亜にささやくと、美亜は「ウン」と頭を縦に振った。

しばらくみんなで話していると、コータが原付で現れた。

また無免許だ……。

赤い糸 そして、アタシは昨日に引き続き3年集団と飲むことになった。

美亜もすぐにうちとけて、菜穂さんと話し込んでいる。

昨日の家に着くと、みんなすぐに飲み始めた。

缶チューハイを少し飲むと、すぐに頭がクラクラしてきた。

あ……気持ちいい?

みんなの笑い声が聞こえるけど、意識が遠のいていって、アタシはストンと眠りに落ちてしまった。

「……ん……ちゃん。芽衣ちゃん、起きれる?」

優しい男の人の声……誰?

重い瞼を開き、声の主を探す。

「あ、起きた!」

「コータ……さん?」

無意識に寝ちゃってたみたい。

起き上がろうとしても、体がダルくて……頭も痛い。

「今、何時ですか? みんなは?」

「隣の部屋でザコ寝してる。時間は朝の8時過ぎ」

「ファァ……頭痛ぁ…」

コータは笑って、アタシの頭をなでた。

あっ!

頭をなでられた感覚で思い出したけど……。

アッくんから連絡きてるのかな?

アタシはクラクラする頭をむりやり持ち上げバッグを探す。

赤い糸 「アタシのバッグ……どこ……どこ?」

コータが少し手を伸ばし、バッグを手渡してくれた。

バッグの底に手をつっ込んで携帯を探す。

──あ、あった! !

バッグの中身がグチャグチャになるのも構わず、携帯を引っ張り出した。

〈受信メール 2件〉

ディスプレイに表示されている。

その文字を見て、心臓がバクバク鳴り始めた。

「芽衣ちゃん? どしたのー?」

コータの声を無視してメールを開く。

〈昨日はどうだった?〉

春菜からだ。

そして……。

もう1件は、アッくんのアドレスから。

〈他に女できたから、別れて〉

えっ……?

ゴメンとか、昨日の言い訳とか……。

そういうメールじゃないの?

女って?

……カレン?

頭から血の気も、酔いも、すべて引いていった。

「真っ青だけど……二日酔いで気持ち悪い?」

コータの心配そうな声。

アタシは体にかけてあったタオルケットを頭からかぶった。

そして、体を丸めるように横になる。

……なんで?

どーいうことなの!?

赤い糸 「芽衣ちゃん……何があったんだよ」

コータはタオルケットの上から、アタシの体を優しく抱き締めてくれた。

コータの温もりが伝わってくる。

アタシは体を丸めたまま、小さく震えて泣いた。

もぅ……、恋することに、疲れたよ。

だって、みんな裏切っていくんだもん。

嘘ばっかり。

こんなんなら、恋なんてしないほうがいい。

誰も愛さない。

誰も信じない。

幸せな未来を期待なんか、しない。

握り締めたままの携帯を開き、ボタンを押す。

〈サヨナラ。もう連絡しないで。〉

──送信。

アッくん、サヨナラ。

貴方を好きだった自分にサヨナラ。

純粋に恋をした、アタシ自身にも

サヨナラ──

アタシは涙を拭いて、タオルケットから頭を出した。

コータの頬に、手を伸ばす。

アタシは、コータの目を真っ直ぐに見て言った。

「ねぇ……アタシを抱いて……」

心配そうなコータの顔が驚いた顔に変わっていく。

少しの沈黙の後、コータは、何も言わずにアタシを抱き締めた。

赤い糸 自業自得

隣の部屋で寝ているみんなに気づかれないように……、

「ンッ……アアッ……」

微かにギシギシと軋むベッドの上で、声を押し殺しながら、アタシはコータに抱かれた。

アタシはこの日を境に変わっていった。

外見も、中身も。

日サロに行き始め、濃いメイクを好むようになった。

毎晩、外泊を繰り返した。

そんなアタシを、両親と春菜は心配して何度も注意をした。

4日目の夜遊びに出かけるとき玄関でお父さんと口論になった。

「いいかげんにしろ!」

バチンッ

怒ったお父さんは、アタシの頬を殴った。

切れた唇の端から、ひと筋の血が流れる。

「痛っ……」

アタシは血を手の甲で拭い、何も言わずにそのまま家を出た。

お母さんはアタシの後ろ姿を見て、泣いていた。

お父さんも、殴ってしまった手をジッと見つめ、悔しそうに下を向いて言った。

「芽衣に何があったんだ……父親なのに、俺にはわからない……」

赤い糸 家を出たアタシは夜道を歩きながらタバコに火をつけた。

「フゥ……」

自然と涙がこぼれてきた。

……わかってる。両親の気持ちも。

殴ったお父さんが、一番痛かったんだよね。

だけど、今はアタシに構わないで欲しいんだ。

だから、ごめんね。

タバコを地面に投げ捨てて、涙を拭った。

そしてコータたちのグループのもとに急いだ。

こうしてアタシは夏休みの最後の日まで、毎晩遊び通した。

そうしないと、アッくんを考えて思い出してつらかった。

──明日から新学期が始まる。

夏休み最後の夜遊び。

アタシと美亜は、いつもより念入りに用意をして、街に繰り出した。

このときは、数時間後に起こる悲劇なんて想像もつかなかった。

ふたりでファミレスで食事をした帰り道。

近道をするために、閉店しているパチンコ店の広い駐車場を横切って歩いた。

車がとまっていたのはわかったけど何も思わずに、アタシと美亜は歩いていた。

赤い糸 タッタッタッ

「……?」

裏から近づく足音に気づいたときにはもう遅くて……。

ガバッ

「──ッ!?」

太い腕で背中から抱き締められて、ビリビリビリッて体に電気が流れてた。

抵抗する余裕なんて、なかった……。

意識が混濁したアタシと、完全に気を失った美亜。

ふたりはそのまま、近くにとまっていたバンに乗せられた。

「ゲホッ……」

バンの中は、タバコの煙がすごくって、むせてしまった。

「若いよなぁ~」

「可愛いじゃん!」

「俺、お前の後は嫌だから、最初でいい?」

「じゃあ、飯おごれよなぁ~」

バンの中には4人の男がいた。みんな、知らない顔。

でも……。

こいつらに犯される。

それは、スタンガンを当てられたときにわかってた。

飯をおごるから一番って言った男が、アタシの上にかぶさってきた。

デブで、キモイ。

臭いし、重いし、たえきれない。

「ヤメテッ……」

「声も可愛い~」

デブはアタシの唇に、むりやりキスをした。

赤い糸 「ン──!」

声にならない叫びをあげる。

──嫌だ!

嫌だよ! !

誰かっ……助けて……。

手足をバタつかせる。

でも、デブに押さえつけられて──

ドスッ

「ウッ……オエッ……」

腹に激痛が走った。こみあげる吐気。

「強く殴りすぎたかな?」

デブの声が頭に響く。

叫んだら口を押さえつけられ、暴れたら殴られる。

「ヒッ……ヒック……」

抵抗もかなわない。

殴られたお腹や頬が痛いよ……。

怖くて……もう、助けを呼ぶ声も出ない。

車内には、泣きじゃくるアタシの声が虚しく響いた。

「やっとおとなしくなったね」

デブが震えるアタシの体をなでる。

そして、スカートをまくり上げて──

「痛ぁっ……痛いっ! ! やめてぇーーっ! !」

膣が裂けるような痛み。

ギシギシと、デブのモノが出入りする。

そのたびに、焼けるような激痛が走っていった。

赤い糸 痛みで頭が……真っ白になる。

いっそ、このまま、気を失いたかった。

「……ウッ……ハァ、ハァ、ハァ……」

デブが動きを止めて、アタシの上に倒れこんだ。

デブの脂ぎった汗が、体にへばりつく。

ハァハァという、臭い息。

そして、痛む膣の中でドクドクと脈打つモノ……。

もう、嫌がる気力もなかった。

あぁ……。

やっとひとり終わったんだ。

残りは3人……。

「車の中じゃ狭いから、ラブホ行こうぜ」

誰かが言い、車が走り始めた。

アタシは足にひっかかったままの下着も直さずに、天井だけを見ていた。

……もう、何も考えたくない。

だけど、体の震えと涙は止まらなかった。

どうなっちゃうんだろう………。

怖さと不安で押し潰されてしまいそう。

「め……芽衣?」

美亜の声がする。意識が戻ったんだ。

「──キャッ! な、何コレ! ! ねぇ! 車、とめてよ! 」

アタシの姿を見て、美亜が叫ぶ。

「うるせぇ女だなぁ」

「──! ! ンーッ……ン……」

赤い糸 誰かに口を押さえられたのか、美亜は静かになった。

そして……。

解放されるまで、アタシと美亜の苦痛と恐怖は続いた。

2時間後──

「じゃあね?」

「ありがとー!」

再び駐車場に戻って来たバンの車内で、男たちは言った。

アタシと美亜は、抱き合って泣き続けている。

「ど……どうして? なんで……」

アタシはつぶやいた。

「自業自得じゃないの? 派手なカッコで調子乗ってるから拉致られるんだよ。処女じゃないんだから、別にいいじゃん」

4人は笑った。

「ち、違っ──」

アタシが言いかけたとき、ひとりの男がバンの扉を開いた。

そして、ふたりの体をつかんで、車外に押し出した。

「キャァッ! !」

コンクリートの地面に落とされ、強く体を打ちつけた。

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